ファネルとは?マーケティングファネルの基本と活用方法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

ファネルとは:意味・定義・歴史的背景

「リード獲得から商談化までの流れを可視化したいけれど、どう管理すればいいのか分からない...」B2Bマーケティング担当者や営業企画担当者の多くが、こうした悩みを抱えているのではないでしょうか。

ファネル(Funnel)は、顧客が認知から購入に至るまでの過程を可視化し、各段階でのパフォーマンスを測定・改善するための重要な概念です。しかし、ファネルの種類や具体的な活用方法、どこに注意すべきかを明確に理解している方は意外に少ないのが現状です。

この記事では、ファネルの基礎知識から種類、ファネル分析の方法、セールスファネルとマーケティングファネルの違い、活用時の注意点まで、B2Bマーケティング担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

この記事のポイント:

  • ファネルは漏斗(じょうご)を意味し、認知から購入までの顧客数の減少を図式化したもの
  • 主な種類はパーチェスファネル(購買プロセス)、インフルエンスファネル(拡散行動)、ダブルファネル(両者を統合)
  • ファネル分析により、離脱ポイントと離脱率を明確化し、改善施策を立案できる
  • 2025年時点でもBtoB領域では有効性が認められており、リード獲得から商談化の流れを管理する手法として活用
  • SFA/CRM・MAツールを活用することで、効率的なファネル管理が可能

(1) ファネルの意味:漏斗(じょうご)形の顧客行動モデル

ファネル(Funnel)とは、漏斗(じょうご)を意味する英単語です。マーケティングにおいては、顧客が認知から購入に至るまでの過程で段階的に減少する様子を、漏斗の形で図式化したものを指します。

ファネルの基本的な形:

【認知】          ← 多数の潜在顧客
   ↓
【興味・関心】
   ↓
【比較・検討】
   ↓
【購入】          ← 少数の購入者

上部(認知段階)では多くの潜在顧客がいますが、段階が進むにつれて顧客数が減少し、最終的に購入に至る顧客は少数になります。この様子が漏斗の形に似ていることから「ファネル」と呼ばれています。

ファネルが示すもの:

  • 顧客の購買プロセス: 認知 → 興味・関心 → 比較・検討 → 購入
  • 各段階での顧客数: 段階が進むごとに顧客数が減少
  • 離脱率: 各段階で次の段階に進まなかった顧客の割合
  • コンバージョン率: 最終的に購入に至った顧客の割合

ファネルは、顧客の購買行動を可視化し、どこで離脱が起きているかを明確にするための重要なツールです。

(2) マーケティングファネルの定義:認知から購入までの過程を図式化

マーケティングファネルとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの行動をモデル化したものです。

マーケティングファネルの基本構造:

段階 内容 顧客の状態 主な施策
認知(Awareness) 商品・サービスを知る 潜在顧客 広告、SEO、SNS、PR
興味・関心(Interest) 興味を持ち、情報を収集 見込み顧客 コンテンツマーケティング、ウェビナー
比較・検討(Consideration) 競合と比較し、購入を検討 有望顧客 資料請求、無料トライアル、デモ
購入(Conversion) 購入・契約を決定 顧客 営業フォロー、クロージング

各段階での目標:

  • 認知段階: できるだけ多くの潜在顧客にリーチする
  • 興味・関心段階: 興味を持った顧客に有益な情報を提供し、関係を深める
  • 比較・検討段階: 競合との差別化ポイントを明確に示し、購入意欲を高める
  • 購入段階: スムーズな購入プロセスを提供し、最終的な購入を後押しする

マーケティングファネルを活用することで、各段階で適切な施策を実施し、最終的な購入率(コンバージョン率)を向上させることができます。

(3) 歴史的背景:1920年代のAIDMAの法則からの発展

マーケティングファネルの概念は、1920年代のAIDMAの法則を起源としています。

AIDMAの法則:

段階 意味 内容
A: Attention 注意・認知 商品・サービスを知る
I: Interest 興味 興味を持つ
D: Desire 欲求 欲しいと思う
M: Memory 記憶 記憶に残す
A: Action 行動 購入する

AIDMAの法則は、顧客の心理的プロセスを示したもので、マーケティングファネルの基礎となる考え方です。

AIDMAからマーケティングファネルへの発展:

