HubSpot無料版を始めたいけれど、本当に無料で十分な機能が使えるの?
マーケティング活動を効率化したいと考えているB2B企業の多くが、MAツール導入のコストに悩んでいます。「まずは試してみたいけれど、初期費用が気になる」「無料版と有料版の違いが分からない」といった疑問は尽きません。
この記事では、HubSpot無料版でできること、アカウント登録から初期設定までの手順、有料版との違い、導入時の注意点を解説します。
この記事のポイント:
- HubSpot無料版は最大100万件のコンタクト管理、月2,000通のメール配信が可能で、小規模企業には十分な機能がある
- 永久無料で利用可能(クレジットカード登録不要)、アカウント作成から5分程度で利用開始できる
- 無料版の制約は、ユーザー数5名まで、HubSpotロゴ表示、高度な自動化機能の制限など
- 月間リード獲得数が100件以上、メール送信数が2,000通を超えると有料版への移行が推奨される
- 有料プランは個別に選択可能(Marketing Hub、Sales Hub、Service Hubを必要に応じて追加)
1. HubSpot無料版とは?MAツールを無料で始められる理由
HubSpotは、世界的に利用されているCRM・MAツールで、無料版を提供することで多くの企業がマーケティング活動を効率化しています。
(1) HubSpotの概要とMA市場での位置づけ
HubSpotは、CRM(顧客関係管理)とMA(マーケティングオートメーション)を統合したプラットフォームです。営業活動の効率化(Sales Hub)、マーケティングキャンペーン管理(Marketing Hub)、カスタマーサービス(Service Hub)の3つの主要機能を提供しています。
日本国内のMA市場の動向(2024年):
- MA市場規模(BtoB市場)は約612億円(2024年)で、2033年には約1,272億円まで拡大する見込み
- 上場企業の9%がMA導入済み、導入率は約30%に達している
- BtoC企業だけでなく、中小企業にも導入が拡大中
HubSpotは、この成長市場で世界的に高いシェアを持つツールの一つです。
(2) なぜ無料版を提供しているのか(ビジネスモデル)
HubSpotが無料版を提供する理由は、「フリーミアム」モデルを採用しているためです。
フリーミアムモデルの仕組み:
- 基本機能を永久無料で提供し、多くの企業に利用してもらう
- 企業が成長し、より高度な機能が必要になった段階で有料プランにアップグレード
- 有料プランの収益で事業を継続・成長させる
無料版でも、基本的な顧客管理・メール配信・フォーム作成など、小規模企業が必要とする機能は十分に利用できます。HubSpotは「まず使ってみて、価値を実感してから有料版を検討してもらう」というアプローチを取っています。
2. HubSpot無料版でできること(機能と制約の全容)
HubSpot無料版は、基本的なマーケティング活動と顧客管理をカバーする機能が揃っています。
(1) 顧客管理機能(最大100万件のコンタクト、カスタムプロパティ10件)
HubSpot無料版では、最大100万件のコンタクト(顧客・見込み客の情報)を登録できます。
顧客管理の主要機能:
- コンタクト情報の一元管理(名前、メールアドレス、電話番号、企業名など)
- カスタムプロパティ10件まで(業種、従業員数、導入予定時期など、独自の項目を追加可能)
- 動的リスト5件まで(条件に基づいて自動更新されるリスト)
- 静的リスト25件まで(手動で管理する固定リスト)
例えば、「業種が製造業で、従業員数が100人以上の企業」といった条件で動的リストを作成し、ターゲットを絞ったメール配信が可能です。
(2) メール配信(月2,000通、HubSpotロゴ付き)
HubSpot無料版では、月2,000通までのメール配信が可能です。
メール配信の主要機能:
- HTMLメールのテンプレート作成
- パーソナライゼーション(受信者の名前や企業名を自動挿入)
- 開封率・クリック率の分析
- A/Bテスト(件名や本文を複数パターンで比較)
制約:
- 月2,000通までの送信制限(リスト全体が2,000件を超える場合、全員に送れない)
- HubSpotロゴがメールに自動的に表示される(ブランディングに影響する可能性がある)
月間リード数が100件未満の企業であれば、2,000通の制限でも十分なケースが多いです。
(3) フォーム作成とポップアップ機能
無料版では、Webサイトに設置するフォーム(問い合わせフォーム、資料請求フォームなど)を作成できます。
フォーム機能:
- 標準フォーム・ポップアップフォームの作成
- 入力項目のカスタマイズ(名前、メール、電話、業種など)
- 送信後の自動メール(サンクスメール)設定
- フォーム送信データを自動的にコンタクトとして登録
ポップアップ機能を使うと、サイト訪問者に資料ダウンロードやニュースレター登録を促すことができます。
(4) ミーティング予約とチャット機能
無料版では、ミーティング予約機能とチャット機能が利用できます。
ミーティング予約機能:
- Googleカレンダー・Outlookと連携(1カレンダーまで)
- 営業担当者の空き時間を自動的に表示
- 見込み客が自分で都合の良い時間を選んで予約可能
チャット機能:
- Webサイトにチャットウィジェットを設置
