ホスティングサービスとは?種類・選び方・導入時の注意点を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/22

ホスティングサービスとは|なぜ企業に必要なのか

「自社のWebサイトやアプリを公開したいけれど、サーバーをどこに置けばいいか分からない」「共用サーバーと専用サーバーの違いは?」——B2Bデジタルプロダクト企業の情報システム担当者や開発担当者の多くが、こうした疑問を抱えています。

ホスティングサービスとは、インターネット経由でサーバーをレンタルして利用できるサービスのことです。自社でサーバーを購入・設置・運用する必要がなく、ベンダーが提供するサーバー環境を月額料金で利用できます。IDC Japanの調査によると、国内ホスティング市場は2018年に1兆2,923億円、2022年には1兆7,976億円に達すると予測されており、特にクラウド型サービスが急拡大しています(約4,000億円から1兆円超)。

世界市場でも成長は著しく、Fortune Business Insightsの調査では、2024年に1,264億1,000万ドル、2032年までに5,270億7,000万ドルに達する見込みです(CAGR 19.7%)。この記事では、ホスティングサービスの基礎知識から種類別の特徴、選び方、導入時の注意点まで、実務担当者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • ホスティングサービスはインターネット経由でサーバーをレンタルするサービス(初期コスト削減・保守不要)
  • 共用・専用・VPS・クラウドの4種類があり、サイト規模・予算・技術力により選定
  • 国内市場は2022年に1.8兆円、世界市場は2024年に1,264億ドルの規模
  • サーバータイプ・スペック・サポート体制・セキュリティ対策が選定の重要ポイント
  • ベンダー障害リスクとコスト管理が導入時の注意点

ホスティングサービスの基礎知識

(1) ホスティングサービスの定義と仕組み

ホスティングサービスは、ベンダーが運営するサーバーをインターネット経由でレンタルするサービスです。以下の特徴があります。

基本的な仕組み:

サーバー環境の提供: ベンダーがデータセンターで管理するサーバー(物理サーバーまたは仮想サーバー)を、利用者がインターネット経由で利用します。

保守・運用をベンダーが担当: サーバーの保守、OS・ミドルウェアのアップデート、セキュリティパッチ適用などはベンダーが実施。利用者はWebサイトやアプリの運営に専念できます。

月額課金モデル: 初期費用が無料〜数千円、月額数百円〜数万円が一般的。従量課金型(クラウド)もあります。

マルチコミュニケーション: メール・電話・Web会議など複数の手段でサポートを受けられるサービスが増えています。

主な用途:

  • 企業Webサイトの公開
  • ECサイトの運営
  • SaaS・Webアプリのホスティング
  • メールサーバーの運用
  • 開発・テスト環境の構築

(2) ハウジング(コロケーション)・クラウドとの違い

ホスティングと混同されやすいサービスとの違いを整理します。

ホスティングサービス: ベンダーのサーバーをレンタル。初期コストが低く、保守不要。ベンダーの仕様に従う必要がある。

ハウジング(コロケーション): 自社のサーバーをベンダーのデータセンターに設置。完全な自由度があるが、サーバー購入費・運用費が高額。自社で保守・運用が必要。

クラウドサービス(IaaS・PaaS・SaaS): 仮想環境上のリソース(サーバー・ストレージ・アプリ)を提供。柔軟な拡張性があり、従量課金が一般的。リソースの増減が容易だが、コスト予測が難しい場合もある。

比較表:

項目 ホスティング ハウジング クラウド
サーバー所有 ベンダー 自社 ベンダー(仮想)
初期コスト 低〜中
月額コスト 固定(数百円〜数万円) 高(数万円〜) 従量(変動)
保守・運用 ベンダー 自社 ベンダー
拡張性 低〜中 非常に高い
カスタマイズ性 低〜中 非常に高い

(3) ホスティング市場の動向(国内1.8兆円、世界1,264億ドル)

ホスティングサービス市場は国内外で急成長しています。

国内市場(IDC Japan調査):

  • 2018年: 1兆2,923億円
  • 2022年予測: 1兆7,976億円
  • クラウド型サービス: 約4,000億円(2017年)→1兆円超(2022年)に急拡大
  • 非クラウド型: 緩やかに減少

