B2BとB2Cの違いとは?ビジネスモデル・マーケティング手法を比較解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

B2BとB2Cとは?定義と基本的な違い

ビジネスモデルを検討する際、「B2B」と「B2C」の違いを正しく理解することは重要です。「新規事業でどちらの市場を狙うべきか」「B2BとB2Cでマーケティング手法はどう変えるべきか」といった疑問を持つ担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、B2BとB2Cの基本的な違いから、ビジネスモデル、マーケティング手法、営業プロセスの違いまで、実務で活かせる視点で解説します。

この記事のポイント:

  • B2Bは企業間取引、B2Cは企業と個人消費者の取引を指す
  • B2B市場規模はB2C市場の約18-20倍(420兆円 vs 22.7兆円、2022年時点)
  • B2Bは複数人による長期的な意思決定、B2Cは個人による短期的な意思決定
  • B2Bは論理的訴求・リード育成、B2Cは感情的訴求・ブランド戦略が重視される
  • B2B2Cなど複合モデルも増加しており、単純な二項対立では捉えきれない

(1) B2B(企業間取引)の定義と特徴

B2B(Business to Business)とは、企業が他の企業に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルです。日本語では「企業間取引」とも呼ばれます。

B2Bの具体例:

  • 製造業の部品・原材料の取引
  • 業務用ソフトウェア(SaaS)の販売
  • コンサルティング・マーケティング支援サービス
  • オフィス機器・設備の販売

B2Bの特徴:

  • 取引単価が大きい傾向
  • 複数のステークホルダーによる意思決定
  • 長期的な関係構築が重視される
  • 高度な専門知識を要することが多い

(2) B2C(企業対消費者取引)の定義と特徴

B2C(Business to Consumer)とは、企業が個人消費者に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルです。日本語では「企業対消費者取引」とも呼ばれます。

B2Cの具体例:

  • ECサイトでの商品販売
  • 飲食店・小売店での販売
  • 個人向けサブスクリプションサービス
  • 旅行・エンターテインメント

B2Cの特徴:

  • 取引単価が比較的小さい傾向
  • 個人による意思決定
  • 感情的な訴求やブランド戦略が重要
  • 大量の顧客へのアプローチが必要

ビジネスモデルの違い:取引規模・顧客・意思決定プロセス

B2BとB2Cでは、市場規模から意思決定プロセスまで、さまざまな違いがあります。

(1) 市場規模と取引単価の違い

経済産業省の調査によると、2022年時点でのEC市場規模は以下の通りです。

市場 市場規模 EC化率
B2B 約420兆円 37.5%
B2C 約22.7兆円 9.13%

B2B市場はB2C市場の約18-20倍の規模があります。これは、企業間取引には原材料、部品、設備など高額な取引が含まれるためです。

取引単価の違い:

項目 B2B B2C
取引単価 高額(数十万円〜数億円) 比較的低額(数百円〜数十万円)
取引頻度 継続的・定期的 単発・不定期が多い
顧客数 比較的少数 大量の顧客

(2) 購買意思決定プロセスの違い

B2Bの意思決定プロセス:

  • 複数のステークホルダー(経営層、現場担当者、購買部門など)が関与
  • 検討期間が長い(数週間〜数ヶ月、場合によっては数年)
  • 論理的・合理的な判断が求められる
  • ROI(投資対効果)や導入実績が重視される
  • 稟議・承認プロセスを経ることが多い

B2Cの意思決定プロセス:

  • 個人または家族単位での意思決定
  • 検討期間が短い(数分〜数日)
  • 感情的・直感的な判断も多い
  • ブランドイメージや口コミの影響が大きい
  • 即時購入が可能

マーケティング手法の違い:訴求方法・チャネル・KPI

B2BとB2Cでは、効果的なマーケティング手法が異なります。

(1) B2Bマーケティング(論理的訴求・リード育成)

訴求方法:

  • 論理的・数値的な訴求(コスト削減○%、業務効率○倍など)
  • 導入事例・成功事例の紹介
  • ROI(投資対効果)の明示
  • 専門的なホワイトペーパー・資料

主なチャネル:

  • リスティング広告(検索広告)
  • 展示会・商談会
  • テレマーケティング
  • ウェビナー・オンラインセミナー
  • ホワイトペーパー・資料ダウンロード
  • メールマーケティング

重要なKPI:

  • リード獲得数・MQL(マーケティング適格リード)数
  • 商談化率・商談数
  • 受注率・受注金額
  • LTV(顧客生涯価値)

2024年のトレンド: 近年のB2Bマーケティングでは、AIの活用、パーソナライゼーション、B2Bインフルエンサーマーケティングが注目されています。B2B企業もYouTubeやショート動画などB2C的な手法を取り入れる傾向が強まっています。

(2) B2Cマーケティング(感情的訴求・ブランド戦略)

訴求方法:

  • 感情的・情緒的な訴求(ライフスタイル、憧れ、共感など)
  • ブランドの世界観・ストーリー
  • ユーザーレビュー・口コミ
  • ビジュアル・動画コンテンツ

主なチャネル:

  • SNS広告(Instagram、TikTok、Xなど)
  • インフルエンサーマーケティング
  • テレビCM・動画広告
  • ECモール(Amazon、楽天など)
  • 店頭販促・POP

重要なKPI:

  • 認知度・ブランド想起率
  • CVR(コンバージョン率)
  • 購入者数・購入金額
  • リピート率・顧客ロイヤルティ
  • LTV(顧客生涯価値)

営業プロセスと顧客管理の違い

営業活動のアプローチも、B2BとB2Cでは大きく異なります。

(1) B2B営業の特徴(関係構築・長期的取引)

