デマンドジェネレーションとは?戦略設計・施策一覧・KPI設定を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/17

デマンドジェネレーションとは?B2Bマーケティング戦略の全体像

「リードは獲得できているのに商談に繋がらない」「マーケティング施策がバラバラで全体像が見えない」といった課題を抱えているB2Bマーケティング担当者は少なくありません。単発のリード獲得施策を繰り返すだけでは、効率的に売上を伸ばすことは困難です。

デマンドジェネレーションは、見込み顧客の獲得から育成、営業への引き継ぎまでを包括的に設計するB2Bマーケティング戦略です。この記事では、デマンドジェネレーションの定義、リードジェネレーションとの違い、3つのプロセス、主な施策、戦略設計、KPI設定まで、実務担当者の視点で体系的に解説します。

この記事のポイント:

  • デマンドジェネレーションは、見込み顧客の獲得→育成→営業引継を包括的に行うB2Bマーケティング戦略
  • リードジェネレーションは連絡先獲得に特化、デマンドジェネレーションは獲得→育成→絞込まで含む
  • 3つのプロセスは、①リードジェネレーション(獲得)、②リードナーチャリング(育成)、③リードクオリフィケーション(絞込)
  • 主な施策は、オウンドメディア、Web広告、展示会、セミナー、メールマーケティング
  • 成功のKPIは、リード獲得数、商談化率、受注率、ROI

(1) デマンドジェネレーションの定義

デマンドジェネレーション(Demand Generation)とは、見込み顧客の獲得から育成、営業への引き継ぎまでを包括的に行うB2Bマーケティング戦略です。

デマンドジェネレーションの目的:

  • 見込み顧客(リード)の獲得
  • 獲得したリードの育成(購買意欲の向上)
  • 購買意欲が高いリードを営業に引き継ぎ
  • 営業の商談化率・受注率の向上

単発のリード獲得施策ではなく、認知拡大から受注まで一貫した戦略を設計することが特徴です。

(2) B2B企業でデマンドジェネレーションが重要な理由

B2B企業の購買プロセスは、B2C企業と比較して長期化・複雑化しています。

B2B購買プロセスの特徴:

  • 検討期間が数ヶ月〜1年以上
  • 複数の意思決定者が関与
  • 高額な投資判断が必要
  • 導入後の運用・サポート体制も評価対象

このため、見込み客を獲得しただけでは受注に至りません。適切なタイミングで適切なコンテンツを提供し、購買意欲を段階的に高める「育成」が不可欠です。

(3) 購買プロセスの長期化と見込み客育成の必要性

B2Bデジタルプロダクト企業では、以下のような購買プロセスが一般的です:

①情報収集段階: 課題認識→解決策の情報収集 ②比較検討段階: 複数の製品・サービスを比較 ③意思決定段階: 社内稟議・承認プロセス ④導入段階: 契約・導入・運用開始

この過程で、見込み客は数ヶ月〜1年かけて意思決定を行います。デマンドジェネレーションは、この長期プロセス全体を設計し、各段階で最適な施策を実施します。

リードジェネレーションとの違い

(1) デマンドジェネレーション:認知拡大→獲得→育成→絞込の包括的戦略

デマンドジェネレーションは、以下の全プロセスを包括します:

認知拡大: 無料コンテンツ提供による潜在顧客層への認知拡大 獲得(リードジェネレーション): ホワイトペーパー、ウェビナー等でリード獲得 育成(リードナーチャリング): メール配信、コンテンツ提供で購買意欲を高める 絞込(リードクオリフィケーション): 購買意欲が高いリードを営業に引き継ぐ

(2) リードジェネレーション:連絡先取得に特化した活動

リードジェネレーション(Lead Generation)は、見込み顧客の連絡先情報を獲得する活動に特化しています。

主な手法:

  • ホワイトペーパーのダウンロード
  • ウェビナーへの参加登録
  • 展示会での名刺交換
  • Web広告からのフォーム入力

リードジェネレーションは、デマンドジェネレーションの最初のプロセスに含まれます。

(3) デマンドジェネレーションはリードジェネレーションを含む

デマンドジェネレーション = 認知拡大 + リードジェネレーション + リードナーチャリング + リードクオリフィケーション

リードジェネレーションは「点」の施策、デマンドジェネレーションは「線」の戦略と言えます。

デマンドジェネレーションの3つのプロセス

(1) リードジェネレーション:見込み客の獲得(Web広告、展示会、セミナー等)

リードジェネレーションは、見込み客の連絡先情報を獲得するプロセスです。

主な施策:

  • Web広告: Google広告、Facebook広告、LinkedIn広告等
  • 展示会: 業界イベントでの名刺交換、ブース展示
  • セミナー・ウェビナー: オンライン/オフラインセミナーの開催
  • ホワイトペーパー: ダウンロード時に連絡先を取得
  • オウンドメディア: 資料請求、問い合わせフォーム