日本の企業・公共機関は国内ホスティングサービスを好む傾向があり、外資系ベンダーも国内拠点を拡大中です。

世界市場(Fortune Business Insights調査):

  • 2024年: 1,264億1,000万ドル
  • 2032年予測: 5,270億7,000万ドル(CAGR 19.7%)
  • 北米が41.25%のシェアを占める

主要トレンド:

クラウド型の急拡大: 従来の物理サーバー型から、柔軟に拡張できるクラウド型ホスティングへの移行が加速しています。

マネージドサービスの拡充: セキュリティ対策、バックアップ、監視、最適化などをベンダーが包括的に提供するマネージドサービスが増加。

24時間サポート体制の標準化: B2B企業向けに、メール・電話・Web会議による24時間サポートが一般的になっています。

ホスティングサービスの種類と特徴

(1) 共用ホスティング(低コスト・制約あり)

1台のサーバーを複数ユーザーで共有する形態です。

メリット:

  • 低価格: 月額数百円〜数千円で利用可能
  • 保守不要: ベンダーが一括管理
  • 初心者向け: 技術知識が不要

デメリット:

  • 他ユーザーの影響: 他のユーザーが大量アクセスを集めると、自サイトも影響を受ける
  • サーバー権限が制限: root権限がなく、カスタマイズが限定的
  • リソース制限: ストレージ・メモリ・CPU・帯域幅に上限がある

向いているケース:

  • 小規模Webサイト(月間1万PV未満)
  • スタートアップの初期段階
  • 個人ブログ・企業の情報サイト

(2) 専用ホスティング(高性能・高額)

1台のサーバーを1ユーザーが専有する形態です。

メリット:

  • 高性能: サーバーリソースを独占できる
  • 高い自由度: root権限があり、OS・ミドルウェアのカスタマイズが可能
  • 安定性: 他ユーザーの影響を受けない

デメリット:

  • 高額: 月額1万〜3万円(さらに高額なケースもある)
  • 技術知識が必要: サーバー管理の専門知識が必要(マネージドサービスもある)

向いているケース:

  • 大規模Webサイト(月間10万PV以上)
  • 高負荷なアプリケーション
  • セキュリティ要件が高い企業
  • 独自のサーバー構成が必要なケース

(3) VPS(柔軟性が高い)

VPS(Virtual Private Server)は、物理サーバーを仮想マシンで分割し、各ユーザーに専用サーバー相当の環境を提供する形態です。

メリット:

  • 柔軟性: root権限があり、OSから自由にカスタマイズ可能
  • コストパフォーマンス: 専用サーバーより低価格(月額数千円〜1万円程度)
  • 拡張性: リソース(メモリ・CPU)を段階的に増強できる

デメリット:

  • 技術知識が必要: サーバー管理の知識が必要
  • 物理サーバーより劣る: 同一物理サーバー上の他VPSの影響を若干受ける可能性

向いているケース:

  • 中規模Webサイト(月間1万〜10万PV)
  • 開発・テスト環境
  • 技術力がある企業(エンジニア在籍)
  • 将来的な拡張を見込むスタートアップ

(4) クラウドホスティング(拡張性に優れる)

クラウド環境上の仮想サーバーを利用する形態です(AWS、Azure、GCPなど)。

メリット:

  • 高い拡張性: 数分でサーバーリソースを増減できる
  • 従量課金: 使った分だけ支払う(コスト最適化が可能)
  • 高可用性: 複数のデータセンターで冗長構成を組める
  • 豊富なサービス: データベース・ストレージ・AI・分析ツールなどを統合利用

デメリット:

  • コスト予測が難しい: アクセス増加で急激にコストが上昇する場合がある
  • 技術知識が必要: クラウドサービスの専門知識が必要
  • 複雑な料金体系: サービスごとに細かい従量課金があり、管理が煩雑

向いているケース:

  • 急成長が見込まれるサービス
  • トラフィックが変動するサイト(キャンペーン時など)
  • グローバル展開を視野に入れている企業
  • マイクロサービス・コンテナ基盤の構築

ホスティングサービスの選び方

(1) サーバータイプの選定基準(サイト規模・予算・技術力)