- Facebook Messengerとの連携
- リアルタイムでの顧客対応
これにより、営業担当者とのミーティング調整の手間が削減され、見込み客の離脱を防げます。
(5) 無料版の制約(ユーザー数5名まで、動的リスト5件、静的リスト25件)
HubSpot無料版には、以下の制約があります。
主要な制約:
- ユーザー数: 最大5名まで(6名以上で利用する場合は有料版が必要)
- 動的リスト: 5件まで(条件に基づいて自動更新されるリスト)
- 静的リスト: 25件まで(手動で管理する固定リスト)
- カスタムプロパティ: 10件まで(独自の項目)
- HubSpotロゴ: メールやフォームに自動的に表示される(削除は有料版のみ)
- カスタマーサポート: ナレッジベースとコミュニティーのみ(チャット・メール・電話サポートは有料版のみ)
小規模企業やスタートアップであれば、これらの制約内で十分な成果を上げられるケースが多いです。
3. アカウント登録から初期設定まで(5つのステップ)
HubSpot無料版のアカウント登録から初期設定までの手順を解説します。
(1) ステップ1:公式サイトからアカウント作成
HubSpot公式サイト(https://www.hubspot.jp/)にアクセスし、「無料で始める」ボタンをクリックします。
アカウント作成の手順:
- メールアドレスを入力
- パスワードを設定
- 企業名・業種・従業員数などの基本情報を入力
クレジットカード登録は不要で、数分でアカウント作成が完了します。
(2) ステップ2:基本情報の入力とプロフィール設定
アカウント作成後、プロフィール設定を行います。
プロフィール設定の内容:
- 企業のロゴ・カラーテーマ設定
- タイムゾーン・通貨設定(日本円、JST)
- 通知設定(メール通知のオン/オフ)
これにより、HubSpot内の表示が自社のブランドに合ったデザインになります。
(3) ステップ3:コンタクト情報のインポート
既存の顧客リスト(Excel、CSVファイル)をインポートします。
インポート手順:
- HubSpotの「コンタクト」メニューから「インポート」を選択
- CSVファイルをアップロード
- ファイルの列(名前、メール、電話など)をHubSpotのプロパティにマッピング
- インポート実行
インポートにより、既存の顧客データをHubSpotで一元管理できるようになります。
(4) ステップ4:メール・フォーム設定
メールテンプレートとフォームを作成します。
メール設定:
- 「マーケティング」→「Eメール」からテンプレート作成
- 件名・本文・デザインを設定
- パーソナライゼーション({名前}、{企業名}など)を挿入
フォーム設定:
- 「マーケティング」→「フォーム」から新規作成
- 入力項目を追加(名前、メール、電話、業種など)
- 送信後のサンクスメール設定
- Webサイトに埋め込むコードを取得
フォームをWebサイトに設置することで、自動的にリード情報が収集されます。
(5) ステップ5:チームメンバーの招待と権限設定
チームメンバーをHubSpotに招待し、権限を設定します。
招待手順:
- 「設定」→「ユーザーとチーム」から「ユーザーを追加」
- メンバーのメールアドレスを入力
- 権限レベルを設定(管理者、営業担当者、閲覧のみなど)
無料版では最大5名まで招待できるため、マーケティング・営業・カスタマーサポートの担当者を含めることが可能です。
4. 無料版と有料版の違い(アップグレードのタイミング)
HubSpotには無料版と複数の有料プランがあり、企業の成長に応じて段階的にアップグレードできます。
(1) 機能面の違い(自動化・カスタマーサポート・HubSpotロゴ)
無料版と有料版の主な違いは以下の通りです。
無料版の機能:
- 顧客管理(最大100万件)
- 月2,000通のメール配信(HubSpotロゴ付き)
- フォーム作成、ミーティング予約、チャット機能
- 基本的なレポート機能
有料版の追加機能:
- 高度な自動化機能: ワークフロー(リード育成の自動化)、リードスコアリング(見込み客の関心度を数値化)
- カスタムレポート作成: 独自のKPIダッシュボード作成
- HubSpotロゴの削除: メール・フォームからHubSpotロゴを削除可能
- カスタマーサポート: チャット・メール・電話サポート
- 高度なSEOツール: コンテンツ最適化、競合分析
有料版では、「マーケティング・営業活動の可視化と管理」だけでなく、「自動化と最大化」が実現できます。
(2) 有料プランの種類(Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub)
HubSpotの有料プランは、機能群(Hub)ごとに個別に選択できます。
主要な有料プラン:
- Marketing Hub: マーケティング活動の自動化(メールキャンペーン、ランディングページ作成、SEOツール)
- Sales Hub: 営業活動の効率化(商談管理、パイプライン可視化、メール追跡)
- Service Hub: カスタマーサポートの効率化(チケット管理、ナレッジベース、顧客フィードバック収集)
- Content Hub: コンテンツ管理(Webサイト構築、ブログ管理)
- Operations Hub: データ統合・自動化(他ツールとの連携、データクリーニング)
