MAツールを導入しているが、インサイドセールスとの連携がうまくいかない
BtoB企業のインサイドセールス・マーケティング担当者の多くが、MAツールを導入しています。しかし、「リードの引き渡し基準が曖昧」「優先順位付けができていない」「マーケティング部門と営業部門の情報共有がうまくいかない」といった課題を抱えているケースは少なくありません。
MA(マーケティングオートメーション)とインサイドセールスを効果的に連携することで、有効ターゲットが週10件から50件に増加し、商談化率が2.5倍になった事例が報告されています。
この記事では、インサイドセールスとMAの連携方法、リード引き渡し基準の設計、スコアリング・行動データを活用した優先順位付けのフレームワークを解説します。
この記事のポイント:
- MA×インサイドセールス連携で有効ターゲット週10件→50件、商談化率2.5倍の事例がある
- インサイドセールスはマーケティング部門と営業部門の橋渡し役として機能する
- MAのスコアリング機能で購買意欲の高いホットリードを客観的に選別できる
- MAツール導入だけでは成果が出ず、運用体制(シナリオ設計、スコアリング基準)の構築が必須
- 導入効果は業界・企業規模・既存システムとの相性により異なる
なぜインサイドセールスとMAの連携が重要か
インサイドセールスとMAの連携は、以下の理由で重要とされています。
(1) インサイドセールスが直面する課題(リード優先順位付け、マーケとの情報共有)
インサイドセールスは、マーケティング部門から受け取るリードの中から、どのリードを優先的にアプローチすべきかを判断する必要があります。しかし、以下の課題を抱えているケースが多いと言われています。
よくある課題:
- リードの優先順位付けが属人化しており、客観的な基準がない
- マーケティング部門から受け取ったリードの検討度合いが不明
- マーケティング部門と営業部門の情報共有が不十分で、引き渡し基準が曖昧
- 大量のリードを手作業で確認するため、工数がかかる
これらの課題を解決するために、MAツールとの連携が有効です。
(2) MA連携による業務改善効果(有効ターゲット週10件→50件、商談化率2.5倍の事例)
MAツールとインサイドセールスを連携することで、以下の効果が報告されています。
成功事例(パーソルビジネスプロセスデザイン):
- 有効ターゲットが週10件→50件に増加
- 特定業界のプロジェクト化率が6倍に向上
- 有効商談率が2.5倍になった
成功事例(SATORI):
- 年間2000件の商談を創出
MAツールのスコアリング機能により、購買意欲の高いホットリードを客観的に選別できるようになり、インサイドセールスの効率が大幅に向上したと言われています。
(3) マーケティング部門と営業部門の橋渡し役としてのインサイドセールス
インサイドセールスは、マーケティング部門と営業部門の橋渡し役として機能します。
インサイドセールスの役割:
- マーケティング部門が獲得したリードをスコアリングし、優先順位付けする
- 購買意欲が高いホットリードを営業部門に引き渡す
- 購買意欲が低いリードをリードナーチャリング(育成)し、検討度を高める
- マーケティング施策の効果を営業視点でフィードバックする
MAツールと連携することで、マーケティング部門と営業部門の情報共有が円滑になり、全社的なリード管理が最適化されます。
インサイドセールスとMAツールの基礎知識
インサイドセールスとMAツールの基礎知識を理解することで、連携設計がスムーズになります。
(1) インサイドセールスとは(非対面営業、テレアポとの違い)
インサイドセールスは、非対面(電話、メール、Web会議等)で顧客とコミュニケーションを取る営業手法です。
テレアポとの違い:
- テレアポ: 電話でアポイントを取得することが目的(範囲が狭い)
- インサイドセールス: 電話・メール・Web会議等の多様な手法で関係構築し、商談化まで担う(範囲が広い)
インサイドセールスは、リード獲得から商談化、クロージングまでの一連のプロセスをカバーするケースもあります。
(2) MAツールとは(見込み客の獲得・育成・管理の3つの機能)
MA(マーケティングオートメーション)は、見込み客の検討度を高めるマーケティング活動を自動化・効率化するツールです。
MAツールの3つの機能:
