カスタムセグメントの設定に悩んでいませんか?
「Google広告やアナリティクスを使っているけれど、もっとターゲットを絞った分析・配信をしたい...」
マーケティング・データ分析担当者の多くが、顧客セグメンテーションや分析の高度化に課題を抱えています。デフォルトのセグメントだけでは、自社の事業やターゲット顧客の特性に合った詳細な分析ができず、広告配信の精度も十分ではありません。
この記事では、カスタムセグメントの定義・作成方法・活用事例・分析のコツを、B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング実務担当者向けに解説します。Google広告とGoogleアナリティクス両方での活用方法をカバーした実践的な内容です。
この記事のポイント:
- カスタムセグメントはGoogle広告・Googleアナリティクスで自社に合ったターゲット設定・分析を実現する機能
- Google広告では2020年9月にカスタムアフィニティ・カスタムインテントが統合され、より柔軟なターゲティングが可能に
- オーディエンスマネージャーからキーワード・URL・アプリを設定して作成(審査あり)
- Googleアナリティクスでは22種類の事前定義セグメントに加え、独自のカスタムセグメントを作成可能
- セグメント別の行動分析・CVR改善の比較分析に活用できる
カスタムセグメントとは?マーケティングで注目される理由
カスタムセグメントは、マーケティングの精度を高めるための重要な機能です。
(1) カスタムセグメントの定義
カスタムセグメントは、Google広告とGoogleアナリティクスで自社のビジネスに合わせた独自のオーディエンス(ユーザー層)を定義する機能です。
Google広告のカスタムセグメント: 関連性の高いキーワード、URL、アプリを入力して、最適なオーディエンスにアプローチする機能。ディスプレイ、動画、Gmail、デマンドジェネレーションキャンペーンで利用できます。
Googleアナリティクスのカスタムセグメント: 解析結果を一部のデータに絞り込んでレポート表示する機能。特定のユーザー層の行動分析や、コンバージョンに至ったユーザーとそうでないユーザーの比較が可能になります。
どちらも、デフォルトのセグメントでは十分にカバーできない、自社独自のターゲット設定や分析を実現します。
(2) B2Bマーケティングにおける重要性
B2Bマーケティングでは、ターゲット企業の業種・規模・課題が多様で、一律のセグメントでは効果的なアプローチが困難です。
カスタムセグメントのメリット:
- 精緻なターゲティング: 「SaaS導入を検討している中小企業」など、具体的な条件でターゲットを絞り込める
- 効果的な広告配信: ターゲット外のユーザーへの配信を抑制し、広告費の無駄を削減
- 深い行動分析: 「無料トライアル登録後に解約したユーザー」など、特定のユーザー層の行動を詳細に分析
- CVR改善: コンバージョンに至ったユーザーの特徴を把握し、施策を最適化
セグメントマーケティングでは、市場を特定の属性やニーズに基づいて分類することで、顧客の属性やニーズに合わせたターゲティングが可能となり、効果的なマーケティング施策を展開できます。
カスタムセグメントの基礎知識と種類
カスタムセグメントの種類と特徴を理解することが、効果的な活用の第一歩です。
(1) Google広告のカスタムセグメント
Google広告のカスタムセグメントは、広告配信のターゲティング精度を高める機能です。
主な特徴:
- 設定項目: キーワード、サイトURL、アプリ名のうち、少なくとも1つを設定
- 利用可能キャンペーン: ディスプレイ、動画、Gmail、デマンドジェネレーション(検索キャンペーンでは利用不可)
- 審査: 作成後に審査があり、審査通過後に広告配信開始
設定例:
- キーワード: 「クラウド会計ソフト」「経理自動化」「バックオフィス効率化」
- サイトURL: 競合他社の製品ページ、業界メディア、導入事例サイト
- アプリ: 関連する業務アプリ(会計アプリ、請求書管理アプリ等)
これらの情報を組み合わせることで、「クラウド会計ソフトに興味があり、競合他社の製品ページを訪問したことがあるユーザー」といった具体的なターゲティングが可能になります。
(2) Googleアナリティクスのカスタムセグメント
Googleアナリティクスのカスタムセグメントは、データ分析の精度を高める機能です。
主な特徴:
- 事前定義セグメント: 22種類の事前定義セグメントが用意されており、特別な設定なしですぐに使える
- カスタムセグメント作成: 独自の条件でセグメントを作成可能
- 除外セグメント: 「有料広告からのアクセスを除外」など、該当するセグメントのデータを除外するセグメントも作成可能
活用例:
- 「無料トライアル登録ページを訪問したが、登録しなかったユーザー」の行動分析
- 「過去30日以内に3回以上訪問したユーザー」のコンバージョン率分析
- 「特定の流入元(オーガニック検索、SNS等)からの訪問者」の行動比較
カスタムセグメントにより、解析結果を特定データに絞り込むことで、より具体的な仮説検証や施策立案が可能になります。
(3) カスタムアフィニティ・カスタムインテントからの統合
