CRMの作り方【自社開発 vs パッケージ導入の比較と選定基準】

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/8

CRMを自社で構築したいけれど、どの方法が最適か分からない…

顧客情報を一元管理し、営業・マーケティング活動を効率化したいと考えるB2B企業にとって、CRM(顧客関係管理)システムの構築は重要な課題です。「パッケージ製品を導入すべきか、自社開発すべきか」「費用はどれくらいかかるのか」「どのような手順で進めればいいのか」といった疑問を持つ担当者は少なくありません。

この記事では、CRM構築の3つのアプローチ(フルスクラッチ開発・オープンソース活用・パッケージカスタマイズ)を比較しながら、具体的な構築手順、費用相場、注意点を解説します。

この記事のポイント:

  • CRM構築には「フルスクラッチ」「オープンソース活用」「パッケージカスタマイズ」「Excel・無料ソフト」の4つの選択肢がある
  • ベンダー依頼の構築費用は約100万円〜が相場(要件定義20-25万円、開発60-70万円、テスト10-20万円)
  • 導入は7ステップで進める(目的明確化→課題洗い出し→優先順位決定→情報集約→選定→トライアル→PDCA運用)
  • 企業規模・予算・技術力に応じて最適な構築方法は異なる
  • セキュリティ対策と現場の協力体制確保が成功の鍵

なぜCRMを自社構築するのか(パッケージ導入との比較)

CRMシステムの導入方法は、大きく「既存パッケージの導入」と「自社構築(カスタム開発)」に分かれます。

パッケージ導入のメリット:

  • 導入期間が短い(数週間〜数ヶ月)
  • 初期費用を抑えられる
  • 運用・保守がベンダー任せにできる

自社構築を選ぶ理由:

  • 既存パッケージでは自社の業務フローに合わない
  • 独自の機能要件がある(業界特有の顧客管理ルールなど)
  • 既存システム(基幹システム、社内ツール)との連携が必須
  • 長期的なコスト削減を見込める

自社の業務要件とパッケージの機能ギャップが大きい場合や、将来的な拡張性を重視する場合は、自社構築が選択肢となります。一方で、標準的な顧客管理で十分な場合は、パッケージ導入のほうが効率的です。

CRM構築の3つのアプローチ(スクラッチ・オープンソース・パッケージ)

CRMを構築する方法は、主に以下の4つに分類されます。

(1) フルスクラッチ開発(完全自社開発)

ゼロからシステムを設計・開発する方法です。

特徴:

  • 自社の業務要件に完全対応できる
  • 独自機能を自由に搭載可能
  • 他システムとの連携も自由に設計できる

必要なリソース:

  • 高度なプログラミング知識(データベース設計、フロントエンド・バックエンド開発)
  • 開発期間:6ヶ月〜1年以上
  • 費用:数百万円〜数千万円

向いている企業:

  • 社内に開発リソースがある大企業
  • 独自の業務フローを持つ企業
  • 長期的な運用を見据えている企業

(2) オープンソースCRMの活用

SuiteCRM、vtigerCRMなど、オープンソースで公開されているCRMをベースにカスタマイズする方法です。

特徴:

  • ライセンス費用が無料(または低コスト)
  • ソースコードを自由に改変可能
  • コミュニティのサポートが得られる

必要なリソース:

  • PHPやデータベースの知識
  • 開発期間:3〜6ヶ月
  • 費用:カスタマイズ費用数十万円〜数百万円

向いている企業:

  • 技術者がいる中小企業
  • コストを抑えつつカスタマイズしたい企業

(3) パッケージCRMのカスタマイズ

Salesforce、HubSpot、Zoho CRMなどのパッケージ製品を導入し、自社向けにカスタマイズする方法です。

特徴:

  • 基本機能が揃っているため導入が早い
  • ベンダーのサポートを受けられる
  • アップデートが自動で適用される

必要なリソース:

  • 技術知識は比較的不要(設定ベースでカスタマイズ)
  • 導入期間:1〜3ヶ月
  • 費用:月額数万円〜数十万円+カスタマイズ費用

向いている企業:

  • 早期に導入したい企業
  • 運用負荷を軽減したい企業
  • 標準機能+軽度なカスタマイズで十分な企業

(4) Excel・無料ソフトでの簡易構築

小規模な顧客管理であれば、Excelや無料ソフト(Fullfreeなど)でも構築可能です。

特徴:

  • 初期費用がほぼ不要
  • 使い慣れたツールで始められる
  • 複雑な顧客管理には不向き

向いている企業:

  • 顧客数が少ない(数十〜数百件程度)
  • 複数人での同時編集が不要
  • まずは顧客管理を始めてみたい企業

CRM構築の具体的な手順と進め方

CRM構築は、以下の7ステップで進めることが一般的です。

(1) 導入目的の明確化と現場課題の洗い出し

最初に「なぜCRMを構築するのか」を明確にします。

確認すべき項目:

  • 現在の顧客管理の課題は何か
  • CRMで解決したい問題は何か
  • 導入後のゴール(数値目標)は何か

導入目的が曖昧なまま進めると、機能過多になったり、現場で使われないシステムになるリスクがあります。

(2) 優先順位の決定と導入チーム組成

課題をリストアップしたら、優先順位を決定します。

導入チーム構成の例:

  • 営業部門のリーダー(現場ニーズの把握)
  • マーケティング部門のリーダー(リード管理の観点)
  • 情報システム部門(技術面のサポート)
  • 経営層(予算・意思決定)