  • 1920年代: AIDMAの法則が提唱される(広告の効果測定モデル)
  • 1960-1980年代: マスマーケティングの時代、ファネル概念が広まる
  • 2000年代以降: デジタルマーケティングの発展により、より詳細なファネル分析が可能に
  • 2025年現在: BtoB領域では依然として有効、BtoC領域では見直しが進む

ファネルの進化:

従来のマーケティングファネルは一方向のプロセスでしたが、現代では以下のような発展が見られます:

  • インフルエンスファネル: 購入後の口コミ・SNS拡散行動を図式化
  • ダブルファネル: 購買プロセスと拡散行動を統合
  • フライホイールモデル: 顧客を中心に据えた循環型のモデル(HubSpotが提唱)

マーケティングファネルは、時代とともに進化しながらも、顧客行動を可視化する基本的なツールとして活用され続けています。

ファネルの種類:パーチェス・インフルエンス・ダブルファネル

ファネルには主に3つの種類があり、それぞれ異なる顧客行動を可視化します。

(1) パーチェスファネル:認知→興味・関心→比較・検討→購入

パーチェスファネル(Purchase Funnel)は、最も基本的なファネルで、顧客の購買プロセスを可視化したモデルです。

パーチェスファネルの構造:

【認知】          ← 100,000人
   ↓ 離脱率50%
【興味・関心】    ← 50,000人
   ↓ 離脱率60%
【比較・検討】    ← 20,000人
   ↓ 離脱率70%
【購入】          ← 6,000人(コンバージョン率6%)

各段階の詳細:

1. 認知段階(Awareness)

  • 状態: 商品・サービスを知らない、または知ったばかり
  • 施策: 広告(リスティング、ディスプレイ、SNS)、SEO、PR、展示会
  • 指標: インプレッション数、リーチ数、サイト訪問数

2. 興味・関心段階(Interest)

  • 状態: 商品・サービスに興味を持ち、情報を収集
  • 施策: コンテンツマーケティング(ブログ、ホワイトペーパー)、ウェビナー、メールマガジン
  • 指標: ページ滞在時間、ホワイトペーパーダウンロード数、ウェビナー参加数

3. 比較・検討段階(Consideration)

  • 状態: 競合と比較し、購入を具体的に検討
  • 施策: 資料請求、無料トライアル、デモ、導入事例の提示
  • 指標: 資料請求数、トライアル登録数、商談化率

4. 購入段階(Conversion)

  • 状態: 購入・契約を決定
  • 施策: 営業フォロー、クロージング、契約サポート
  • 指標: 成約率、受注率、売上高

パーチェスファネルの活用:

  • BtoB企業: リード獲得から商談化、成約までの流れを管理
  • BtoC企業: EC サイトでの購買プロセスを可視化
  • 各段階での改善: 離脱率が高い段階を特定し、改善施策を実施

(2) インフルエンスファネル:購入後の口コミ・SNS拡散行動

インフルエンスファネル(Influence Funnel)は、購入後の顧客が口コミやSNSで情報を拡散する行動を図式化したモデルです。パーチェスファネルとは逆に、下から上に向かって広がる形になります。

インフルエンスファネルの構造:

【購入】          ← 6,000人
   ↓
【継続利用】      ← 4,000人(継続率67%)
   ↓
【ファン化】      ← 2,000人(ファン率33%)
   ↓
【紹介・拡散】    ← 500人(紹介率8%)→ 新規認知へ

各段階の詳細:

1. 購入(Purchase)

  • 状態: 初めて商品・サービスを購入
  • 施策: オンボーディング、初期サポート、満足度調査

2. 継続利用(Repeat)

  • 状態: 商品・サービスを継続的に利用
  • 施策: リピート促進キャンペーン、ロイヤリティプログラム

3. ファン化(Advocate)

  • 状態: 商品・サービスに高い満足度を持ち、他者に推奨したいと思う
  • 施策: コミュニティ運営、限定イベント、特典提供

4. 紹介・拡散(Influence)

  • 状態: 口コミ、SNS、レビューで情報を拡散
  • 施策: 紹介キャンペーン、UGC(User Generated Content)活用、レビュー促進

インフルエンスファネルの重要性:

