セグメントとは?マーケティングにおける意味と活用方法を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/17

セグメントとは?マーケティングで注目される理由

「どの顧客層に優先的にアプローチすべきか分からない」「マーケティング施策が思うように効果を出せていない」──こうした課題を抱えるB2B企業は少なくありません。セグメント(セグメンテーション)は、市場や顧客を適切に分類し、効果的なマーケティング施策を展開するための基礎となる考え方です。

この記事のポイント:

  • セグメントとは、全体を何らかの指標に基づいて区切ったまとまりのこと
  • マーケティングでは「デモグラフィック」「ジオグラフィック」「サイコグラフィック」「ベヘイビオラル」の4つの軸で分類する
  • STP分析(セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング)の最初のステップとして重要
  • B2Bでは企業規模・業種・課題・購買行動などの基準でセグメント分けを行う
  • セグメントの有効性は4Rの原則(Rank、Realistic、Reach、Response)で評価する

セグメント(Segment)とは、「部分」や「区分」を意味する言葉で、ビジネスにおいては市場や顧客を何らかの指標に基づいて区切ったグループを指します。

マーケティングでセグメントが注目される理由は、限られたリソースを効率的に活用するためです。すべての顧客に同じアプローチをするのではなく、共通の特性を持つグループごとに最適化した施策を展開することで、費用対効果を高めることができます。

例えば、SaaSツールを提供するB2B企業であれば、「従業員50人未満の小規模企業」「従業員50〜500人の中堅企業」「従業員500人以上の大企業」といった企業規模別にセグメント分けを行い、それぞれに適した訴求内容や料金プランを提案することが一般的です。

2. セグメントの基礎知識と4つの分類軸

マーケティングにおけるセグメント分けでは、以下の4つの主要な分類軸が使われます。

(1) デモグラフィック(人口統計学的属性)

デモグラフィックは、人口統計学的なデータに基づく分類方法です。

B2Cでの代表的な項目:

  • 年齢、性別、職業、年収、学歴、家族構成

B2Bでの代表的な項目:

  • 企業規模(従業員数、売上高)、業種、設立年数、資本金

客観的なデータに基づくため分類しやすく、データ収集も比較的容易です。ただし、同じ属性でもニーズや価値観が異なる場合があるため、他の分類軸と組み合わせることが推奨されます。

(2) ジオグラフィック(地理学的属性)

ジオグラフィックは、地理的な要素に基づく分類方法です。

代表的な項目:

  • 国、地域(都道府県、市区町村)、都市規模、気候、文化圏

地域ごとに文化や商習慣が異なる場合や、物流・サービス提供範囲に制約がある場合に有効です。例えば、クラウドサービスであっても、地域ごとの法規制や言語対応の違いから、地理的セグメント分けが必要になることがあります。

(3) サイコグラフィック(心理学的属性)

サイコグラフィックは、心理的・価値観的な特性に基づく分類方法です。

代表的な項目:

  • 性格、価値観、ライフスタイル、購買動機、関心事

B2Bでの例:

  • 「革新的な技術を積極的に導入する企業」と「実績重視で保守的な企業」
  • 「コスト削減を優先する企業」と「品質重視でコストは二の次の企業」

内面的な要素のためデータ収集が難しいものの、深いニーズや購買動機を理解できるため、適切なメッセージング設計に役立ちます。

(4) ベヘイビオラル(行動学的属性)

ベヘイビオラルは、実際の行動パターンに基づく分類方法です。

代表的な項目:

  • 購買履歴、使用頻度、ロイヤルティ(リピート率)、利用シーン、購買タイミング

B2Bでの例:

  • 「無料トライアルを利用中」「有料プランを継続利用中」「過去に解約した」
  • 「展示会で名刺交換した」「Webサイトで資料請求した」「既存顧客からの紹介」

実際の行動データに基づくため、予測精度が高く、マーケティングオートメーション(MA)ツールと相性が良いです。

3. STP分析におけるセグメンテーションの位置づけ

セグメンテーションは、STP分析と呼ばれる市場戦略フレームワークの最初のステップです。

STP分析の3ステップ:

  1. Segmentation(セグメンテーション): 市場を様々な基準で細分化する
  2. Targeting(ターゲティング): セグメントの中から狙うべき対象を絞り込む
  3. Positioning(ポジショニング): ターゲットに対してどのような価値を提供するかを設定する

(1) セグメンテーションからターゲティングへ

セグメンテーション(市場細分化)とターゲティング(狙うべき市場の決定)は混同されがちですが、明確に異なります。

セグメンテーション: 市場全体を複数のグループに分類する作業。この段階ではすべてのセグメントが候補として存在します。

ターゲティング: セグメントの中から、自社がアプローチすべき対象を選定する作業。市場の魅力度や自社の強みを考慮して決定します。

例えば、SaaSツール企業が以下のようにセグメント分けした場合:

  • セグメントA: 小規模企業(従業員50人未満)
  • セグメントB: 中堅企業(従業員50〜500人)
  • セグメントC: 大企業(従業員500人以上)

この中から「セグメントBの中堅企業に集中する」と決定するのがターゲティングです。

(2) ポジショニングとの連携

ターゲティングで決定した対象に対して、「競合と比べてどのような独自の価値を提供するか」を設定するのがポジショニングです。

セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの一連の流れにより、効果的なマーケティング戦略を構築できます。

例:

  • セグメンテーション: 中堅企業を「IT業界」「製造業」「小売業」に分類
  • ターゲティング: 「IT業界の中堅企業」に絞る
  • ポジショニング: 「IT業界特有の開発プロセスに最適化されたプロジェクト管理ツール」として訴求

4. B2Bマーケティングでのセグメント活用方法

B2B(企業間取引)マーケティングでは、B2Cとは異なるセグメント分けの視点が求められます。

(1) 企業規模・業種による分類

最も基本的なB2Bセグメント分けは、企業規模と業種です。

企業規模による分類例:

  • 小規模企業: 従業員50人未満、年商5億円未満
  • 中堅企業: 従業員50〜500人、年商5億円〜100億円
  • 大企業: 従業員500人以上、年商100億円以上

企業規模によって予算、意思決定プロセス、導入までのスピードが異なるため、提案内容や営業アプローチを変える必要があります。

業種による分類例:

  • IT・通信業、製造業、小売業、金融業、医療・福祉、建設業など

業種ごとに抱える課題や規制環境が異なるため、業界特化型のソリューション提案が有効です。

(2) 課題・ニーズによる分類

顧客が抱える課題やニーズに基づく分類も有効です。

課題別セグメント例(MAツールの場合):

  • 「リード獲得数を増やしたい」
  • 「リードの質を高めたい(スコアリング)」
  • 「営業とマーケの連携を強化したい」
  • 「既存顧客のアップセル・クロスセルを促進したい」

課題に応じて訴求内容や提案する機能を変えることで、刺さるメッセージングが可能になります。

(3) 購買行動による分類

顧客の購買プロセスや行動に基づく分類も重要です。

購買ステージ別セグメント例:

  • 認知段階: まだ課題を明確に認識していない
  • 検討段階: 課題を認識し、解決策を探している
  • 比較段階: 複数のツール・サービスを比較中
  • 導入段階: 導入を決定し、契約手続き中
  • 利用段階: 既に利用中、継続・解約を検討

ステージごとに提供すべき情報(ホワイトペーパー、導入事例、無料トライアル案内など)を変えることで、コンバージョン率を高められます。

5. セグメント設計の実践ステップと評価基準

(1) 5ステップでのセグメント設計

効果的なセグメント設計は、以下の5ステップで進めます。

ステップ1: 目的の明確化 セグメント分けの目的を明確にします。「新規顧客獲得」「既存顧客のアップセル」「解約防止」など、目的によって分類基準が変わります。

ステップ2: 分類軸の選定 4つの分類軸(デモグラフィック、ジオグラフィック、サイコグラフィック、ベヘイビオラル)の中から、目的に適した軸を選びます。複数の軸を組み合わせることも有効です。