2020年9月以前、Google広告には「カスタムアフィニティ」と「カスタムインテント」という2つのターゲティング機能がありました。
統合の経緯:
- 2020年9月: カスタムアフィニティとカスタムインテントがカスタムセグメントに統合
- 統合のメリット: より柔軟で具体的なターゲティングが可能に
統合前の機能:
- カスタムアフィニティ: 興味・関心に基づくターゲティング(特定のトピックに関心があるユーザー)
- カスタムインテント: 購買意向に基づくターゲティング(購入を検討しているユーザー)
統合後のカスタムセグメントでは、これらの機能を1つに集約し、今までよりも具体的かつ柔軟なターゲティングが可能になりました。2024年時点でも、Google広告・Googleアナリティクスの両方で活発に活用されている主要機能として位置づけられています。
Google広告でのカスタムセグメント作成方法
Google広告でのカスタムセグメント作成手順を、ステップごとに解説します。
(1) オーディエンスマネージャーでの設定手順
カスタムセグメントは、Google広告の「オーディエンスマネージャー」から作成します。
作成手順:
- Google広告にログイン
- 「ツール」→「オーディエンスマネージャー」をクリック
- 「+」ボタンをクリック
- 「カスタムセグメント」を選択
- キーワード・URL・アプリを設定(少なくとも1つは必須)
- セグメント名を入力(管理しやすい名前を設定)
- 「保存」をクリック
作成後、審査プロセスに入ります。
(2) キーワード・URL・アプリの設定方法
カスタムセグメントの精度は、設定するキーワード・URL・アプリによって大きく変わります。
キーワード設定のポイント:
- 具体的なキーワード: 一般的すぎるキーワード(「ビジネス」「ツール」)を避け、具体的なキーワード(「クラウド会計ソフト」「SFA」)を設定
- 関連キーワードを複数設定: ターゲットが検索しそうなキーワードを3〜10個程度設定
- 競合を意識: 競合製品名・サービス名を含めることで、競合を検討しているユーザーにもアプローチ
URL設定のポイント:
- 関連サイトのURL: 業界メディア、導入事例サイト、競合他社の製品ページ等
- 具体的なページを指定: トップページではなく、特定のカテゴリページや製品ページを設定
アプリ設定のポイント:
- 関連アプリ: ターゲットが利用しそうな業務アプリ、ツール等
- 競合アプリ: 競合製品のアプリを設定することで、競合ユーザーにアプローチ
NG例とOK例:
- NG: キーワード「ビジネス」のみ(一般的すぎて関連性の低いユーザーにも配信される)
- OK: キーワード「クラウド会計ソフト、経理自動化、バックオフィス効率化」+ URL「競合製品ページ」(具体的で関連性が高い)
設定が具体的であればあるほど、ターゲティング精度が向上します。
(3) 審査プロセスと配信開始までの流れ
Google広告のカスタムセグメントは、作成後に審査があります。
審査プロセス:
- カスタムセグメント作成・保存
- Google側で審査開始(通常数時間〜数日)
- 審査通過後、広告配信開始可能
審査で確認される内容:
- ポリシー違反がないか(禁止コンテンツ、不適切なキーワード等)
- 設定内容が適切か
審査を通過するまで広告配信が開始されないため、キャンペーン開始日の数日前にはカスタムセグメントを作成しておくことが推奨されます。
注意点:
- 審査期間中はステータスが「審査中」と表示される
- 審査に不合格の場合、理由が通知されるため、修正後に再申請
Googleアナリティクスでのカスタムセグメント活用
Googleアナリティクスのカスタムセグメントは、データ分析を深化させる強力なツールです。
(1) 事前定義セグメント(22種類)の活用
Googleアナリティクスでは、22種類の事前定義セグメントが用意されており、特別な設定なしですぐに使えます。
代表的な事前定義セグメント:
- すべてのユーザー: すべてのセッションデータ
- 新規ユーザー: 初めて訪問したユーザー
- リピーター: 2回以上訪問したユーザー
- モバイルトラフィック: モバイルデバイスからの訪問
- オーガニック検索トラフィック: 自然検索からの流入
- 有料検索トラフィック: 有料広告からの流入
- コンバージョンに至ったユーザー: 目標を達成したユーザー
これらのセグメントを組み合わせることで、「新規ユーザーのコンバージョン率」「リピーターの平均セッション時間」などの比較分析が可能です。
(2) カスタムセグメントの作成手順
事前定義セグメントでカバーできない条件は、カスタムセグメントを作成します。
作成手順:
- Googleアナリティクスにログイン
- レポート画面で「セグメントを追加」をクリック
- 「+新しいセグメント」をクリック
- 条件を設定(ユーザー属性、行動、トラフィックソース等)
- セグメント名を入力
- 「保存」をクリック
設定例:
- 条件1: 「ページ」→「/pricing/」を含む(料金ページを訪問したユーザー)
- 条件2: 「イベント」→「無料トライアル登録」を実行していない(登録していないユーザー)
この例では、「料金ページを訪問したが、無料トライアル登録をしていないユーザー」を抽出できます。このセグメントの行動を分析することで、登録障壁を特定し、改善施策を立案できます。
