BtoB向けのMAツール、どれを選べばいい?
B2B企業のマーケティング責任者・担当者にとって、MAツールの選定は重要な意思決定です。しかし、「HubSpot、Marketo、Pardot...どれが自社に合うのか分からない」「導入してもうまく活用できるか不安」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
BtoB向けのMAツール選定では、長期的なリード育成、ABM対応、CRM・SFA連携など、BtoC向けとは異なる要件を押さえる必要があります。この記事では、BtoB向けMAツールの選定基準、主要ツールの比較、導入ステップを解説します。
この記事のポイント:
- 日本のMA市場は2024年に約612億円、2033年には1,272億円規模に成長予測
- BtoB向けMAはスコアリング・ABM・長期ナーチャリング機能が重要
- HubSpot、Marketo、Pardot、SATORIなど主要ツールの特徴を比較
- リード数・予算・CRM/SFA連携性で選定
- MA導入だけでなく、運用体制の構築と継続的な改善が成功の鍵
BtoB企業にMAツールが必要な理由と市場動向
(1) BtoBマーケティングの課題(長期商談・複数意思決定者)
BtoBビジネスでは、以下のような特有の課題があります。
BtoBマーケティングの課題:
- 長期商談: 検討期間が数ヶ月〜1年以上に及ぶ
- 複数の意思決定者: 担当者・管理職・経営層など複数の関係者が関与
- 高額商材: 導入コストが高く、慎重な意思決定が求められる
- リードの分散管理: リード情報が営業・マーケティング部門に分散し、一元管理が困難
これらの課題に対応するため、リードを長期的に育成し、適切なタイミングで営業に引き渡す仕組みが必要です。MAツールはこのプロセスを自動化します。
(2) MA市場の成長(2024年612億円→2033年1,272億円予測)
MAツール市場は急速に成長しています。
市場規模:
- 日本: 2024年に約612億円、2033年には1,272億円に達すると予測(CAGR 8.5%)
- グローバル: 2024年に69.5億ドル、2030年までに135億ドルに達する見込み
この成長は、デジタルマーケティングの普及、リモートワークの拡大、データドリブン経営の重要性増大によるものです。
(3) MAツール導入のメリット
主なメリット:
- 業務効率化: リード管理・メール配信・スコアリングを自動化
- 営業連携の強化: 購買確度の高いリードを自動的に営業に通知
- ROI向上: マーケティング活動の効果を可視化し、最適化
- 長期的なリード育成: 見込み顧客との関係性を深め、商談化率を向上
BtoB向けMAツールの基礎知識と機能
(1) MAツールとは何か(リード獲得・育成・選別の自動化)
マーケティングオートメーション(MA)ツールは、見込み顧客(リード)の獲得・育成・選別を自動化するツールです。
MAツールの主な機能:
- リード管理: 見込み顧客の情報を一元管理
- メール配信: セグメント別・行動トリガー別に自動配信
- スコアリング: リードの興味関心度・購買可能性を数値化
- Web行動追跡: Webサイト訪問・資料ダウンロードなどの行動を記録
- レポーティング: マーケティング活動の効果を可視化
(2) BtoB向けに重要な機能(スコアリング・ABM・長期ナーチャリング)
BtoB向けMAツールでは、以下の機能が特に重要です。
BtoB特有の重要機能:
- リードスコアリング: 企業規模・役職・行動履歴に基づいてスコアを算出
- ABM(アカウントベースドマーケティング): 特定の企業(アカウント)に対するターゲット施策
- 長期ナーチャリング: 数ヶ月〜1年以上にわたるリード育成シナリオ
- 企業情報の紐付け: 個人リードと企業情報(企業規模・業種等)を連携
(3) CRM・SFAとの違いと連携
MAツール、CRM、SFAの違い:
- MA: マーケティング活動の自動化(リード獲得・育成・選別)
- CRM: 顧客関係管理(既存顧客との関係性強化)
- SFA: 営業活動の効率化(案件管理・商談管理)
MAツールは、CRM・SFAと連携することで効果を最大化できます。MAで購買確度の高いリードを選別し、SFAに自動転送することで、マーケティングと営業のシームレスな協働が実現します。
MAツール選定の比較軸とポイント
(1) リード数と予算に応じた選定
リード数・予算別の選定基準:
- 月間リード数50件未満: Excel・CRMでの手動管理でも十分(MAは不要)
- 月間リード数50〜200件: HubSpot無料プラン、SATORI等の低価格ツール
- 月間リード数200件以上: HubSpot有料プラン、Marketo、Pardot等の本格的なツール
予算の目安:
- 低予算(月額数万円): HubSpot無料〜Starter、SATORI
- 中予算(月額10〜30万円): HubSpot Professional、SATORI上位プラン
- 高予算(月額30万円以上): Marketo、Pardot、HubSpot Enterprise
(2) CRM・SFAとの連携性
MAツールを選定する際は、既存のCRM・SFAとの連携性を確認することが重要です。
主な連携パターン:
- Salesforce(SFA・CRM)× Pardot(MA): 同じSalesforce製品で連携がスムーズ
- Salesforce × Marketo: API連携で豊富な実績
