広告運用会社への依頼を検討すべきタイミング
Web広告を自社で運用しているけれど、思うような成果が出ない...そんな悩みを抱えているマーケティング担当者は少なくありません。
実は、広告運用は専門性が高く、キーワード選定・入札調整・クリエイティブ改善など、継続的なPDCAサイクルが求められます。社内にリソースや専門知識が不足している場合、広告運用会社(広告代理店)に外注することで、費用対効果を大幅に改善できる可能性があります。
この記事では、広告運用会社の種類から選定基準、費用相場、インハウス運用との比較まで、発注者目線で実務的な情報を体系的に解説します。
この記事のポイント:
- 広告運用会社は、Web広告の運用を代行・支援する専門会社(リスティング特化型、総合型、デジタルマーケティング包括型等)
- 手数料相場は広告費の20%が標準(月間予算100万円なら20万円)、小規模運用では固定費約5万円が一般的
- 選定時は同業種・同ターゲットでの実績と成功事例を最重視する
- インハウス運用と外注の選択は、専門人材の確保・予算・迅速性のバランスで判断
- 2024年はAI統合、LINE-Yahoo統合、スマートターゲティング自動化がトレンド
広告運用会社の種類とサービス内容
(1) リスティング特化型・総合型・デジタルマーケティング包括型の違い
広告運用会社は、提供するサービスの範囲によっていくつかのタイプに分類されます。
1. リスティング特化型
Google広告やYahoo!広告などの検索連動型広告(リスティング広告)に特化した会社です。
特徴:
- リスティング広告の運用ノウハウが豊富
- キーワード選定・入札調整に強い
- 比較的低予算(月間30万円〜)から依頼可能
向いている企業:
- まずはリスティング広告から始めたい企業
- 予算が限られている中小企業
- 検索連動型広告での成果を最大化したい企業
2. 総合型(複数媒体対応)
リスティング広告だけでなく、ディスプレイ広告、SNS広告(Facebook、Instagram、X、LinkedIn等)も包括的に運用する会社です。
特徴:
- 複数の広告媒体を横断的に運用できる
- 媒体ごとの特性を踏まえた最適な配信戦略
- 予算配分を媒体間で柔軟に調整可能
向いている企業:
- 複数の広告媒体を活用したい企業
- 広告予算が月間100万円以上の企業
- ターゲット層が複数の媒体に分散している企業
3. デジタルマーケティング包括型
広告運用だけでなく、SEO、コンテンツマーケティング、MAツール導入、サイト改善など、デジタルマーケティング全般をサポートする会社です。
特徴:
- 広告運用に加えて、SEO・オウンドメディア・MAツール等も対応
- マーケティング戦略の上流から支援
- 広告とSEOを連携した包括的な施策
向いている企業:
- マーケティング全体を包括的に改善したい企業
- 広告だけでなくSEOやコンテンツマーケティングも強化したい企業
- 長期的なパートナーシップを求める企業
4. インハウス支援型
広告運用を代行するのではなく、自社で運用できるようにサポート・コンサルティングを提供する会社です。
特徴:
- 運用代行ではなく、社内運用体制の構築を支援
- 研修・トレーニングを通じて社内にノウハウを蓄積
- 初期は伴走支援、徐々に自走化を目指す
向いている企業:
- 将来的にインハウス運用に移行したい企業
- 社内にマーケティング人材を育成したい企業
- 長期的なコスト削減を目指す企業
自社の予算・目的・リソースに応じて、適切なタイプの会社を選ぶことが重要です。
(出典: アスピック「リスティング広告運用代行比較18選!相場感やサービスの選び方紹介」)
(2) 提供サービスの範囲(運用代行・コンサルティング・インハウス支援)
広告運用会社が提供するサービスは、大きく3つに分類されます。
運用代行(フルサポート型)
広告の設定から日々の運用、改善まですべてを代行します。
サービス内容:
- アカウント設計・キャンペーン構築
- キーワード選定・入札調整
- 広告クリエイティブ作成(バナー、テキスト)
- 配信結果のレポーティング
- 月次・週次での改善提案
メリット:
- 社内リソースを使わずに済む
- 専門知識がなくても広告運用が可能
- 最新のトレンド・機能を活用できる
デメリット:
- 手数料がかかる(広告費の20%程度)
- 社内にノウハウが蓄積されにくい
コンサルティング(アドバイザリー型)
広告運用は自社で行い、戦略立案や改善提案をコンサルタントが支援します。
サービス内容:
- 広告戦略の立案
- 月次レポートのレビューと改善提案
- 定期的なミーティング(月1-2回)
- 運用担当者への助言
メリット:
- 運用代行より費用を抑えられる
- 社内にノウハウが蓄積される
- 自社のペースで運用できる
デメリット:
- 社内に運用人材が必要
- 日々の運用は自社で対応する必要がある
インハウス支援(トレーニング型)
社内で広告運用ができるように、研修やトレーニングを提供します。
サービス内容:
- 広告運用の研修プログラム
- 初期設定のサポート
- 一定期間の伴走支援
- 運用マニュアルの提供
メリット:
- 長期的なコスト削減(手数料が不要)
- 社内に専門人材が育つ
- 迅速な意思決定・改善が可能
デメリット:
- 初期の学習コストがかかる
- 運用担当者の離職リスク
自社の状況(予算、リソース、目標)に応じて、適切なサービス形態を選ぶことが重要です。
失敗しない広告運用会社の選定基準5つ
広告運用会社を選ぶ際、以下の5つの基準を確認することで、失敗を避けることができます。
(1) 同業種・同ターゲットでの実績と成功事例
最も重要な選定基準は、同業種・同ターゲットでの実績です。
理由:
- 業種によって、効果的なキーワードや訴求ポイントが異なる
- BtoB企業とBtoC企業では、広告戦略がまったく異なる
- 実績がない会社だと、試行錯誤に時間と予算がかかる
確認すべきポイント:
- 自社と同じ業種(SaaS、ECサイト、人材サービス等)での実績
- 同じターゲット層(企業規模、役職、地域等)での成功事例
- 具体的な数値(CVR向上率、CPA削減率、売上増加率等)
例:
- BtoB SaaS企業なら、SaaS業界での実績がある会社を選ぶ
- BtoC ECサイトなら、EC業界での実績がある会社を選ぶ
(出典: WEBマーケティングの瓦版「Web広告運用代行会社おすすめ11選!費用相場や選定するポイントも紹介」)
ただし、成功事例は業種・商材・予算規模により結果が異なるため、自社状況に合わせた判断が必要です。
(2) レポーティング体制とコミュニケーション頻度
広告運用は「任せっきり」では成果が出にくく、定期的なコミュニケーションが重要です。
確認すべきポイント:
- レポート提出の頻度(月次、週次、日次)
- レポート内容(KPI、改善提案、次月のアクション)
- ミーティングの頻度(月1回、週1回、随時)
- 担当者とのコミュニケーション手段(メール、チャット、電話、ビデオ会議)
良い運用会社の特徴:
- 定期的にレポートを提出し、数値だけでなく「なぜこの結果になったか」を説明
- 改善提案が具体的で、実行可能な内容
- 質問や相談に迅速に対応
避けるべき運用会社:
- レポートが数値の羅列だけで、改善提案がない
- 連絡が遅い、担当者とのコミュニケーションが取りづらい
- 問題が発生しても報告が遅れる
契約前に、レポートのサンプルを見せてもらい、どの程度の情報が提供されるかを確認することが推奨されます。
(3) 契約内容と解約条件の確認
広告運用会社と契約する際は、以下の条件を事前に確認しましょう。
契約期間:
- 最低契約期間(3ヶ月、6ヶ月、1年等)
- 自動更新の有無
解約条件:
- 解約通知のタイミング(1ヶ月前、2ヶ月前等)
- 解約時の違約金の有無
- 途中解約が可能かどうか
広告アカウントの所有権:
- Google広告・Yahoo!広告のアカウントが自社名義か、代理店名義か
- 解約時にアカウントが引き継げるか
重要な注意点:
広告アカウントが代理店名義の場合、解約時にアカウントが引き継げず、過去の運用データや広告の最適化が失われる可能性があります。必ず「自社名義のアカウント」で運用してもらうように契約しましょう。
成果が出なかった場合の対応:
