ABMとインサイドセールスが注目される背景
B2B営業の環境が変化する中、「どうやって効率的に大型案件を獲得するか」という課題に直面している企業は少なくありません。従来の営業手法では、リード数を増やすことに注力していましたが、すべてのリードが成約につながるわけではありません。
「ABMとインサイドセールスの関係性は何か」「どうやって連携すればいいのか」「具体的にどのような役割分担をすべきか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、ABMとインサイドセールスの基礎知識、連携方法、役割分担、成功のポイントを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- ABMはターゲット企業を絞り込む戦略、インサイドセールスは非対面営業手法
- インサイドセールスはABMにおいてBANTC情報の商談前収集で重要な役割を果たす
- 営業とマーケティングで共通のアカウントリストとKPIを設定することが重要
- ターゲット企業をティアリング(階層化)し、リソースを効率配分する
- CRM/SFA/MAツールで情報を一元化し、インテントデータを活用する
1. ABMとインサイドセールスが注目される背景
B2B営業では、従来のリード獲得型マーケティングから、ターゲット企業を絞り込んで個別にアプローチする「ABM(アカウントベースドマーケティング)」へのシフトが進んでいます。
ABMが注目される理由:
- 成約率が高い(Salesforceによると38%高い成約率を実現)
- 案件サイズが大きい(91%大きい案件サイズ)
- ROIが高い(ABM導入企業の77%が10%以上のROI向上)
同時に、リモートワーク普及により「インサイドセールス(非対面営業)」の重要性も高まっています。ABMとインサイドセールスを組み合わせることで、効率的なアカウント開拓・育成が可能になります。
2. ABM・インサイドセールスの基礎知識
(1) ABM(アカウントベースドマーケティング)とは
ABM(Account Based Marketing)は、特定の企業(アカウント)をターゲットとし、個別にカスタマイズしたアプローチを行うBtoBマーケティング手法です。
ABMの特徴:
- ターゲット企業を事前に選定
- 企業ごとにカスタマイズしたメッセージ・コンテンツ
- 営業とマーケティングの密な連携が前提
- 少数の企業に集中的にリソースを投入
Innovationによると、「営業とマーケティングの連携強化がABMの本質」とされています。
(2) インサイドセールスとは
インサイドセールスは、電話・メール・オンライン会議などを通じて非対面で顧客とコミュニケーションを取る営業手法です。
インサイドセールスの役割:
- リード獲得後の初期コンタクト
- ニーズのヒアリング・見極め
- BANTC情報の収集
- フィールドセールスへの商談引き継ぎ
ABMにおけるインサイドセールスは、情報収集・ナーチャリングで重要な役割を担います。
(3) BDR・SDRの役割と違い
インサイドセールスには、BDR(Business Development Representative)とSDR(Sales Development Representative)の2つの役割があります。
BDR vs SDR:
| 項目 | BDR | SDR |
|---|---|---|
| アプローチ対象 | ターゲット企業(アウトバウンド) | 問い合わせ・資料請求(インバウンド) |
| 主な活動 | ターゲット企業への新規開拓 | リード対応・ナーチャリング |
| ABMでの役割 | マーケティングと営業の橋渡し | インバウンドリードの見極め |
RenderTribeによると、「BDRはABMにおいてマーケティングと営業の橋渡し役」を担います。
3. ABMにおけるインサイドセールスの役割
(1) BANTC情報の商談前収集
ABMとインサイドセールスを組み合わせることで、商談前にBANTC情報を収集できます。
BANTC情報:
- Budget(予算): 導入予算があるか
- Authority(権限): 決裁権を持つ人にアクセスできるか
- Needs(必要性): ニーズがあるか
- Timing(時期): 導入時期は適切か
- Competitor(競合): 競合製品と比較検討しているか
SORAによると、「BANTC情報の商談前収集が可能」になることがABM×インサイドセールスの大きなメリットとされています。
(2) ターゲットアカウントの見極めと優先順位付け
インサイドセールスは、ターゲット企業の購買意思や優先度を見極め、フィールドセールスに適切なタイミングで商談を引き継ぎます。
見極めのポイント:
- 購買意思の強さ(インテントデータ活用)
- 決裁者へのアクセス可能性
- 予算・導入時期の明確さ
- 競合状況
電通B2Bイニシアティブによると、「ターゲット別の効果検証が可能に」なることがABM×インサイドセールスの相乗効果とされています。
(3) マーケティングとフィールドセールスの橋渡し
ABM戦略では、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの三位一体の連携が重要です。
連携の流れ:
- マーケティング: ターゲット企業選定、コンテンツ配信、エンゲージメント獲得
- インサイドセールス: 初期コンタクト、BANTC情報収集、商談化判断
- フィールドセールス: 提案・商談・クロージング