- HubSpot(MAとCRMが統合): 初めから一体型
既存システムとの相性を事前に確認し、導入後のデータ連携コストを抑えることが推奨されます。
(3) カスタマイズ性とサポート体制
確認すべきポイント:
- カスタマイズ性: 自社の業務フローに合わせた設定が可能か
- サポート体制: 日本語サポートの有無、オンボーディング支援の内容
- トレーニング: 運用担当者向けのトレーニングプログラムの充実度
特に初めてMAツールを導入する場合は、サポート体制が充実しているツールを選ぶことが成功の鍵です。
(4) 企業規模別の適合性
企業規模別の推奨ツール:
- 小規模企業(従業員50人未満): HubSpot無料〜Starter、SATORI
- 中堅企業(従業員50〜500人): HubSpot Professional、Marketo、Pardot
- 大企業(従業員500人以上): Marketo、Pardot、HubSpot Enterprise
主要BtoB向けMAツールの比較
(1) HubSpot(機能・料金・特徴)
特徴:
- MAとCRMが統合された一体型プラットフォーム
- 無料プランあり(基本機能を試せる)
- 中小企業に人気、使いやすさに定評
料金(2024年11月時点):
- 無料プラン: 基本機能のみ
- Starter: 月額約2万円〜
- Professional: 月額約10万円〜
- Enterprise: 月額約40万円〜
(2) Marketo(機能・料金・特徴)
特徴:
- Adobe傘下の高機能MAツール
- 大企業向け、ABM機能が充実
- カスタマイズ性が高く、複雑なシナリオに対応
料金(2024年11月時点):
- 月額約30万円〜(リード数・機能により変動)
(3) Pardot(機能・料金・特徴)
特徴:
- Salesforce傘下のMAツール
- Salesforce(SFA・CRM)との連携がスムーズ
- BtoB企業に特化した機能
料金(2024年11月時点):
- Growth: 月額約15万円〜
- Plus: 月額約30万円〜
- Advanced: 月額約50万円〜
(4) SATORI・その他国内ツール
SATORI:
- 国内ベンダー、日本語サポートが充実
- 匿名リードの追跡機能(Cookie情報活用)
- 中小企業向け、比較的低価格
その他国内ツール:
- List Finder、Kairos3、b→dashなど
- 国内企業向けに特化した機能・サポート
(5) シェアランキングと選定のポイント
2024年ITトレンド年間ランキングでは、List Finderが1位を獲得しています。ただし、シェア1位のツールが必ずしも自社に最適とは限りません。リード数・予算・CRM/SFA連携性・運用体制を総合的に判断することが重要です。
※料金は2024年11月時点の情報です。最新の料金・機能は各社公式サイトをご確認ください。
MAツール導入を成功させるステップと活用事例
(1) 導入前の準備(運用体制・KPI設定)
導入前に準備すべきこと:
- 運用担当者の決定(最低1名、できれば2〜3名)
- KPIの設定(リード獲得数、スコアリング数、商談化率等)
- リードスコアリング基準の設計
- 既存CRM・SFAとの連携計画
(2) 段階的導入のステップ
推奨される導入ステップ:
- Phase 1: メール配信・リード管理の基本機能を導入
- Phase 2: Webトラッキング・スコアリング機能を追加
- Phase 3: CRM・SFA連携、高度なシナリオ設定
段階的に導入することで、運用担当者の学習コストを抑え、効果を測定しながら拡張できます。
(3) BtoB企業の活用事例5選
活用事例の概要:
- 製造業: 展示会で獲得したリードを長期育成し、商談化率30%向上
- SaaS企業: 無料トライアル登録者をスコアリングし、営業効率2倍
- コンサルティング: ホワイトペーパーダウンロード者へのナーチャリングで受注率20%向上
- IT企業: ABM施策により、ターゲット企業への商談化率50%達成
- 人材サービス: メール配信の自動化により、マーケティング担当者の工数を50%削減
(4) よくある失敗パターンと対策
失敗パターン:
- 導入しただけで活用されない(運用体制が未整備)
- スコアリング基準が不適切(営業が対応できないリードが大量発生)
- リード数が少なく効果が限定的
対策:
- 運用担当者を明確にし、定期的な振り返りを実施
- 営業部門と連携してスコアリング基準を調整
- まずWeb集客施策でリード数を増やす
まとめ:自社に最適なMAツールを選ぶために
BtoB向けMAツールの選定では、リード数・予算・CRM/SFA連携性・運用体制を総合的に判断することが重要です。
主なポイント:
- 月間リード数50件以上であればMA導入の効果が見込める
- HubSpot、Marketo、Pardot、SATORIなど主要ツールの特徴を比較
- 既存CRM・SFAとの連携性を事前に確認
- 段階的に導入し、効果測定しながら拡張
- MA導入だけでなく、運用体制の構築と継続的な改善が成功の鍵
次のアクション:
- 自社のリード数・予算・導入目的を整理する
- 3〜5社の公式サイトで料金・機能を比較する
- 無料トライアル・デモで実際に操作感を試す
- 営業部門と連携してスコアリング基準を設計する
自社に最適なMAツールを選定し、BtoBマーケティングの効率化と成果最大化を実現しましょう。