複数部門からメンバーを集めることで、偏りのないシステム設計が可能になります。

(3) 顧客情報の集約と要件定義

各部門に散在している顧客情報を集約し、CRMに取り込む情報を整理します。

集約する情報の例:

  • 企業情報(会社名、業種、従業員数、売上規模)
  • 担当者情報(氏名、部署、役職、連絡先)
  • 商談履歴(接触日、内容、フェーズ)
  • 購買履歴(契約日、金額、製品・サービス)

要件定義では、必要な機能、他システムとの連携、セキュリティ要件などを文書化します。

(4) システム選定・開発とトライアル

要件定義に基づき、構築方法を決定し、開発またはシステム選定を行います。

選定時のチェックポイント:

  • 必要な機能が揃っているか
  • 予算内に収まるか
  • サポート体制は十分か
  • トライアル期間で検証できるか

トライアル期間を設けて、実際の業務で使えるかを検証することが重要です。導入後に「思っていたのと違う」となるリスクを軽減できます。

構築コストの相場と費用内訳

CRM構築の費用は、構築方法によって大きく異なります。

(1) 要件定義・設計費用

業務フローの分析、機能要件の定義、システム設計などにかかる費用です。

  • 相場:20〜25万円程度
  • 期間:2〜4週間

(2) システム開発・実装費用

実際にシステムを構築する費用です。

  • 相場:60〜70万円程度(パッケージベース)
  • フルスクラッチの場合:数百万円〜
  • 期間:1〜3ヶ月(パッケージ)、6ヶ月〜1年(スクラッチ)

(3) テスト・改修費用

動作検証、不具合修正、ユーザーテストなどの費用です。

  • 相場:10〜20万円程度
  • 期間:2〜4週間

(4) 運用・保守費用

導入後の継続的な費用です。

  • 月額保守費用:数万円〜数十万円
  • ライセンス費用(パッケージの場合):ユーザー数に応じて変動

※上記は2024年時点の目安です。詳細な見積もりは各ベンダーにご確認ください。

構築時の注意点とよくある失敗パターン

CRM構築でよくある失敗パターンと、その対策を紹介します。

(1) 導入目的が曖昧なまま進めてしまう

「他社が導入しているから」「なんとなく必要そうだから」という理由で構築を始めると、機能が肥大化したり、結局使われないシステムになることがあります。

対策:

  • 導入前に解決したい課題を明文化する
  • 数値目標(顧客対応時間の短縮、商談成約率の向上など)を設定する

(2) 現場の協力が得られず形骸化する

営業スタッフがデータを入力しない、使い方が分からないといった理由で、CRMが形骸化するケースは少なくありません。

対策:

  • 導入前に現場への説明会を実施し、導入目的とメリットを周知する
  • 入力ルールをシンプルにし、負担を軽減する
  • 入力データが営業活動に役立つことを実感できる仕組みを作る

(3) セキュリティ対策が不十分

CRMには顧客の個人情報が含まれるため、情報漏洩リスクへの対策は必須です。

対策:

  • アクセス権限の設定(部門・役職に応じた閲覧制限)
  • 操作ログの記録
  • 定期的なセキュリティ監査
  • バックアップ体制の構築

まとめ:企業規模・予算別の選定基準

CRM構築の方法は、企業規模・予算・技術力によって最適な選択肢が異なります。

小規模企業(顧客数〜数百件、予算〜50万円):

  • Excel・無料ソフトでの簡易構築
  • クラウド型CRMの無料プラン活用

中小企業(顧客数数百〜数千件、予算50〜300万円):

  • パッケージCRMのカスタマイズ
  • オープンソースCRMの活用

中堅〜大企業(顧客数数千件以上、予算300万円以上):

  • パッケージCRMの本格導入
  • フルスクラッチ開発(独自要件が強い場合)

次のアクション:

  • 自社の顧客管理における課題を整理する
  • 予算と導入期間の目安を決める
  • 複数のCRMツール・ベンダーの情報を収集する
  • 可能であればトライアルで実際に試してみる

CRM構築は導入して終わりではなく、継続的なPDCA運用が成果につながります。まずは小さく始めて、運用しながら改善していくアプローチも有効です。

よくある質問

Q1CRM構築にはどれくらいの費用がかかりますか?

A1ベンダーに依頼する場合、相場は約100万円〜が目安です。内訳は要件定義20〜25万円、システム開発60〜70万円、テスト・改修10〜20万円程度。フルスクラッチ開発の場合は数百万円〜数千万円かかることもあります。

Q2ExcelでのCRM管理とツール導入、どちらを選ぶべきですか?

A2顧客数が少なく(数十〜数百件程度)、単純な管理で十分ならExcelでも対応可能です。ただし、複数人での共同作業、高度な分析機能、営業プロセス管理が必要な場合は専用CRMツールの導入を検討してください。

Q3CRM構築にはどんなスキルが必要ですか?

A3フルスクラッチ開発なら、データベース設計、フロントエンド・バックエンド開発の高度なプログラミング知識が必要です。パッケージCRMやノーコードツールなら、技術スキルがなくても設定ベースで導入・カスタマイズが可能です。

Q4CRM導入後、効果が出るまでどれくらいかかりますか?

A4一般的に、効果実感までは3〜6ヶ月程度かかると言われています。導入直後は入力作業の負担が増えることもありますが、データが蓄積されることで営業活動の効率化や顧客対応の質向上が期待できます。継続的なPDCA運用が重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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