業務プロセスが属人化している、改善の進め方がわからない...
多くの企業で、業務の進め方が担当者ごとに異なっていたり、何となく続けている業務が効率的かわからないまま放置されていたりする状況が見られます。「改善したいけれど何から手をつければいいのか」「現場の理解が得られない」といった悩みを抱えている担当者も少なくありません。
この記事では、業務オペレーションの基本概念から、課題の可視化方法、ECRS・PDCAなどの改善フレームワーク、ツールの活用、定着のポイントまで、実務で役立つ情報を網羅的に解説します。
この記事のポイント:
- 業務オペレーションとは、目標達成に向けて業務の進め方を定め、実施する一連の活動を指す
- 業務フローチャートを作成して現状を可視化し、ボトルネックや無駄を発見する
- ECRS(削減・統合・入れ替え・簡素化)や三原則(やめる・減らす・かえる)で改善を進める
- BPMツールやナレッジ管理システムを活用して効率化を加速する
- 現場の理解と協力を得て、成果を可視化しながらPDCAで継続的に改善する
1. 業務オペレーションとは?定義と重要性
業務オペレーション(Operation)とは、企業が目標を達成するために、業務の進め方を定め、その手順に沿って実施する一連の活動を指します。製造、営業、人事、経理など、あらゆる部門で日々行われる業務は、すべてオペレーションに含まれます。
業務オペレーションの主な特徴:
- 標準化された作業: 手順やルールが明確に定められている
- 反復性: 定期的または継続的に実施される
- 目標志向: 企業の戦略や計画に基づいて実行される
業務オペレーションを適切に管理し、継続的に改善することで、以下のメリットが期待できます。
オペレーション改善のメリット:
- 作業時間の削減: 無駄な業務を削減し、必要な業務を効率化
- コア業務への集中: ルーティン業務の時間を減らし、戦略的な業務に注力
- 競合との差別化: 効率的なプロセスにより、コスト削減や迅速な対応が可能に
- 生産性向上: 標準化により品質の均一化と処理能力の向上を実現
オペレーション改善は、単なるコスト削減ではなく、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するための重要な経営戦略です。
2. 業務オペレーションの課題を可視化する方法
改善を進める前に、まず現状の業務プロセスを正確に把握し、課題を明確にすることが重要です。
(1) 業務フローチャートの作成
業務フローチャートとは、業務の流れを図式化したものです。各工程で「誰が」「何を」「どのように」行うかを視覚的に表現することで、業務の全体像を把握できます。
フローチャート作成のステップ:
- 対象業務を選定する(頻度が高い、時間がかかる業務を優先)
- 関係者にヒアリングし、工程ごとの作業内容を洗い出す
- 開始から完了までの流れを図式化する
- 各工程の所要時間・担当者・使用するツールを記載する
フローチャートを作成すると、業務の流れが明確になり、次のステップで課題を発見しやすくなります。
(2) ボトルネックと無駄の発見
フローチャートをもとに、以下の観点で課題を洗い出します。
主な課題の種類:
- ボトルネック: 処理能力が低く、全体の効率を制約している箇所(例:特定の承認者に集中する承認プロセス)
- 重複作業: 複数の部署や担当者が同じような作業を行っている
- 待ち時間: 前工程の完了待ちや、確認・承認待ちで発生する遅延
- 不要な工程: 形式的に続いているが、実際の価値を生まない作業
- 属人化: 特定の担当者しかできない業務(マニュアルが未整備)
これらの課題を定量的に把握し、優先順位をつけることで、効果的な改善計画を立てることができます。
3. オペレーション改善の手法とフレームワーク
課題を明確にしたら、具体的な改善手法を適用します。
(1) 三原則(やめる・減らす・かえる)
業務改善の基本は、**「Stop(やめる)」「Reduce(減らす)」「Change(かえる)」**の三原則です。
やめる(Stop):
- 習慣で続いている不要な会議や報告書を廃止
- 使われていない資料やレポートの作成を中止
減らす(Reduce):
- 会議の時間を30分に短縮
- 報告書のフォーマットを簡素化し、記載項目を削減
かえる(Change):
- 紙の承認をデジタル化(電子署名、ワークフローシステム)
- 対面会議をオンライン会議に変更
まずは「やめる」ことから始め、それでも必要な業務は「減らす」「かえる」で効率化します。
(2) ECRSフレームワーク
ECRSは、業務改善の4つの視点を示すフレームワークです。
E (Eliminate: 削減):
- 不要な業務を排除する(例:形式的な報告、重複したチェック)
C (Combine: 統合):
- 複数の業務を一つにまとめる(例:別々に行っていた情報収集をまとめて実施)
R (Rearrange: 入れ替え):
- 業務の順序や担当を変更する(例:並行処理できる工程を同時進行)
S (Simplify: 簡素化):
- 業務の手順や内容を簡単にする(例:承認ステップを削減、フォーマットの統一)
ECRSは上から順に適用するのが基本です。まず削減を検討し、削減できない業務は統合、入れ替え、簡素化を順に考えます。
(3) PDCAサイクルによる継続的改善
改善活動を一度きりで終わらせず、PDCAサイクルを回して継続的に見直すことが重要です。