  • 新規顧客獲得コストの削減: 既存顧客からの紹介により、広告費を削減
  • 信頼性の向上: 第三者の口コミは広告より信頼される
  • ブランドロイヤリティの構築: ファン化した顧客は長期的な収益源

BtoB企業での活用:

  • 導入事例の提供依頼
  • カスタマーサクセスによる満足度向上
  • ユーザーコミュニティの運営
  • リファラル(紹介)プログラムの実施

(3) ダブルファネル:購買プロセスと拡散行動を統合したモデル

ダブルファネル(Double Funnel)は、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた包括的なモデルです。

ダブルファネルの構造:

【認知】          ← パーチェスファネル(上から下)
   ↓
【興味・関心】
   ↓
【比較・検討】
   ↓
【購入】          ← ここが接点
   ↓
【継続利用】      ← インフルエンスファネル(下から上に拡散)
   ↓
【ファン化】
   ↓
【紹介・拡散】    → 新規認知へ(サイクル)

ダブルファネルのメリット:

1. 顧客ライフサイクル全体を可視化

  • 新規獲得から継続利用、紹介までの一連の流れを管理
  • 各段階での顧客の状態と必要な施策が明確

2. 顧客獲得と維持の両方を重視

  • 新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の維持・ファン化も重要視
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化

3. 紹介による新規顧客獲得を促進

  • 既存顧客からの紹介により、信頼性の高いリードを獲得
  • 紹介顧客は成約率が高く、定着率も高い傾向

ダブルファネルの活用例(BtoB SaaS企業):

パーチェスファネル:

  • 認知: SEO、リスティング広告でリード獲得
  • 興味: ウェビナー、ホワイトペーパーで関係構築
  • 検討: 無料トライアル、デモで価値実感
  • 購入: 営業フォローで成約

インフルエンスファネル:

  • 継続利用: カスタマーサクセスによる活用支援
  • ファン化: ユーザーコミュニティ、限定イベント
  • 紹介: リファラルプログラム、導入事例提供依頼

ダブルファネルを活用することで、顧客獲得から維持、拡散までの一連のプロセスを最適化し、持続的な成長を実現できます。

ファネル分析の方法と活用:離脱ポイント特定から改善施策まで

ファネルを作成したら、次は「ファネル分析」を行い、離脱ポイントを特定して改善施策を立案します。

(1) ファネル分析の具体的手順:商品一覧→詳細→カート→購入の各段階を数値化

ファネル分析とは、設定したコンバージョン(最終的な成果)に至るまでの顧客の行動を分解して、顧客の離脱ポイントや離脱率、離脱原因を明確にする手法です。

ECサイトでのファネル分析例:

段階 ユーザー数 離脱数 離脱率 次の段階への移行率
1. 商品一覧ページ訪問 10,000人 - - -
2. 商品詳細ページ訪問 4,000人 6,000人 60% 40%
3. カートに追加 1,600人 2,400人 60% 40%
4. 購入完了 800人 800人 50% 50%

コンバージョン率(全体): 800人 ÷ 10,000人 = 8%

ファネル分析の手順:

ステップ1: 目標(コンバージョン)の設定

  • EC サイトの場合: 購入完了
  • BtoB企業の場合: 商談化、受注

ステップ2: ファネルの各段階を定義

  • 顧客の購買プロセスを段階ごとに分解
  • 各段階で測定可能な指標を設定

ステップ3: 各段階のデータを収集

  • Webアクセス解析ツール(Google Analytics等)でデータ取得
  • SFA/CRMで営業プロセスのデータ取得

ステップ4: 離脱率を計算

  • 各段階で次の段階に進まなかった顧客の割合を計算
  • 離脱率 = (前段階の人数 - 次段階の人数) ÷ 前段階の人数 × 100

ステップ5: 離脱ポイントを特定

  • 離脱率が高い段階を特定
  • 上記の例では「商品一覧 → 詳細」と「詳細 → カート」で60%の離脱

ステップ6: 離脱原因の仮説を立てる

  • ユーザー行動データ、ヒートマップ、アンケート等で原因を推測

ステップ7: 改善施策を実施

  • 仮説に基づいて改善施策を実施
  • ABテストで効果を検証

(2) 離脱率の計測と離脱ポイントの特定

離脱率が高い段階の具体例と原因:

商品一覧 → 商品詳細(離脱率60%):

考えられる原因:

  • 商品画像が魅力的でない
  • 商品タイトルが分かりにくい
  • 価格が表示されていない(クリックして確認する必要がある)
  • 在庫切れ商品が多い

改善施策:

  • 高品質な商品画像を使用
  • 商品タイトルを具体的で分かりやすく
  • 一覧ページに価格を表示
  • 在庫切れ商品を非表示または後方に配置

商品詳細 → カートに追加(離脱率60%):

考えられる原因:

  • 価格が高い
  • 送料が分からない
  • レビューが少ない、または評価が低い
  • サイズ・色の選択肢が分かりにくい
  • 購入ボタンが目立たない

改善施策:

  • 価格を明確に表示、割引情報を強調
  • 送料無料条件を明示
  • レビューを収集・表示
  • サイズ表・カラーバリエーションを分かりやすく
  • 購入ボタンを大きく、目立つ色に

カートに追加 → 購入完了(離脱率50%):

考えられる原因:

  • 購入手続きが複雑(入力項目が多い)
  • 送料が高い
  • 決済方法が限られている
  • 配送日が遅い
  • セキュリティ不安

改善施策:

  • 入力項目を最小限に(ゲスト購入を許可)
  • 送料無料キャンペーン
  • 複数の決済方法を用意(クレジットカード、PayPal、後払い等)
  • 配送日の選択肢を増やす
  • SSL証明書の表示、セキュリティ対策の明示

(3) 実際の売上データと照らし合わせた改善施策の立案

ファネル分析の結果を実際の売上データと照らし合わせることで、より効果的な改善施策を立案できます。

売上データとの照らし合わせ例:

現状:

  • 商品一覧訪問: 10,000人
  • 購入完了: 800人(コンバージョン率8%)
  • 平均客単価: 5,000円
  • 月間売上: 800人 × 5,000円 = 400万円

改善目標:

  • コンバージョン率を8% → 10%に改善
  • 目標売上: 500万円(+25%)

改善施策の優先順位付け:

段階 現在の移行率 改善後の目標 インパクト
商品一覧 → 詳細 40% 50% 高(+10pt)
詳細 → カート 40% 45% 中(+5pt)
カート → 購入 50% 60% 中(+10pt)

優先度1: 商品一覧 → 詳細(インパクト大)

  • 施策: 商品画像の改善、価格表示の追加
  • 期待効果: 移行率40% → 50%

優先度2: カート → 購入(インパクト中、改善しやすい)

  • 施策: 入力項目の削減、送料無料キャンペーン
  • 期待効果: 移行率50% → 60%

優先度3: 詳細 → カート(インパクト中)

  • 施策: レビュー収集、購入ボタンの改善
  • 期待効果: 移行率40% → 45%

改善後のシミュレーション:

  • 商品一覧訪問: 10,000人
  • 商品詳細訪問: 5,000人(50%)
  • カート追加: 2,250人(45%)
  • 購入完了: 1,350人(60%)
  • コンバージョン率: 13.5%(現状8%から+5.5pt)
  • 月間売上: 675万円(+69%)

このように、ファネル分析により離脱ポイントを特定し、実際の売上データと照らし合わせることで、効果的な改善施策を優先順位付けして実施できます。

セールスファネルとマーケティングファネル:違いと使い分け

ファネルには、セールスファネルとマーケティングファネルの2つの概念があり、それぞれ異なる視点でプロセスを可視化します。

(1) セールスファネル:営業寄りのプロセス(潜在顧客→購入者)

セールスファネル(Sales Funnel)は、営業寄りのプロセスを可視化したもので、潜在顧客が購入者になるまでの流れを段階的に示すモデルです。

セールスファネルの構造(BtoB企業):

段階 内容 営業担当者の活動 指標
1. リード獲得 見込み顧客の獲得 リスト作成、アポイント獲得 リード数、アポイント獲得数
2. 商談化 商談の実施 ヒアリング、ニーズ把握 商談件数、商談化率
3. 提案 提案書の提出 提案資料作成、プレゼン 提案件数、提案率
4. 交渉・クロージング 契約条件の交渉 価格交渉、契約書作成 成約件数、成約率
5. 受注 契約締結 契約締結、導入支援 受注額、受注率