サイトの規模・予算・技術力に応じて最適なサーバータイプを選定します。

サイト規模別の選定基準:

小規模(月間PV 1万未満): 共用ホスティングが推奨。月額数百円〜数千円で利用でき、初期コストを抑えられます。

中規模(月間PV 1万〜10万): VPSが推奨。月額数千円〜1万円で柔軟性と拡張性を確保できます。

大規模(月間PV 10万以上): 専用ホスティングまたはクラウドホスティングが推奨。専用は月額1万〜3万円で安定性重視、クラウドは従量課金で拡張性重視。

予算別の選定基準:

  • 月額1,000円未満: 共用ホスティング
  • 月額1,000円〜1万円: VPS
  • 月額1万円以上: 専用ホスティング or クラウド

技術力別の選定基準:

  • 技術知識なし: 共用ホスティング(マネージド型)
  • 基本的なサーバー管理が可能: VPS
  • 専門知識あり: 専用ホスティング or クラウド

(2) スペック確認項目(ストレージ・メモリ・CPU・帯域幅)

ホスティングサービスのスペックを確認する際の重要項目です。

ストレージ容量: Webサイトのファイル、画像、動画、データベースを保存する容量。目安: 小規模サイトは10GB〜、中規模は50GB〜、大規模は100GB以上。

メモリ(RAM): アプリケーションの処理速度に影響。目安: 小規模は1GB〜、中規模は2〜4GB、大規模は8GB以上。

CPU: 処理能力を示す指標(コア数・クロック周波数)。高負荷なアプリでは複数コアが必要。

帯域幅(バンド幅): データ転送量の上限。目安: 小規模は月間100GB〜、中規模は月間500GB〜、大規模は無制限プランが推奨。

その他の確認項目:

  • SSL証明書の無料提供
  • 自動バックアップ機能
  • データベース(MySQL・PostgreSQL)のサポート
  • 複数ドメインの管理

(3) サポート体制とセキュリティ対策の確認

サポート体制:

  • 24時間365日サポートの有無
  • 対応手段(メール・電話・チャット・Web会議)
  • 日本語サポートの有無(海外ベンダーは要確認)
  • 初期設定支援・移行支援の提供

セキュリティ対策:

  • ファイアウォールの設定
  • DDoS攻撃対策
  • SSL/TLS証明書の提供
  • 定期的なセキュリティパッチ適用
  • バックアップ・災害復旧体制
  • ログ監視・異常検知

セキュリティ対策が充実し、24時間サポート体制のあるベンダーを選ぶことが、安定運用の鍵となります。

ホスティングサービス導入時の注意点

(1) セキュリティ対策と障害リスクへの備え

セキュリティ対策:

ホスティングサービスはインターネット経由のため、常にセキュリティリスクにさらされています。以下の対策を確認しましょう。

  • ベンダーのセキュリティ認証取得状況(ISO 27001等)
  • 定期的な脆弱性診断の実施
  • SSL/TLS証明書の自動更新
  • 2段階認証・IPアドレス制限の設定

障害リスクへの備え:

ベンダーの障害やメンテナンスによりサービスが一時停止する可能性があります。

  • SLA(Service Level Agreement)の確認(稼働率99.9%以上が目安)
  • 障害時のサポート体制(緊急連絡先・復旧時間の目安)
  • バックアップの自動取得と復元手順の確認
  • 複数データセンターでの冗長構成(クラウドの場合)

(2) コスト管理(初期費用・月額費用・拡張時のコスト)

初期費用と月額費用:

  • 初期費用: 無料〜数千円(共用・VPS)、数万円(専用)
  • 月額費用: 数百円〜数千円(共用)、数千円〜1万円(VPS)、1万〜3万円(専用)、従量課金(クラウド)

拡張時のコスト:

共用ホスティングからVPSへの移行、VPSから専用サーバーへの移行など、サイト成長に応じた拡張が必要です。移行時のコスト(移行作業費・データ移行費)を事前に確認しましょう。

クラウドの従量課金リスク:

クラウドホスティングは従量課金のため、予期しないアクセス増加でコストが急上昇する場合があります。予算アラート機能を設定し、定期的にコストを監視することが重要です。

