インサイドセールスを始めたいけれど、具体的にどう進めればいいか分からない
BtoB企業で営業効率化を検討している方の多くが、インサイドセールスの導入を考えながらも、「具体的にどうやって立ち上げればいいのか」「テレアポとは何が違うのか」「どんなツールが必要なのか」と悩んでいます。
この記事では、インサイドセールスの定義から、SDR/BDRの違い、導入の5ステップ、具体的な業務フロー、トークスクリプト例、KPI設定まで、実践的なやり方を解説します。
この記事のポイント:
- インサイドセールスは「質重視の非対面営業」で、テレアポの「量重視のアポ取り」とは異なる
- SDR(反響型)とBDR(新規開拓型)の2つの型があり、自社の状況に応じて選択
- 導入の第一歩は「目的と役割の明確化」。営業課題を解決するための位置づけを明確に
- 立ち上げ初期は「量重視」のKPI、成長期は「質重視」のKPIに移行
- Forrester調査によると、インサイドセールス職は外勤営業の15倍の速度で成長中
インサイドセールスとは|テレアポとの違いと重要性
インサイドセールスの基本を理解するために、定義とテレアポとの違い、市場の成長について解説します。
(1) インサイドセールスの定義と業務範囲
インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議等を活用した非対面の営業活動です。内勤営業とも呼ばれます。
主な業務範囲:
- リード(見込み客)の初回接触・ヒアリング
- ニーズの把握と課題の整理
- 見込み客の育成(リードナーチャリング)
- 商談創出(アポイント設定)
- フィールドセールスへのリード引き渡し
THE MODELにおける位置づけ:
THE MODELは、営業プロセスを以下のように分業するモデルです:
- マーケティング: リード獲得
- インサイドセールス: リード育成・商談創出
- フィールドセールス: 商談・クロージング
- カスタマーサクセス: 顧客定着・アップセル
インサイドセールスは、マーケティングが獲得したリードを育成し、フィールドセールスに質の高い商談を引き渡す役割を担います。
(2) テレアポとの違い:質重視 vs 量重視
インサイドセールスとテレアポは混同されがちですが、目的とアプローチが大きく異なります。
比較表:
| 項目 | テレアポ | インサイドセールス |
|---|---|---|
| 主な目的 | アポイント獲得 | ニーズ把握・関係構築 |
| アプローチ | 量重視(数打てば当たる) | 質重視(見込み度の高い顧客を優先) |
| 対象 | リストの上から順に架電 | 優先順位付けされたリード |
| 会話内容 | 定型スクリプト読み上げ | ヒアリング・課題把握 |
| 成果指標 | アポイント件数 | 有効商談数・商談化率 |
| 育成期間 | なし(即アポ) | 数週間〜数ヶ月の育成 |
ポイント:
- テレアポは「とにかくアポを取る」のが目的
- インサイドセールスは「適切なタイミングで質の高い商談を創出する」のが目的
インサイドセールスは、見込み客のニーズを理解し、適切なソリューションを提案することで、受注率の高い商談を生み出します。
(3) 市場の成長とTHE MODELの普及
インサイドセールス市場は急速に成長しています。
市場データ:
- Forrester調査によると、インサイドセールス職は外勤営業の15倍の速度で成長中
- 購買者の75%が対面営業を希望せず、オンラインでの情報収集を好む傾向
- コロナ禍を経て、非対面営業が一般化し、導入企業が急増
成長の背景:
- 営業コストの削減(移動時間・交通費の削減)
- デジタルツールの普及(Web会議、MA、SFA等)
- 購買行動の変化(BtoB購買者もオンライン化)
これらの理由から、多くのBtoB企業がインサイドセールスを導入し、営業効率化と売上向上を実現しています。
インサイドセールスの2つの型|SDRとBDR
インサイドセールスには、SDR(反響型)とBDR(新規開拓型)の2つの型があります。
(1) SDR(反響型):インバウンドリードへの対応
SDR(Sales Development Representative)は、問い合わせや資料請求などインバウンドリードに対応する反響型インサイドセールスです。
対象リード:
- Webサイトからの問い合わせ
- 資料請求・ホワイトペーパーダウンロード
- セミナー・ウェビナー参加者
- メルマガ登録者
活動内容:
- リードへの迅速な初回接触(24時間以内が理想)
