データベース作成ガイド|設計から構築までの手順を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

データベースとは何か

BtoB企業の情報システム担当者やデータエンジニアの多くが、「業務システムのためにデータベースを構築したいが、設計や構築の基礎がわからない」という悩みを抱えています。

データベースは、体系的に整理されたデータの集合体で、効率的な検索・更新・管理を可能にします。BtoBビジネスでは、顧客情報・受注データ・在庫管理など、業務の中核を支えるデータ基盤として不可欠な存在です。

この記事では、データベース作成の基礎から、設計・構築・運用まで、実務で役立つポイントを体系的に解説します。

この記事のポイント:

  • データベースは業務データの効率的な管理を可能にし、BtoBシステムの中核を支える
  • 規模に応じてExcel/ノーコードツール/MySQL・PostgreSQLから選定する
  • 設計は概念設計→論理設計→物理設計の3段階で進める
  • クラウドDBは初期コスト不要で自動バックアップ・スケーリングが可能
  • セキュリティ対策(アクセス制御・暗号化・バックアップ・ログ監視)が必須

(1) データベースの定義と役割

データベースとは、体系的に整理されたデータの集合体です。従来のファイル保存と異なり、以下の機能を提供します。

データベースの主な機能:

  1. 効率的な検索: 条件を指定して必要なデータを瞬時に取得
  2. データの一貫性: 重複や矛盾のないデータ管理
  3. 同時アクセス対応: 複数ユーザーが同時にデータを利用可能
  4. セキュリティ: アクセス制御により機密情報を保護
  5. バックアップ・復旧: データ損失を防ぐ仕組み

小規模な顧客リストや商品管理にはExcelのテーブル機能で簡易データベースが作成可能ですが、データ量が増えると専門ツールが必要になります。

(2) BtoBシステムにおけるデータベースの重要性

BtoBビジネスでは、データベースが以下の業務を支えます。

データベースが支える業務例:

業務 データベースの役割
顧客管理(CRM) 顧客情報・商談履歴・問い合わせ記録の一元管理
受注管理 受注情報・在庫連携・出荷ステータスの追跡
財務会計 取引データ・請求書発行・入金管理
人事管理 社員情報・勤怠記録・給与計算
製品管理 製品マスタ・価格情報・在庫状況

BtoBシステムにおけるDB設計は業務要件理解が前提です。データ構造が業務フローに合っていないと、後から大きな修正コストが発生します。

※出典: Offers Magazine「データベースの作り方を簡単解説。作り方のイロハから実践知識まで」(2024年)

データベースの種類と選定基準

データベースには複数の種類があり、用途に応じて選定することが重要です。

(1) RDB(リレーショナルDB)とNoSQLの違い

RDB(リレーショナルデータベース):

  • テーブル(表)形式でデータを管理
  • 複雑な検索条件や集計が可能
  • MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverなど

NoSQL(非リレーショナルデータベース):

  • キーバリュー、ドキュメント、グラフ型など多様な形式
  • 大量データを高速処理
  • MongoDB、Cassandra、Redis、DynamoDBなど

選定基準:

項目 RDB NoSQL
適したデータ 構造化データ 非構造化データ
用途例 顧客情報、受注データ ログデータ、センサーデータ
検索複雑度 複雑な条件・集計が可能 シンプルな検索が中心
スケーラビリティ 垂直スケール(サーバー強化) 水平スケール(サーバー追加)

構造化データ(顧客情報・受注データ等)で複雑な検索条件が必要ならRDB(MySQL、PostgreSQL)を選択します。多くのBtoBの基幹システムはRDBを採用しています。

※出典: ITトレンド「【2025年最新】データベースソフトおすすめ比較15選!無料・有料製品の機能や選び方・人気ランキングを徹底解説」(2025年)

(2) クラウドDBとオンプレミスDBの比較

クラウドDB:

  • AWS RDS、Google Cloud SQL、Azure SQL Databaseなど
  • 初期コスト不要(従量課金)、自動スケーリング、自動バックアップ
  • 運用負荷が大幅に軽減されるが、継続的な月額コストが発生

オンプレミスDB:

  • 自社サーバーにインストール
  • 初期投資必要(サーバー購入・ライセンス)、運用は自社で管理
  • 長期的にはコスト抑制も可能だが、運用負荷が高い

クラウドDBのメリット:

  • 初期コスト不要で小規模から開始可能
  • 自動バックアップ・高可用性構成が容易
  • スケールアップ・スケールダウンが柔軟

2025年現在、スタートアップや中小企業を中心にクラウドDBの採用が拡大しています。

(3) ツール選定の基準(規模・予算・スキル)

