EC向けマーケティングオートメーション(MA)とは?導入効果・活用法・選定ポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

カゴ落ち・リピート離脱に悩んでいませんか?

ECサイトを運営していると、「カートに商品を入れたまま購入されない」「一度購入した顧客がリピートしない」という課題に直面することは少なくありません。実際、ジャストシステムの調査によると、約70%の顧客がカートに商品を入れたまま離脱しているというデータがあります。

この記事では、EC向けマーケティングオートメーション(MA)を活用することで、カゴ落ち対策やリピート促進をどのように自動化できるのか、具体的な活用法・メリット・選定ポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • EC向けMAはカート放棄対策・パーソナライズ・リピート促進を自動化
  • カゴ落ち率70%の損失を自動リマインドメールで削減できる
  • One to Oneマーケティングで顧客ごとに最適な情報を配信
  • 人件費削減・購入完了率向上・リピート率改善の3つのメリット
  • 必須機能はメール分析・配信予約・ステップメール・EC基盤連携

ECサイト向けMAの基礎知識

(1) マーケティングオートメーション(MA)とは

**マーケティングオートメーション(MA)**は、マーケティング活動を自動化する仕組みです。顧客の行動(サイト閲覧、カート追加、購入等)に基づいて、メール配信や広告表示を自動実行します。

EC向けMAの主な機能:

  • 顧客分析: 顧客の属性・行動・購買履歴を分析し、セグメント化
  • メッセージ配信: メール・LINE・SMS・アプリプッシュ通知などマルチチャネルで自動配信
  • ステップメール: あらかじめ設定したシナリオに沿って、顧客の行動や条件に応じて自動送信
  • レコメンド: 閲覧履歴や購入履歴に基づいて、関連商品を自動提案

(2) メール配信ツールとの違い

MAツールとメール配信ツールの違いは以下の通りです:

項目 メール配信ツール MAツール
配信方法 一斉配信が中心 顧客行動に基づく自動化・個別配信
パーソナライゼーション 限定的(名前差し込み程度) 行動・属性・購買履歴に基づく高度なパーソナライズ
セグメント化 手動でリスト作成 自動セグメント化(条件設定で動的に更新)
トリガー機能 手動でタイミング指定 顧客の行動をトリガーに自動送信(カート放棄、購入後等)
分析機能 開封率・クリック率の基本分析 コンバージョン追跡、ROI分析、顧客行動分析

(3) BtoB向けMAとEC向けMAの違い

BtoB向けMA:

  • リード育成(ナーチャリング)が中心
  • 長期的な商談プロセス(数ヶ月〜数年)
  • 営業チームとの連携(SFA/CRM連携)
  • ホワイトペーパーダウンロード、ウェビナー参加などの行動トラッキング

EC向けMA:

  • 購買促進とリピート購入が中心
  • 短期的な購買サイクル(数日〜数週間)
  • カート放棄対策、レコメンド、リテンション施策
  • 閲覧履歴、カート追加、購入履歴などの行動トラッキング

ECサイト運営者は、EC特化型のMAツールを選ぶことで、カート放棄対策やレコメンド機能をより効果的に活用できます。

なぜECサイトにマーケティングオートメーションが必要なのか

ECサイトにMAが必要とされる背景には、以下のような課題があります:

カゴ落ち率の高さ:

  • 約70%の顧客がカートに商品を入れたまま購入を完了しない
  • 手動でフォローアップするのは現実的に困難
  • 自動リマインドメールで購入完了を促す必要性

顧客の多様化:

  • 顧客ごとに興味関心・購買パターンが異なる
  • 一律のメール配信では反応率が低い
  • パーソナライズされた情報提供が求められる

リピート購入促進:

  • 新規顧客獲得コストは既存顧客維持の5倍と言われている
  • リピート顧客を増やすことが収益性向上の鍵
  • 購入後のフォローアップを自動化する必要性

人手不足と業務効率化:

  • 小規模チームでは手動で顧客対応しきれない
  • マーケティング業務の自動化で人件費削減
  • データ分析に基づく効率的な施策実施

これらの課題を解決するため、EC向けMAツールの導入が注目されています。

EC向けMAで実現できる4つの活用パターン

(1) カート放棄対策(リマインドメール自動送信)

実装方法:

  • カートに商品を入れたまま一定時間(例:24時間)経過した顧客に自動でリマインドメールを送信
  • メールには「カートに残っている商品」の画像・価格・リンクを記載
  • 割引クーポンを同封して購入を促すケースもある

効果:

  • カゴ落ち率70%の損失を削減
  • 購入完了率の向上(数%〜10%程度の改善が期待できる)

具体例:

  • 「お客様がカートに追加された商品がまだお待ちしています。今すぐご購入で送料無料!」
  • 「お見逃しなく!カートの商品が残り1点になりました」

(2) パーソナライズされた商品レコメンド

実装方法:

  • 顧客の閲覧履歴や購入履歴に基づいて、関連商品や類似商品を自動提案
  • One to Oneマーケティングを実現し、顧客が最も必要とする情報を適切に届ける
  • メール、サイト内ポップアップ、プッシュ通知など複数チャネルで配信

効果:

  • クロスセル・アップセルの機会増加
  • 顧客エンゲージメントの向上
  • 購入単価の向上

具体例:

  • 「〇〇をご購入のお客様には、こちらの商品もおすすめです」
  • 「最近チェックした商品に関連するアイテムをご紹介」

(3) 顧客セグメント別の特別オファー配信

実装方法:

  • 顧客をセグメント化(購買頻度、購入金額、最終購入日等)
  • 特定条件を満たした顧客に対して特別オファーや値下げ情報を自動提示
  • 「過去3ヶ月購入のない顧客」「高額商品を購入した顧客」など動的にセグメント更新

効果:

  • ターゲティング精度の向上
  • マーケティングコストの最適化(無駄な配信を削減)
  • 反応率・コンバージョン率の改善

具体例:

  • 「しばらくご利用がないお客様へ、特別クーポンをご用意しました」
  • 「VIP会員様限定:先行セール開催のご案内」

(4) リピート購入促進とリテンション施策

リテンションは、既存顧客を維持し、リピート購入を促進する活動です。MAツールはリテンション向上に有効です。

実装方法:

  • 購入後のフォローメール(お礼・使い方ガイド・レビュー依頼)を自動送信
  • 定期購入リマインド(健康食品・化粧品など消耗品)
  • 誕生日クーポン、アニバーサリーメールの自動配信

効果:

  • リピート率の向上
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化
  • 顧客ロイヤリティの向上

具体例:

  • 「ご購入ありがとうございます。次回使える10%OFFクーポンをプレゼント」
  • 「そろそろ補充時期です。定期購入で5%OFF!」

MAツール導入で得られる3つのメリット

(1) マーケティング業務の自動化で人件費削減

具体的な削減効果:

  • 手動でのメール送信作業が不要に
  • 顧客セグメント作成・リスト管理の自動化
  • 導入事例:世田谷自然食品は作業時間50%削減を実現(出典:toBeマーケティング)

小規模チームでも実現可能:

  • 少人数でもパーソナライズされたキャンペーンを実施できる
  • 無駄な人件費削減と人手不足解消

(2) One to Oneマーケティングの実現

個別最適な情報提供:

  • 顧客ごとに異なる興味関心・購買パターンに対応
  • 「この顧客にはこの商品」「この顧客にはこのタイミング」を自動判定

効果:

  • 顧客満足度の向上
  • 反応率・コンバージョン率の改善
  • ブランドロイヤリティの向上

(3) 購入完了率とリピート率の向上

導入事例の成果:

  • アプラスは「Aimstar」導入で3倍の成果を達成(出典:toBeマーケティング)
  • カート放棄対策メールで購入完了率が数%〜10%改善
  • リピート購入率の向上(定期購入モデル、ファッション、健康食品で特に有効)