- 見込み客の獲得: Webサイト訪問者の行動を追跡し、リードを獲得
- 見込み客の育成(リードナーチャリング): シナリオ設定により、見込み客の行動に応じてメールを自動配信
- 見込み客の管理: メール開封、資料ダウンロード、セミナー参加等の行動でスコアリングし、購買意欲を測定
MAツールを活用することで、マーケティング担当者の工数を削減し、リード獲得・育成の効率を高めることができます。
(3) インサイドセールス導入のメリット(コスト削減、商談数3件→8件/日、全国対応可能)
インサイドセールスを導入することで、以下のメリットが得られます。
コスト削減:
- 交通費・宿泊費が不要
- 移動時間が削減され、営業活動に集中できる
商談数の増加:
- 1日の営業件数が平均3件→8件に増加するケースがある
- 移動時間がないため、より多くの顧客にアプローチできる
全国対応可能:
- 全国各地・世界各国の顧客に社内から対応可能
- 地方の顧客や海外の顧客にもリーチできる
営業効率の向上:
- Web会議により、顧客の反応をリアルタイムで確認できる
- デモや資料共有がスムーズに行える
(4) MAツールの主要機能(スコアリング、アラートメール、自動配信、顧客情報一元管理)
MAツールの主要機能は以下の通りです。
スコアリング機能:
- メール開封、資料ダウンロード、セミナー参加等の行動を数値化し、購買意欲を測定
- 一定のスコアを超えたリードをホットリードとして自動通知
アラートメール機能:
- 資料請求や問い合わせがあった際に、インサイドセールスに即座に通知
- 迅速な対応が可能になる
自動配信機能:
- シナリオ設定により、見込み客の行動に応じてメールを自動配信
- パーソナライズされたコンテンツを段階的に提供し、リードを育成
顧客情報の一元管理:
- MAとSFA/CRMを連携し、顧客情報を部門間で一元管理・共有
- マーケティング部門と営業部門のデータがシームレスに連携
MA×インサイドセールス連携の実践フレームワーク
MA×インサイドセールス連携を成功させるには、以下のフレームワークに沿って実践することが推奨されます。
(1) リード引き渡し基準の設計(MQL/SQL定義、スコアリング基準の設定)
マーケティング部門からインサイドセールスへのリード引き渡し基準を明確にします。
MQL/SQL定義:
- MQL(Marketing Qualified Lead): マーケティング部門が育成したリードで、インサイドセールスに引き渡す基準を満たしたリード
- SQL(Sales Qualified Lead): インサイドセールスが商談化可能と判断したリードで、営業部門に引き渡すリード
スコアリング基準の設定:
- メール開封: 1点
- 資料ダウンロード: 5点
- セミナー参加: 10点
- 料金ページ閲覧: 15点
- 問い合わせフォーム送信: 20点
一定のスコア(例: 30点以上)を超えたリードをMQLとして定義し、インサイドセールスに引き渡します。
(2) スコアリング機能の活用(購買意欲の高いホットリードを客観的に選別)
MAツールのスコアリング機能を活用することで、購買意欲の高いホットリードを客観的に選別できます。
スコアリングのメリット:
- 主観的な判断に頼らず、客観的な基準でリードを優先順位付けできる
- インサイドセールスは高スコアのリードに集中でき、効率が向上する
- マーケティング施策の効果を定量的に測定できる
スコアリング基準の調整:
- 初期設定後、実際の商談化率をモニタリングし、基準を調整する
- スコアが高すぎる場合(商談化率が低い場合)は基準を緩和
- スコアが低すぎる場合(リード数が多すぎて処理しきれない場合)は基準を厳格化
(3) 行動データを活用した優先順位付け(メール開封、資料DL、セミナー参加等)
MAツールで取得した行動データを活用し、リードの優先順位を付けます。
行動データの例:
- メール開封: 興味がある可能性が高い
- 資料ダウンロード: 具体的な情報収集段階
- セミナー参加: 検討意欲が高い
- 料金ページ閲覧: 導入を検討している
- 問い合わせフォーム送信: すぐにアプローチすべきホットリード
行動データを組み合わせることで、リードの検討段階を把握し、適切なタイミングでアプローチできます。
(4) MAとSFA/CRMの連携(顧客情報の部門間シェア)
MAとSFA/CRMを連携することで、顧客情報を部門間でシームレスに共有できます。