- 一定期間成果が出なかった場合、どのような対応をするか
- 返金制度や保証の有無
契約書をよく読み、不明点があれば契約前に質問することが重要です。
費用相場と手数料体系の理解
(1) 手数料の4つの体系(広告費の20%標準、固定費型、成果報酬型、ハイブリッド型)
広告運用会社の手数料体系は、主に4つのタイプに分類されます。
1. パーセンテージ型(広告費の○%)
広告費に対して一定の割合を手数料として支払う形式です。
標準相場: 広告費の20%
例:
- 広告費100万円 → 手数料20万円
- 広告費300万円 → 手数料60万円
メリット:
- 広告予算が少ない場合、手数料も少なくなる
- 広告予算の増減に応じて柔軟に対応できる
デメリット:
- 広告予算が大きくなると、手数料も高額になる
- 代理店が広告費を増やす動機がある(費用対効果より広告費増額を優先する可能性)
2. 固定費型
広告費に関係なく、毎月一定の金額を手数料として支払う形式です。
相場: 月額5万円〜30万円
例:
- 小規模運用(広告費20-25万円以下): 月額5万円
- 中規模運用(広告費50-100万円): 月額10-20万円
メリット:
- 広告予算が大きい場合、パーセンテージ型より割安になる
- コストが固定されるため、予算管理がしやすい
デメリット:
- 広告予算が少ない場合、パーセンテージ型より割高になる可能性
3. 成果報酬型
コンバージョン(CV)が発生した場合のみ手数料を支払う形式です。
相場: CV単価の30-50%
例:
- 1件のCVにつき、手数料1,000円
- 月間100件のCVなら、手数料10万円
メリット:
- 成果が出ない場合、手数料がかからない(リスクが低い)
- 代理店も成果を最大化する動機が強い
デメリット:
- CV単価が高くなる(手数料分を考慮する必要)
- 成果報酬型を提供する会社は少ない
4. ハイブリッド型
固定費 + 成果報酬の組み合わせです。
例:
- 固定費5万円 + CV 1件につき500円
メリット:
- 固定費を抑えつつ、成果に応じた支払いも可能
- バランスの取れた料金体系
デメリット:
- 計算が複雑で、コストが予測しづらい
(出典: アリス「広告代理店の手数料はいくら?費用相場と4種の体系を解説」)
(2) 初期費用・最低出稿額の相場と注意点
初期費用
広告アカウントの設計・キャンペーン構築・キーワード選定などの初期設定にかかる費用です。
相場: 3万円〜10万円
初期費用に含まれる内容:
- 広告アカウント設計
- キーワード調査・選定
- 広告文の作成
- ランディングページの設定
- トラッキング設定(コンバージョン測定)
初期費用が無料の会社もありますが、その分手数料が高めに設定されていることもあるため、総合的に判断することが重要です。
最低出稿額(最低広告費)
運用代行を依頼する際の最低広告費の設定です。
相場: 月額20万円〜30万円
理由:
- 広告費が少なすぎると、データが十分に集まらず改善が難しい
- 運用会社側も、一定の手数料がないと対応が難しい
注意点:
自社の広告予算が最低出稿額に満たない場合、対応してもらえない可能性があります。予算が限られている場合は、以下の選択肢を検討しましょう。
- 少額予算対応の運用会社を探す(フリーランス、中小代理店等)
- 初期はインハウス運用で実績を作り、予算が増えたら外注
- 固定費型の会社に依頼する
(出典: アドフープ「Web広告で必要な費用について。代理店へ代行依頼するケースについても解説」)
インハウス運用と外注の判断基準
広告運用を自社で行うか、外注するかは、多くの企業が悩むポイントです。
(1) インハウス運用のメリット・デメリット
メリット:
1. 手数料を広告費に回せる
外注の場合、広告費の20%程度を手数料として支払います。インハウス運用なら、その分を広告費に充てることができます。
例:
- 広告費100万円 + 手数料20万円(外注)
- 広告費120万円(インハウス、手数料分を広告費に)
2. 迅速な意思決定・改善が可能
外注の場合、改善提案を依頼してから実行までに時間がかかることがありますが、インハウスなら即座に対応できます。