必要なHubだけを選択することで、コストを最適化できます。
(3) アップグレードすべきタイミング(リード獲得拡大、メール送信数不足、高度な自動化が必要)
以下のような状況になった場合、有料版へのアップグレードが推奨されます。
アップグレードのタイミング:
- メール送信数が月2,000通を超える: より大規模なメールキャンペーンが必要
- 月間リード獲得数が100件以上: リード育成の自動化(ワークフロー)が必要
- ユーザー数が6名以上: チームが拡大し、より多くのメンバーでの利用が必要
- 高度な自動化が必要: リードスコアリング、商談成約率の向上を目指したい
- HubSpotロゴの削除: ブランディング上、自社ロゴのみを表示したい
通常、企業が成長し、月間リード獲得数が100件以上になった段階で、有料版への移行を検討するケースが多いです。
(4) 2024年3月の価格改定(シートベースモデル)
2024年3月5日から、HubSpotは新しいシートベースの価格モデルを導入しました。
新しい価格モデルの特徴:
- ユーザー数(シート数)に応じて料金が変動
- より柔軟な料金体系で、必要な機能だけを選択可能
- 無料版は引き続き永久無料で利用可能
有料版への移行を検討する際は、公式サイト(https://www.hubspot.jp/pricing/crm)で最新の料金プランを確認することが推奨されます。
5. 実際の活用事例と導入時の注意点
HubSpot無料版は、小規模企業・スタートアップを中心に多くの企業が活用しています。
(1) 小規模企業・スタートアップの活用事例
活用事例1: B2B SaaS企業(従業員10名)
- 月間リード獲得数: 50件
- 無料版で顧客情報を一元管理し、月1回のニュースレター配信
- フォーム経由でのリード獲得を自動化
- 成果: リード管理の工数を50%削減、商談化率が20%向上
活用事例2: コンサルティング企業(従業員5名)
- ミーティング予約機能を活用し、営業担当者の調整工数を削減
- チャット機能でWebサイト訪問者とリアルタイム対話
- 成果: ミーティング設定時間を70%削減、問い合わせ率が15%向上
これらの事例では、無料版でも十分な成果を上げています。
(2) 無料版で実現できるマーケティング施策の範囲
無料版で実現できる主なマーケティング施策は以下の通りです。
実現可能な施策:
- 顧客情報の一元管理(スプレッドシートからの脱却)
- 月1-2回のニュースレター配信(月2,000通以内)
- Webサイトへのフォーム設置とリード獲得
- 営業担当者とのミーティング予約の自動化
- チャットでの問い合わせ対応
無料版では難しい施策:
- 大規模なメールキャンペーン(月2,000通を超える配信)
- リード育成の自動化(ステップメール、リードスコアリング)
- 高度なパーソナライゼーション(行動履歴に基づくコンテンツ出し分け)
- カスタムレポート作成(独自のKPIダッシュボード)
無料版は「マーケティング・営業活動の可視化と管理」には十分ですが、「自動化と最大化」には有料版が必要です。
(3) 導入時の注意点(HubSpotロゴ表示、メール送信数制限、サポートの制約)
HubSpot無料版を導入する際、以下の点に注意してください。
注意点:
- HubSpotロゴ表示: メール・フォームにHubSpotロゴが自動的に表示されるため、ブランディングに影響する可能性がある
- メール送信数制限: 月2,000通を超えると配信できないため、リスト全体が2,000件を超える場合は計画的な配信が必要
- カスタマーサポート: ナレッジベースとコミュニティーのみで、チャット・メール・電話サポートは有料版のみ
- 機能制限: 高度な自動化機能やカスタムレポート作成は利用できない
特にメール送信数の制限は、企業の成長に伴って早期に上限に達する可能性があるため、リード獲得計画と合わせて検討することが重要です。
6. まとめ:HubSpot無料版を始めるべき企業と次のアクション
HubSpot無料版は、永久無料で利用可能なCRM・MAツールで、小規模企業やスタートアップが基本的なマーケティング活動を効率化するには十分な機能があります。
HubSpot無料版が向いている企業:
- 従業員5-20名の小規模企業・スタートアップ
- MAツールを初めて導入する企業(まず試してみたい)
- 月間リード獲得数50件以下、メール配信数2,000通以下の企業
- 初期費用を抑えてCRM・MAツールを導入したい企業
導入判断のポイント:
- 月間リード獲得数とメール配信数の見込み(2,000通以内に収まるか)
- ユーザー数(5名以内か)
- 必要な機能(基本的な顧客管理・メール配信で十分か、高度な自動化が必要か)
次のアクション:
- HubSpot公式サイト(https://www.hubspot.jp/)で無料アカウントを作成する
- 既存の顧客リストをインポートし、実際に操作してみる
- フォームを作成し、Webサイトに設置する
- メールテンプレートを作成し、ニュースレター配信を試す
- 月間リード獲得数が増えたら、有料版へのアップグレードを検討する
HubSpot無料版は、クレジットカード登録不要で永久無料です。まずは実際に使ってみて、自社のマーケティング活動に合うかを確認してみましょう。