Plan(計画):
- 改善目標と具体的な施策を設定する
- KPI(重要業績評価指標)を定義する(例:処理時間30%削減)
Do(実行):
- 計画に基づいて改善施策を実施する
- 実施内容と結果を記録する
Check(評価):
- KPIをもとに成果を測定する
- 想定通りの効果が出ているか検証する
Act(改善):
- 評価結果をもとに、さらなる改善策を検討する
- 次のPDCAサイクルに反映する
PDCAを回すことで、改善活動が定着し、組織全体の継続的な成長につながります。
4. 業務効率化を支援するツールの活用
ITツールを活用することで、オペレーション改善を加速できます。
(1) BPMツール・ワークフローシステム
BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツールは、業務プロセスの設計・実行・監視・改善を支援するシステムです。
主な機能:
- 業務フローの可視化・設計
- 承認フローの自動化(電子決裁)
- プロセスの実行状況の監視
- ボトルネックの自動検出
代表的なBPMツール:
- Questetra BPM Suite(日本語対応、クラウド型)
- intra-mart(大企業向け、オンプレミス/クラウド)
- kintone(サイボウズ、ノーコード開発)
BPMツールを導入することで、手作業による承認や情報伝達のミス・遅延を削減できます。
(2) ナレッジ管理・プロジェクト管理ツール
ナレッジ管理ツールは、業務マニュアルやノウハウを一元管理し、誰でもアクセスできる状態にします。属人化の解消と、新人の早期立ち上げに効果的です。
代表的なナレッジ管理ツール:
- Notion(ドキュメント・データベース統合)
- Confluence(Atlassian、エンジニア向け)
- esa(エンジニアチーム向け情報共有)
プロジェクト管理ツールは、タスクの進捗管理や部門間の情報共有を効率化します。
代表的なプロジェクト管理ツール:
- Asana(タスク管理、ワークフロー自動化)
- Backlog(日本製、ガントチャート対応)
- Trello(カンバン方式、視覚的なタスク管理)
これらのツールを組み合わせることで、情報共有とプロセス管理が効率化されます。
ツール選定のポイント:
- 自社の業務プロセスに合った機能があるか
- 初期コスト・運用コストが予算内か
- 現場が使いやすいUI/UXか
- 既存システム(SFA、CRMなど)と連携できるか
※ツールの料金・機能は変更される可能性があるため、導入前に公式サイトで最新情報を確認してください。
5. 改善を定着させるためのポイント
改善施策を立案しても、現場で定着しなければ効果は限定的です。
(1) 現場の理解と協力の獲得
改善活動が一方的な押し付けになると、現場からの抵抗が生じ、定着しません。
現場の理解を得るための施策:
- 改善の目的とメリットを丁寧に説明する(「業務時間が削減され、残業が減る」など)
- 現場の意見を聞き、実態に即した改善策を一緒に考える
- トップダウンだけでなく、ボトムアップでの提案も奨励する
改善活動は、現場の協力なしには成功しません。関係者を巻き込み、一緒に進めることが重要です。
(2) 成果の可視化と共有
改善の成果を数値で可視化し、関係者と共有することで、改善活動へのモチベーションが高まります。
成果の可視化例:
- 改善前後の処理時間の比較(例:承認プロセスが平均3日→1日に短縮)
- コスト削減額の試算(例:年間100時間削減=約50万円の人件費削減)
- エラー率・ミス件数の減少
成果を定期的にレポートし、部門間で共有することで、改善文化が根付いていきます。
注意点:
- 過度なシステム化やツール導入は初期コストが高く、効果が出るまで時間がかかる場合があります。段階的に導入し、効果を測定しながら進めることが重要です。
- 業務を形式的に削減・統合すると、必要な確認プロセスが抜け落ち、品質低下やリスク増大につながる恐れがあります。削減する際は、リスクを十分に評価してください。
6. まとめ:継続的な業務オペレーション改善に向けて
業務オペレーションの改善は、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するための重要な取り組みです。現状を可視化し、ECRS・三原則・PDCAといったフレームワークを活用することで、体系的に改善を進めることができます。
BPMツールやナレッジ管理ツールを適切に活用することで、効率化をさらに加速できますが、ツールの導入だけでなく、現場の理解と協力を得ながら進めることが成功の鍵です。成果を可視化し、継続的に見直す文化を醸成することで、組織全体の生産性向上が実現します。
次のアクション:
- 頻度が高く時間がかかる業務を洗い出し、フローチャートを作成する
- ボトルネックや不要な工程を発見し、優先順位をつける
- ECRSや三原則に基づいて改善策を立案する
- 現場の意見を聞きながら、試験的に改善を実施する
- 成果を測定し、PDCAサイクルで継続的に見直す
業務オペレーションの改善は一朝一夕には完成しません。小さな改善を積み重ね、継続的に取り組むことで、中長期的な成果につながります。
※この記事は2025年1月時点の情報です。ツールや手法は進化するため、最新の情報は各種メディアや公式サイトをご確認ください。
