スコアリングとは?リードスコアリングの基本・設計方法・ツールを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

見込み顧客の優先順位付けに悩んでいませんか?

B2B企業のマーケティング・インサイドセールス担当者にとって、「どのリードに優先的にアプローチすべきか」という判断は大きな課題です。リード数が増えるほど、すべてに等しくリソースを割くことは難しくなります。

この記事では、見込み顧客の確度を数値化する「スコアリング」の基本から設計方法、MAツールでの運用ポイントまでを解説します。営業・マーケ連携を強化し、商談化率の向上を目指す方に参考となる内容です。

この記事のポイント:

  • スコアリングは「属性スコア」と「行動スコア」の2軸で設計するのが基本
  • 高スコアリードへの対応方針を先に決めてから設計すると運用しやすい
  • MAツールを活用することで、リアルタイムにスコアリングを自動化できる
  • 営業部門との連携がスコアリング成功の重要な要素
  • 四半期に1回を目安に設計を見直し、精度を継続改善する

1. なぜ今、リードスコアリングが求められるのか

デジタルマーケティングの普及により、B2B企業が獲得するリード数は年々増加する傾向にあります。展示会、Webサイト、ウェビナー、ホワイトペーパーダウンロードなど、様々なチャネルからリードが流入する中で、「どのリードが有望か」を見極める仕組みが求められています。

スコアリングが必要とされる背景:

  • リード数の増加: マーケティング施策の多様化により、管理すべきリードが増加
  • 営業リソースの制約: すべてのリードに等しくアプローチする時間的余裕がない
  • 長い購買プロセス: BtoBでは購買検討期間が長く、適切なタイミングでのアプローチが重要
  • 営業・マーケの連携課題: 「マーケが渡したリードを営業が対応しない」問題の解消

2024年現在、AIや機械学習を活用した予測的リードスコアリング(Predictive Lead Scoring)も注目されていますが、まずは基本的なスコアリングの設計・運用を押さえることが重要です。

2. スコアリングの基礎知識:定義と2つのスコア軸

スコアリングとは、見込み顧客の確度を属性や行動に基づいて数値化する手法です。「リードスコアリング」とも呼ばれ、MAツールの主要機能の一つとして広く活用されています。

(1) 属性スコア(企業規模・役職・業種)とは

属性スコア(Explicit Data)は、見込み顧客の静的な属性情報に基づくスコアです。「この企業・担当者がターゲットとして適切か」を判断するために使用します。

主な評価項目:

  • 企業規模: 従業員数、売上規模、資本金
  • 業種: 自社製品・サービスとの親和性が高い業種か
  • 役職: 決裁権を持つ役職か(部長以上など)
  • 所在地: 営業対応可能なエリアか
  • 部門: マーケティング部門、営業部門など、ターゲット部門か

配点例:

項目 条件 配点
企業規模 従業員500名以上 +30点
企業規模 従業員100-499名 +20点
企業規模 従業員100名未満 +10点
役職 部長・役員クラス +25点
役職 課長・マネージャー +15点
業種 IT・製造業 +20点

(2) 行動スコア(サイト訪問・資料DL・セミナー参加)とは

行動スコア(Implicit Data)は、見込み顧客の動的な行動情報に基づくスコアです。「今、関心が高まっているか」を判断するために使用します。

主な評価項目:

  • Webサイト閲覧: 料金ページ、事例ページの閲覧は高配点
  • 資料ダウンロード: ホワイトペーパー、製品資料のDL
  • メール開封・クリック: ナーチャリングメールへの反応
  • セミナー・ウェビナー参加: 製品紹介セミナーへの参加
  • 問い合わせ: 営業への問い合わせ、デモリクエスト

配点例:

項目 条件 配点
料金ページ閲覧 1回 +20点
製品資料DL 1回 +25点
事例ページ閲覧 1回 +15点
メールクリック 1回 +5点
セミナー参加 1回 +30点
問い合わせ 1回 +50点

