MAツールを導入したいけれど、どれを選べばいいか分からない...
B2B企業のマーケティング担当者の多くが、マーケティングオートメーション(MA)ツール選びに頭を悩ませています。「機能が多すぎてどれを選べばいいか分からない」「費用対効果が見えない」「自社の規模に合ったツールはどれか」といった疑問は尽きません。
国内MA市場は2022年度で269億円(前年比14.7%増)と拡大を続けており、ツールの選択肢も増え続けています。しかし、高機能なツールを導入しても使いこなせないケースや、運用体制が整わず成果が出ないケースも少なくありません。
この記事では、主要MAツールを機能・料金・サポート体制の観点から比較し、企業規模や目的に応じた選定ポイントを解説します。
この記事のポイント:
- MAツールは「シンプル型」「高機能型」「バランス型」の3タイプに分類される
- 初期費用0〜10万円、月額10万〜数十万円が平均的な相場(大規模導入は別途)
- BtoB向けとBtoC向けでは求められる機能が異なる
- 導入前に自社の運用体制と必要機能を明確にすることが重要
- 成果が出るまでには通常3〜6ヶ月の運用期間が必要
なぜ今MAツール選定が難しくなっているのか
MAツール市場は年々拡大し、国内外で多くの製品が提供されています。ITRの調査によると、国内MA市場は2022年度に269億円、2023年度も14.9%増と好調な成長を続けています。
選定が難しくなっている主な理由は以下の通りです。
ツール数の増加: 国産・外資系を合わせると数十種類以上のMAツールが存在し、それぞれに特徴や強みがあります。機能の差別化が進む一方で、似たような機能を持つツールも多く、比較が複雑になっています。
AI・機械学習機能の進化: 2025年現在、AI・機械学習を活用した顧客行動予測やパーソナライズメッセージ生成が各ツールの中核機能になりつつあります。従来の機能比較だけでは判断しにくい状況です。
統合プラットフォーム化: MA単体ではなく、CRM・SFA・CMSを一貫管理できる統合型プラットフォームへの需要が高まっています。ツール選定の際に考慮すべき要素が増えています。
MAツールの基礎知識と比較の前提条件
(1) MAツールとは何か:リードナーチャリングとスコアリング
MAツールは、見込み顧客(リード)の獲得から育成、商談化までのマーケティング業務を自動化するツールです。主な機能は以下の通りです。
基本機能:
- リード情報の一元管理
- メール配信の自動化
- フォーム・ランディングページ作成
- Web行動のトラッキング
上位機能:
- リードスコアリング(見込み客の関心度を数値化)
- リードナーチャリング(見込み客の育成シナリオ設計)
- CRM・SFA連携
- 詳細な分析・レポート機能
(2) BtoB向けとBtoC向けの違い
MAツールは顧客層によって求められる機能が異なります。
BtoB向けの特徴:
- リードナーチャリング・ABMを重視
- CRM・SFA連携が必須
- 商談化までの長期フォローが必要
- 担当者ごとの行動追跡
BtoC向けの特徴:
- 大量の顧客データ処理
- パーソナライズメッセージの大量配信
- ECサイト連携
- リアルタイム性重視
自社の顧客層がBtoBなのかBtoCなのかによって、選ぶべきツールは変わってきます。
(3) 国産ツールと外資系ツールの特徴
国産ツール(BowNow、SATORI、List Finder等):
- 日本語UIとサポート体制が充実
- 日本企業の商習慣に合った設計
- 導入・運用の敷居が低い
- 価格帯が比較的手頃
外資系ツール(Marketo、HubSpot、Account Engagement等):
- グローバル展開に対応
- 高度な分析機能・AI活用
- 豊富な連携ツール・エコシステム
- 価格帯は高め(特にエンタープライズ向け)
主要MAツールの機能比較:シンプル型・高機能型・バランス型
(1) シンプル型(BowNow、List Finder):導入しやすさ重視
BowNow:
- 国内シェア1位(2025年時点)
- 無料プランあり
- 導入実績14,000社以上
- シンプルな機能設計で使いやすい
- 中小企業・MA初心者に適している
List Finder:
- BtoB企業向けに特化
- 無料トライアルあり
- シンプルなUIで学習コストが低い
- 国内企業向けのサポート体制
シンプル型のメリット:
- 導入・運用の敷居が低い
- 月額費用が比較的手頃
- 必要最低限の機能に絞られている
シンプル型のデメリット:
- 高度な分析機能やAI活用は限定的
- 大規模運用には向かない場合がある
- グローバル展開には不向き
(2) 高機能型(Marketo、Account Engagement):大規模運用向け
Marketo(Adobe Marketo Engage):
- 世界39か国以上、5,000以上の導入実績
- 高度なリードスコアリング・ABM機能
- 豊富なAPI連携
- 年間数百万円〜1,000万円程度(企業規模による)
Account Engagement(旧Pardot):
- Salesforceとの強力な連携
- BtoB向けに特化した機能
- 営業との連携を重視する企業に適している
- Salesforce利用企業に特に推奨される
高機能型のメリット:
- 大規模・複雑なマーケティング施策に対応
- 詳細な分析・レポート機能
- グローバル展開に対応
高機能型のデメリット:
- 費用が高額
- 使いこなすには専門知識が必要
- 運用体制の整備が必須
(3) バランス型(HubSpot、SATORI):中堅企業に適合