営業プロセス:

  1. リード獲得(展示会、資料請求、問い合わせなど)
  2. リード育成(ナーチャリング)
  3. 商談・提案
  4. 稟議・承認待ち
  5. 契約・導入
  6. カスタマーサクセス(継続支援)

特徴:

  • 営業担当者が個別に対応
  • 長期的な関係構築が重視される
  • 契約後も継続的なサポート・フォローが必要
  • アップセル・クロスセルの機会がある

顧客管理:

  • CRM(顧客関係管理システム)での案件管理
  • 担当者・意思決定者の情報管理
  • 商談履歴・コミュニケーション履歴の蓄積

(2) B2C営業の特徴(認知拡大・即購買促進)

営業プロセス:

  1. 認知獲得(広告、SNS、口コミなど)
  2. 興味喚起(Webサイト、コンテンツ)
  3. 検討(比較サイト、レビュー)
  4. 購入(EC、店舗)
  5. リピート促進(メルマガ、ポイント、クーポン)

特徴:

  • 大量の顧客へのアプローチ
  • 接客は店舗スタッフやチャットボットなど
  • 即時購入を促す設計が重要
  • リピート・ロイヤルティ施策が重要

顧客管理:

  • 会員システム・ポイントプログラム
  • 購買履歴・行動履歴のデータ分析
  • セグメント別のマーケティング施策

B2BとB2Cの選択基準:自社に適したモデルの見極め方

事業モデルを検討する際には、B2BとB2Cのどちらか一方に限定する必要はありません。

(1) B2B2Cなど複合モデルの選択肢

近年は、B2BとB2Cの境界線が曖昧になりつつあり、複合的なビジネスモデルも増加しています。

B2B2C(Business to Business to Consumer): 企業が他の企業を介して消費者にサービスを提供するモデルです。

具体例:

  • 楽天・Amazonマーケットプレイス(出店企業→プラットフォーム→消費者)
  • 保険商品(保険会社→代理店→消費者)
  • SaaSプラットフォーム(SaaS企業→導入企業→エンドユーザー)

D2C(Direct to Consumer): メーカーが中間業者を介さず、消費者に直接販売するモデルです。B2Cの一種ですが、ブランドの世界観を直接伝えられる点が特徴です。

(2) 判断基準とケーススタディ

B2Bが適しているケース:

  • 高額・複雑な商品・サービス
  • 専門知識が必要な分野
  • 長期的な関係構築で価値を発揮
  • 少数の大口顧客で売上を確保できる

B2Cが適しているケース:

  • 低〜中額の商品・サービス
  • 大量の消費者にリーチしたい
  • ブランド・体験価値で差別化
  • スケールメリットを活かせる

両方を展開するケース: 多くの企業がB2BとB2C両方の市場に展開しています。ただし、マーケティング手法・営業プロセス・顧客管理が異なるため、別々の戦略・組織が必要になることが多いです。

まとめ:B2B・B2Cの本質を理解した事業戦略

B2BとB2Cは、ターゲット顧客、意思決定プロセス、マーケティング手法、営業プロセスなど、多くの点で違いがあります。しかし、どちらが優れているという単純な優劣ではなく、自社の商品・サービス、リソース、目指す市場に応じた選択が重要です。

B2B・B2Cの違いのまとめ:

項目 B2B B2C
ターゲット 企業 個人消費者
市場規模 大きい(約420兆円) 比較的小さい(約22.7兆円)
取引単価 高額 低〜中額
意思決定 複数人・長期 個人・短期
訴求方法 論理的 感情的
営業スタイル 関係構築重視 認知拡大・即購買促進

次のアクション:

  • 自社の商品・サービスがどちらの市場に適しているか検討
  • ターゲット顧客の意思決定プロセスを理解
  • 市場に合ったマーケティング手法・営業プロセスを設計
  • B2B2Cなど複合モデルの可能性も検討

近年はデジタル化により、B2BとB2Cの垣根が崩壊しつつあります。それぞれの本質を理解した上で、柔軟な事業戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事の市場規模データは2022年時点の経済産業省調査に基づきます。最新データは公式発表をご確認ください。

よくある質問

Q1B2B2Cとは何か?B2BやB2Cとの違いは?

A1B2B2C(Business to Business to Consumer)は、企業が他の企業を介して消費者にサービスを提供するビジネスモデルです。楽天やAmazonマーケットプレイス、保険代理店経由の保険販売などが代表例です。B2BとB2C両方の特性を持ち、プラットフォームビジネスで多く見られます。

Q2D2Cとは何か?B2Cとの違いは?

A2D2C(Direct to Consumer)は、メーカーが中間業者を介さず消費者に直接販売するビジネスモデルです。B2Cの一種ですが、小売店やECモールを介さないため、ブランドの世界観を直接伝えられる点が特徴です。近年、SNSやECの発達により急速に増加しています。

Q3B2BとB2Cで意思決定プロセスはどう違う?

A3B2Bは複数のステークホルダー(経営層、現場担当者、購買部門など)による長期的な意思決定(数週間〜数ヶ月)が特徴です。ROIや導入実績が重視され、稟議・承認プロセスを経ます。一方B2Cは、個人または家族単位での短期的な意思決定(数分〜数日)が多く、感情的・直感的な判断も含まれます。

Q4B2BとB2Cの両方を展開することは可能?

A4可能です。多くの企業がB2BとB2C両方の市場に展開しています。例えば、オフィス用品メーカーが企業向けと個人向けの両方に販売するケースなどがあります。ただし、マーケティング手法・営業プロセス・顧客管理が異なるため、別々の戦略・組織・システムが必要になることが多いです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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