規模別の選定目安:

規模 データ量 おすすめツール 理由
小規模 〜1万件 Excel、Googleスプレッドシート 無料、導入が容易
中規模 1万〜10万件 ノーコードツール(kintone、サスケWorks) プログラミング不要、アプリ開発も可能
大規模 10万件〜 MySQL、PostgreSQL(クラウドまたはオンプレミス) 高性能、大量データ処理に対応

プログラミング知識がない場合、ノーコード/ローコードツール(kintone、サスケWorks、PigeonCloud)を使えばプログラミング不要でDB構築可能です。

※参考: MeetsMore「データベースが作成できるおすすめのフリーソフト7選|作業を楽にするツールもご紹介」(2024年)

データベース設計の3段階プロセス

データベース設計は概念設計→論理設計→物理設計の3段階で進めます。

(1) 概念設計:業務要件の整理とER図

概念設計では、業務全体のデータ構造を俯瞰し、ER図(Entity Relationship Diagram:実体関連図)で表現します。

ER図の要素:

  • エンティティ(実体): データの対象(顧客、商品、受注など)
  • 属性: エンティティの情報(顧客名、住所、電話番号など)
  • リレーション(関連): エンティティ間の関係(顧客が複数の受注を持つ、など)

概念設計の手順:

  1. 業務フローを整理し、管理すべきデータを洗い出す
  2. エンティティを特定する(顧客、商品、受注など)
  3. エンティティ間の関連を定義する(1対1、1対多、多対多)
  4. ER図を作成する

(2) 論理設計:テーブル構造と正規化

論理設計では、ER図を基にテーブル構造を決定し、正規化を行います。

正規化とは:

  • データの冗長性(重複)を排除し、一貫性を保つ手法
  • 第1正規形→第2正規形→第3正規形と段階的に整理

正規化の例:

正規化前(冗長なデータ):

受注ID 顧客名 顧客住所 商品名 単価
001 A社 東京都 製品X 1000円
002 A社 東京都 製品Y 2000円

正規化後(テーブル分割):

顧客テーブル:

顧客ID 顧客名 顧客住所
C01 A社 東京都

受注テーブル:

受注ID 顧客ID 商品ID
001 C01 P01
002 C01 P02

正規化により、データの更新・削除時の不整合を防ぎます。

(3) 物理設計:インデックスとパフォーマンス最適化

物理設計では、実際のDBMSに合わせて、パフォーマンスを最適化します。

主な物理設計の要素:

  1. インデックス設計: 検索を高速化するための索引
  2. データ型の選択: 数値、文字列、日付などの型を最適化
  3. パーティショニング: 大量データを分割して管理
  4. レプリケーション: データの複製による高可用性

データベース設計が不適切だと、後からの修正コストが膨大になるため、3段階設計プロセスを慎重に行う必要があります。

※出典: ASPIC「データベースソフトおすすめ14選。選び方や無料ソフトを紹介」(2024年)

データベースの構築手順

設計が完了したら、実際にデータベースを構築します。

(1) Excelでの簡易データベース作成

手順:

  1. Excelを開き、1行目に列名(項目名)を入力
  2. 2行目以降にデータを入力
  3. 「挿入」→「テーブル」で範囲をテーブル化
  4. フィルター・並べ替え機能で検索・集計

注意点:

  • Excelでの大規模データベース管理は動作が遅くなる
  • 複数人での同時編集に弱い
  • データ量が1万件を超えたら専門ツールへの移行を検討

※参考: ITトレンド「Excelでデータベースを作成する方法は?手順や注意点、効率化する方法を解説」(2024年)

(2) MySQL/PostgreSQLでのDB構築

MySQLはオープンソースで世界で最もシェアされており、高性能で柔軟性が高いです。PostgreSQLは30年以上開発されており、商用レベルの高性能を無料で利用可能です。

基本的な構築手順(MySQL例):

  1. MySQLのインストール(またはクラウドDBを契約)
  2. データベースの作成:
CREATE DATABASE mydb;
  1. テーブルの作成:
CREATE TABLE customers (
  customer_id INT PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(100),
  address VARCHAR(255)
);
  1. データの挿入:
INSERT INTO customers VALUES (1, 'A社', '東京都');
  1. データの検索:
SELECT * FROM customers WHERE name = 'A社';

SQL(Structured Query Language)を使ってデータベースの操作・定義・制御を行います。

※出典: プロゲート「MySQLでデータベースを作成しよう」(2024年)

(3) ノーコードツールの活用

2025年現在、Notion AI等のAI機能により、自然言語指示で自動的にデータベース構築が可能になっています。

ノーコードツールの例:

