インサイドセールスとオンラインセールスの違いが分からない...
B2B企業の営業マネージャーや営業担当者の多くが、リモート営業の手法を整理したいと考えています。「インサイドセールスとオンラインセールスは何が違うのか」「どのように使い分ければいいのか」といった疑問は尽きません。
この記事では、インサイドセールスとオンラインセールスの違いを明確にし、両者の特徴・連携フロー・使い分けのポイントを解説します。
この記事のポイント:
- インサイドセールスは案件創出・顧客育成が目的、オンラインセールスは商談・販売完結が目的
- インサイドセールスでリード創出→オンラインセールスで商談という連携が効果的
- MAツールやSFA/CRMと連携し、顧客情報・商談履歴を一元管理することで成果が向上する
- 2021年の調査で約65%の企業がオンラインセールスを導入、リモート営業が定着
- ツール選定は自社の業務規模・体制に合ったものを選ぶことが重要
1. インサイドセールスとオンラインセールスの混同が起きる理由
(1) どちらも非対面で行う営業活動
インサイドセールスとオンラインセールスは、どちらも「非対面で行う営業活動」という共通点があるため、しばしば混同されます。
両者の共通点:
- 顧客を直接訪問せず、リモートで営業活動を行う
- 電話、メール、Web会議ツール(Zoom、Teams等)を活用する
- 移動時間・交通費を削減できる
- 全国・全世界の顧客にアプローチできる
しかし、両者は「目的」と「営業プロセスの担当フェーズ」が大きく異なります。
(2) コロナ禍でリモート営業が普及した背景
2020年以降のコロナ禍により、対面営業が制限され、リモート営業が急速に普及しました。
コロナ禍による変化:
- 対面商談が難しくなり、Web会議ツールが急速に普及
- インサイドセールスとフィールドセールスの境界が曖昧に
- 「オンライン営業」「リモートセールス」など類似用語が増加
この急激な環境変化により、各用語の定義が曖昧なまま使われるケースが増え、混同が生じやすくなっています。
(3) 約65%の企業がオンラインセールスを導入(2021年調査)
2021年の調査によると、約65%の企業がオンラインセールスを導入しており、特にIT・広告出版・コンサルティング業界で顕著です。
オンラインセールス導入の背景:
- コロナ禍による対面営業の制限
- Web会議ツールの普及と高機能化
- 営業効率化・コスト削減のニーズ
リモート営業が定着する中で、インサイドセールスとオンラインセールスの違いを正しく理解し、使い分けることが重要になっています。
2. インサイドセールスとは:案件創出・顧客育成が目的
(1) インサイドセールスの定義と役割
インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議など非対面で見込み客にアプローチし、商談機会を創出する営業手法です。
インサイドセールスの役割:
- リード創出(見込み客の発掘)
- リードナーチャリング(見込み客の購買意欲を中長期的に高める)
- 商談機会の創出(フィールドセールスに引き渡す準備を整える)
インサイドセールスは、営業プロセスの「上流工程」を担当し、フィールドセールスにリードを引き渡すまでが主な業務範囲です。
(2) 電話やメール、Web会議で見込み客にアプローチ
インサイドセールスは、以下のような手法で見込み客にアプローチします。
主な手法:
- 電話(架電): リードに直接電話をかけ、課題ヒアリングや資料送付の約束を取り付ける
- メール: 定期的に有益な情報を提供し、関係性を構築する
- Web会議: 初回ヒアリングや製品紹介を行い、商談に繋げる
架電でうまくいった会話やメルマガで反応が良かった内容をチーム内で共有し、トークスクリプトに反映することで、成果が向上すると言われています。
(3) リードナーチャリング:購買意欲を中長期的に高める
インサイドセールスの重要な役割の一つが、リードナーチャリング(見込み客の育成)です。
リードナーチャリングの活動:
- 定期的なメール配信(業界動向、ノウハウ記事)
- ウェビナーの案内・フォローアップ
- ホワイトペーパーなど有益な資料の提供
- リードの行動履歴(メール開封、資料DL、サイト閲覧)の記録
MAツール(マーケティングオートメーション)と連携してハウスリストの整理やスコアリングを行い、有効商談率を2〜3倍に向上させる企業も増加しています。
(4) フィールドセールスとの役割分担