- ニーズ・課題のヒアリング
- 製品・サービスの概要説明
- 商談化(フィールドセールスへの引き渡し)
メリット:
- すでに関心を持っている見込み客のため、商談化率が高い
- 立ち上げ初期でも成果が出やすい
(2) BDR(新規開拓型):アウトバウンドアプローチ
BDR(Business Development Representative)は、自社と接点のない潜在顧客に対してアウトバウンドでアプローチする新規開拓型インサイドセールスです。
対象企業:
- ターゲット業界・企業規模の未接触企業
- 競合製品を利用している企業
- 新規市場の開拓先
活動内容:
- ターゲットリストの作成・優先順位付け
- 架電・メールでの新規アプローチ
- 潜在ニーズの掘り起こし
- 商談機会の創出
メリット:
- 新規市場・顧客層の開拓ができる
- インバウンドリードに依存せず、能動的に商談を創出
デメリット:
- 初回接触のハードルが高く、スキルが必要
- 成果が出るまで時間がかかる(3-6ヶ月程度)
(3) 自社に適した型の選び方
SDRとBDRのどちらから始めるかは、自社の状況により異なります。
SDRから始めるべきケース:
- Webサイトやマーケティング施策でリードが一定数獲得できている
- 立ち上げ初期で、まず成功体験を積みたい
- 営業リソースが限られており、効率を重視したい
BDRから始めるべきケース:
- インバウンドリードが少ない・ない
- 新規市場・顧客層を開拓したい
- 競合製品からのスイッチを狙いたい
両方を併用するケース:
- リソースに余裕がある企業
- SDRで基盤を作り、BDRで新規開拓を強化する
一般的には、SDRで成功体験を積み、体制が整ってからBDRを追加するのが推奨されます。
インサイドセールス導入の5ステップ
具体的な導入手順を5つのステップで解説します。
(1) ステップ1:目的と役割の明確化
導入の第一歩は、「なぜインサイドセールスを導入するのか」を明確にすることです。
明確にすべき項目:
- 解決したい営業課題: 「商談数が不足」「受注率が低い」「リードが放置されている」等
- インサイドセールスの役割: 「リード育成」「商談創出」「初回接触」等
- 成果目標: 「月間アポイント数20件」「有効商談数10件」等
ポイント:
- 自社の営業課題を一文で言える状態にする
- 「インサイドセールスで何を実現したいか」を関係者間で合意
(2) ステップ2:チーム編成と人材配置
立ち上げ初期のチーム編成は、少人数で始めるのが基本です。
推奨体制:
- リーダー: 商材の販売経験があるフィールドセールスのメンバー(営業プロセスを理解している人)
- メンバー: 1-3名(営業経験者 or コミュニケーション能力の高い人材)
必要なスキル:
- ヒアリング力(相手のニーズを引き出す)
- 課題整理力(断片的な情報から課題を整理)
- 提案力(適切なソリューションを提示)
- データ分析力(リードの優先順位付け)
注意点:
- 営業未経験者でも、適切なトレーニングで成果を出せる
- リーダーは営業経験者を配置し、スクリプト作成やノウハウ共有を担当
(3) ステップ3:マーケティング・営業との役割分担
インサイドセールスの成功には、マーケティング部門・フィールドセールスとの役割分担が不可欠です。
役割分担の例:
| 部門 | 役割 | 成果指標 |
|---|---|---|
| マーケティング | リード獲得 | リード獲得数・質 |
| インサイドセールス | リード育成・商談創出 | 有効商談数・商談化率 |
| フィールドセールス | 商談・クロージング | 受注件数・受注率 |
リード引き渡し基準(例):
- 予算確保済み
- 決裁者との接触完了
- 導入時期が3ヶ月以内
- 競合比較検討中
ポイント:
- リードの受け渡しルールを事前に明確化
- 定期的な連携会議(週次 or 月次)で情報共有
- 成果目標の達成条件を関係者間で合意
(4) ステップ4:ツール選定と導入
インサイドセールスには、SFA・CRM・MAの3つのツールが必須です。
必須ツール:
SFA(Sales Force Automation):
- 営業活動の記録・管理
- 商談進捗の可視化
- 主要ツール: Salesforce、HubSpot Sales Hub、Zoho CRM等
CRM(Customer Relationship Management):
- 顧客情報の一元管理
- 過去の接触履歴・商談履歴の記録
- 主要ツール: Salesforce、kintone、Senses等