  • kintone: プログラミング不要でアプリ開発可能
  • サスケWorks: 営業支援に特化したデータベース
  • Notion AI: 自然言語指示で自動DB構築(Businessプラン以上)

Notion AIの例: ユーザー: 「顧客管理データベースを作成してください」 Notion AI: 自動的に顧客ID・顧客名・連絡先・商談状況などのカラムを持つDBを生成

ノーコード/ローコードツールの普及により、非技術者でもデータベースアプリを構築できる環境が整っています。

※出典: Kipwise「Notion AIで簡単データベース作成!2025年最新機能と使い方徹底解説」(2025年)

データベースの運用と保守

データベースは構築後も継続的な運用・保守が必要です。

(1) バックアップとセキュリティ対策

バックアップ:

  • 日次バックアップ: 毎日自動でバックアップを取得
  • 復旧テスト: 定期的にバックアップからの復旧テストを実施
  • 世代管理: 複数世代のバックアップを保持

セキュリティ対策(最低限やるべきこと):

  1. アクセス制御: 必要最小限の権限付与
  2. 暗号化: 通信・保管データの暗号化
  3. バックアップ: 日次バックアップと復旧テスト
  4. ログ監視: 不正アクセス検知

個人情報を扱う場合は個人情報保護法対応も必須です。クラウドDBは一部自動対応していますが、設定確認が重要です。

(2) パフォーマンスチューニングと継続的改善

パフォーマンスチューニング:

  • クエリの最適化: 遅いクエリを特定し、インデックスを追加
  • 統計情報の更新: DBMSが最適な実行計画を選択できるよう統計を更新
  • 不要データの削除: 古いデータをアーカイブまたは削除

継続的改善:

  • 定期的なパフォーマンス監視
  • 利用状況に応じたスケールアップ・スケールダウン
  • セキュリティパッチの適用

まとめ:ビジネス要件に合ったデータベース作成のポイント

データベースは、BtoBビジネスの業務データを効率的に管理するための中核です。設計・構築・運用の各段階で適切な判断をすることで、長期的に安定したデータ基盤を構築できます。

成功のための重要ポイント:

  • 規模に応じてExcel/ノーコードツール/MySQL・PostgreSQLから選定する
  • 設計は概念設計→論理設計→物理設計の3段階で慎重に進める
  • クラウドDBは初期コスト不要で自動バックアップ・スケーリングが可能
  • セキュリティ対策(アクセス制御・暗号化・バックアップ・ログ監視)を徹底
  • まずはExcelで小規模運用し、必要に応じて段階的にスキルアップが推奨

次のアクション:

  • 業務要件を整理し、管理すべきデータを洗い出す
  • データ規模・予算・スキルに応じたツールを選定する
  • 3段階設計プロセスでデータベースを設計する
  • バックアップ・セキュリティ対策を設定し、運用を開始する

ビジネス要件に合ったデータベースを正しく構築・運用することで、業務効率化とデータ活用の基盤を確立しましょう。

※この記事は2025年11月時点の情報です。データベース技術やツールは変化するため、最新情報は各製品の公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1RDB(リレーショナルDB)とNoSQLはどう選ぶべきか?

A1構造化データ(顧客情報・受注データ等)で複雑な検索条件が必要ならRDB(MySQL、PostgreSQL)を選択します。非構造化データ(ログ・センサーデータ等)で大量データを高速処理するならNoSQL(MongoDB、Cassandra)が適切です。多くのBtoBの基幹システムはRDBを採用しています。

Q2クラウドDBを使うメリットは何か?

A2初期コスト不要(従量課金)、自動スケーリング、自動バックアップ、高可用性構成が容易です。AWS RDS、Google Cloud SQL、Azure SQL Databaseなどが代表的です。オンプレミスより運用負荷が大幅に軽減されますが、継続的な月額コストが発生する点を考慮しましょう。

Q3データベース作成に必要なスキルは何か?

A3レベル別:(1)Excel/ノーコードツール→IT基礎知識のみ、(2)MySQL/PostgreSQL→SQL言語・正規化・インデックス設計、(3)大規模DB→パフォーマンスチューニング・レプリケーション・シャーディング。まずはExcelで小規模運用し、必要に応じて段階的にスキルアップが推奨されます。

Q4セキュリティ対策で最低限やるべきことは何か?

A4(1)アクセス制御:必要最小限の権限付与、(2)暗号化:通信・保管データの暗号化、(3)バックアップ:日次バックアップと復旧テスト、(4)ログ監視:不正アクセス検知。個人情報を扱う場合は個人情報保護法対応も必須です。クラウドDBは一部自動対応しています。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。