HubSpotトラッキング設定完全ガイド|訪問者分析マーケティング施策の効果が見えない...どの施策が成果につながっているのか分からない
HubSpotを導入している企業のマーケティング担当者にとって、ウェブサイト訪問者の行動分析は重要な業務の一つです。しかし、「どの施策から訪問があったのか分からない」「訪問者がどのページを見ているのか把握できない」「コンバージョンに至るまでの行動が見えない」といった課題を抱えているケースは少なくありません。
実際、トラッキングコードが正しく設置されていないと、訪問者データを収集できず、マーケティング施策の効果測定ができません。また、2024年には「Breeze Intelligence」という新機能により、コンバージョン前の訪問者トラッキングが大幅に強化され、HubSpotの弱点だった匿名訪問者追跡が改善されています。
この記事では、HubSpotトラッキングの基礎知識から設置方法、カスタムイベントトラッキング、訪問者データの分析・活用方法まで、実務担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事のポイント:
- HubSpotトラッキングコードは訪問者の行動を追跡する計測タグ(ビーコン)
- HTMLの
タグ前に貼り付け、またはGoogle Tag Manager経由で設置
カスタム行動イベントで要素クリック、URL訪問などを詳細にトラッキング可能
2024年新機能Breeze Intelligenceでコンバージョン前の訪問者追跡が強化
プライバシー規制(GDPR等)への対応として、Cookie同意取得が必須
1. サイト訪問者分析の重要性とHubSpotトラッキング
(1) マーケティング効果測定の課題
マーケティング施策の効果測定では、以下のような課題が発生します:
- 施策の成果が見えない: どの広告、どのコンテンツがコンバージョンにつながったのか不明
- 訪問者の行動が分からない: サイト内でどのページを閲覧しているのか把握できない
- 匿名訪問者の特定が困難: コンバージョン前の訪問者を追跡できない
これらの課題により、マーケティング投資の最適化ができず、ROI向上の機会を逃してしまいます。
(2) HubSpotトラッキングによる訪問者行動の可視化
HubSpotトラッキングを適切に設定すると、以下の情報を取得できます:
- 訪問者の行動履歴: どのページを、どの順番で閲覧したか
- 流入経路: どの広告・検索・SNSから訪問したか
- コンバージョン経路: 初回訪問からコンバージョンまでのプロセス
- 匿名訪問者の企業特定: Breeze Intelligence機能により、コンバージョン前でも訪問企業を特定
これにより、データドリブンなマーケティング戦略の立案が可能になります。
2. HubSpotトラッキングの基礎知識
(1) トラッキングコード(ビーコン)とは
トラッキングコードは、ウェブサイトに設置される解析や計測のためのJavaScriptコードです。「ビーコン」や「計測タグ」とも呼ばれます。
HubSpotトラッキングコードを設置すると、訪問者がページを閲覧するたびにHubSpotサーバーにデータが送信され、訪問者の行動が記録されます。
(2) トラッキングの仕組み(Cookieによる追跡)
HubSpotはブラウザーCookieを使用して訪問者を追跡します。Cookieは、ブラウザーに保存される小さなデータファイルで、訪問者を識別・追跡するために使用されます。
トラッキングの流れ:
- 訪問者がHubSpotトラッキングコードが設置されたページを閲覧
- ブラウザーにCookieが保存される
- 再訪問時、Cookieにより訪問者が識別される
- 訪問者の行動履歴が蓄積される
(3) 匿名訪問者とコンタクト化後の追跡
HubSpotでは、訪問者はコンタクトになる前の時点でも匿名で追跡されます。
匿名訪問者:
- フォーム送信前の訪問者
- Cookieにより識別されるが、氏名・メールアドレス等の個人情報は未取得
- 訪問履歴は記録されるが、個人を特定できない
コンタクト化後:
- フォーム送信により氏名・メールアドレスを取得
- 匿名時の訪問履歴とコンタクト化後の履歴が統合される
- 個人を特定した詳細な行動分析が可能になる
2024年の新機能「Breeze Intelligence」により、コンバージョン前の訪問企業特定が簡単になり、匿名訪問者追跡が大幅に強化されています。
3. トラッキングコードの設置方法
(1) トラッキングコードの取得手順
HubSpotトラッキングコードの取得手順は以下の通りです:
- HubSpotにログイン: HubSpotアカウントにログイン