(3) ベンダー依存とサービス継続性のリスク

ベンダーロックインのリスク:

特定のベンダーに依存すると、将来的な移行が困難になる場合があります。

  • データのエクスポート機能の確認
  • 標準的な技術(Linux・Apache・MySQL等)を採用しているか
  • 他ベンダーへの移行実績・移行手順の公開状況

サービス継続性のリスク:

ベンダーの経営状況やサービス終了のリスクを考慮しましょう。

  • ベンダーの実績・信頼性(運営年数・導入実績)
  • サービス終了時の移行支援の有無
  • 定期的なバックアップの取得(ローカルにも保存)

まとめ|用途別ホスティングサービスの選定基準

ホスティングサービスは、インターネット経由でサーバーをレンタルするサービスで、初期コストを抑え、保守不要で利用できる点が大きなメリットです。共用・専用・VPS・クラウドの4種類があり、サイト規模・予算・技術力に応じて選定します。

国内市場は2022年に1.8兆円、世界市場は2024年に1,264億ドルの規模で、特にクラウド型が急拡大しています。サーバータイプ・スペック・サポート体制・セキュリティ対策を確認し、セキュリティリスクと障害リスクへの備えを忘れずに導入しましょう。

用途別ホスティングサービスの選定基準:

小規模Webサイト(月間PV 1万未満):

  • サーバータイプ: 共用ホスティング
  • 費用: 月額数百円〜数千円
  • 選定ポイント: 初期費用無料、SSL証明書無料、自動バックアップ

中規模Webサイト(月間PV 1万〜10万):

  • サーバータイプ: VPS
  • 費用: 月額数千円〜1万円
  • 選定ポイント: root権限、拡張性、サポート体制

大規模Webサイト・高負荷アプリ(月間PV 10万以上):

  • サーバータイプ: 専用ホスティング or クラウド
  • 費用: 月額1万〜3万円(専用)、従量課金(クラウド)
  • 選定ポイント: 高可用性、24時間サポート、セキュリティ対策

急成長・変動負荷が大きいサービス:

  • サーバータイプ: クラウドホスティング
  • 費用: 従量課金
  • 選定ポイント: 拡張性、従量課金管理、グローバル展開対応

次のステップ:

  • 自社のWebサイト・アプリの規模とトラフィックを確認
  • サーバータイプ(共用・専用・VPS・クラウド)の候補を3つ絞る
  • 各ベンダーの公式サイトでスペック・料金・サポート体制を比較
  • 無料トライアル(ある場合)で実際の操作性を確認
  • セキュリティ対策とSLAを確認し、最終決定

ホスティングサービスは、適切に選定すれば初期コストを抑えながら安定したWebサイト・アプリ運営を実現できます。本記事の選定基準を活用し、自社に最適なサービスを見つけましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。ホスティングサービスの仕様や料金は変更される可能性があるため、最新情報は各ベンダーの公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1ホスティングサービスとハウジング(コロケーション)の違いは?

A1ホスティングはベンダーのサーバーをレンタルする形態で、初期コストが低く保守不要です。ハウジングは自社サーバーをデータセンターに設置する形態で、完全な自由度がありますが、サーバー購入費と運用費が高額で、自社で保守・運用が必要です。初期コストとカスタマイズ性のトレードオフで選択します。

Q2ホスティングサービスとクラウドサービスの違いは?

A2ホスティングは物理サーバーのレンタルで固定リソースを月額料金で利用します。クラウドは仮想環境上のリソースを提供し、柔軟な拡張性があり従量課金が一般的です。クラウドは急激なトラフィック増加に対応しやすいですが、コスト予測が難しい場合があります。安定した固定負荷ならホスティング、変動負荷ならクラウドが適しています。

Q3共用・専用・VPS・クラウドのどれを選ぶべき?

A3小規模サイト(月間PV 1万未満)は共用ホスティング(月額数百円〜)、大規模・高負荷サイトは専用ホスティング(月額1万〜3万円)、柔軟性重視ならVPS(月額数千円〜1万円)、急成長見込みや変動負荷が大きい場合はクラウドホスティング(従量課金)が推奨されます。サイト規模・予算・技術力により判断してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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