Microsoft Dynamics CRMの使い方|基本操作から活用テクニックまで

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/10

Dynamics 365を導入したけれど、どこから使い始めればいいか分からない...

B2B企業の営業担当者やCRM管理者の多くが、「Microsoft Dynamics CRMを導入したが、機能が多すぎて使いこなせていない」「基本的な操作方法を効率的に習得したい」といった課題を抱えています。Microsoft Dynamics CRM(現在はDynamics 365に名称統一)は、CRM/ERP機能を統合したクラウド型プラットフォームで、Microsoft製品との連携が強みですが、機能が豊富なため使いこなすには体系的な理解が必要です。

この記事では、Microsoft Dynamics 365の基本的な使い方から、顧客管理、商談管理、レポート作成、Microsoft製品連携まで実践的な活用方法を解説します。

この記事のポイント:

  • Dynamics 365はCRM/ERP統合プラットフォームで、旧Microsoft Dynamics CRMの後継
  • Sales Enterpriseは月額約15,742円/ユーザー(2024年10月に価格改定)
  • Outlook連携により、メール・スケジュール・連絡先を活動報告に自動反映可能
  • Power Appsでノーコード機能拡張が可能で、ITの専門知識不要
  • 30日間の無料トライアルで使用感を確認してから導入を推奨

1. Microsoft Dynamics CRM(Dynamics 365)とは?

(1) Dynamics 365の概要(CRM/ERP統合プラットフォーム)

Microsoft Dynamics CRMは、現在「Dynamics 365」として提供されており、CRM(顧客関係管理)とERP(企業資源計画)機能を統合したクラウド型プラットフォームです。従来のCRM単独製品から進化し、営業・マーケティング・カスタマーサービス・財務・サプライチェーン等の業務を一元管理できるようになりました。

主な特徴:

  • クラウド型(SaaS): インターネット経由で利用でき、初期費用を抑えられる
  • Microsoft製品との連携: Outlook、Teams、Excel等との連携が標準機能
  • AI機能(Copilot)搭載: 2024-2025年のアップデートで生成AIが標準機能化
  • ノーコード拡張: Power Appsを活用し、プログラミング不要でカスタマイズ可能

(2) 製品ラインナップ(Sales・Customer Service・Marketing等)

Dynamics 365は、10カテゴリーに分類された製品群として提供されています。

主要製品:

Dynamics 365 Sales: 営業支援(SFA)機能に特化。商談管理・見込み客管理・営業パイプライン可視化等を提供。

  • 料金: Sales Professional 月額約9,414円/ユーザー、Sales Enterprise 月額約15,742円/ユーザー(2024年10月時点)

Dynamics 365 Customer Service: カスタマーサポート業務に特化。問合せ管理・ナレッジベース・チャネル統合等を提供。

Dynamics 365 Marketing: マーケティングオートメーション(MA)機能に特化。リード管理・メール配信・キャンペーン管理等を提供。

Dynamics 365 Business Central: ERP機能に特化。財務・在庫・サプライチェーン管理等を提供。

  • 料金: Essentials 月額約10,494円/ユーザーから(2024年10月時点)

(3) 他のCRMツールとの違い(Microsoft製品連携が最大の強み)

Dynamics 365と他のCRMツール(Salesforce、HubSpot、Zoho等)との違いは以下の通りです:

Microsoft製品連携: Outlook・Teams・Excel・Power Apps等との連携が標準機能で、Office 365導入企業には大きなメリットがあります。

CRM/ERP統合: 営業・マーケティングだけでなく、財務・サプライチェーン等の基幹業務まで統合管理できます。

料金体系: Salesforceと比較すると同等またはやや高めの料金設定ですが、Microsoft製品連携のメリットが大きい企業には適しています。HubSpot、Zoho等の低価格ツールと比較すると高額です。

