ABMとインサイドセールスの連携方法・役割分担・成功のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/10

ABMとインサイドセールスが注目される背景

B2B営業の環境が変化する中、「どうやって効率的に大型案件を獲得するか」という課題に直面している企業は少なくありません。従来の営業手法では、リード数を増やすことに注力していましたが、すべてのリードが成約につながるわけではありません。

「ABMとインサイドセールスの関係性は何か」「どうやって連携すればいいのか」「具体的にどのような役割分担をすべきか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、ABMとインサイドセールスの基礎知識、連携方法、役割分担、成功のポイントを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • ABMはターゲット企業を絞り込む戦略、インサイドセールスは非対面営業手法
  • インサイドセールスはABMにおいてBANTC情報の商談前収集で重要な役割を果たす
  • 営業とマーケティングで共通のアカウントリストとKPIを設定することが重要
  • ターゲット企業をティアリング(階層化)し、リソースを効率配分する
  • CRM/SFA/MAツールで情報を一元化し、インテントデータを活用する

1. ABMとインサイドセールスが注目される背景

B2B営業では、従来のリード獲得型マーケティングから、ターゲット企業を絞り込んで個別にアプローチする「ABM(アカウントベースドマーケティング)」へのシフトが進んでいます。

ABMが注目される理由:

  • 成約率が高い(Salesforceによると38%高い成約率を実現)
  • 案件サイズが大きい(91%大きい案件サイズ)
  • ROIが高い(ABM導入企業の77%が10%以上のROI向上)

同時に、リモートワーク普及により「インサイドセールス(非対面営業)」の重要性も高まっています。ABMとインサイドセールスを組み合わせることで、効率的なアカウント開拓・育成が可能になります。

2. ABM・インサイドセールスの基礎知識

(1) ABM(アカウントベースドマーケティング)とは

ABM(Account Based Marketing)は、特定の企業(アカウント)をターゲットとし、個別にカスタマイズしたアプローチを行うBtoBマーケティング手法です。

ABMの特徴:

  • ターゲット企業を事前に選定
  • 企業ごとにカスタマイズしたメッセージ・コンテンツ
  • 営業とマーケティングの密な連携が前提
  • 少数の企業に集中的にリソースを投入

Innovationによると、「営業とマーケティングの連携強化がABMの本質」とされています。

(2) インサイドセールスとは

インサイドセールスは、電話・メール・オンライン会議などを通じて非対面で顧客とコミュニケーションを取る営業手法です。

インサイドセールスの役割:

  • リード獲得後の初期コンタクト
  • ニーズのヒアリング・見極め
  • BANTC情報の収集
  • フィールドセールスへの商談引き継ぎ

ABMにおけるインサイドセールスは、情報収集・ナーチャリングで重要な役割を担います。

(3) BDR・SDRの役割と違い

インサイドセールスには、BDR(Business Development Representative)とSDR(Sales Development Representative)の2つの役割があります。

BDR vs SDR:

項目 BDR SDR
アプローチ対象 ターゲット企業(アウトバウンド) 問い合わせ・資料請求(インバウンド)
主な活動 ターゲット企業への新規開拓 リード対応・ナーチャリング
ABMでの役割 マーケティングと営業の橋渡し インバウンドリードの見極め

RenderTribeによると、「BDRはABMにおいてマーケティングと営業の橋渡し役」を担います。

3. ABMにおけるインサイドセールスの役割

(1) BANTC情報の商談前収集

ABMとインサイドセールスを組み合わせることで、商談前にBANTC情報を収集できます。

BANTC情報:

  • Budget(予算): 導入予算があるか
  • Authority(権限): 決裁権を持つ人にアクセスできるか
  • Needs(必要性): ニーズがあるか
  • Timing(時期): 導入時期は適切か
  • Competitor(競合): 競合製品と比較検討しているか

SORAによると、「BANTC情報の商談前収集が可能」になることがABM×インサイドセールスの大きなメリットとされています。

(2) ターゲットアカウントの見極めと優先順位付け

インサイドセールスは、ターゲット企業の購買意思や優先度を見極め、フィールドセールスに適切なタイミングで商談を引き継ぎます。

見極めのポイント:

  • 購買意思の強さ(インテントデータ活用)
  • 決裁者へのアクセス可能性
  • 予算・導入時期の明確さ
  • 競合状況

電通B2Bイニシアティブによると、「ターゲット別の効果検証が可能に」なることがABM×インサイドセールスの相乗効果とされています。

(3) マーケティングとフィールドセールスの橋渡し

ABM戦略では、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの三位一体の連携が重要です。

連携の流れ:

  1. マーケティング: ターゲット企業選定、コンテンツ配信、エンゲージメント獲得
  2. インサイドセールス: 初期コンタクト、BANTC情報収集、商談化判断
  3. フィールドセールス: 提案・商談・クロージング

RenderTribeによると、「BDRはABMにおいてマーケティングと営業の橋渡し役」を担います。

4. ABM×インサイドセールスの具体的な連携方法

(1) 共通のアカウントリストとKPI設定

営業とマーケティングで共通のアカウントリストとKPIを設定し、連携を可視化する仕組みを整えます。

共通KPI例:

  • MQA(Marketing Qualified Account)数
  • 商談化率
  • 成約率
  • 案件サイズ
  • 受注までの期間

Innovationによると、「共通のアカウントリストとKPI設定が重要」とされています。

(2) ターゲット企業のティアリング(階層化)

ターゲット企業を3つのティアに分け、リソースを効率的に配分します。

ティアリング例:

ティア 企業数 アプローチ担当 特徴
Tier 1 10-30社 アカウントエグゼクティブ 最重要顧客、個別対応
Tier 2 50-100社 BDR/インサイドセールス 有望顧客、定期フォロー
Tier 3 200-500社 BDR/マーケティング自動化 育成対象、MA活用

RenderTribeによると、「トップティアはアカウントエグゼクティブ、それ以外はBDR/インサイドセールスが担当する分担が効果的」とされています。

(3) CRM/SFA/MAツールによる情報一元化

CRM/SFA/MAツールを活用して顧客情報を一元管理し、インサイドセールスとフィールドセールスの情報共有をスムーズにします。

必要なツール:

  • MA(Marketing Automation): マーケティング活動の自動化
  • SFA(Sales Force Automation): 営業活動の可視化・管理
  • CRM(Customer Relationship Management): 顧客情報の一元管理

Mazricaによると、「MA/SFA/CRMツールが連携を支援」するとされています。

(4) インテントデータの活用

インテントデータを活用して購買意思の高いアカウントを特定し、優先的にアプローチします。

インテントデータ:

  • Webサイト訪問履歴
  • コンテンツダウンロード履歴
  • セミナー参加履歴
  • 製品ページの閲覧時間

Magic Momentによると、「インテントデータで購買意思を持つ企業を特定」し、「ABMの進化形としてのインテントセールス」が注目されています。

5. ABM導入時の注意点と成功のポイント

(1) 基盤構築コストと企業規模の適性

ABMは基盤構築にMA/SFA/CRMツールの導入が必要であり、初期コストと時間がかかります。

導入コストの目安:

  • MAツール: 月額数万円〜数十万円
  • SFAツール: 月額数万円〜数十万円
  • CRMツール: 月額数万円〜数十万円

中小企業の場合は、小規模なスモールスタートが推奨されます。

(2) 営業とマーケティングのKPI統一

営業とマーケティングのKPIが異なると連携がうまくいかず、施策にズレが生じる可能性があります。

失敗パターン:

  • マーケティング: リード数を重視
  • 営業: 成約率・案件サイズを重視
  • 結果: 連携不足で商談機会を逃す

Innovationによると、「営業とマーケティングの連携強化がABMの本質」とされています。

(3) BDRのアプローチ手法の転換(コールドコールからインフォームドアウトバウンドへ)

BDRが従来のコールドコール手法をABMターゲットに適用すると、ターゲット企業との関係構築に失敗するリスクがあります。

アプローチ手法の転換:

  • 従来: コールドコール(事前情報なしの電話営業)
  • ABM: インフォームドアウトバウンド(ターゲット企業の課題・ニーズを事前調査してアプローチ)

RenderTribeによると、「コールドコールからインフォームドアウトバウンドへ転換」することが重要とされています。

(4) GTMポッド構造による組織連携

GTMポッド(Go-To-Market Pod)構造により、マーケティング・BDR・セールスがチームとして連携し、特定のアカウントに対して協働でアプローチします。

GTMポッドの構成:

  • マーケティング担当者
  • BDR担当者
  • セールス担当者

MarTechによると、「GTMポッド構造によるマーケ・BDR・セールス連携」が最新のABM推進手法とされています。

6. まとめ:ABM×IS連携による営業効率化

ABMとインサイドセールスを組み合わせることで、ターゲット企業に対する効率的なアプローチが可能になります。営業とマーケティングで共通のアカウントリストとKPIを設定し、CRM/SFA/MAツールで情報を一元化し、インテントデータを活用することで、成約率の高い営業活動が実現します。

次のアクション:

  • ターゲット企業をリストアップする(10-30社のTier 1から開始)
  • 営業とマーケティングで共通のKPIを設定する
  • MA/SFA/CRMツールを導入し、情報一元化の仕組みを整える
  • BDRのアプローチ手法をインフォームドアウトバウンドに転換する
  • インテントデータを活用し、購買意思の高いアカウントを特定する

ABM×インサイドセールス連携で、営業効率を最大化し、大型案件の獲得を目指しましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。ABMの手法やツールの機能は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1ABMとインサイドセールスの関係性は何か?

A1ABMはターゲット企業を絞り込む戦略、インサイドセールスは非対面営業手法です。インサイドセールスがABM戦略においてアカウント開拓・育成で重要な役割を果たします。

Q2ABMは中小企業でも実施できるのか?

A2可能ですが、MA/SFA/CRMツール導入が必要で初期コストと時間がかかります。リソースが限られる場合は小規模なスモールスタート(Tier 1のみ10-30社)が推奨されます。

Q3ABMの効果測定はどのように行うのか?

A3MQA(Marketing Qualified Account)数、商談化率、成約率、案件サイズなどのKPIで測定します。営業とマーケティングで共通のKPIを設定することが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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