重要なポイント: まずは無料で有益なコンテンツを提供して潜在顧客層への認知拡大を優先し、段階的にリードジェネレーションへ移行することが推奨されます。

(2) リードナーチャリング:見込み客の育成(メール配信、コンテンツ提供等)

リードナーチャリング(Lead Nurturing)は、獲得した見込み客を育成し、購買意欲を高めるプロセスです。

主な施策:

  • メールマーケティング: ステップメール、ニュースレター配信
  • コンテンツ提供: ブログ記事、事例紹介、ウェビナー
  • リターゲティング広告: Webサイト訪問者へのリマインド広告
  • セグメンテーション: 興味・行動に応じたコンテンツの最適化

MAツールの活用: MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入し、リードの行動を可視化・スコアリングして効率的に育成することが重要です。

(3) リードクオリフィケーション:営業への引き継ぎ(スコアリング、絞込)

リードクオリフィケーション(Lead Qualification)は、育成した見込み客の中から、購買意欲が高い顧客を絞り込み、営業に引き継ぐプロセスです。

主な手法:

  • リードスコアリング: 見込み客の行動(Webサイト閲覧、メール開封、資料ダウンロード等)を数値化
  • MQL→SQL転換: MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング部門が育成したリード)をSQL(Sales Qualified Lead:営業部門に引き継ぐリード)に転換
  • 営業への引き継ぎ: 購買意欲が高まったタイミングで営業に引き継ぐ

重要なポイント: マーケティング部門と営業部門の連携が不十分だと、リードの受け渡しがうまくいきません。SLA(サービスレベル合意)を締結し、引き継ぎ基準を明確化することが推奨されます。

主な施策とツール

(1) 施策:オウンドメディア、Web広告、展示会、セミナー、メールマーケティング

デマンドジェネレーションでは、複数のチャネルを組み合わせて実施します。

オウンドメディア: SEO記事、ブログ、事例紹介で潜在顧客を集客 Web広告: Google広告、Facebook広告、LinkedIn広告でリード獲得 展示会: 業界イベントでの名刺交換、ブース展示 セミナー・ウェビナー: オンライン/オフラインセミナーで見込み客を育成 メールマーケティング: ステップメール、ニュースレター配信で継続的に接点を持つ

(2) MAツール:リード獲得・育成を自動化(HubSpot、Marketo、Pardot等)

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、リード獲得・育成を自動化するツールです。

主なMAツール:

  • HubSpot: 中小企業向け、無料プランあり、使いやすさ重視
  • Marketo: 大企業向け、高機能、Adobe製品との連携
  • Pardot(Salesforce): Salesforceと連携、B2B特化

主な機能:

  • リードスコアリング(見込み客の行動を数値化)
  • セグメンテーション(属性・行動でグループ分け)
  • メール配信自動化(ステップメール、トリガーメール)
  • ランディングページ作成
  • レポート・分析

※MAツールの機能や料金は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

(3) SFAツール:営業活動を効率化(Salesforce、Sansan等)

SFA(営業支援システム)は、営業活動を効率化するツールです。

主なSFAツール:

  • Salesforce: 世界シェアNo.1、高機能、カスタマイズ性が高い
  • Sansan: 名刺管理から営業支援まで、国内企業に強い

主な機能:

  • 商談管理(案件の進捗管理)
  • 顧客管理(企業情報、担当者情報)
  • 営業活動の記録・分析
  • 売上予測

(4) CRMツール:顧客情報を一元管理

CRM(顧客関係管理)は、顧客情報を一元管理し、顧客との関係を強化するシステムです。

MAツール、SFAツール、CRMツールを連携させることで、リード獲得から受注、顧客フォローまで一貫したデータ管理が可能になります。

戦略設計とKPI設定

(1) 戦略設計:ターゲット顧客の明確化、コンテンツ戦略、チャネル選定

デマンドジェネレーション戦略を設計する際は、以下のステップで進めます:

①ターゲット顧客の明確化: ペルソナ設定、企業規模、業種、課題の特定 ②カスタマージャーニーマップ作成: 情報収集→比較検討→意思決定の各段階を設計 ③コンテンツ戦略: 各段階で提供するコンテンツを設計(ブログ記事、ホワイトペーパー、事例等) ④チャネル選定: Web広告、SEO、展示会、セミナー等の優先度を決定 ⑤予算配分: Web広告30-40%、コンテンツ制作20-30%、MAツール導入・運用20-30%、展示会・セミナー10-20%が目安

(2) KPI設定:リード獲得数、商談化率、受注率、ROI

デマンドジェネレーションの成功指標は以下の通りです:

リード獲得数: 月間の新規リード獲得数 MQL数: マーケティング部門が育成したリード数 SQL数: 営業部門に引き継いだリード数 商談化率: SQL→商談化の転換率 受注率: 商談→受注の転換率 ROI(投資対効果): マーケティング投資額に対する売上・利益

