デジタルセールスとは?定義・手法・ツール・導入ステップ解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/5

デジタルセールスが注目される背景

(1) 顧客の購買行動のデジタル化

顧客の購買行動プロセスがデジタル化し、営業担当者と会う前にWebで情報収集する顧客が増えました。BtoBでも、製品・サービスの比較検討をオンラインで完結する企業が増えています。

従来の購買行動:

  • 営業担当者からの提案を受けて検討開始
  • 対面での情報提供・デモンストレーション

デジタル時代の購買行動:

  • Webサイト・SNS・比較サイトで事前に情報収集
  • 営業担当者と会う時点で既に候補を絞り込んでいる

このため、営業側もデジタルチャネルでの情報提供・コミュニケーションが必須になっています。

(2) コロナ禍による非対面営業の普及

コロナ禍により対面営業が制限され、オンライン商談が急速に普及しました。Web会議ツール(Zoom、Microsoft Teams等)を活用した営業活動が一般化し、デジタルセールスの必要性が高まりました。

デジタルセールスの基礎知識(定義・関連用語との違い)

(1) デジタルセールスとは:デジタル技術・ITツールを活用した営業

デジタルセールスとは、デジタル技術やITツールを駆使して行う営業手法です。インターネット、Webサイト、ソーシャルメディア、電子メール、SFA、MA、Web会議ツール、デジタルセールスルーム(DSR)などを活用します。

デジタルセールスのメリット:

  • 地理的制約がなく、国内外の見込み客にリーチ可能
  • 移動コストを削減し、営業効率を向上
  • スピーディーな営業活動(即座の情報提供、迅速な商談設定)

(2) インサイドセールスとの違い(広義の概念 vs 具体的手法)

デジタルセールス(広義の概念):

  • デジタル技術・ITツールを活用した営業全般
  • リード獲得、商談、クロージング、カスタマーサクセスの全プロセスを含む

インサイドセールス(具体的手法):

  • デジタルセールスの代表的な手法の一つ
  • 電話やメール、ITツールを活用して遠隔で顧客にアプローチする営業手法
  • フィールドセールス(対面営業)と分業することが一般的

(3) デジタルマーケティングとの違い(商談・受注まで vs リード獲得まで)

デジタルマーケティング:

  • リード獲得までが主な範囲
  • Webサイト、SEO、SNS、Web広告、コンテンツマーケティング等

デジタルセールス:

  • リード獲得後の商談・受注までが主な範囲
  • 商談管理、提案、クロージング、カスタマーサクセス等

両者は連携して営業活動全体を支援します。

デジタルセールスで活用する主要ツール

(1) SFA(営業支援システム):顧客情報管理・商談管理

SFA(Sales Force Automation、営業支援システム)は、営業活動の効率化、顧客情報管理、商談管理などを行うツールです。

主な機能:

  • 顧客情報の一元管理
  • 商談の進捗管理(パイプライン可視化)
  • 営業活動の記録・分析

代表的なSFA:

  • Salesforce
  • HubSpot
  • Mazrica(旧Senses)

(2) MA(マーケティングオートメーション):見込み客の可視化・育成

MA(Marketing Automation、マーケティングオートメーション)は、見込み客のWeb行動を可視化し、適切なタイミングでフォロー活動を自動化するツールです。

主な機能:

  • 見込み客のWeb行動追跡(ページ閲覧、資料ダウンロード等)
  • スコアリング(見込み度の数値化)
  • メール配信の自動化

代表的なMA:

  • HubSpot Marketing Hub
  • Marketo
  • Pardot

(3) Web会議ツール:オンライン商談

Web会議ツールは、オンラインで商談・デモンストレーション・打ち合わせを行うツールです。

主な機能:

  • ビデオ会議
  • 画面共有
  • チャット

代表的なWeb会議ツール:

  • Zoom
  • Microsoft Teams
  • Google Meet

(4) デジタルセールスルーム(DSR):営業資料・議事録の集約

デジタルセールスルーム(DSR: Digital Sales Room)は、BtoB企業と顧客がセキュアな環境で商談できるオンライン・プラットフォームです。議事録、営業資料などの情報を集約し、見込み客や既存顧客との円滑なコミュニケーションを実現します。

主な機能:

  • 営業資料・提案書の共有
  • 議事録の記録・共有
  • 商談の進捗状況の可視化
  • 顧客との双方向コミュニケーション

DSR市場の成長:

  • 2022年に前年比約300%成長
  • 2024年には30社以上のプレイヤーが参入

代表的なDSR:

  • openpage
  • Seismic
  • Highspot

デジタルセールスの導入ステップ

(1) 営業プロセスの現状分析とデジタル化ポイントの特定

営業プロセス全体を見直し、どのプロセスをデジタル化すべきかを特定します。

営業プロセス:

  • リード獲得(デジタルマーケティング)
  • リード育成(MAツール)
  • 商談(Web会議、DSR)
  • クロージング(電子契約)
  • カスタマーサクセス(SFA、CRM)

各プロセスでのボトルネックを特定し、デジタル化の優先順位を決定します。

(2) ツール選定(SFA、MA、DSR等の組み合わせ)

営業プロセスに応じて、必要なツールを選定します。複数ツールの組み合わせが必要なため、既存システムとの連携、コスト、サポート体制を考慮します。

ツール選定基準:

  • 既存システム(基幹システム、CRM等)との連携
  • 必要な機能(商談管理、見込み客育成、資料共有等)
  • コスト(初期費用、月額費用、ユーザー数課金等)
  • サポート体制(日本語サポート、導入支援)

(3) 営業組織の体制構築(インサイドセールス/フィールドセールス分業)

デジタルセールスを導入する場合、営業組織の体制を見直すことが一般的です。

分業型営業体制:

  • マーケティング: リード獲得
  • インサイドセールス: リード育成・商談化
  • フィールドセールス: 対面商談・クロージング
  • カスタマーサクセス: 継続利用支援・解約防止

各役割を明確化し、部門間のデータ共有とコミュニケーションを強化します。

(4) 人材育成とトレーニング

デジタルセールスは比較的新しい職種で経験者が少ないため、社内育成やトレーニングプログラムの活用が必要です。

育成内容:

  • デジタルツールの操作方法
  • 遠隔コミュニケーションのスキル
  • データ分析スキル
  • オンライン商談のノウハウ

デジタルセールスの導入事例と効果

(1) 富士通の事例(営業DX推進、3年間の成果)

富士通は2024年8月に「富士通流!営業のデジタルシフト」を出版し、デジタルセールスチームの3年間のDX推進の成果を公開しました。

富士通の取り組み:

  • デジタルセールス部門の新設
  • SFA、MA、DSRツールの統合活用
  • 営業プロセスのデジタル化設計
  • 人材育成プログラムの構築

(2) 導入効果(営業効率向上、移動コスト削減、地理的制約の解消)

デジタルセールスの導入により、以下の効果が期待できます:

  • 営業効率向上: 移動時間の削減、商談数の増加
  • 移動コスト削減: 交通費・宿泊費の削減
  • 地理的制約の解消: 国内外の見込み客にリーチ可能
  • スピーディーな営業活動: 即座の情報提供、迅速な商談設定

(3) 導入時の課題と解決策

デジタルセールス導入時には、以下の課題があります:

課題1: ツールを導入するだけでは効果が出ない

  • 解決策: 営業プロセスの見直しとデジタル化の設計

課題2: 対面営業と比べて信頼関係構築に時間がかかる

  • 解決策: 適切なコミュニケーション設計、定期的なフォローアップ

課題3: 経験者が少なく、人材育成が必要

  • 解決策: トレーニングプログラムの活用(例: MM デジタルセールス・アカデミー)

まとめ:デジタルセールス導入のポイント

デジタルセールスは、顧客の購買行動のデジタル化に対応するため、B2B企業にとって必須の営業手法です。SFA、MA、Web会議ツール、DSRなどのツールを組み合わせて活用し、営業プロセス全体をデジタル化することで、営業効率向上・移動コスト削減・地理的制約の解消を実現できます。

次のアクション:

  • 営業プロセスの現状分析を行い、デジタル化ポイントを特定する
  • SFA、MA、DSR等のツールを比較検討し、自社に最適な組み合わせを選定する
  • インサイドセールス/フィールドセールス分業の営業体制を構築する
  • トレーニングプログラムを活用し、デジタルセールス人材を育成する

2024年の営業戦略トレンドである「AI、セールスイネーブルメント、DSR」を活用し、デジタルセールスで営業活動を強化しましょう。

よくある質問

Q1デジタルセールスとインサイドセールスの違いは何ですか?

A1デジタルセールスは広義の概念で、デジタル技術・ITツールを活用した営業全般を指します。インサイドセールスはデジタルセールスの代表的な手法の一つで、電話やメール、ITツールを活用して遠隔で顧客にアプローチする営業手法です。

Q2デジタルセールスに必要なツールは何ですか?

A2主要なツールは、SFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)、Web会議ツール、デジタルセールスルーム(DSR)です。これらを組み合わせて活用することで、営業プロセス全体をデジタル化できます。

Q3デジタルセールスの導入コストはどれくらいですか?

A3ツールの種類や規模により異なりますが、SFA・MAツールは月額数万円〜数十万円、DSRは月額数千円〜数万円が目安です。複数ツールの組み合わせが必要なため、初期導入コストと運用負荷を考慮して計画を立てる必要があります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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