EAIとETLの違いとは?データ連携手法の特徴と選び方を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

システム間のデータ連携、EAIとETLどちらを選ぶべき?

企業のDX推進が加速する中、「既存システム間のデータ連携をどう実現するか」は多くの企業にとって重要な課題となっています。

データ連携を実現する技術として代表的なのが、EAI(Enterprise Application Integration)とETL(Extract-Transform-Load)です。しかし、「この2つは何が違うのか」「自社にはどちらが適しているのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、EAIとETLの技術的な違いを明確にし、ユースケース別の使い分けの指針をお伝えします。

この記事のポイント:

  • EAIはリアルタイム連携向き、ETLは大量データのバッチ処理向き
  • データ量と処理タイミング(イベント指向かバッチ指向か)の2軸で使い分ける
  • 両者は併用可能であり、それぞれの強みを活かすのが理想的
  • ノーコード・ローコードツールの普及により、非エンジニアでも導入・運用が可能に

1. なぜ今EAIとETLの理解が重要なのか

(1) DX推進とデータ連携の課題

多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中で、最大の課題の一つが「データのサイロ化」です。部門ごとに異なるシステムを使用しており、データが分断されている状態では、全社的なデータ活用は困難です。

よくある課題:

  • 顧客情報がCRMとECサイトで別々に管理されている
  • 受注データと在庫データがリアルタイムで連携されていない
  • 経営レポートの作成に数日かかる

こうした課題を解決するためのデータ連携技術として、EAIとETLが注目されています。

(2) 2025年の崖とレガシーシステム問題

経済産業省が警告する「2025年の崖」では、レガシーシステムがDXの障壁となり、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があると指摘されています。

レガシーシステムの刷新には時間とコストがかかるため、既存システムを維持しながらデータ連携を実現するEAI・ETLの活用が現実的な解決策として注目されています。

2024年時点で、国内企業の23.66%がETL/データ連携ツールを活用しており、1,000名以上の大企業では38.16%に達しているという調査データもあります。

2. EAI(Enterprise Application Integration)とは

(1) EAIの基本定義と仕組み

EAI(Enterprise Application Integration)とは、企業内の異なるシステム間をリアルタイムで連携させる技術です。

EAIの仕組み:

  • 各システムの間にEAI基盤(ハブ)を配置
  • システム間のデータ連携をEAI基盤が仲介
  • 特定のイベント(データ更新等)をトリガーに処理を実行

従来、システム間連携には個別のインターフェース開発が必要でしたが、EAIを導入することで、1対nの連携を効率的に実現できます。

(2) リアルタイム連携の特徴とメリット

EAIの特徴:

  • データの変更を即座に他システムに反映(リアルタイム性)
  • イベント駆動型の処理(データ更新をトリガーに連携)
  • 双方向のデータ連携が可能

EAIのメリット:

  • 業務処理のリアルタイム化(受注→在庫引き当てが即時に)
  • 二重入力の削減(一度入力すれば関連システムに自動反映)
  • システム改修の影響範囲を局所化(EAI基盤で吸収)

(3) EAIが適したユースケース

EAIは、リアルタイムでのデータ連携が必要な業務に適しています。

適したユースケース:

  • マスター連携: 顧客マスター、商品マスターを複数システムで同期
  • 受注処理: ECサイトの受注データを基幹システムに即時連携
  • 在庫引き当て: 受注時に在庫システムと連携し、リアルタイムで引き当て
  • CRM/MA連携: 顧客情報をCRMとMAツール間で即時同期

3. ETL(Extract-Transform-Load)とは

(1) ETLの基本定義と3つのプロセス

ETL(Extract-Transform-Load)とは、データを抽出・変換・ロードする3つのプロセスを指すデータ統合手法です。

ETLの3つのプロセス:

  • Extract(抽出): 各システムからデータを取り出す
  • Transform(変換): データの形式やフォーマットを統一・加工する
  • Load(ロード): 統合先のシステム(DWHなど)にデータを格納する

ETLは、大量のデータを一括で処理するバッチ処理型のアプローチです。

(2) バッチ処理の特徴とメリット

ETLの特徴:

  • 大量のデータを一括で処理できる(数百万〜数億件)
  • 処理のスケジュール設定が可能(日次、週次、月次など)
  • 複雑なデータ変換・クレンジングに対応

ETLのメリット:

  • 大容量データの効率的な処理
  • データの品質向上(変換・クレンジング処理)
  • 分析用データの準備を自動化

(3) ETLが適したユースケース

ETLは、大量データを定期的に集約・分析する用途に適しています。

適したユースケース:

  • DWH構築: 複数システムのデータをデータウェアハウスに集約
  • 請求データ集計: 月次の請求データを集計・加工
  • データ分析: 経営ダッシュボード用のデータ準備
  • データ移行: レガシーシステムから新システムへのデータ移行

4. EAIとETLの違い:比較表で理解する

(1) 処理タイミング(リアルタイム vs バッチ)