重要なポイント: マーケティング部門と営業部門で共通のKPIを設定し、定期的に進捗を確認します。

(3) マーケティング部門と営業部門の連携(SLA締結)

デマンドジェネレーションを成功させるには、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠です。

SLA(サービスレベル合意)の締結:

  • マーケティング部門: 月間○件のSQLを営業に提供
  • 営業部門: SQLに対して○日以内に初回コンタクト
  • 双方: 商談化率○%、受注率○%を目標に設定

SLAを締結することで、責任範囲が明確になり、協力体制が構築されます。

(4) ABM(アカウントベースドマーケティング)との関係性

ABM(Account Based Marketing)は、特定の企業(アカウント)をターゲットに、カスタマイズされたマーケティング施策を展開する手法です。

デマンドジェネレーションとABMの違い:

  • デマンドジェネレーション: 幅広いリードを獲得→育成→絞込
  • ABM: 特定の高価値企業に絞ってアプローチ

両者は対立するものではなく、デマンドジェネレーションで幅広くリードを獲得しつつ、高価値企業にはABMで集中的にアプローチするハイブリッド戦略が効果的です。

まとめ:デマンドジェネレーション成功のポイント

(1) 長期的な取り組みと成果測定

デマンドジェネレーションは長期的な取り組みが必要で、短期的な成果を求めると失敗しやすい傾向があります。

推奨される取り組み期間:

  • 初期(0〜3ヶ月): 戦略設計、ツール導入、コンテンツ制作
  • 成長期(3〜12ヶ月): リード獲得・育成の仕組み化、KPI改善
  • 成熟期(12ヶ月〜): ROI向上、スケール拡大

定期的にKPIを測定し、改善アクションを継続的に実施することが重要です。

(2) ツール導入だけでなく運用体制の構築

MAツールやCRMツールを導入しただけでは成果が出ません。以下の運用体制を構築することが重要です:

  • コンテンツ制作チーム: 継続的にブログ記事、ホワイトペーパーを制作
  • MAツール運用担当: スコアリング設定、セグメンテーション、メール配信
  • 営業連携担当: マーケティングと営業の橋渡し、SLA管理

(3) 成功事例:製造業B2B、MAツール提供企業

製造業B2B事例: MAツール導入により、リード育成を自動化し、商談数が前年比150%増加。営業効率が向上し、売上も向上。

MAツール提供企業事例: 自社でデマンドジェネレーションを実践し、2,800社の導入を達成。リード獲得→育成→受注までのプロセスを体系化。

重要なポイント:

  • デマンドジェネレーションは、獲得→育成→営業引継を包括的に設計する戦略
  • 3つのプロセス(リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーション)を体系的に実施
  • MAツール、SFAツール、CRMツールを連携させて効率化
  • マーケティング部門と営業部門でSLAを締結し、共通KPIを設定
  • 長期的な取り組みと運用体制の構築が成功の鍵

次のアクション:

  • 自社のカスタマージャーニーマップを作成し、各段階での施策を設計する
  • MAツールの無料トライアルを試し、自社に合ったツールを選定する
  • マーケティング部門と営業部門でSLAを締結し、共通KPIを設定する
  • コンテンツ制作チームを構築し、継続的にコンテンツを制作する

※デマンドジェネレーションの具体的な施策や手法は企業の業種・規模により異なるため、自社の状況に応じて適用してください。(この記事は2024年時点の情報です)

よくある質問

Q1デマンドジェネレーションとリードジェネレーションの違いは何ですか?

A1デマンドジェネレーションはリードジェネレーションを含む包括的なマーケティング戦略です。リードジェネレーションは見込み客の連絡先獲得に特化していますが、デマンドジェネレーションは獲得→育成→営業引継まで含みます。

Q2デマンドジェネレーションにはどんなツールが必要ですか?

A2MAツール(マーケティングオートメーション)、SFAツール(営業支援)、CRMツール(顧客管理)が中心です。HubSpot、Marketo、Salesforce等が代表例です。まずはExcelやスプレッドシートからでも開始可能です。

Q3デマンドジェネレーションの成功指標は何ですか?

A3リード獲得数、商談化率(MQL→SQL転換率)、受注率、ROI(投資対効果)などです。マーケティング部門と営業部門で共通のKPIを設定し、SLA(サービスレベル合意)を締結することが推奨されます。

Q4デマンドジェネレーションの予算配分はどうすべきですか?

A4企業規模により異なりますが、Web広告30-40%、コンテンツ制作20-30%、MAツール導入・運用20-30%、展示会・セミナー10-20%が目安です。リード単価とLTV(顧客生涯価値)を基準に配分を調整します。

Q5Google広告のデマンドジェネレーションキャンペーンとは?

A5YouTubeショート、Discover、Gmail等に配信できる広告キャンペーンです。2024年3月にファインド広告から移行しました。月間30億人のアクティブユーザーにリーチ可能です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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