MA(Marketing Automation):
- リードの行動トラッキング
- スコアリング(見込み度の数値化)
- メール配信の自動化
- 主要ツール: HubSpot、Marketo、Pardot等
選定のポイント:
- 既存システムとの連携可否
- 日本語サポートの有無
- 価格(初期費用・月額料金)
- 無料トライアルで試してから導入
※ツールの詳細比較は公式サイトで最新情報をご確認ください。
(5) ステップ5:KPI設定と効果測定
立ち上げ初期と成長期でKPIを使い分けることが重要です。
立ち上げ期(最初の3-6ヶ月):
- アポイント創出件数(量重視)
- 有効商談数
- 架電数・メール送信数
成長期(6ヶ月以降):
- 商談化率(質重視)
- 受注貢献度(インサイドセールス経由の受注率)
- 顧客単価・LTV
測定方法:
- SFA/CRMでデータを一元管理
- 週次 or 月次で振り返り
- 改善点を洗い出し、PDCA を回す
インサイドセールスの具体的な業務フローとスクリプト
実際の業務の流れと、トークスクリプト例を紹介します。
(1) 1日の業務の流れ
インサイドセールスの典型的な1日の業務フローです。
午前(9:00-12:00):
- 9:00-9:30: 前日のフォローアップメール送信
- 9:30-12:00: リードへの架電(集中時間)
- 優先順位の高いリードから順に架電
- ヒアリング・ニーズ把握
- アポイント設定 or 次回フォロー日設定
午後(13:00-18:00):
- 13:00-14:00: 架電結果の記録(SFA/CRMに入力)
- 14:00-15:00: Web会議・商談同席(フィールドセールスと連携)
- 15:00-17:00: リードへの架電(2回目)
- 17:00-18:00: 翌日の準備(リスト整理・スクリプト確認)
ポイント:
- 架電は午前と午後の2回に分けるのが一般的(相手の都合を考慮)
- SFA/CRMへの記録は当日中に完了(情報の鮮度が重要)
(2) 架電時のトークスクリプト例
以下は、SDR(反響型)の初回架電スクリプト例です。
冒頭(挨拶・自己紹介):
お世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します。
先日、弊社のWebサイトより資料請求をいただきまして、
お礼とご状況の確認でお電話させていただきました。
今、2-3分お時間よろしいでしょうか?
ヒアリング:
ありがとうございます。
資料をご請求いただいた背景として、
現在どのような課題をお持ちでしょうか?
(相手の回答を受けて)
なるほど、〇〇という課題を解決したいということですね。
現在、どのような対策をされていますか?
次のアクション提案:
ありがとうございます。
〇〇様の課題に対して、弊社の製品がどのようにお役に立てるか、
詳しくご説明させていただきたいのですが、
来週あたりでWeb会議のお時間をいただけますでしょうか?
ポイント:
- 相手の都合を確認(忙しい場合は別日に架電)
- ヒアリング中心(話す:聞く = 3:7)
- 課題を整理してから次のアクションを提案
(3) よくある断り文句への対応パターン
架電時の断り文句への対応例です。
「今忙しいので...」
承知しました。それでは、来週の〇曜日の午前中などいかがでしょうか?
改めてお電話させていただきます。
「まだ検討段階で...」
ありがとうございます。
検討段階だからこそ、他社事例や選定ポイントをご紹介できればと思います。
15分ほどのWeb会議でも構いませんので、いかがでしょうか?
「予算がない」
ご状況承知しました。
予算確保の参考資料として、導入効果や費用対効果の事例をお送りしても
よろしいでしょうか?次回の予算検討時にお役立ていただければと思います。
ポイント:
- 断り文句 = 完全な拒否ではない
- 別の切り口で価値提供を提案
- 無理に押し切らず、次回接触の機会を作る
(4) メールでのフォローアップ方法
架電後のフォローアップメール例です。
件名:
【株式会社〇〇】本日のお電話ありがとうございました
本文:
〇〇様
お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。
本日はお忙しい中、お電話でお話しいただきありがとうございました。
ご相談いただいた「〇〇の課題」について、
弊社の製品がどのようにお役に立てるか、詳しくご説明させていただきたく存じます。
来週〇月〇日(〇)の以下の時間帯でご都合はいかがでしょうか?