3. 社内にノウハウが蓄積される
運用を続けることで、社内にマーケティングのノウハウが蓄積され、長期的な競争力となります。
デメリット:
1. 専門人材の確保が必要
広告運用には専門知識が必要です。採用や育成にコストがかかります。
2. 最新情報へのキャッチアップが困難
Google広告やYahoo!広告は頻繁に機能がアップデートされます。代理店は複数のクライアントを抱えているため最新情報に精通していますが、インハウスでは追いつくのが難しい場合があります。
3. 人材の離職リスク
運用担当者が退職すると、ノウハウが失われ、運用が停滞するリスクがあります。
(出典: アガルート「広告運用で『インハウス運用』か『広告代理店に外注』か迷ったら確認すべき5つのポイントと各々のメリット・デメリット」)
(2) 外注が適しているケースの判断方法
以下のケースに当てはまる場合、外注が適していると言えます。
外注が適しているケース:
1. 社内に広告運用の専門人材がいない
マーケティング担当者が他の業務と兼任している場合、広告運用に十分な時間を割けず、成果が出にくくなります。
2. 広告予算が月間50万円以上ある
一定の予算があれば、手数料を支払っても外注のメリット(専門知識、最新トレンドの活用)が大きくなります。
3. 短期間で成果を出したい
代理店は経験豊富なため、初期から効果的な戦略を立てられます。インハウス運用は試行錯誤に時間がかかるため、短期間で成果を求める場合は外注が適しています。
4. 複数の広告媒体を活用したい
リスティング広告だけでなく、ディスプレイ広告、SNS広告など複数の媒体を運用する場合、各媒体の専門知識が必要です。代理店なら横断的に運用できます。
インハウス運用が適しているケース:
1. 専門人材がいる(採用・育成可能)
社内にマーケティング経験者がいる、または採用・育成する余裕がある場合は、インハウス運用でノウハウを蓄積できます。
2. 広告予算が限られている(月間30万円以下)
広告予算が少ない場合、手数料を支払うと広告費が圧迫されます。インハウスで運用し、手数料分を広告費に回す方が効果的です。
3. 長期的なコスト削減を重視
初期は学習コストがかかりますが、長期的には手数料がかからないため、コスト削減につながります。
(出典: アリス「広告運用は外注すべき?インハウスとの違いと活用ケースを解説」)
ハイブリッドアプローチ(推奨):
初期は外注で実績を作り、社内にノウハウが蓄積されたらインハウスに移行する方法も有効です。また、インハウス支援型の会社に依頼し、コンサルティングを受けながら自社で運用するアプローチもあります。
まとめ:自社に合った広告運用会社の選び方
広告運用会社を選ぶ際は、自社の予算・目的・リソースに応じて、最適なパートナーを見つけることが重要です。
広告運用会社選定のチェックリスト:
選定基準:
- 同業種・同ターゲットでの実績と成功事例がある
- レポーティング体制とコミュニケーション頻度が明確
- 契約内容と解約条件が納得できる
- 広告アカウントが自社名義で運用される
- 手数料体系が明確で、想定外のコストがない
費用の確認:
- 手数料相場(広告費の20%標準)を理解している
- 初期費用(3-10万円)が予算内
- 最低出稿額(月間20-30万円)を満たしている
インハウスと外注の判断:
- 社内に広告運用の専門人材がいるか(いない場合は外注)
- 広告予算が月間50万円以上あるか(ある場合は外注のメリット大)
- 長期的にインハウス化を目指すか(目指す場合はインハウス支援型を検討)
次のアクション:
- 複数の広告運用会社に問い合わせ、見積もりを取る
- 同業種での実績と成功事例を確認する
- 契約書を精読し、不明点は契約前に質問する
広告運用会社との関係は、「任せっきり」ではなく「パートナーシップ」です。定期的にコミュニケーションを取り、目標達成に向けて協力していくことが成功の鍵です。
※この記事の情報は2025年1月時点のものです。広告運用会社の手数料相場、最新のトレンド(AI統合、LINE-Yahoo統合等)は変更される可能性があるため、各社の公式サイトや問い合わせで最新情報をご確認ください。