UI・操作性: 「文字とリスト中心で視覚的に把握しづらい」という評価もあり、使いこなすには慣れが必要です。

2. 基本画面構成と初期設定の流れ

(1) メイン画面の構成要素(ナビゲーション・ダッシュボード・リスト表示)

Dynamics 365のメイン画面は、以下の要素で構成されています:

ナビゲーションバー(左側): 主要機能へのアクセスメニュー。営業、マーケティング、サービス等のモジュールに切り替えられます。

ダッシュボード(中央上部): 営業成績、見込み客リスト、タスク一覧等を可視化。自由にカスタマイズ可能です。

リスト表示(中央下部): 取引先、連絡先、商談等のデータを一覧表示。フィルタリング・並び替え・検索が可能です。

詳細パネル(右側): 選択した取引先や商談の詳細情報を表示。活動履歴、関連ドキュメント等も確認できます。

(2) 初期設定のステップ(組織設定・ユーザー追加・権限設定)

導入後の初期設定は以下のステップで進めます:

1. 組織設定: 会社情報(名称、住所、タイムゾーン、通貨等)を登録します。

2. ユーザー追加: 利用するユーザーを追加し、メールアドレス・役職等を設定します。

3. セキュリティロール設定: ユーザーごとに権限(閲覧のみ、編集可能、管理者等)を設定します。

4. 業務プロセスのカスタマイズ: 自社の営業プロセスに合わせて、商談ステージ、入力項目等をカスタマイズします。

5. データ移行: 既存の顧客データ(Excel、旧CRM等)をDynamics 365にインポートします。

(3) 30日間無料トライアルの利用方法

Dynamics 365は30日間の無料トライアルが提供されています。導入前に必ず使用感を確認することを推奨します。

トライアル開始手順:

  1. Microsoft公式サイトのDynamics 365ページにアクセス
  2. 「無料試用版」をクリック
  3. Microsoftアカウントでサインイン(または新規作成)
  4. 試用したい製品(Sales、Customer Service等)を選択
  5. 企業情報を入力し、トライアルを開始

トライアル期間中に確認すべきポイント:

  • UI・操作性が自社に合っているか
  • Outlook・Teams等との連携がスムーズか
  • 必要な機能(商談管理、レポート作成等)が揃っているか
  • カスタマイズの難易度

3. 顧客管理の実践的な使い方

(1) 取引先・連絡先の新規登録と編集

顧客管理の基本は、取引先(企業)と連絡先(担当者)の登録です。

取引先の登録手順:

  1. ナビゲーションバーから「営業」→「取引先」を選択
  2. 「新規」ボタンをクリック
  3. 必須項目(取引先名、業種、住所等)を入力
  4. 「保存」をクリック

連絡先の登録手順:

  1. ナビゲーションバーから「営業」→「連絡先」を選択
  2. 「新規」ボタンをクリック
  3. 必須項目(氏名、役職、メールアドレス、電話番号等)を入力
  4. 所属する取引先を選択(既存取引先と紐付け)
  5. 「保存」をクリック

編集のポイント:

  • 入力項目は自社の業務に合わせてカスタマイズ可能
  • 必須項目を最小限にすることで、現場の入力負担を軽減
  • 重複データを防ぐため、登録前に既存データを検索

(2) 活動履歴の記録(訪問・電話・メール)

顧客とのやり取りは「活動」として記録します。

活動の種類:

  • 訪問: 顧客訪問の日時・内容を記録
  • 電話: 電話での会話内容を記録
  • メール: Outlook連携により自動記録(後述)
  • タスク: 次回のアクションを設定

活動記録の手順:

  1. 取引先または連絡先の詳細画面を開く
  2. 「活動」タブをクリック
  3. 「新規活動」→ 活動の種類(訪問、電話等)を選択
  4. 日時・内容・参加者等を入力
  5. 「保存」をクリック

活用のポイント:

  • 活動履歴を蓄積することで、顧客との関係性を可視化
  • 担当者交代時の引き継ぎがスムーズに
  • 商談の進捗を把握しやすくなる

(3) 顧客情報の検索・フィルタリング・一覧表示

顧客データの検索・フィルタリング機能を活用することで、効率的に情報を探せます。

検索機能: 画面上部の検索ボックスにキーワード(企業名、担当者名等)を入力すると、該当する取引先・連絡先が表示されます。

フィルタリング機能: リスト表示画面で「フィルター」をクリックし、条件(業種、地域、売上規模等)を設定すると、該当するデータのみを表示できます。

ビュー(表示形式)のカスタマイズ: 自分専用のビューを作成し、必要な列(企業名、担当者、最終接触日等)のみを表示することで、一覧性が向上します。

4. 商談管理とOutlook連携の活用

(1) 商談の登録・ステージ管理・金額入力

商談(営業案件)の管理は、Dynamics 365の中核機能です。

商談の登録手順:

  1. ナビゲーションバーから「営業」→「商談」を選択
  2. 「新規」ボタンをクリック
  3. 必須項目を入力:
    • 商談名
    • 取引先・連絡先(既存データから選択)
    • 予想売上金額
    • 受注予定日
    • 商談ステージ(見込み、提案、交渉、受注等)
  4. 「保存」をクリック

商談ステージの管理: 商談の進捗に応じて、ステージを更新します。

典型的な商談ステージ:

  • 見込み: 初期接触段階
  • 提案: 提案書提出済み
  • 交渉: 価格・条件交渉中
  • 受注: 契約成立
  • 失注: 受注に至らず

ステージを可視化することで、営業パイプライン(案件の進捗状況)を把握できます。

(2) Outlook連携による自動反映(メール・予定・タスク)

Dynamics 365の最大の強みは、Outlook連携です。

Outlook連携でできること:

  • メールの自動記録: Outlook送受信メールを活動履歴に自動反映
  • 予定の同期: Outlookカレンダーの予定をDynamics 365に反映
  • 連絡先の同期: Outlookの連絡先とDynamics 365を双方向同期
  • Outlook内からのCRM操作: Outlookを開いたまま、取引先・商談情報を確認・編集可能

Outlook連携の設定手順:

  1. Dynamics 365の「設定」→「Outlook連携」を選択
  2. Outlookアカウントを認証
  3. 同期する項目(メール、予定、連絡先)を選択
  4. 「保存」をクリック

活用のメリット: 二重入力が不要になり、営業担当者の負担が大幅に軽減されます。本田技研工業の導入事例でも、Outlook連携の容易性が選定理由の一つとして挙げられています(出典: JBS「Microsoft Dynamics 365 導入事例 本田技研工業株式会社」)。

(3) Teams・Excel連携の活用方法

Teams連携: Teams内でDynamics 365のデータを確認・編集できます。

活用例:

  • Teams会議中に顧客情報を確認
  • Teamsチャネルで商談情報を共有
  • チーム全体で営業パイプラインを可視化

Excel連携: Dynamics 365のデータをExcelにエクスポートし、分析・加工できます。

活用例:

  • 商談データをExcelでピボットテーブル分析
  • 顧客リストをExcelで一括編集後、再インポート
  • レポート作成時にExcelグラフを活用

5. ダッシュボード・レポート作成とカスタマイズ

(1) ダッシュボードの作成と配置(営業成績・見込み客リスト等)

ダッシュボードは、重要な情報を一目で把握できるよう可視化する機能です。

ダッシュボード作成手順:

  1. ナビゲーションバーから「ダッシュボード」を選択
  2. 「新規」ボタンをクリック
  3. レイアウト(2列、3列等)を選択
  4. 配置するコンポーネント(グラフ、リスト等)を追加:
    • 営業成績(月次売上推移グラフ)
    • 商談パイプライン(ステージ別件数グラフ)
    • 見込み客リスト(アクション必要な顧客一覧)
    • タスクリスト(今日のアクション)
  5. 「保存」をクリック

カスタマイズのポイント:

  • 自分の担当顧客・商談のみを表示(他の営業担当のデータは非表示)
  • 優先度の高い情報を上部に配置
  • グラフの色・サイズを調整して視認性を向上

(2) レポート作成と可視化(営業実績・パイプライン分析)

レポート機能を活用することで、詳細な分析が可能です。

レポート作成手順:

  1. ナビゲーションバーから「レポート」を選択
  2. 「新規」ボタンをクリック
  3. レポートの種類(テーブル、グラフ等)を選択
  4. データソース(商談、取引先等)を選択
  5. 表示する列・フィルター条件を設定
  6. グラフの種類(棒グラフ、円グラフ等)を選択
  7. 「保存」をクリック

活用例:

  • 月次営業実績レポート(担当者別、製品別、地域別の売上推移)
  • 商談パイプライン分析(ステージ別の案件数・金額)
  • 顧客分析(業種別、売上規模別の顧客分布)

(3) Power Appsによるノーコードカスタマイズ

Power Appsを活用すると、プログラミング不要でDynamics 365をカスタマイズできます。

Power Appsでできること:

  • 入力フォームのカスタマイズ(自社の業務フローに合わせた項目配置)
  • 承認ワークフローの自動化(商談金額が一定額以上の場合、上司承認を必須化)
  • モバイルアプリの作成(営業担当者が外出先でスマホから顧客情報を確認・更新)

活用のメリット: ITの専門知識がなくても、現場主導で比較的容易にカスタマイズできます。これにより、自社の業務プロセスに最適化されたCRMを構築できます。

6. まとめ:効果的な活用と次のステップ

Microsoft Dynamics 365は、CRM/ERP統合プラットフォームとして、営業・マーケティング・カスタマーサービスから基幹業務まで一元管理できる強力なツールです。特にMicrosoft製品(Outlook、Teams、Excel等)との連携が標準機能で、Office 365導入企業には大きなメリットがあります。

本記事のまとめ:

  • Dynamics 365は旧Microsoft Dynamics CRMの後継で、CRM/ERP統合プラットフォーム
  • Outlook連携により、メール・スケジュール・連絡先を活動報告に自動反映可能
  • ダッシュボード・レポート機能で営業成績・パイプラインを可視化
  • Power Appsでノーコード機能拡張が可能
  • 30日間無料トライアルで使用感を確認してから導入を推奨

次のアクション:

  1. 30日間無料トライアルで実際の操作性を確認する
  2. Microsoft Learn(公式ドキュメント)でチュートリアルを学ぶ
  3. 自社の営業プロセスに合わせた初期設定・カスタマイズを行う
  4. Outlook連携を設定し、二重入力を排除する
  5. ダッシュボード・レポートを作成し、営業成績を可視化する
  6. 段階的に利用範囲を広げ、継続的に改善する

Dynamics 365は機能が豊富なため、使いこなすには時間がかかりますが、体系的に学習し、段階的に活用範囲を広げることで、顧客管理・営業効率化・売上向上を実現できます。導入前にトレーニング計画を立て、公式ドキュメントやチュートリアルを活用しながら習得することを推奨します。

※この記事は2025年12月時点の情報です。Dynamics 365の機能・料金は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1Dynamics 365の料金はいくらですか?

A1Sales Enterpriseは月額約15,742円/ユーザー、Business Central Essentialsは月額約10,494円/ユーザーからです(2024年10月時点)。2024年10月に価格改定があったため、最新料金は公式サイトで確認してください。

Q2Office 365との連携はスムーズですか?

A2はい。Outlook・Teams・Excelとの連携が標準機能で、メール・スケジュール・連絡先を活動報告に自動反映できます。二重入力が不要になり、業務効率が大幅に向上します。

Q3初心者でも使いこなせますか?

A3機能が豊富で上手に活用できるまで時間を要します。導入前にトレーニング計画を立て、公式ドキュメント(Microsoft Learn)やチュートリアルを活用しつつ段階的に習得するのが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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