RenderTribeによると、「BDRはABMにおいてマーケティングと営業の橋渡し役」を担います。
4. ABM×インサイドセールスの具体的な連携方法
(1) 共通のアカウントリストとKPI設定
営業とマーケティングで共通のアカウントリストとKPIを設定し、連携を可視化する仕組みを整えます。
共通KPI例:
- MQA(Marketing Qualified Account)数
- 商談化率
- 成約率
- 案件サイズ
- 受注までの期間
Innovationによると、「共通のアカウントリストとKPI設定が重要」とされています。
(2) ターゲット企業のティアリング(階層化)
ターゲット企業を3つのティアに分け、リソースを効率的に配分します。
ティアリング例:
| ティア | 企業数 | アプローチ担当 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Tier 1 | 10-30社 | アカウントエグゼクティブ | 最重要顧客、個別対応 |
| Tier 2 | 50-100社 | BDR/インサイドセールス | 有望顧客、定期フォロー |
| Tier 3 | 200-500社 | BDR/マーケティング自動化 | 育成対象、MA活用 |
RenderTribeによると、「トップティアはアカウントエグゼクティブ、それ以外はBDR/インサイドセールスが担当する分担が効果的」とされています。
(3) CRM/SFA/MAツールによる情報一元化
CRM/SFA/MAツールを活用して顧客情報を一元管理し、インサイドセールスとフィールドセールスの情報共有をスムーズにします。
必要なツール:
- MA(Marketing Automation): マーケティング活動の自動化
- SFA(Sales Force Automation): 営業活動の可視化・管理
- CRM(Customer Relationship Management): 顧客情報の一元管理
Mazricaによると、「MA/SFA/CRMツールが連携を支援」するとされています。
(4) インテントデータの活用
インテントデータを活用して購買意思の高いアカウントを特定し、優先的にアプローチします。
インテントデータ:
- Webサイト訪問履歴
- コンテンツダウンロード履歴
- セミナー参加履歴
- 製品ページの閲覧時間
Magic Momentによると、「インテントデータで購買意思を持つ企業を特定」し、「ABMの進化形としてのインテントセールス」が注目されています。
5. ABM導入時の注意点と成功のポイント
(1) 基盤構築コストと企業規模の適性
ABMは基盤構築にMA/SFA/CRMツールの導入が必要であり、初期コストと時間がかかります。
導入コストの目安:
- MAツール: 月額数万円〜数十万円
- SFAツール: 月額数万円〜数十万円
- CRMツール: 月額数万円〜数十万円
中小企業の場合は、小規模なスモールスタートが推奨されます。
(2) 営業とマーケティングのKPI統一
営業とマーケティングのKPIが異なると連携がうまくいかず、施策にズレが生じる可能性があります。
失敗パターン:
- マーケティング: リード数を重視
- 営業: 成約率・案件サイズを重視
- 結果: 連携不足で商談機会を逃す
Innovationによると、「営業とマーケティングの連携強化がABMの本質」とされています。
(3) BDRのアプローチ手法の転換(コールドコールからインフォームドアウトバウンドへ)
BDRが従来のコールドコール手法をABMターゲットに適用すると、ターゲット企業との関係構築に失敗するリスクがあります。
アプローチ手法の転換:
- 従来: コールドコール(事前情報なしの電話営業)
- ABM: インフォームドアウトバウンド(ターゲット企業の課題・ニーズを事前調査してアプローチ)
RenderTribeによると、「コールドコールからインフォームドアウトバウンドへ転換」することが重要とされています。
(4) GTMポッド構造による組織連携
GTMポッド(Go-To-Market Pod)構造により、マーケティング・BDR・セールスがチームとして連携し、特定のアカウントに対して協働でアプローチします。
GTMポッドの構成:
- マーケティング担当者
- BDR担当者
- セールス担当者
MarTechによると、「GTMポッド構造によるマーケ・BDR・セールス連携」が最新のABM推進手法とされています。
6. まとめ:ABM×IS連携による営業効率化
ABMとインサイドセールスを組み合わせることで、ターゲット企業に対する効率的なアプローチが可能になります。営業とマーケティングで共通のアカウントリストとKPIを設定し、CRM/SFA/MAツールで情報を一元化し、インテントデータを活用することで、成約率の高い営業活動が実現します。
次のアクション:
- ターゲット企業をリストアップする(10-30社のTier 1から開始)
- 営業とマーケティングで共通のKPIを設定する
- MA/SFA/CRMツールを導入し、情報一元化の仕組みを整える
- BDRのアプローチ手法をインフォームドアウトバウンドに転換する
- インテントデータを活用し、購買意思の高いアカウントを特定する
ABM×インサイドセールス連携で、営業効率を最大化し、大型案件の獲得を目指しましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。ABMの手法やツールの機能は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