・10:00-11:00
・14:00-15:00
・16:00-17:00
Web会議にて30分ほどお時間をいただけますと幸いです。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
---
株式会社〇〇 △△
TEL: 03-XXXX-XXXX
Email: xxxx@example.com
ポイント:
- 当日中に送信(鮮度が重要)
- 話した内容を要約(相手に「覚えてくれている」と思わせる)
- 次のアクションを明確に提示(日時の候補を3つ程度)
成果を出すためのKPI設定とツール活用
KPI設定とツール活用のポイントを解説します。
(1) 立ち上げ期のKPI:量重視の指標
立ち上げ初期(最初の3-6ヶ月)は、量を重視したKPIを設定します。
主要KPI:
- 架電数: 1日30-50件(担当者1人あたり)
- アポイント創出件数: 月間10-20件
- 有効商談数: 月間5-10件
- メール送信数: 1日20-30件
理由:
- 立ち上げ初期は、まず活動量を確保することが重要
- 量をこなすことで、スクリプトやトークが洗練される
- 成功パターンを見つけるためのデータを蓄積
(2) 成長期のKPI:質と効率の指標
体制が整った成長期(6ヶ月以降)は、質と効率を重視したKPIに移行します。
主要KPI:
- 商談化率: 架電数に対する商談化率(目標: 10-20%)
- 受注貢献度: インサイドセールス経由の受注件数・受注率
- リード育成期間: リード獲得から商談化までの平均日数
- 顧客単価・LTV: インサイドセールス経由の顧客単価
理由:
- 質の高い商談を創出することで、受注率が向上
- 効率を高めることで、少ないリソースで成果を最大化
(3) 必須ツール:SFA・CRM・MA
前述のツールを効果的に活用することで、業務効率が大幅に向上します。
活用例:
- MA: リードの行動スコアリングで優先順位付け(Webサイト訪問回数・資料ダウンロード等)
- SFA: 架電履歴・商談進捗の可視化
- CRM: 過去の接触履歴から最適なアプローチ方法を判断
(4) ツール選定のポイントと比較
選定基準:
- 機能: 自社の業務に必要な機能があるか
- 価格: 初期費用・月額料金が予算内か
- 連携: 既存システムと連携できるか
- サポート: 日本語サポート・導入支援があるか
- トライアル: 無料トライアルで試せるか
主要ツールの比較(例):
| ツール | 種類 | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| Salesforce | SFA/CRM | 世界シェアNo.1、高機能 | 月額数千円〜 |
| HubSpot | MA/SFA/CRM | オールインワン、無料プランあり | 無料〜月額数万円 |
| Marketo | MA | 高度なマーケティング機能 | 月額10万円〜 |
※価格・仕様は変更される可能性があるため、導入時は各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
まとめ:インサイドセールス成功のチェックリスト
インサイドセールスを成功させるための実践ポイントをまとめます。
成功のチェックリスト:
導入前:
- 解決したい営業課題を一文で説明できるか?
- インサイドセールスの役割を明確にしたか?
- マーケティング・営業との役割分担を合意したか?
- リード引き渡し基準を明確にしたか?
立ち上げ期:
- 少人数チームで開始したか(1-3名)?
- リーダーは営業経験者を配置したか?
- SFA/CRM/MAの導入を完了したか?
- 量重視のKPIを設定したか?
運用期:
- トークスクリプトを作成・共有したか?
- 断り文句への対応パターンを整備したか?
- 週次 or 月次で振り返りを実施しているか?
- 質重視のKPIに移行したか(成長期)?
次のアクション:
- 自社の営業課題を整理する
- インサイドセールスの目的・役割を定義する
- 社内関係者(マーケティング・営業)と合意形成する
- 小規模でテスト導入し、成功パターンを見つける
インサイドセールスは、営業効率化と売上向上を実現する強力な手法です。まずは小さく始めて、成功体験を積み重ねながら拡大していきましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。ツールの仕様・料金は変更される可能性があるため、導入時は各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