ステップ3: データ収集 分類に必要なデータを収集します。CRM、MAツール、顧客アンケート、Web行動ログなどを活用します。

ステップ4: セグメント分類の実施 収集したデータを基に、実際にセグメント分けを行います。一般的に3〜7個のセグメントに分けるのが適切とされています。

ステップ5: 評価と改善 設定したセグメントが有効かどうかを4Rの原則で評価し、必要に応じて見直します。

(2) 4Rの原則による有効性評価

セグメントの有効性は、4Rの原則で評価します。

1. Rank(優先度): そのセグメントは自社にとって優先度が高いか?市場規模、成長性、収益性などから判断します。

2. Realistic(規模の有効性): そのセグメントは十分な市場規模があるか?小さすぎると施策の費用対効果が低下します。

3. Reach(到達可能性): そのセグメントに実際にアプローチできるか?広告配信やコンテンツ発信で到達可能かを確認します。

4. Response(測定可能性): そのセグメントへの施策効果を測定できるか?データが取得できなければ改善ができません。

4Rすべてを満たすセグメントが、効果的なマーケティング施策を展開できる対象と言えます。

6. まとめ:効果的なセグメント活用のポイント

セグメントは、市場や顧客を適切に分類し、効果的なマーケティング施策を展開するための基盤となる考え方です。

重要なポイント:

  • セグメントは「デモグラフィック」「ジオグラフィック」「サイコグラフィック」「ベヘイビオラル」の4軸で分類する
  • STP分析(セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング)の最初のステップ
  • B2Bでは企業規模・業種・課題・購買行動などを基準にする
  • セグメントの有効性は4Rの原則(Rank、Realistic、Reach、Response)で評価する
  • セグメント数は一般的に3〜7個が適切

次のアクション:

  • 自社のマーケティング目的を明確にする
  • 顧客データを収集・整理する(CRM、MAツール活用)
  • 4つの分類軸から適切な基準を選定する
  • 3〜7個のセグメントに分類する
  • 4Rの原則で有効性を評価し、改善する

セグメント設計を適切に行い、ターゲットに最適化された施策を展開することで、限られたリソースで最大の成果を実現しましょう。

よくある質問

Q1セグメントは何個に分けるのが適切?

A1一般的に3〜7個が目安とされています。セグメントを細分化しすぎると各セグメントの規模が小さくなり、施策の費用対効果が低下します。逆に少なすぎるとターゲティング精度が下がり、効果的なマーケティングが難しくなります。自社のリソースと目的に応じて適切な数を設定しましょう。

Q2セグメントとターゲットの違いは?

A2セグメントは市場全体を分割したグループすべてを指し、ターゲットはその中から実際にアプローチする対象を絞り込んだものです。例えば、「小規模企業」「中堅企業」「大企業」の3つがセグメントで、そこから「中堅企業に集中する」と決めた場合、中堅企業がターゲットになります。

Q3セグメントの見直し頻度は?

A3市場環境の変化や顧客ニーズの変動に応じて、年1回程度の見直しが推奨されます。また、マーケティング施策を実施して顧客行動データが十分に蓄積されたタイミングでの見直しも有効です。データに基づく改善を継続的に行うことで、セグメント分けの精度を高められます。

Q4B2BとB2Cでセグメント分けの基準は違う?

A4はい、大きく異なります。B2Cでは個人の年齢・性別・ライフスタイルが重視されますが、B2Bでは企業規模・業種・課題・購買プロセスが基準になります。例えばB2Bでは「従業員数500人以上のIT企業で、リード獲得を課題としている企業」のような分類が一般的です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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