- 設定画面を開く: 画面右上の設定アイコンをクリック
- トラッキングとアナリティクスを選択: 左メニューから「トラッキングとアナリティクス」→「トラッキングコード」を選択
- コードをコピー: 表示されたトラッキングコードをコピーボタンでコピー
(2) HTMLへの直接設置(タグ前に貼り付け)
トラッキングコードは、各ページのHTMLコードにある終了 </body> タグの前に貼り付けます。
設置手順:
- ウェブサイトのHTMLファイルを開く(またはCMSのテンプレート編集画面を開く)
</body> タグを探す
</body> タグの直前にトラッキングコードを貼り付ける
- 保存して公開
重要な注意点:
- HubSpotでは複数のトラッキングコードを1ページにインストールできません
- 複数インストールすると、最初に読み込まれたコードのみが作動します
- すべてのページに同じトラッキングコードを設置する必要があります
(3) Google Tag Manager経由での設置
Google Tag Manager(GTM)を使用すると、HubSpotトラッキングコードを一元管理できます。
設置手順:
- GTMにログイン: Google Tag Managerにログイン
- 新しいタグを作成: 「タグ」→「新規」をクリック
- カスタムHTMLを選択: タグタイプで「カスタムHTML」を選択
- トラッキングコードを貼り付け: HubSpotトラッキングコードを貼り付ける
- トリガーを設定: 「すべてのページ」トリガーを設定
- 保存して公開: タグを保存し、バージョンを公開
GTM経由で設置すると、コードの追加・変更がGTM管理画面で完結するため、HTML編集の手間が削減されます。
(4) 外部CMS・マルチドメインの設置
外部CMSの場合:
- HubSpot以外のCMS(WordPress、Shopify等)で作成したページの場合、手動でトラッキングコードを設置する必要があります
- CMSのテーマ編集機能でHTMLテンプレートにコードを追加します
マルチドメインの場合:
- 埋め込みHubSpotフォームを含む外部ページのドメインは、追加のサイトドメインとして追加する必要があります
- 設定画面でドメインを登録することで、クロスドメイントラッキングが有効になります
4. カスタム行動イベントトラッキング
(1) カスタム行動イベントとは
カスタム行動イベントは、要素クリック、URL訪問、フォーム送信などユーザーの特定行動を追跡するイベントです。標準のページビュートラッキングに加えて、より詳細なユーザー行動を分析できます。
HubSpotでは、以下の3種類のカスタム行動イベントを作成できます:
- 要素クリックイベント: ボタン、リンク、画像などのクリックを追跡
- URL訪問イベント: 特定のURLへの訪問を追跡
- 手動トラッキング: API経由でカスタムイベントを送信
(2) 要素クリックイベントの設定
要素クリックイベントは、特定の要素(ボタン、リンク等)がクリックされたことを追跡します。
設定例:
- ダウンロードボタンのクリック
- 外部リンクへの遷移
- 動画再生ボタンのクリック
設定手順:
- HubSpotの「レポート」→「アナリティクスツール」→「カスタム行動イベント」を選択
- 「イベントを作成」をクリック
- 「要素クリックイベント」を選択
- トラッキングしたい要素のCSSセレクターを指定
- イベント名を設定して保存
(3) URL訪問イベントの設定
URL訪問イベントは、特定のURLへの訪問を追跡します。
設定例:
- サンキューページ(フォーム送信完了ページ)への訪問
- 特定の商品ページへの訪問
- 料金ページへの訪問
設定手順:
- 「カスタム行動イベント」で「URL訪問イベント」を選択
- トラッキングしたいURLパターンを指定(完全一致、部分一致、正規表現)
- イベント名を設定して保存
(4) API経由の手動トラッキング
APIを介してデータを送信することで、より複雑なイベントデータをキャプチャーできます。
活用例:
- アプリ内の特定アクション(ログイン、購入、プロフィール更新等)
- カスタムフォームの送信
- サードパーティシステムとの連携イベント
API経由のトラッキングには、HubSpot Analytics API、JavaScriptスニペット、またはサーバーサイド実装が必要です。詳細はHubSpot公式ドキュメントをご確認ください。
5. 訪問者データの分析と活用
(1) トラッキングURLとUTMパラメーター
トラッキングURLは、UTMパラメーター付きのURLで、マーケティングキャンペーンの効果測定に使用します。
UTMパラメーター:
utm_source: 流入元(Google、Facebook等)
