マーケティングオートメーションとファネル設計|見込み客育成の実践ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

MAツールを導入したのに、リードナーチャリングがうまくいかない...

「マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入したが、リードの育成がうまくいかない」「ファネル設計をどうすればいいのか分からず、効果を感じられない」——このような課題を抱えているBtoBマーケティング担当者は少なくありません。

MAツールを効果的に活用するには、マーケティングファネルに基づく体系的なリードナーチャリングが不可欠です。顧客が認知から購入に至るまでのプロセスを段階的に設計し、各段階に適したMA施策を実施することで、リード獲得から商談化までの効率を高めることができます。

この記事では、マーケティングオートメーションとファネル設計の実践方法を、BtoBマーケティング担当者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • マーケティングファネルは、顧客が認知から購入に至るプロセスを段階的に図式化したフレームワーク
  • パーチェスファネル(購入前)、インフルエンスファネル(購入後)、ダブルファネルの3種類がある
  • MAツールでリード情報・行動履歴を一元管理し、ファネル各フェーズに当てはめることで改善ポイントを特定
  • 認知→興味・関心→比較・検討→購入の各段階で、適したMA施策(メール配信、ホワイトペーパー、リードスコアリング等)を実施
  • ファネル定義の曖昧さ、コンテンツ不足、部門間連携の欠如などの失敗パターンに注意

1. マーケティングオートメーションとファネルの関係を理解しよう

マーケティングオートメーション(MA)は、リード獲得・育成・選別などのマーケティング活動を自動化・効率化するツールです。

マーケティングファネルは、顧客が認知から購入に至るまでのプロセスを段階的に図式化したフレームワークで、逆三角形(漏斗:funnel)の形状になることからファネルと呼ばれます。

MAとファネルの関係:

  • ファネル: 顧客の購買プロセスを可視化し、各段階での課題を明確にする
  • MAツール: ファネル各段階でのリードナーチャリング(見込み客育成)を自動化・効率化する

MAツールで一元管理しているリード情報や行動履歴を、ファネルの各フェーズに当てはめることで、改善すべきポイントが明確になります。

(参考: マーケティングファネルとは?基礎から活用方法を徹底解説 - SATORI

2. マーケティングファネルの基本:種類と各段階の定義

(1) パーチェスファネル(購入前):認知→興味・関心→比較・検討→購入の4段階

パーチェスファネルは、購入前の顧客行動をモデル化したファネルです。

基本的な4段階:

  1. 認知(Awareness): 製品・サービスの存在を知る段階
  2. 興味・関心(Interest): 製品・サービスに興味を持ち、情報収集を始める段階
  3. 比較・検討(Consideration): 複数の選択肢を比較し、購入を検討する段階
  4. 購入(Purchase): 実際に購入を決定する段階

顧客の検討フェーズが進むにつれて数が絞り込まれ、逆三角形の形状になります。

(2) インフルエンスファネル(購入後):購入後の評価・拡散、顧客が新しい購入者に影響を与えるプロセス

インフルエンスファネルは、購入後の顧客行動をモデル化したファネルです。

主なプロセス:

  • 購入後の評価: 顧客が製品・サービスを使用し、評価する
  • 口コミ・拡散: 満足した顧客がSNSやレビューサイトで情報を拡散
  • 新しい購入者への影響: 評価・拡散が新しい購入者の認知・購入に影響を与える

SNS普及により、購入後の顧客評価が新しい購入者に影響を与えるプロセスが重要になっています。

(3) ダブルファネル:パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたモデル

ダブルファネルは、パーチェスファネル(購入前)とインフルエンスファネル(購入後)を組み合わせたモデルです。

ダブルファネルのメリット:

  • 購入後の顧客評価・拡散まで含めた包括的な設計が可能
  • カスタマーサクセス(顧客満足度向上)とマーケティングの統合
  • 既存顧客からの口コミ・紹介によるリード獲得

2024年現在、従来の一方向ファネルから、購入後の評価・拡散まで含むダブルファネルへの移行が進んでいます。

(参考: マーケティングファネルとは?テンプレート3種類や活用方法を紹介 | パーソル

(4) AIDMA・AISASなどの購買行動モデルとの関係

マーケティングファネルは、購買行動モデル(AIDMA、AISAS等)と密接に関係しています。

AIDMA(従来型):

  • Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)

AISAS(インターネット時代):

  • Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)