(3) 除外セグメントの活用方法
Googleアナリティクスでは、除外セグメントを作成することで、特定の条件に該当するデータを除外して分析できます。
活用例:
- 有料広告からのアクセスを除外: オーガニック流入のみの分析
- 社内IPアドレスを除外: 社内アクセスを除いた正確なデータ分析
- 直帰ユーザーを除外: 複数ページを閲覧したユーザーのみの行動分析
除外セグメントにより、ノイズとなるデータを除外し、より精度の高い分析が可能になります。
カスタムセグメントの活用事例と注意点
カスタムセグメントを実務で活用する際の具体例と注意点を解説します。
(1) セグメント別の行動分析
カスタムセグメントを使うことで、特定のユーザー層の行動を詳細に分析できます。
活用事例:
- 無料トライアル登録後に解約したユーザーの分析: どのページで離脱したか、どの機能を使わなかったかを特定
- 高額プラン契約者の行動分析: 契約前にどのコンテンツを閲覧したか、どの機能に関心があったかを把握
- 業種別の行動比較: 製造業・小売業・サービス業など、業種別にコンテンツの閲覧傾向を比較
これらの分析により、ターゲット別に最適化されたコンテンツやUI/UXの改善が可能になります。
(2) CVR改善のための比較分析
コンバージョンに至ったユーザーとそうでないユーザーを比較することで、CVR改善のヒントが得られます。
比較分析の例:
- セグメント1: コンバージョンに至ったユーザー
- セグメント2: 料金ページを訪問したが、コンバージョンしなかったユーザー
分析ポイント:
- セッション時間の差: コンバージョンユーザーの方が長い場合、情報収集が重要
- 閲覧ページの差: コンバージョンユーザーが多く閲覧するページを特定し、導線を改善
- 流入元の差: オーガニック検索とSNS流入でコンバージョン率が異なる場合、流入元別に施策を最適化
この比較により、「どのページを強化すればCVRが上がるか」「どの流入元に注力すべきか」が明確になります。
(3) よくある設定ミスと回避策
カスタムセグメントの設定では、以下のようなミスが発生しやすいため注意が必要です。
よくある設定ミス:
1. 一般的すぎるキーワード設定
- ミス例: キーワード「ビジネス」「ツール」のみ
- 問題: 関連性の低いユーザーにも広告が配信され、広告費が無駄に
- 回避策: 具体的なキーワードを3〜10個設定(「クラウド会計ソフト」「SFA」等)
2. ターゲットが狭すぎる設定
- ミス例: 極めて具体的な条件を10個以上組み合わせる
- 問題: ターゲットが少なすぎて、広告が配信されない
- 回避策: 最初は広めに設定し、配信データを見ながら徐々に絞り込む
3. セグメント名が不明瞭
- ミス例: セグメント名「テスト1」「新規」
- 問題: 後から見たときに、どのセグメントか分からない
- 回避策: 「クラウド会計ソフト検討層_競合比較」など、具体的で分かりやすい名前を設定
4. A/Bテストをしない
- ミス例: 1つのセグメントのみ作成し、改善しない
- 問題: 最適なセグメント設定が分からない
- 回避策: 複数のセグメントを作成し、パフォーマンスを比較して最適化
これらのミスを回避することで、カスタムセグメントの効果を最大化できます。
まとめ:効果的なカスタムセグメント運用のポイント
カスタムセグメントは、Google広告とGoogleアナリティクスの両方で、ターゲティング精度と分析の深度を大幅に向上させる機能です。
カスタムセグメント運用のチェックリスト:
Google広告:
- オーディエンスマネージャーで具体的なキーワード・URL・アプリを設定した
- 一般的すぎるキーワードを避け、ターゲットに関連性の高いキーワードを3〜10個設定した
- セグメント作成後、審査期間を考慮してキャンペーン開始日より数日前に設定した
- 複数のセグメントを作成し、A/Bテストで最適化している
- 配信データを定期的に確認し、パフォーマンスの低いセグメントは見直している
Googleアナリティクス:
- 22種類の事前定義セグメントを活用し、基本的な分析を実施した
- 自社のビジネスに合わせたカスタムセグメントを作成した
- コンバージョンに至ったユーザーとそうでないユーザーの比較分析を実施した
- 除外セグメントを活用し、ノイズとなるデータを除外した
- セグメント別の行動分析結果を施策に反映している
共通:
- セグメント名を具体的で分かりやすい名前にしている
- 定期的に設定を見直し、市場環境やターゲット層の変化に対応している
次のアクション:
- Google広告のオーディエンスマネージャーで最初のカスタムセグメントを作成する
- Googleアナリティクスで事前定義セグメントを使い、基本的な分析を試す
- コンバージョンに至ったユーザーの行動を分析し、CVR改善の仮説を立てる
- 複数のセグメントを作成し、A/Bテストで効果を比較する
- 公式ヘルプで最新の機能・仕様を確認する
※Google広告・Googleアナリティクスの機能は更新される可能性があります。最新情報は各公式ヘルプでご確認ください。(この記事は2024年時点の情報です)
カスタムセグメントを効果的に活用し、ターゲティング精度の向上と深い顧客理解を実現しましょう。