EAIとETLの最も大きな違いは、処理タイミングです。

  • EAI: リアルタイム・イベント駆動型(データ更新を即座に反映)
  • ETL: バッチ処理型(定期的にまとめて処理)

(2) データ量(少量・高頻度 vs 大量・定期)

  • EAI: 少量〜中量のデータを高頻度で処理(トランザクション単位)
  • ETL: 大量のデータを定期的に処理(数百万〜数億件のバッチ)

(3) 設計思想(プロセス指向 vs エンティティ指向)

  • EAI: プロセス指向(業務プロセスの流れに沿ったデータ連携)
  • ETL: エンティティ指向(データそのものの抽出・変換・格納)

EAI vs ETL 比較表:

観点 EAI ETL
処理タイミング リアルタイム バッチ(定期実行)
データ量 少量〜中量 大量(数百万件〜)
設計思想 プロセス指向 エンティティ指向
主な用途 システム間連携 データ統合・分析基盤構築
適したシーン 受注処理、マスター同期 DWH構築、経営レポート

5. 代表的なツールと選定ポイント

(1) EAIツールの例と選定基準

EAIツール選定時のチェックポイント:

  • 対応しているシステム・アプリケーションの種類
  • リアルタイム処理の性能(スループット、レイテンシ)
  • 運用監視機能の充実度
  • ノーコード・ローコード対応の有無

※具体的なツールの比較は、ITトレンドやLISKULなどの比較サイトで最新情報を確認することを推奨します。

(2) ETLツールの例と選定基準

ETLツール選定時のチェックポイント:

  • 対応しているデータソースの種類
  • 変換・クレンジング機能の充実度
  • スケジュール実行・ジョブ管理機能
  • クラウド型 vs オンプレミス型の選択

(3) ノーコード・ローコードツールの活用

2024年以降、ノーコード・ローコードのEAI/ETLツールが主流となり、非エンジニアでも導入・運用が可能になっています。

ノーコードツールのメリット:

  • プログラミング不要で設定・運用が可能
  • 導入期間の短縮
  • IT部門以外でも運用できる

ノーコードツールのデメリット:

  • 複雑な処理には対応できない場合がある
  • カスタマイズの自由度が限定的
  • ベンダーロックインのリスク

※ツール選定時は公式サイトで最新の料金・機能を確認してください。仕様は頻繁に更新されるため、この記事は2024年12月時点の情報です。

6. まとめ:ユースケース別の選び方

EAIとETLは、どちらか一方を選ぶものではなく、用途に応じて使い分ける(または併用する)のが理想的です。

EAIを選ぶべきケース:

  • リアルタイムでのシステム間連携が必要
  • 受注処理、在庫引き当て、マスター同期などの業務
  • データ量は少〜中量だが、即時性が求められる

ETLを選ぶべきケース:

  • 大量データの定期的な集約・加工が必要
  • DWH構築、経営ダッシュボード、データ分析基盤の構築
  • データ量は大量だが、リアルタイム性は不要

併用が効果的なケース:

  • 日々の業務データはEAIでリアルタイム連携
  • 分析用データはETLで夜間バッチ処理

次のアクション:

  • 自社のデータ連携の現状を把握する(どのシステム間で、どんなデータを連携したいか)
  • リアルタイム性の要否を整理する(即時連携が必要か、定期バッチで十分か)
  • 3〜5社のツールベンダーに問い合わせ・デモ依頼する
  • 公式サイトで最新の料金・機能を確認する

自社の業務要件に合ったデータ連携手法を選択し、DX推進を加速させましょう。

よくある質問:

Q: EAIとETLは併用できる? A: 可能です。リアルタイム連携が必要な業務(受注処理、マスター同期など)はEAIで、データ分析基盤構築(DWH、経営レポート)はETLで、というように、それぞれの強みを活かして使い分けるのが理想的です。

Q: どちらを先に導入すべき? A: 業務要件によって異なります。日常業務のシステム連携(受注、在庫、CRM連携など)が急務であればEAIを先に導入し、データ分析基盤の構築が優先であればETLを先に導入するのが一般的です。

Q: EAIとETLの導入コストはどのくらい違う? A: ツールや規模により大きく異なりますが、クラウド型であれば月額数万円〜で始められるケースもあります。EAIは連携するシステム数、ETLはデータ量によって費用が変動する傾向があります。正確な見積もりは各ベンダーに問い合わせてください。

よくある質問

Q1EAIとETLは併用できる?

A1可能です。リアルタイム連携が必要な業務はEAIで、データ分析基盤構築はETLで、というように、それぞれの強みを活かして使い分けるのが理想的です。

Q2どちらを先に導入すべき?

A2業務要件によって異なります。日常業務のシステム連携が急務であればEAIを先に、データ分析基盤の構築が優先であればETLを先に導入するのが一般的です。

Q3EAIとETLの導入コストはどのくらい違う?

A3ツールや規模により異なりますが、クラウド型なら月額数万円〜で始められるケースもあります。EAIは連携システム数、ETLはデータ量で費用が変動する傾向があります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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