行動スコアは時間経過とともに減衰させる設計(例:30日経過で半減)を取り入れることもあります。これにより、「今、関心が高いリード」を優先できます。

3. スコアリング設計の具体的ステップ

(1) 高スコアリードへの対応方針を先に決める

スコアリング設計でよくある失敗は、「スコアを付けても、その後どうするか決まっていない」という状態です。設計を始める前に、高スコアリードへの対応方針を営業部門と合意しておくことが重要とされています。

事前に決めておくべきこと:

  • 閾値: 何点以上を「ホットリード」として営業に引き渡すか
  • 対応フロー: ホットリードへのアプローチ方法(電話、メール、商談設定など)
  • 対応期限: ホットリード発生から何時間以内にアプローチするか
  • フィードバック: 営業からマーケへのリード品質フィードバック方法

閾値設定の考え方:

  • 絶対値(100点満点で70点以上など)よりも、相対順位(上位10-20%)で判断する方法もある
  • 初期は広めに設定し、商談化率を見ながら調整するのが現実的

(2) 評価項目と配点ルールの設計方法

評価項目と配点を決める際は、過去の受注データを分析し、「受注した顧客に共通する属性・行動」を特定することが有効です。

設計ステップ:

  1. 過去の受注データを分析: 受注顧客に共通する属性(企業規模、業種、役職)を抽出
  2. 商談前の行動パターンを把握: 商談化した顧客が直前にどのような行動を取っていたか確認
  3. 評価項目をリストアップ: 属性スコア・行動スコアそれぞれの評価項目を洗い出す
  4. 配点を決定: 受注への寄与度に応じて配点を設定(重要な項目は高配点)
  5. 営業と合意: 設計内容を営業部門と共有し、実務で使えるかを確認

注意点:

  • 初期設計で完璧を目指さず、運用しながら改善する姿勢が重要
  • 評価項目を増やしすぎると複雑になり、運用が困難になる

4. MAツールを活用したスコアリング運用

(1) 主要MAツールのスコアリング機能比較

スコアリングを効率的に運用するには、MAツール(マーケティングオートメーション)の活用が一般的です。主要なMAツールのスコアリング機能を比較します。

主要MAツールの特徴:

ツール 特徴 向いている企業
HubSpot 直感的なUI、無料プランあり 中小企業、スタートアップ
Salesforce Pardot Salesforce CRMとの連携が強み Salesforce導入済み企業
Marketo 高度なスコアリング設計が可能 大企業、複雑な設計が必要な企業
SATORI 国産、匿名リードも追跡可能 日本語サポート重視、国内企業
Adobe Marketo Engage エンタープライズ向け高機能 大企業、グローバル展開企業

※ツールの機能・料金は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

MAツールなしでの運用:

  • スプレッドシートで手動管理することも可能
  • ただし、リード数が月50件を超えるとMAツールの自動化が効率的とされている

(2) スコア別リードセグメントと対応フロー

スコアに応じてリードをセグメント化し、それぞれに適した対応を行うことで、リソースを効率的に配分できます。

セグメント例:

セグメント スコア目安 対応方法
ホットリード 上位10% 営業が電話でアプローチ、商談設定
ウォームリード 上位10-30% インサイドセールスがメールでフォロー
コールドリード 上位30-70% ナーチャリング施策(メルマガ、セミナー案内)
休眠リード 下位30% 定期的な情報提供のみ、アクション待ち

対応フローの設計ポイント:

  • ホットリードは発生から24-48時間以内にアプローチするルールを設ける
  • スコアが閾値に達したらSlackやメールで通知する仕組みを構築
  • 営業がアプローチした結果(商談化/非商談化)をフィードバックする仕組みを設ける

5. 導入時の注意点とよくある失敗パターン

(1) 営業部門との連携不足による形骸化

スコアリング導入でよくある失敗は、「マーケがスコアを付けているが、営業が活用していない」という状態です。

失敗パターン:

  • マーケ部門だけでスコアリング設計を完結し、営業の意見を反映しなかった
  • 営業が「スコアが高くても商談化しない」と感じ、スコアを信頼しなくなった
  • スコア通知が多すぎて、営業がアラートを無視するようになった

対策:

  • 設計段階から営業部門を巻き込む
  • 定期的にスコアリングの精度をレビューし、営業のフィードバックを反映する
  • ホットリードの定義を営業と合意し、通知頻度を適切に調整する