セールスファネルの特徴:

  • 営業活動に焦点: 営業担当者の活動を中心に設計
  • BtoB企業で主流: 長い検討期間、高額商品に適している
  • 個別対応: 各顧客に対して個別にアプローチ
  • SFA/CRMで管理: Salesforce、HubSpot CRM等で可視化

セールスファネルの活用:

  • 営業プロセスの可視化: どの段階にどれだけの見込み顧客がいるか把握
  • ボトルネックの特定: 商談化率が低い、成約率が低いなどの課題を発見
  • 売上予測: パイプライン(見込み案件)から売上を予測
  • 営業担当者の評価: 各段階でのパフォーマンスを測定

(2) マーケティングファネル:集客から購買までの全体プロセス

マーケティングファネル(Marketing Funnel)は、集客から購買までの全体プロセスを可視化したもので、主にマーケティング部門が管理します。

マーケティングファネルの構造:

段階 内容 マーケティング施策 指標
1. 認知(TOFU) 商品・サービスを知る 広告、SEO、SNS、PR インプレッション数、リーチ数
2. 興味・関心(MOFU) 情報を収集 コンテンツマーケティング、ウェビナー ホワイトペーパーDL数、ウェビナー参加数
3. 比較・検討(BOFU) 購入を検討 資料請求、無料トライアル 資料請求数、トライアル登録数
4. 購入 購入・契約 営業との連携 コンバージョン率、売上高

TOFU / MOFU / BOFUとは:

  • TOFU(Top of Funnel): ファネルの上部、認知段階
  • MOFU(Middle of Funnel): ファネルの中部、興味・関心段階
  • BOFU(Bottom of Funnel): ファネルの下部、比較・検討段階

マーケティングファネルの特徴:

  • マーケティング活動に焦点: 集客から購買までの全体プロセス
  • BtoC・BtoB両方で活用: 幅広い業種・業態に適用可能
  • マス対応: 多数の潜在顧客に対して施策を実施
  • MAツールで管理: HubSpot、Marketo、Pardot等で可視化

(3) BtoB領域とBtoC領域での有効性の違い

BtoB領域(2025年時点でも有効):

理由:

  • 検討期間が長い(数ヶ月~1年以上)
  • 意思決定プロセスが明確(複数の承認者、稟議等)
  • リード獲得から商談化までの流れが比較的一直線
  • 営業担当者が個別にフォロー

活用方法:

  • リード獲得から商談化、成約までの各段階を管理
  • SFA/CRMでパイプライン管理
  • マーケティングと営業の連携(MQL → SQL → 商談化)

BtoC領域(見直しが進んでいる):

理由:

  • デジタル化により顧客行動が複雑化
  • 認知 → 購入が一直線ではなく、複数チャネルを行き来
  • SNS、口コミ、レビュー等の影響が大きい
  • 衝動買いや再購入も多い

代替モデル:

  • カスタマージャーニーマップ: 複数タッチポイントを含む複雑な顧客行動を可視化
  • フライホイールモデル: 顧客を中心に据えた循環型モデル(HubSpotが提唱)
  • オムニチャネル戦略: オンライン・オフライン統合の顧客体験設計

結論:

マーケティングファネルは、BtoB領域では依然として有効な手法として広く活用されています。一方、BtoC領域では顧客行動の複雑化により従来のファネルモデルだけでは不十分な場合があり、カスタマージャーニーマップ等の補完的なツールと併用することが推奨されます。

※B2C領域では顧客行動の複雑化により従来のファネルモデルが「古い」とされる場合がありますが、BtoB領域では依然有効です。自社のビジネスモデルに応じて適切なモデルを選択することが重要です。

ファネル活用の注意点とツール:効果的な管理のために

ファネルを効果的に活用するには、いくつかの注意点を理解し、適切なツールを活用することが重要です。

(1) ファネル分析の注意点:可視化ツールであり、離脱原因の特定は別途必要

注意点1: ファネル分析は「可視化ツール」である

ファネル分析は、顧客がどこで離脱したのかを明確にする可視化ツールです。しかし、離脱の原因具体的な改善施策までは自動的には分かりません。

ファネル分析でできること:

  • ✅ 離脱ポイントの特定(どの段階で離脱が多いか)
  • ✅ 離脱率の計測(何%が離脱したか)
  • ✅ 各段階の移行率の比較(時系列、セグメント別)

ファネル分析でできないこと:

  • ❌ 離脱原因の特定(なぜ離脱したのか)
  • ❌ 改善施策の自動提案(どう改善すべきか)

離脱原因の特定方法:

手法 内容 得られる情報
ヒートマップ分析 ページ内のクリック・スクロール状況を可視化 どこがクリックされているか、どこまでスクロールされているか
ユーザーアンケート 離脱理由を直接質問 価格が高い、情報が不足、決済方法が限られている等
ユーザーインタビュー 詳細なヒアリング 購買行動の背景、競合との比較ポイント
ABテスト 異なるパターンを試して効果を比較 どの改善施策が効果的か
セッション録画 ユーザーの実際の操作を録画 どこでつまずいているか、迷っているか

ファネル分析で離脱ポイントを特定した後、上記の手法を組み合わせて離脱原因を深堀りすることが重要です。

注意点2: 各段階の定義を明確にする

ファネル分析では、各段階の定義が曖昧だと正確な分析ができません。

悪い例(定義が曖昧):

  • 段階1: 興味を持った人
  • 段階2: 検討している人
  • 段階3: 購入した人

良い例(定義が明確):

  • 段階1: ホワイトペーパーをダウンロードした人
  • 段階2: 無料トライアルに登録した人
  • 段階3: 有料プランに契約した人

定義を明確にするポイント:

  • 測定可能: システムで自動的に計測できる指標を使用
  • 明確: 誰が見ても同じ解釈になる定義
  • アクション基準: 具体的な行動(クリック、登録、購入等)で定義

(2) 各段階の定義と計測方法の明確化の重要性

計測方法の明確化:

各段階をどのツール・データで計測するかを明確にします。

計測方法の例(BtoB企業):

段階 定義 計測ツール 計測方法
認知 Webサイト訪問 Google Analytics セッション数、ユーザー数
興味 ホワイトペーパーDL MAツール(HubSpot等) フォーム送信完了数
検討 無料トライアル登録 MAツール + アプリ内分析 トライアル登録完了数
商談 商談化 SFA/CRM(Salesforce等) 商談作成数
受注 契約締結 SFA/CRM 成約数、受注額

データの統合:

  • Webアクセス解析(Google Analytics)
  • MAツール(HubSpot、Marketo等)
  • SFA/CRM(Salesforce、HubSpot CRM等)

これらのツールのデータを統合することで、認知から受注までの全体ファネルを可視化できます。

(3) SFA/CRM・MAツールを活用した効率的なファネル管理

主要なツール:

1. SFA/CRM(営業支援・顧客管理)

ツール名 特徴 主な機能
Salesforce 世界シェアNo.1、高機能 パイプライン管理、商談管理、レポート・ダッシュボード
HubSpot CRM 無料版あり、使いやすい コンタクト管理、取引管理、パイプライン可視化
Sansan 名刺管理に強い(日本) 名刺データ化、コンタクト管理
Mazrica Sales 国産、BtoB企業に人気 商談管理、売上予測、行動分析

2. MAツール(マーケティングオートメーション)

ツール名 特徴 主な機能
HubSpot Marketing Hub オールインワン リード管理、メール配信、ランディングページ作成
Marketo 大企業向け、高機能 リードスコアリング、ナーチャリング、ABM
Pardot Salesforce製品、連携強力 リード管理、営業連携、ROI測定
SATORI 国産、匿名リードにも対応 Webトラッキング、リードナーチャリング

ツール活用のメリット:

1. リアルタイムでファネルを可視化

  • 各段階の顧客数をダッシュボードで一目で把握
  • 日次・週次・月次での推移を確認

2. 自動化による業務効率化

  • リードスコアリング(見込み度の自動採点)
  • 営業へのホットリード通知
  • ナーチャリングメールの自動配信

3. データに基づく改善

  • どの施策が効果的かを数値で評価
  • ABテストによる継続的な改善
  • ROI(投資対効果)の測定

ツール選定のポイント:

  • 企業規模: 小規模ならHubSpot(無料版あり)、大規模ならSalesforce
  • 予算: 月額数千円~数十万円まで幅広い
  • 既存システムとの連携: 会計システム、勤怠システム等との連携可否
  • 使いやすさ: 営業担当者が日常的に使えるUIか

※執筆時点を明記し、ツールの仕様や機能は変更される可能性があります。導入検討時は各ベンダーの公式サイトで最新情報を確認してください。

まとめ:ファネルで実現する顧客行動の可視化と改善

ファネル(Funnel)は、顧客が認知から購入に至るまでの過程を可視化し、各段階でのパフォーマンスを測定・改善するための重要な概念です。

ファネル活用の成功ポイント:

1. ファネルの種類を理解し、目的に応じて使い分ける

  • パーチェスファネル: 購買プロセスを可視化(認知 → 購入)
  • インフルエンスファネル: 購入後の拡散行動を可視化(購入 → 紹介)
  • ダブルファネル: 両者を統合し、顧客ライフサイクル全体を管理

2. ファネル分析で離脱ポイントを特定

  • 各段階のデータを収集し、離脱率を計算
  • 離脱率が高い段階を特定し、優先的に改善

3. 離脱原因を深堀りし、改善施策を立案

  • ヒートマップ、アンケート、ABテストで離脱原因を特定
  • 実際の売上データと照らし合わせて優先順位付け

4. BtoB領域では依然として有効

  • リード獲得から商談化、成約までの流れを管理
  • SFA/CRMでパイプライン管理
  • 2025年時点でもBtoB企業で広く活用

5. 各段階の定義と計測方法を明確化

  • 測定可能で明確な定義を設定
  • Webアクセス解析、MAツール、SFA/CRMでデータを統合

6. SFA/CRM・MAツールを活用

  • リアルタイムでファネルを可視化
  • 自動化による業務効率化
  • データに基づく継続的な改善

次のアクション:

  • 自社の顧客行動プロセスを整理し、ファネルの各段階を定義
  • 各段階のデータを収集し、離脱率を計算
  • 離脱率が高い段階を特定
  • ヒートマップ、アンケート等で離脱原因を深堀り
  • 改善施策を優先順位付けして実施
  • SFA/CRM・MAツールの導入を検討(無料トライアルで試す)

ファネルは「設定して終わり」ではなく、継続的に測定・分析・改善していくことが成功の鍵です。自社に合ったファネルで、顧客行動の可視化と最適化を実現しましょう。

※この記事は2025年11月時点の情報です。ファネルの概念や活用方法は業種・ビジネスモデルにより異なるため、自社の状況に応じたカスタマイズが必要です。

よくある質問

Q1ファネルとは何か?

A1漏斗(じょうご)を意味し、顧客が認知から購入に至るまでの過程で段階的に減少する様子を図式化したものです。認知→興味・関心→比較・検討→購入という流れで、各段階で見込み顧客数が減少します。

Q2マーケティングファネルは古いのか?

A2B2C領域ではデジタル化により顧客行動が複雑化しており見直しが進んでいますが、BtoB領域では依然として有効です。2025年時点でもBtoB企業のリード獲得から商談化までの流れを管理する手法として広く活用されています。

Q3ファネル分析で何がわかるのか?

A3顧客がどこで離脱したのかが明確になり、離脱の原因や課題を見つけやすくなります。限られた予算や人材をどの段階に集中させるべきかを明確にでき、効率的な改善施策の立案が可能です。

Q4セールスファネルとマーケティングファネルの違いは?

A4セールスファネルは営業寄りのプロセス(潜在顧客→購入者)を可視化し、主にSFA/CRMで管理します。マーケティングファネルは集客から購買までの全体プロセスを可視化し、主にMAツールで管理します。BtoB企業では両者を連携させて活用することが効果的です。

Q5ファネル管理にツールは必要か?

A5SFA/CRM(Salesforce、HubSpot CRM等)やMAツール(HubSpot、Marketo等)を活用することで、リアルタイムでファネルを可視化し、自動化による業務効率化が可能です。小規模企業ならHubSpot無料版、大規模企業ならSalesforceなどが選択肢になります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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