ETLとは?データ連携の仕組み・ELTとの違い・ツール選定を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/17

ETLとは何か?データ統合を実現する3つのプロセス

ETL(Extract, Transform, Load)とは、複数のデータソースからデータウェアハウス(DWH)や分析プラットフォームにデータを移動するための処理です。Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の3つのプロセスで構成され、企業のデータ統合・データ基盤構築において不可欠な役割を果たします。

B2B企業のデータエンジニアや情報システム担当者の多くが、「データが複数のシステムに散在している」「データの形式がバラバラで統合できない」「データ統合に時間がかかりすぎる」という課題を抱えています。この記事では、ETLの基本概念から、ELTとの違い、導入メリット・デメリット、主要ツールの比較まで技術者向けの実践的情報を網羅します。

この記事のポイント:

  • ETLはExtract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の3つのプロセスで構成
  • ETLツール導入により、データ統合の工数・時間を大幅に削減できる
  • ノーコードで設定できるETLツールが主流となり、非エンジニアでも扱いやすくなっている
  • ETLは変換してからロード、ELTはロードしてから変換する点が異なる
  • 2024年時点で23.66%の企業がETL/データ連携ツールを活用しており、今後も導入が加速

1. なぜデータ基盤構築にETLが不可欠なのか

データ基盤構築にETLが不可欠とされる背景には、以下のような課題があります。

データが散在している:

  • Oracle Database、Microsoft SQL Server、Salesforce、Google Analytics等の複数のデータソースにデータが分散
  • データを手動で集約するのに時間がかかる
  • データの整合性が取れず、分析結果が信頼できない

データの形式がバラバラ:

  • 日付形式(2024/01/01 vs 2024-01-01)、表記ゆれ(株式会社 vs (株))、単位(円 vs 万円)等の不統一
  • そのままでは分析や業務活用に適さない
  • データクレンジング(データの重複、欠損、表記ゆれ等を解消)が必要

データ統合に専門知識が必要:

  • データソースごとに異なる接続方法・データ形式を理解する必要がある
  • SQL、Python等のプログラミング知識が必要
  • データエンジニアに依頼しないとデータ統合ができない

ETLツールを導入することで、これらの課題を解決し、データ統合の工数・時間を大幅に削減できます。

2. ETLの基礎知識と3つの処理フロー

ETLの基本的な定義と、3つの処理フロー(Extract、Transform、Load)を詳しく解説します。

(1) ETL(Extract, Transform, Load)の定義

定義: ETLは、Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の略で、複数のデータソースからDWHや分析プラットフォームにデータを移動するための処理です。

ETLの目的:

  • データの統合: 複数のデータソースからデータを一箇所に集約
  • データの標準化: データの形式を統一し、分析や業務活用に適した形に変換
  • データの品質向上: データクレンジングやバリデーションで高品質なデータを作成

ETLが使われる場面:

  • DWH(データウェアハウス)の構築
  • BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールへのデータ供給
  • データレイク・データマートの構築
  • システム間のデータ連携

(2) Extract:データソースからの抽出

Extract(抽出)とは: Oracle Database、Microsoft SQL Server、IBM DB2、Salesforce、Google Analytics等の複数のデータソースからデータを取得するプロセスです。

抽出の方法:

  • フルロード: データソース全体を取得(初回または定期的な全量更新)
  • 増分ロード: 前回取得以降の変更分のみを取得(日次バッチ処理等)
  • リアルタイム抽出: データの変更を即座に取得(CDC: Change Data Capture)

ETLツールのメリット: ETLツールを利用することで、データソースごとに求められた高度な専門知識をツール側で吸収できます。

(3) Transform:データクレンジングと変換

Transform(変換)とは: データの重複、欠損、表記ゆれなどを解消し、分析や業務活用に適した形式へと変換するプロセスです。

変換の種類:

データクレンジング:

  • 重複データの削除
  • 欠損データの補完または除外
  • 表記ゆれの統一(株式会社 → (株)、2024/01/01 → 2024-01-01)

データバリデーション:

  • データが正しい形式・範囲・整合性を持っているか検証
  • 不整合や欠損のあるデータを検出・修正

データ変換:

  • 日付形式の統一
  • 単位の統一(円 → 万円)
  • 通貨換算(USD → JPY)
  • 集計・計算(合計、平均、比率等)

データ統合:

  • 販売データと顧客データを統合することで多角的な分析が容易になる
  • より精度の高いマーケティング戦略や商品開発が可能になる

(4) Load:DWH・分析基盤への格納

Load(格納)とは: 変換したデータをターゲットデータベース(DWHやBIツール等)に書き出して格納するプロセスです。

格納の方法:

  • フルリプレース: 既存のデータを削除して全量を再格納
  • 追記(アペンド): 既存のデータに新しいデータを追加
  • 更新(アップサート): 既存のデータを更新し、新しいデータを追加

格納先の例:

  • DWH(データウェアハウス): Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake等
  • BIツール: Tableau、Power BI、Looker Studio等
  • データレイク: Amazon S3、Azure Data Lake等

3. ETLとELTの違いと使い分け

ETLとELTは処理の順序が異なります。それぞれの特徴と使い分けを理解しましょう。

(1) ETL:変換してからロードするアプローチ

ETLの処理順序:

  1. Extract(抽出): データソースからデータを取得
  2. Transform(変換): データを変換・クレンジング
  3. Load(格納): 変換済みデータをDWHに格納

ETLの特徴:

  • データをDWHに格納する前に変換するため、DWHの負荷が少ない
  • データ品質を事前に担保できる
  • 従来のオンプレミス環境で主流

ETLが適している場合:

  • データ品質を重視する場合
  • DWHの処理能力が限られている場合
  • 複雑な変換処理が必要な場合

(2) ELT:ロードしてから変換するアプローチ

ELTの処理順序:

  1. Extract(抽出): データソースからデータを取得
  2. Load(格納): 生データをDWHに格納
  3. Transform(変換): DWH内でデータを変換・クレンジング

ELTの特徴:

  • クラウドDWH(BigQuery、Redshift、Snowflake等)の高い処理能力を活かせる
  • 生データを保持できるため、後から分析要件が変わっても対応しやすい
  • 近年のクラウド環境で主流

ELTが適している場合:

  • クラウドDWHの処理能力を活かしたい場合
  • 分析要件が頻繁に変わる場合
  • 大量のデータを高速に処理したい場合

(3) クラウド時代の選択基準

クラウドDWHの普及によりELTが主流に:

  • BigQuery、Redshift、Snowflake等のクラウドDWHは、大量データの高速処理が可能
  • ELTでDWH内で変換することで、処理速度が向上

選択基準:

  • データ品質重視 → ETL
  • クラウドDWHの処理能力を活かす → ELT
  • 柔軟性重視(分析要件が変わる) → ELT

4. ETLツール導入のメリット・デメリット

ETLツール導入の具体的なメリット・デメリットを理解し、導入の判断材料にしましょう。

(1) メリット:業務効率化・データ品質向上・コスト削減

業務効率化・自動化:

  • ETLツールを導入することで、データの抽出・変換・蓄積の作業を自動化・標準化し、工数や時間を大幅に削減できる
  • 手作業でのデータ統合作業が不要になり、データエンジニアの負担が軽減

データ品質の向上:

  • データクレンジングやバリデーションをETLプロセス内で行うことで、不整合や欠損のあるデータを検出・修正できる
  • 高品質なデータによる信頼性の高い分析結果が得られる

ヒューマンエラーの削減:

  • 手作業でのデータコピー・貼り付けが不要になり、入力ミスや転記ミスを削減
  • 自動化により、処理の一貫性が保たれる

データ統合による包括的な分析:

  • 販売データと顧客データを統合することで多角的な分析が容易になる
  • より精度の高いマーケティング戦略や商品開発が可能になる

専門知識不要で扱いやすい:

  • ノーコードで設定できるETLツールが主流となり、データ統合に不慣れな非エンジニアでも扱いやすくなっている
  • GUI操作のみでデータ連携を設定できる

コスト削減:

  • データエンジニアの作業時間を削減し、人件費を削減
  • データ統合の速度が向上し、ビジネスの意思決定スピードが向上

(2) デメリット:導入コストと専門知識の必要性

導入コスト:

  • ETLツールの月額利用料(ツールや規模によって数千円〜数十万円)
  • 初期設定、データ連携、カスタマイズの費用
  • 保守・運用の継続的なコスト

専門知識の必要性:

  • ノーコード・ローコードのツールが増えているが、複雑なデータ変換には専門知識が必要な場合がある
  • ツール選定時にノーコード・ローコードの程度を確認する必要がある

データ品質の継続的な確認:

  • ETLツールで自動化しても、データの品質や整合性を定期的に確認する運用体制が必要
  • データソースの仕様変更に対応するため、定期的なメンテナンスが必要

対策:

  • 無料トライアルで実際に操作性を試す
  • 外部支援(コンサルタント、ベンダー)を活用してスムーズな立ち上げを目指す
  • 段階的に社内にノウハウを移転し、将来的には内製化を目指す

5. ETLツールの選び方と主要製品比較

自社に適したETLツールを選ぶため、国産ツールと海外製ツールの特徴を比較しましょう。

(1) 国産ツール vs 海外製ツールの特徴

国産ETLツールの特徴:

  • 日本語対応: 日本語のドキュメント、UI、サポートが充実
  • サポート: 直接サポートを受けられる、タイムゾーンの問題がない
  • 日本企業の業務に最適化: 日本特有の業務プロセス、データ形式(全角・半角、住所表記等)に対応

国産ETLツールの例:

  • Waha! Transformer: 純国産、日本語対応、サポート充実
  • Reckoner: ノーコード、初心者向け、直感的な操作
  • TROCCO: クラウドネイティブ、スケーラブル、BigQuery・Snowflake等との連携に強い

海外製ETLツールの特徴:

  • 高機能: エンタープライズ向けの高度な機能(複雑な変換、大規模データ処理等)
  • グローバル対応: 多言語・多通貨に対応
  • コミュニティ: 大規模なユーザーコミュニティがあり、情報が豊富

海外製ETLツールの例:

  • Talend Data Fabric: オープンソース版あり、エンタープライズ向け、高機能
  • Informatica PowerCenter: 老舗ETLツール、大企業向け、高度な変換機能
  • Stitch: SaaS型、シンプルで使いやすい、中小企業向け

(2) ノーコード・ローコード対応の確認ポイント

ノーコード・ローコード対応の重要性:

  • プログラミング知識不要で、GUI操作のみでデータ連携を設定できる
  • 非エンジニアでもETLツールを使いこなせる
  • 導入のハードルが下がり、短期間で運用を開始できる

確認ポイント:

1. GUI操作のみで設定できるか:

  • データソースとの接続設定
  • データ変換のルール設定
  • データの格納先設定

2. テンプレート・プリセットの有無:

  • よく使われるデータソース(Salesforce、Google Analytics等)のテンプレートがあるか
  • 一般的な変換処理(日付形式の統一、表記ゆれの修正等)のプリセットがあるか

3. 複雑な変換への対応:

  • ノーコードでどこまで対応できるか
  • 複雑な変換が必要な場合、SQL・Python等を使えるか(ローコード)

4. 学習コストの低さ:

  • ドキュメント・チュートリアルが充実しているか
  • 短期間で習得できるか

選定基準:

  • ノーコード対応: 非エンジニアが多い企業、シンプルなデータ連携
  • ローコード対応: 複雑な変換が必要、エンジニアリソースがある程度ある企業
  • フルコード: 大規模データ処理、高度な変換が必要、エンジニアリソースが豊富な企業

導入事例: 大阪ガス株式会社では、ETLツール導入によりデータ処理から分析に時間を再配分し、データ分析プロジェクトの規模拡大が可能になりました。

※ツール仕様は更新される可能性があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。(この記事は2025年1月時点の情報です)

6. まとめ:ETL導入を成功させるためのポイント

ETL導入を成功させるためのポイントをまとめます。

導入前の準備:

  • データソースとデータ格納先を明確にする
  • 必要なデータ変換処理をリストアップする
  • 予算とスケジュールを設定する

ツール選定:

  • ノーコード・ローコード対応の程度を確認する
  • 対応データソースの種類を確認する
  • 日本語サポートの有無を確認する(国産 vs 海外製)
  • スケーラビリティ(将来的なデータ量増加に対応できるか)を確認する

段階的導入:

  • 無料トライアルで実際に操作性を試す
  • 小規模なデータ連携から始めて、段階的に拡大する
  • 外部支援を活用し、スムーズな立ち上げを目指す

運用体制:

  • データ品質の定期的な確認体制を構築する
  • データソースの仕様変更に対応するため、定期的なメンテナンスを行う
  • 段階的に社内にノウハウを移転し、将来的には内製化を目指す

次のアクション:

  • 自社のデータ統合の課題を整理する
  • 3〜5社のETLツール公式サイトで詳細を確認する
  • 無料トライアルで実際に操作性を試す
  • 導入実績のある企業の事例を参考にする

ETLツールを適切に選定・導入することで、データ統合の工数・時間を大幅に削減し、データドリブンな意思決定を実現しましょう。

よくある質問:

Q: ETLとELTの違いは何? A: ETLは抽出→変換→格納の順で処理します。ELTは抽出→格納→変換の順です。クラウドDWHの処理能力を活かすならELT、データ品質重視ならETLが適しています。

Q: ETLツール導入にはどのくらいコストがかかる? A: ツールや規模により大きく異なります。無料版から月額数十万円まで幅広いです。国産ツールは日本語サポートが充実し、初期導入がスムーズです。

Q: ETLツール選びで重視すべきポイントは? A: ノーコード・ローコード対応の程度、対応データソースの種類、日本語サポートの有無、スケーラビリティの4点を優先的に確認してください。

よくある質問

Q1ETLとELTの違いは何?

A1ETLは抽出→変換→格納の順で処理します。ELTは抽出→格納→変換の順です。クラウドDWHの処理能力を活かすならELT、データ品質重視ならETLが適しています。

Q2ETLツール導入にはどのくらいコストがかかる?

A2ツールや規模により大きく異なります。無料版から月額数十万円まで幅広いです。国産ツールは日本語サポートが充実し、初期導入がスムーズです。

Q3ETLツール選びで重視すべきポイントは?

A3ノーコード・ローコード対応の程度、対応データソースの種類、日本語サポートの有無、スケーラビリティの4点を優先的に確認してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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