これらのモデルを、ファネルの各段階にマッピングすることで、より精緻なファネル設計が可能になります。

3. MAツールでのファネル分析と活用方法

(1) MAツールでのリード情報・行動履歴の一元管理:ファネルの各フェーズに当てはめる

MAツールは、リードの基本情報(会社名、担当者名、連絡先等)と行動履歴(Webサイト訪問、メール開封、資料ダウンロード等)を一元管理します。

ファネルへのマッピング例:

  • 認知段階: Webサイト初回訪問、広告クリック
  • 興味・関心段階: ブログ記事閲覧、メール開封
  • 比較・検討段階: ホワイトペーパーダウンロード、価格ページ閲覧
  • 購入段階: 問い合わせフォーム送信、デモ申込

このマッピングにより、各リードがファネルのどの段階にいるかを把握できます。

(2) ファネル分析での改善ポイントの特定:どの段階の施策が正しかったか・間違っていたかを認識

ファネル分析により、以下のような改善ポイントを特定できます。

分析例:

  • 認知段階から興味・関心段階への移行率が低い → コンテンツの質改善、ターゲティング見直し
  • 比較・検討段階から購入段階への移行率が低い → 営業フォローアップ強化、価格・条件の見直し

どの段階の施策が正しかったか・間違っていたかを認識し、改善に役立てることができます。

(参考: マーケティングオートメーション(MA)の設計に効果的なファネル分析とは | ITreview

(3) MA/SFA/CRM統合活用:マーケティング・営業・顧客管理の連携強化

MAツールは、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)と統合することで、マーケティングから営業、顧客管理までの一貫したプロセス管理が可能になります。

統合のメリット:

  • MAで育成したリードをSFAに自動連携(MQL → SQL)
  • 営業活動の結果をMAにフィードバックし、リードナーチャリング精度向上
  • CRMで顧客情報を一元管理し、長期的な関係構築

(参考: 【図解あり】ファネルとは?意味や種類、活用方法をわかりやすく解説 | Salesforce

4. ファネル各段階でのMA施策:リードナーチャリングの実践

(1) 認知段階:コンテンツマーケティング、SNS広告、SEO対策でリード獲得

認知段階では、潜在顧客に製品・サービスの存在を知ってもらうための施策を実施します。

主なMA施策:

  • コンテンツマーケティング: ブログ記事、動画、インフォグラフィックの公開
  • SNS広告: Facebook、LinkedIn、Twitter広告によるターゲティング配信
  • SEO対策: 検索エンジンでの上位表示によるオーガニック流入
  • リスティング広告: Google広告などの検索連動型広告

MAツールで、これらの施策からの流入を計測し、効果的なチャネルを特定します。

(2) 興味・関心段階:メール配信、ホワイトペーパー、ウェビナーでリード育成

興味・関心段階では、リードに有益な情報を提供し、購買意欲を高めます。

主なMA施策:

  • メール配信: ニュースレター、事例紹介、ノウハウ記事の配信
  • ホワイトペーパー: 業界調査レポート、課題解決ガイドの提供
  • ウェビナー: オンラインセミナー、製品説明会の開催
  • リターゲティング広告: Webサイト訪問者への追跡広告配信

MAツールで、メール開封率、資料ダウンロード率などを測定し、効果的なコンテンツを特定します。

(3) 比較・検討段階:ステップメール、リードスコアリング、パーソナライズドコンテンツで商談化促進

比較・検討段階では、リードの購買意欲をさらに高め、商談化を促進します。

主なMA施策:

  • ステップメール: 段階的に情報を提供し、購買意欲を醸成
  • リードスコアリング: 行動履歴に基づいてリードの優先度を数値化
  • パーソナライズドコンテンツ: リードの興味・関心に合わせたコンテンツ配信
  • 製品デモ・無料トライアル: 実際に製品を体験してもらう機会提供

リードスコアリングにより、商談化の見込みが高いリードを特定し、営業に引き継ぎます。

(4) 購入段階:営業への引き継ぎ(MQL→SQL)、商談サポート

購入段階では、MAで育成したリードを営業に引き継ぎ、商談をサポートします。

主なMA施策:

  • MQL(Marketing Qualified Lead)からSQL(Sales Qualified Lead)への転換: MAで一定のスコアに達したリードを営業に引き継ぎ
  • 営業アラート: リードが重要なアクション(価格ページ閲覧、問い合わせ等)を取ったことを営業に通知
  • 商談サポート資料: 営業が使える提案資料、事例集の提供

MAとSFAの連携により、スムーズなリード引き継ぎと商談化が可能になります。

(参考: マーケティングファネル完全ガイド|各段階ですべきことと成功のための戦略 | koujitsu

5. ファネル設計の失敗パターンと対策

(1) ファネル定義の曖昧さ:各段階の明確な定義と移行基準を設定

失敗パターン: ファネルの各段階が曖昧に定義されており、リードがどの段階にいるのか判断できない。

対策:

  • 各段階の明確な定義を設定(例:「興味・関心段階」=メール開封または資料ダウンロード)
  • 段階間の移行基準を明確化(例:「リードスコア50点以上でSQL転換」)

(2) コンテンツ不足:各段階に適したコンテンツを十分に用意

失敗パターン: 認知段階のコンテンツ(ブログ記事等)は豊富だが、比較・検討段階のコンテンツ(事例、価格比較等)が不足している。

対策:

  • 各段階に適したコンテンツを十分に用意する
  • コンテンツマップを作成し、不足しているコンテンツを特定

(3) 部門間連携の欠如:マーケティングと営業の連携を強化、逆ファネル現象の防止

失敗パターン: マーケティングと営業の連携が不足し、「逆ファネル現象」(営業が生み出したリードにマーケティングがメール送信)が起きる。

対策:

  • マーケティングと営業の定期的なミーティング
  • リード引き継ぎ基準(MQL → SQL)の明確化
  • SFA/CRMでのリード情報共有

(4) SNS時代の顧客行動への対応不足:多様化した顧客行動に合わせた柔軟なファネル設計

失敗パターン: 従来の一方向ファネルを硬直的に適用し、SNS経由の認知や口コミ拡散など、現代の複雑な顧客行動を見逃している。

対策:

  • ダブルファネル(購入後の評価・拡散を含む)の導入
  • SNS経由のリード獲得経路を考慮したファネル設計
  • 定期的なファネル設計の見直しと最適化

(参考: マーケティングファネルは古い?最新の活用事例を紹介 | QUERYY

6. まとめ:MAとファネルを組み合わせて成果を最大化しよう

マーケティングオートメーション(MA)とマーケティングファネルを組み合わせることで、リードナーチャリング(見込み客育成)の効率化と成果最大化が可能になります。

パーチェスファネル(購入前)、インフルエンスファネル(購入後)、ダブルファネルの3種類を理解し、自社の営業プロセスに合わせたファネル設計を行いましょう。MAツールでリード情報・行動履歴を一元管理し、ファネル各フェーズに当てはめることで改善ポイントを特定できます。

認知→興味・関心→比較・検討→購入の各段階で、適したMA施策(メール配信、ホワイトペーパー、リードスコアリング等)を実施し、ファネル定義の曖昧さ、コンテンツ不足、部門間連携の欠如などの失敗パターンに注意することが重要です。

次のアクション:

  • 自社の顧客購買プロセスを整理し、ファネルの各段階を定義する
  • MAツールでリード情報・行動履歴を各段階にマッピングする
  • 各段階に適したコンテンツとMA施策を準備する
  • マーケティングと営業の連携を強化し、リード引き継ぎ基準を明確化する
  • 定期的にファネル分析を行い、改善ポイントを特定・実施する

MAとファネルを組み合わせた戦略的なリードナーチャリングにより、商談化率向上と売上最大化を実現しましょう。

よくある質問

Q1マーケティングファネルは「古い」と言われますが、今でも有効ですか?

A1BtoBでは購買プロセス自体がシンプルなため、ファネルは今でも有効です。ただし、SNS普及により顧客行動が多様化しているため、柔軟な設計(ダブルファネル等)が必要です。定期的な見直しと最適化を行うことが重要です。

Q2ファネルのどの段階でMAツールを活用すべきですか?

A2全段階で活用可能です。認知段階ではリード獲得、興味・関心段階ではメール配信・ホワイトペーパー、比較・検討段階ではリードスコアリング・ステップメール、購入段階では営業への引き継ぎをサポートします。各段階に適した施策を組み合わせることが重要です。

Q3ファネル分析でどのように改善ポイントを見つけますか?

A3MAツールで一元管理しているリード情報や行動履歴を、ファネルの各フェーズに当てはめます。どの段階で離脱率が高いか、どの施策の効果が低いかを特定し、コンテンツやアプローチを改善します。定期的なデータ分析とPDCAサイクルが重要です。

Q4BtoBとBtoCでファネル設計はどう異なりますか?

A4BtoBは購買プロセスが複雑・長期化しやすいが、プロセス自体はシンプルなためファネルが有効です。BtoCはSNS経由の認知や口コミ拡散が多く、顧客行動が多様化しているため、より柔軟なファネル設計が必要です。ダブルファネル(購入後の評価・拡散を含む)を活用することが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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