※導入事例の成果は企業規模・業種・商品特性により異なります。トライアル期間での効果検証が推奨されます。

EC向けMAツール選定の5つのポイント

(1) 必須機能の確認(開封率分析・配信予約・ステップメール)

最低限必要な機能:

  • メール開封率・クリック率の把握: 配信効果を測定し、改善につなげる
  • 配信予約機能: 最適なタイミングで自動配信
  • ステップメール機能: 顧客の行動に合わせた自動送信シナリオ

(2) EC基盤との連携対応(Shopify・EC-CUBE等)

連携の重要性:

  • 既存のECプラットフォーム(Shopify、EC-CUBE、BASE、MakeShop等)とスムーズに連携できるか確認
  • API連携やプラグイン対応の有無
  • 顧客データ・購入履歴の自動同期が可能か

(3) 料金体系とコスト(中小企業向けから大規模向けまで)

料金の幅:

  • 中小企業向けの手頃な価格帯から大規模企業向けまで幅広く存在
  • 配信数、顧客数、機能により変動
  • 初期費用、月額費用、従量課金の確認

主要なツール例(2024年):

  • 国内: Mazrica Marketing、Adobe Marketo Engage、SATORI等
  • 海外: Omnisend、Klaviyo、Drip等

※ツールの機能や料金は変更される可能性があるため、導入前に公式サイトで最新情報を確認してください。

(4) 顧客分析機能とマルチチャネル配信(メール・LINE・SMS・プッシュ通知)

2024年の主要機能:

  • 顧客分析: 購買履歴、行動パターン、セグメント化
  • マルチチャネル配信: メール・LINE・SMS・アプリプッシュ通知と連携

効果:

  • 顧客が最も反応しやすいチャネルで情報を届けられる
  • チャネルごとの効果測定と最適化

(5) サポート体制とノウハウ提供

導入失敗の主な原因:

  • 「現場で活用できていない」
  • 「活用検討する時間が取れていない」
  • 「自社に施策実施のノウハウがない」

成功のための要件:

  • ツールベンダーのサポート体制(導入支援、運用支援、トレーニング)
  • ノウハウ提供(ベストプラクティス、活用事例、テンプレート)
  • コミュニティやユーザー会の有無

まずは無料トライアルで自社に合うか確認するのが推奨されます。

まとめ:EC向けMA導入を成功させるために

EC向けMAは、カート放棄対策、パーソナライズ、リピート促進を自動化し、購入完了率とリピート率の向上を実現します。一方、「現場で活用できない」「ノウハウがない」といった失敗リスクもあるため、サポート体制とトライアル検証が重要です。

次のアクション:

  • 自社の優先課題を明確にする(カゴ落ち対策 or リピート促進 or パーソナライズ)
  • 必須機能を整理する(メール分析・ステップメール・EC基盤連携)
  • 予算を設定する(初期費用・月額費用・従量課金)
  • 複数ツールを比較する(国内外の主要ツール3〜5個)
  • 無料トライアルで効果を検証する(最低1〜3ヶ月)
  • 公式サイトで最新の料金・機能を確認する

定期購入モデル、ファッション、健康食品など、リピート購入が重要な業種では特に効果が高いと言われています。自社の商品特性に応じて、適切なMAツールを選定してください。

※この記事の情報は2025年11月時点のものです。ツールの機能や料金体系は変更される可能性があるため、導入前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

よくある質問

Q1MAツールとメール配信ツールの違いは?

A1MAは顧客行動に基づく自動化・セグメント化が可能で、個別最適なメッセージを自動送信できます。メール配信ツールは主に一斉配信が中心で、パーソナライゼーション機能が限定的です。

Q2カゴ落ち率はどのくらい?

A2ジャストシステムの調査によると約70%の顧客がカートに商品を入れたまま離脱しています。カート放棄対策メールの自動送信でこの損失を削減できます。

Q3MA導入にかかる費用は?

A3ツールにより幅広く、中小企業向けの手頃な価格帯から大規模企業向けまで存在します。機能や配信数により変動するため、まずは無料トライアルで自社に合うか確認するのが推奨されます。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。