(2) 設計の複雑化と定期見直しの重要性

スコアリング設計を複雑にしすぎると、運用が困難になり、効果が薄れるケースがあります。

失敗パターン:

  • 評価項目が50個以上あり、何が重要か分からなくなった
  • 配点ルールが複雑で、新しい担当者が理解できない
  • 一度設計したまま見直しがなく、精度が低下した

対策:

  • 初期は評価項目を10-15個程度に絞る
  • 配点ルールをドキュメント化し、チームで共有する
  • 四半期に1回を目安に見直しを行い、精度を改善する

見直し時の確認ポイント:

  • ホットリードの商談化率は目標を達成しているか
  • 営業から「このリードはスコアが高いが商談化しなかった」というフィードバックはないか
  • 新しい行動パターン(新しいセミナー、新しいコンテンツ)を追加すべきか

6. まとめ:スコアリング成功のためのチェックリスト

スコアリングは、見込み顧客の確度を数値化し、営業・マーケ連携を強化する有効な手法です。正しく設計・運用することで、限られた営業リソースを有望なリードに集中させることができます。

スコアリング成功のためのチェックリスト:

  • 高スコアリードへの対応方針を営業と合意したか
  • 属性スコアと行動スコアの2軸で設計したか
  • 評価項目は10-15個程度に絞れているか
  • 配点ルールをドキュメント化し、チームで共有したか
  • MAツールで自動化の仕組みを構築したか
  • ホットリード発生時の通知設定を行ったか
  • 営業からのフィードバック収集の仕組みがあるか
  • 四半期に1回の見直しスケジュールを設定したか

次のアクション:

  • 自社の受注データを分析し、受注顧客に共通する属性・行動を特定する
  • 営業部門とホットリードの定義を合意する
  • 評価項目と配点ルールを初期設計する
  • MAツールの導入状況を確認し、スコアリング機能を検討する

※この記事は2025年時点の情報に基づいています。MAツールの機能・料金は各社公式サイトをご確認ください。

よくある質問:

Q: スコアリングの基準はどのように決めればよいですか? A: まず高スコアリードへの対応方針を営業部門と合意し、その条件を満たす属性・行動を洗い出してから配点を設計するのが一般的です。過去の受注データを分析し、受注顧客に共通するパターンを参考にすると効果的とされています。

Q: スコアリングの閾値(ホットリード判定基準)の目安は? A: 絶対値(100点満点で70点以上など)よりも相対順位で判断する方法が取られることもあります。初期は上位10-20%をホットリードとし、商談化率を見ながら調整するのが現実的です。

Q: MAツールなしでもスコアリングは実施できますか? A: スプレッドシートで手動管理することも可能です。ただし、リード数が月50件を超えるとMAツールの自動化が効率的とされています。リード数や運用体制に応じて判断してください。

Q: スコアリング設計はどれくらいの頻度で見直すべきですか? A: 四半期に1回を目安に、営業部門からのフィードバックを反映して精度を改善するのが一般的です。商談化率や営業の声を確認し、評価項目や配点を調整します。

よくある質問

Q1スコアリングの基準はどのように決めればよいですか?

A1まず高スコアリードへの対応方針を営業部門と合意し、その条件を満たす属性・行動を洗い出してから配点を設計するのが一般的です。過去の受注データを分析し、受注顧客に共通するパターンを参考にすると効果的とされています。

Q2スコアリングの閾値(ホットリード判定基準)の目安は?

A2絶対値(100点満点で70点以上など)よりも相対順位で判断する方法が取られることもあります。初期は上位10-20%をホットリードとし、商談化率を見ながら調整するのが現実的です。

Q3MAツールなしでもスコアリングは実施できますか?

A3スプレッドシートで手動管理することも可能です。ただし、リード数が月50件を超えるとMAツールの自動化が効率的とされています。リード数や運用体制に応じて判断してください。

Q4スコアリング設計はどれくらいの頻度で見直すべきですか?

A4四半期に1回を目安に、営業部門からのフィードバックを反映して精度を改善するのが一般的です。商談化率や営業の声を確認し、評価項目や配点を調整します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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