インサイドセールスは、フィールドセールスと連携して営業プロセスを分業します。
役割分担の例:
- インサイドセールス: リード創出・育成、初回ヒアリング、商談準備
- フィールドセールス: 本格的な商談、提案書作成、クロージング、契約締結
顧客情報・商談履歴を一元管理し、スムーズに連携することで、営業活動の効率化と受注率向上が期待できます。
3. オンラインセールスとは:商談・販売完結が目的
(1) オンラインセールスの定義と役割
オンラインセールスとは、インターネットやデジタルツールを使って行うセールス活動全般を指します。フィールドセールスのデジタル版と考えるとわかりやすいでしょう。
オンラインセールスの役割:
- 商談の実施(提案・プレゼンテーション)
- クロージング(見積もり・契約条件の調整)
- 販売完結(契約締結)
オンラインセールスは、営業プロセスの「下流工程」を担当し、商談から契約締結までを完結させることが主な業務範囲です。
(2) フィールドセールスのデジタル版:商談・クロージングが中心
オンラインセールスは、フィールドセールスが対面で行っていた商談・クロージングを、オンラインで完結させる手法です。
オンラインセールスの活動:
- Web会議での商談(Zoom、Teams等)
- オンラインでの提案書・見積もり提示
- オンラインでの契約締結(電子契約)
- アフターフォロー(導入支援、カスタマーサクセス)
対面営業と同様の商談プロセスを、すべてオンラインで行うことで、移動時間・交通費の削減と営業効率の向上が実現されます。
(3) オンライン商談の特徴:相手の表情や温度感が読み取りづらい
オンライン商談には、対面商談にはない特徴と注意点があります。
オンライン商談の特徴:
- 画面越しのため、相手の表情や温度感が読み取りづらい
- 通信環境によっては音声・映像が途切れる
- 資料の共有は容易(画面共有機能)
- 商談の録画・記録が可能
注意点:
- 事前に資料やアジェンダを共有し、商談予定のリマインドメールを送付してキャンセルを防ぐ
- オンライン上では信頼関係を築きにくい面があるため、フォローアップを丁寧に行う
- オンラインならではのノウハウの確立や仕組み化が必要で、対面営業のやり方をそのまま適用できない
オンライン商談で成果を出すには、対面営業とは異なるスキル・ノウハウの習得が必要です。
4. 両者の違いと連携フロー
(1) 目的の違い:案件創出 vs 商談・販売完結
インサイドセールスとオンラインセールスの最大の違いは「目的」です。
目的の違い:
- インサイドセールス: 案件創出・顧客育成(営業プロセスの上流)
- オンラインセールス: 商談・販売完結(営業プロセスの下流)
インサイドセールスが「見込み客を育て、商談の準備を整える」のに対し、オンラインセールスは「商談を実施し、契約を締結する」ことを目指します。
(2) プロセスの違い:リード創出→顧客育成 vs 商談→クロージング
両者は営業プロセスの異なるフェーズを担当します。
営業プロセスの全体像:
- リード創出(インサイドセールス)
- 顧客育成(インサイドセールス)
- 初回ヒアリング(インサイドセールス)
- 商談準備(インサイドセールス)
- 本格的な商談(オンラインセールス or フィールドセールス)
- 提案・見積もり(オンラインセールス or フィールドセールス)
- クロージング(オンラインセールス or フィールドセールス)
- 契約締結(オンラインセールス or フィールドセールス)
インサイドセールスが1〜4を担当し、オンラインセールスが5〜8を担当するという分業が一般的です。
(3) 効果的な連携フロー:インサイドセールスでリード創出→オンラインセールスで商談
両者を連携させることで、営業活動の効率化と受注率向上が実現されます。
効果的な連携フロー:
- インサイドセールス: 架電・メール配信でリードを創出
- インサイドセールス: MAツールでリードの行動履歴を記録、スコアリング
- インサイドセールス: 商談準備が整ったリードをオンラインセールスに引き継ぎ
- オンラインセールス: Web会議で商談を実施
- オンラインセールス: 提案・見積もり・クロージング
- オンラインセールス: 電子契約で契約締結
この連携により、インサイドセールスが「質の高いリード」を創出し、オンラインセールスが効率的に商談を完結できるようになります。
(4) MAツール・SFA/CRMとの連携による情報一元管理