連携のメリット:
- マーケティング部門が獲得したリード情報が、SFA/CRMに自動的に反映される
- インサイドセールスがSFA/CRMでリードの行動履歴を確認できる
- 営業部門が顧客との商談情報をMAに反映し、マーケティング施策にフィードバックできる
連携の実装:
- HubSpotやSalesforceなど、MAとSFA/CRMが統合されたプラットフォームを選ぶ
- 個別ツールを連携する場合は、API連携やZapier等の統合ツールを活用する
(5) SLA(サービスレベル合意)の設定(マーケとインサイドセールス間の役割分担)
マーケティング部門とインサイドセールス間で、SLA(サービスレベル合意)を設定します。
SLAの例:
- マーケティング部門: 月間100件のMQLをインサイドセールスに引き渡す
- インサイドセールス: MQLを受け取ってから24時間以内にアプローチする
- インサイドセールス: MQLの30%以上をSQLに転換する
- 営業部門: SQLを受け取ってから1週間以内に商談を実施する
SLAを設定することで、各部門の責任範囲が明確になり、連携がスムーズになります。
成功事例と効果測定
MA×インサイドセールス連携の成功事例と、効果測定のKPIを紹介します。
(1) MA×インサイドセールス連携の成功事例(有効商談率2.5倍、プロジェクト化率6倍)
パーソルビジネスプロセスデザインの事例では、MA×インサイドセールス連携により以下の成果が得られました。
成果:
- 有効ターゲットが週10件→50件に増加
- 特定業界のプロジェクト化率が6倍に向上
- 有効商談率が2.5倍になった
成功要因:
- MAのスコアリング機能により、購買意欲の高いリードを客観的に選別
- インサイドセールスが高スコアのリードに集中し、効率が向上
- マーケティング部門と営業部門の情報共有が円滑になった
(2) SATORIの事例(年間2000件の商談創出)
SATORIを活用した事例では、年間2000件の商談を創出しました。
成功のポイント:
- MAのアラートメール機能により、資料請求や問い合わせに即座に対応
- 自動配信機能により、見込み客の行動に応じてパーソナライズされたコンテンツを提供
- リードナーチャリングにより、検討度の低いリードを育成
(3) 効果測定のKPI(リード獲得数、ホットリード数、商談化率、営業活動効率)
MA×インサイドセールス連携の効果を測定するには、以下のKPIを設定します。
リード獲得関連:
- リード獲得数(月間)
- MQL数(マーケティング部門からインサイドセールスに引き渡したリード数)
- SQL数(インサイドセールスから営業部門に引き渡したリード数)
商談化関連:
- 商談化率(SQL数 ÷ MQL数)
- 成約率(成約数 ÷ 商談数)
営業活動効率:
- 1日あたりの営業件数
- リードあたりのアプローチ工数
これらのKPIを定期的にモニタリングし、改善施策を実施します。
(4) 2024-2025年のトレンド(HubSpot、List Finder、SATORIが人気上位)
2024-2025年のMAツール比較では、HubSpot、List Finder、SATORIが人気上位とされています。
HubSpot:
- マーケティング、営業、カスタマーサービスを統合したCRMプラットフォーム
- 無料プランがあり、導入ハードルが低い
List Finder:
- 日本企業向けのMAツール
- Webサイト訪問企業を特定し、営業リストを自動作成
SATORI:
- 日本企業向けのMAツール
- 匿名リードの行動追跡が強み
※料金プランは変更の可能性があり、公式サイトで最新情報を確認してください。(この記事は2025年1月時点の情報です)
導入時の課題とよくある失敗パターン
MA×インサイドセールス連携の導入時によくある課題と失敗パターンを紹介します。
(1) MAツール導入だけでは成果が出ない(運用体制・シナリオ設計が必須)
MAツールを導入しただけでは成果が出ず、運用体制(シナリオ設計、スコアリング基準)の構築が必須です。
失敗パターン:
- MAツールを導入したが、スコアリング基準を設定していない
- シナリオ設定が不十分で、リードナーチャリングが機能していない
- マーケティング部門とインサイドセールスの連携が不十分
対策:
- スコアリング基準を明確に設定し、定期的に調整する
- シナリオを設計し、見込み客の行動に応じたコンテンツを提供する
- マーケティング部門とインサイドセールス間でSLAを設定し、役割分担を明確にする
(2) インサイドセールスと外勤営業の役割分担が不明確で混乱
インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)の役割分担が不明確だと、混乱が生じます。
失敗パターン:
- インサイドセールスと外勤営業の両方が同じリードにアプローチし、顧客に不快感を与える
- どちらがリードを担当すべきか曖昧で、対応が遅れる
対策:
- リード引き渡し基準を明確にする(例: スコア30点以上はインサイドセールス、スコア50点以上は外勤営業)
- 地域や企業規模で役割分担する(例: 全国対応はインサイドセールス、特定地域の大企業は外勤営業)
- SFA/CRMでリードの担当者を明確に記録する
(3) スコアリング基準の設定が不適切(基準が高すぎる/低すぎる)
スコアリング基準が不適切だと、効果が出ません。
失敗パターン:
- スコア基準が高すぎて、インサイドセールスに引き渡されるリードが少なすぎる
- スコア基準が低すぎて、検討度の低いリードが大量に引き渡され、インサイドセールスが対応しきれない
対策:
- 初期設定後、実際の商談化率をモニタリングし、基準を調整する
- A/Bテストにより、最適なスコア基準を見つける
(4) ツール選定のポイント(課題明確化、機能確認、連携性、コスパ、サポート体制)
MAツールを選定する際は、以下のポイントを確認します。
ツール選定のポイント:
- 課題の明確化: 何を解決したいのか(リード獲得、リード育成、営業効率化など)
- 機能の確認: 必要な機能(スコアリング、自動配信、SFA/CRM連携など)が揃っているか
- ツール連携性: 既存のSFA/CRMやその他のツールと連携できるか
- コストパフォーマンス: 料金プランが予算に合っているか
- サポート体制: 日本語サポート、オンボーディング支援、ユーザーコミュニティの有無
(5) 主要MAツールの比較(HubSpot、List Finder、SATORI、Marketo等)
主要なMAツールには以下があります。
HubSpot:
- 統合CRMプラットフォーム(マーケティング、営業、カスタマーサービス)
- 無料プランあり、導入ハードルが低い
- 欧米企業に人気が高い
List Finder:
- 日本企業向けMAツール
- Webサイト訪問企業を特定し、営業リストを自動作成
- 中小企業に人気
SATORI:
- 日本企業向けMAツール
- 匿名リードの行動追跡が強み
- 中堅企業に人気
Marketo:
- 大企業向けMAツール
- 高度な機能とカスタマイズ性が強み
- 料金は高額だが、拡張性が高い
※料金プランは変更の可能性があり、公式サイトで最新情報を確認してください。
まとめ:目的別のおすすめツール選定
MA×インサイドセールス連携により、有効ターゲット週10件→50件、商談化率2.5倍の成果が期待できます。成功させるには、以下のステップが重要です。
実践ステップ:
- リード引き渡し基準を設計し、MQL/SQL定義、スコアリング基準を設定する
- MAのスコアリング機能で購買意欲の高いホットリードを客観的に選別する
- 行動データ(メール開封、資料DL、セミナー参加等)を活用し、優先順位付けする
- MAとSFA/CRMを連携し、顧客情報を部門間でシームレスに共有する
- マーケティング部門とインサイドセールス間でSLAを設定し、役割分担を明確にする
- 運用体制(シナリオ設計、スコアリング基準)を構築し、定期的に調整する
目的別のおすすめツール:
- 中小企業・初めてのMA導入: HubSpot(無料プランあり、導入ハードルが低い)
- 日本企業・Webサイト訪問企業の特定: List Finder(営業リストを自動作成)
- 日本企業・匿名リードの行動追跡: SATORI(匿名リードの育成が強み)
- 大企業・高度なカスタマイズ: Marketo(拡張性が高い)
BtoB企業がMA×インサイドセールス連携を効果的に実践することで、リード獲得・育成の効率化、商談数の増加、営業部門との情報共有強化が期待できます。まずは自社の課題と目的を明確にし、適切なMAツールを選定しましょう。