utm_medium: メディア(cpc、email、social等)
utm_campaign: キャンペーン名
utm_content: コンテンツ(広告バリエーション等)
utm_term: 検索キーワード(有料検索の場合)
HubSpotのトラッキングURL作成ツールを使用すると、簡単にUTMパラメーター付きURLを生成できます。
(2) 訪問者レポートとダッシュボード
HubSpotの訪問者レポートでは、以下の情報を確認できます:
- ページビュー数: ページ別・期間別のビュー数
- 訪問者数: ユニーク訪問者数
- 流入経路: オーガニック検索、有料広告、ダイレクト、SNS等
- 訪問企業: 訪問した企業名(Breeze Intelligence機能)
- コンバージョン率: 訪問からコンタクト化・商談化までの率
ダッシュボードを作成することで、重要なKPIをリアルタイムで可視化できます。
(3) Breeze Intelligence(2024年新機能)によるコンバージョン前トラッキング
2024年に追加された「Breeze Intelligence」の「購入者の興味関心」機能により、コンバージョン前のWebサイト訪問者トラッキングが強化されました。
主な機能:
- 訪問企業の特定: 匿名訪問者でも企業名を特定
- 興味関心の分析: どのページ・コンテンツに関心があるか分析
- リード優先度の判定: 訪問行動から見込み度の高いリードを特定
これにより、HubSpotの弱点だった「コンバージョン前の訪問者追跡」が大幅に改善されています。
(4) マーケティングキャンペーン効果測定
トラッキングデータを活用することで、以下のようなキャンペーン効果測定が可能になります:
測定例:
- 広告キャンペーン: Google広告、Facebook広告の流入数・コンバージョン数・ROI
- メールキャンペーン: メール経由の訪問数・クリック率・コンバージョン率
- コンテンツマーケティング: ブログ記事別の流入数・エンゲージメント
- SNSマーケティング: SNS別の流入数・シェア数・コンバージョン率
6. まとめ:効果的なトラッキング運用のポイント
HubSpotトラッキングは、訪問者の行動を追跡し、マーケティング施策の効果を可視化するための重要な機能です。トラッキングコードを適切に設置し、カスタムイベントやトラッキングURLを活用することで、データドリブンなマーケティング戦略の立案が可能になります。
2024年の新機能「Breeze Intelligence」により、コンバージョン前の訪問者追跡が大幅に強化されており、匿名訪問者の企業特定が簡単になっています。また、プライバシー規制(GDPR等)への対応として、Cookie使用の同意取得が必須です。
次のアクション:
- HubSpotトラッキングコードが全ページに正しく設置されているか確認する
- Google Tag Managerでの一元管理を検討する
- カスタム行動イベントで重要なユーザー行動を追跡する
- トラッキングURLでキャンペーン効果を測定する
- Breeze Intelligence機能を活用して訪問企業を特定する
- プライバシーポリシーとCookie同意バナーを設置する
- 訪問者レポートを定期的に確認し、施策の改善に活用する
効果的なトラッキング運用により、マーケティングROIを最大化し、持続的な成果向上を目指しましょう。
よくある質問
Q1:HubSpotトラッキングコードの設置方法は?
A1:設定アイコン→トラッキングとアナリティクス→トラッキングコードで取得し、各ページの</body>タグ前に貼り付けます。Google Tag Manager経由での設置も可能です。外部CMSの場合は手動設置が必要です。
Q2:複数のトラッキングコードを1ページに設置できる?
A2:1ページに1つのみ設置可能です。複数設置すると最初に読み込まれたコードのみが作動します。複数アカウントでトラッキングする場合は、統合または別ドメインで運用を検討しましょう。
Q3:プライバシー規制(GDPR等)への対応は?
A3:Cookie使用について訪問者への適切な通知と同意取得が必要です。HubSpotのプライバシーポリシー設定でCookieバナーを表示し、訪問者の同意を管理しましょう。GDPR対応機能を活用して法令遵守を実現できます。
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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部
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