HubSpot:
- 無料CRM・無料MAプランあり
- オールインワン型(MA・CRM・CMS統合)
- インバウンドマーケティングに強み
- 月額0円(無料)〜約43万円(Enterprise)
SATORI:
- 国産MAツールの代表格
- 匿名リード(未コンバージョン訪問者)の可視化に強み
- 初期費用30万円、月額14.8万円(2025年時点)
- 日本語サポートが充実
バランス型のメリット:
- 機能と価格のバランスが良い
- 中堅企業の運用体制に適している
- 成長に合わせてプランをアップグレード可能
バランス型のデメリット:
- 大企業の大規模運用には物足りない場合も
- 特定用途に特化していない
料金比較:初期費用・月額費用・隠れコストの把握
(1) 価格帯別の相場観(無料〜月額数十万円)
MAツールの料金相場は以下の通りです(2025年時点)。
無料・低価格帯(月額0〜5万円):
- BowNow(無料プランあり)
- HubSpot(無料プランあり)
- List Finder(低価格プラン)
中価格帯(月額5万〜20万円):
- SATORI(月額14.8万円+初期30万円)
- HubSpot Professional
- 多くの国産MAツール
高価格帯(月額20万円以上):
- Marketo(年間数百万円〜)
- Account Engagement(月額十数万円〜)
- HubSpot Enterprise(月額約43万円)
大規模導入:
- 初期費用200〜500万円程度
- 導入期間3〜6ヶ月が一般的
(2) 導入コンサルティング費用と運用コスト
ツール費用以外に発生する可能性があるコストも考慮が必要です。
導入コンサルティング費用:
- 数十万円〜数百万円
- 初期設定・シナリオ設計支援
- 社内トレーニング
運用コンサルティング費用:
- 月額数万円〜数十万円
- 運用改善・効果測定支援
- コンテンツ制作支援
隠れコスト:
- 追加ユーザーライセンス
- 追加コンタクト数(リード数に応じた課金)
- 外部ツール連携費用
※料金は変更の可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
導入時の注意点と失敗しないためのチェックリスト
(1) よくある失敗パターン:高機能ツールを使いこなせない
MAツール導入で最も多い失敗は、「高機能なツールを導入したが使いこなせない」というケースです。
失敗の典型例:
- 全機能を使おうとして設定が複雑化
- 運用担当者が不在で放置
- コンテンツ(メール・LP)が準備できない
- 効果測定の指標が曖昧
対策:
- 自社に必要な機能を明確にしてから選定
- 運用体制(担当者・スキル)を事前に整備
- 最初はシンプルな施策から開始
- 成果目標と測定指標を事前に設定
ある調査では、MAツール導入時に専門家の意見が必要だと感じた人が79%に達しており、社内リソースだけでの導入には限界があることが示されています。
(2) CRM・SFA連携の確認ポイント
BtoB企業では、MAツールとCRM・SFAの連携が重要です。
確認すべきポイント:
- 自社で使用しているCRM・SFAとの連携可否
- 連携の設定難易度(API連携、ネイティブ連携)
- データ同期の範囲と頻度
- 連携にかかる追加費用
特にSalesforceを利用している企業は、Account Engagement(旧Pardot)やHubSpotなど、Salesforce連携に強いツールを検討することが多いです。
(3) 運用体制の整備と成果が出るまでの期間
運用に必要な体制:
- MAツール運用担当者(専任または兼任)
- コンテンツ制作担当者(メール・LP・ホワイトペーパー)
- 営業との連携担当者(リード引き渡しルール策定)
成果が出るまでの期間:
- 導入・初期設定:1〜3ヶ月
- 運用開始・効果測定:3〜6ヶ月
- 本格的な成果創出:6ヶ月〜1年
短期間で成果を求めすぎると挫折しやすいため、中長期的な視点で取り組むことが重要です。
まとめ:企業規模・目的別のMAツール選定指針
MAツール選定では、自社の規模・目的・運用体制に合ったツールを選ぶことが最も重要です。高機能なツールが必ずしも自社に最適とは限りません。
企業規模別の選定指針:
| 企業規模 | おすすめタイプ | 具体例 |
|---|---|---|
| 小規模(〜50名) | シンプル型 | BowNow、List Finder |
| 中堅(50〜500名) | バランス型 | HubSpot、SATORI |
| 大企業(500名〜) | 高機能型 | Marketo、Account Engagement |
選定時のチェックリスト:
- 自社の顧客層(BtoB/BtoC)に合っているか
- 必要な機能が揃っているか(過剰・不足はないか)
- 予算内で運用可能か(隠れコスト含む)
- 既存ツール(CRM・SFA等)との連携は可能か
- 運用体制は整備できるか
- サポート体制は十分か(日本語対応等)
次のアクション:
- 自社の課題と必要機能を整理する
- 3〜5社の公式サイトで詳細を確認する
- 無料トライアルや資料請求で比較検討する
- 導入実績のある同業種・同規模企業の事例を参考にする
- 必要に応じて外部コンサルタントの意見を聞く
自社に合ったMAツールを選定し、適切な運用体制を整えることで、マーケティング業務の効率化とリード獲得の最大化を目指しましょう。
※この記事は2025年時点の情報です。料金・機能は変更の可能性があるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