両者の連携を円滑にするには、MAツール・SFA/CRMによる情報一元管理が不可欠です。
連携すべきツール:
- MAツール(例:HubSpot、Marketo): リード管理・育成、メール配信、スコアリング
- SFA/CRM(例:Salesforce、Zoho CRM): 商談管理、顧客情報管理、営業活動の記録
- Web会議ツール(例:Zoom、Teams): オンライン商談の実施
これらのツールを連携させることで、顧客情報・商談履歴を一元管理し、インサイドセールスからオンラインセールスへのスムーズな引き継ぎが可能になります。
5. インサイドセールスとオンラインセールスの使い分けと導入方法
(1) 使い分けのポイント:企業規模・商材・営業プロセスに応じて選択
インサイドセールスとオンラインセールスの使い分けは、企業規模・商材・営業プロセスに応じて選択します。
使い分けの例:
小規模企業(営業担当者10名以下):
- インサイドセールスとオンラインセールスを兼務
- 一人の営業担当者がリード創出から契約締結まで担当
中堅企業(営業担当者10〜50名):
- インサイドセールスとフィールドセールスを分業
- インサイドセールスがリード創出・育成を担当し、フィールドセールスが商談・クロージングを担当
- 必要に応じてオンラインセールスも活用
大企業(営業担当者50名以上):
- インサイドセールス、オンラインセールス、フィールドセールスを完全に分業
- 各担当が専門性を高め、効率的に営業プロセスを進める
(2) 導入時の注意点:対面営業のやり方をそのまま適用できない
インサイドセールス・オンラインセールスの導入には、対面営業とは異なるノウハウが必要です。
導入時の注意点:
- 対面営業のやり方をそのまま適用できない
- オンライン商談特有の信頼関係構築の方法を確立する
- トークスクリプト・資料を最適化する
- 営業担当者のトレーニングを実施する
効果が表れるまで時間がかかるため、途中でやめず、中長期的な視点で取り組むことが重要です。
(3) ツール選定:業務規模・体制に合ったものを選ぶ
ツール選定は、自社の業務規模・体制に合ったものを選ぶことが重要です。
ツール選定のポイント:
- 高機能なツールを導入しても使いこなせなければ意味がない
- 自社の営業プロセスに必要な機能を洗い出す
- 既存システム(会計ソフト、営業管理システム等)との連携可否を確認
- 無料トライアルで操作性を確認してから導入する
※ツール選定については、複数のツールを公平に比較し、メリット・デメリットを考慮して選択してください。
(4) 成功パターン:トークスクリプト共有、事前資料送付、リマインドメール
インサイドセールス・オンラインセールスで成果を出すには、以下のような成功パターンがあります。
成功パターン:
- トークスクリプト共有: 架電でうまくいった会話をチーム内で共有し、標準化する
- 事前資料送付: 商談前に資料やアジェンダを共有し、商談の質を高める
- リマインドメール: 商談予定のリマインドメールを送付し、キャンセルを防ぐ
- フォローアップ: 商談後は迅速にフォローアップし、次のアクションを明確にする
これらの成功パターンを実践することで、有効商談率の向上と受注率アップが期待できます。
6. まとめ:自社に最適な営業スタイルの選択
インサイドセールスとオンラインセールスは、どちらも非対面で行う営業活動ですが、目的と営業プロセスの担当フェーズが異なります。
まとめ:
- インサイドセールス: 案件創出・顧客育成が目的(営業プロセスの上流)
- オンラインセールス: 商談・販売完結が目的(営業プロセスの下流)
- 連携フロー: インサイドセールスでリード創出→オンラインセールスで商談が効果的
- ツール活用: MAツール・SFA/CRMと連携し、顧客情報を一元管理
- 使い分け: 企業規模・商材・営業プロセスに応じて選択
次のアクション:
- 自社の営業プロセスを整理し、インサイドセールス・オンラインセールスの役割分担を明確にする
- MAツール・SFA/CRMの導入を検討し、顧客情報の一元管理を実現する
- トークスクリプト・資料を最適化し、営業担当者のトレーニングを実施する
- 成功パターン(事前資料送付、リマインドメール等)を実践し、有効商談率の向上を目指す
自社に最適な営業スタイルを選択し、インサイドセールスとオンラインセールスを効果的に活用することで、営業活動の効率化と受注率向上を実現しましょう。
