Salesforce開発で本当に成果を出すために必要なこと
Salesforce開発を導入したものの、設定後に活用されず投資が無駄になってしまう――そんな失敗を避けるために必要なのは、技術的な実装だけでなく、MA/SFA設定から業務プロセス改善・運用定着までの一気通貫の実装支援です。
Salesforce開発を検討する企業の多くが、「導入すれば自動的に業務が改善される」と期待しがちですが、実際には設定だけで終わり、運用が定着せずに終わるケースが少なくありません。開発したシステムが本当に成果を出すには、開発→運用定着→成果というプロセス全体を見据えたアプローチが不可欠です。
この記事で分かること
- Salesforce開発の基本概念と解決できる課題
- 宣言型開発とコード開発の違いと選び方
- 成功事例と失敗の分かれ道
- 開発から運用定着までの実践ステップ
- 中小企業でも成果を出すためのポイント
Salesforce開発とは|基本概念とメリット
Salesforce開発とは、クラウド型CRM「Salesforce」を企業の業務フローに合わせてカスタマイズ・構築するプロセスです。営業支援、顧客管理、業務自動化を目的として、企業固有の業務要件に対応したシステムを構築します。
Salesforce開発の主なメリットは、営業活動の効率化、顧客情報の一元管理、業務プロセスの自動化による工数削減などです。クラウド投資比率の上昇トレンドとともに、企業のDX推進の中核を担う取り組みとして注目されています。ただし、企業の業種や規模、既存システムとの相性によって適合度は異なるため、自社の状況を踏まえた検討が必要です。
Salesforce開発が解決できる課題
Salesforce開発によって解決できる具体的な課題には、問い合わせ対応時間の削減、営業担当者の教育期間の短縮、営業活動の効率化などがあります。
実際の事例として、清水勧業株式会社(北海道の中小企業)では、2022年のSalesforce導入後に問い合わせ対応時間10%減、教育期間40時間短縮、売上・利益率105%増、営業時間130%増(新規開拓へシフト)を達成しています。ただし、この事例は企業自己申告ベースであり、自社に適用する際は業種・規模を考慮した慎重な検証が必要です。
導入効果は企業によって異なり、段階的な改善が現実的であることを理解しておくことが重要です。
Salesforce開発の手法|宣言型開発とコード開発の違い
Salesforce開発には大きく分けて2つの手法があります。宣言型開発はノーコード/ローコードでUI操作による設定中心のカスタマイズ手法で、迅速な機能追加が可能で非技術者でも利用できます。一方、コード開発はApexやVisualforceなどのプログラミングによる高度カスタマイズ手法で、複雑な業務特化や基幹システム連携に適しています。
明和工業株式会社では、Sales Cloud宣言型開発を活用し、ほぼIT未経験の担当者が運用を担当しています。同社は導入から3年で売上20%アップ(V字回復)を達成した実例があります。このように、宣言型開発は技術的なハードルが低く、中小企業でも導入しやすい手法と言えます。
ただし、過度なカスタマイズは保守負担増につながるため、自社の業務要件に応じて適切な手法を選択することが重要です。また、Winter '26リリースで追加されたAgentforce Builderなど、自然言語での開発が可能になる最新ツールも登場しており、開発の敷居はさらに下がりつつあります。
【比較表】開発手法別比較
| 開発手法 | 開発難易度 | 開発期間 | コスト | 保守性 | 適用ケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 宣言型開発 | 低(ノーコード/ローコード) | 短い(数週間~数ヶ月) | 低~中 | 高(設定変更が容易) | 標準的な営業プロセス、CRM基本機能の拡張 |
| コード開発 | 高(Apex等のプログラミング必須) | 長い(数ヶ月~半年以上) | 中~高 | 中(コード修正が必要) | 複雑なビジネスロジック、基幹システムとの深い連携 |
| フルスクラッチ | 非常に高 | 非常に長い(半年~1年以上) | 高 | 低(独自仕様のため保守が困難) | Salesforce標準機能では対応できない特殊要件 |
宣言型開発のメリットと適用シーン
宣言型開発の具体的なメリットは、迅速な機能追加、非技術者でも利用可能、保守性の高さなどです。UI操作による設定が中心のため、プログラミング知識がなくても運用できます。
明和工業株式会社の事例では、IT未経験の担当者が運用を担当し、3年で売上20%アップを達成しています。適用シーンとしては、標準的な営業プロセスの管理、リード管理、案件管理、レポート作成など、CRM基本機能の拡張が中心です。まずは宣言型開発から始め、必要に応じてコード開発を検討する段階的なアプローチが推奨されます。
コード開発のメリットと適用シーン
コード開発の主なメリットは、高度なカスタマイズ、複雑なビジネスロジックの実装、既存の基幹システムとの深い連携が可能な点です。ApexはSalesforceのサーバーサイド開発言語で、Javaライクな構文により複雑なビジネスロジックを実装できます。
適用シーンとしては、独自性の高い業務フロー(承認プロセスの多段階分岐、複雑な見積もり計算など)、ERPや基幹システムとのリアルタイム連携、外部APIとの高度な統合などが挙げられます。
ただし、コード開発が必ず必要というわけではなく、宣言型開発で十分なケースも多いため、要件を慎重に見極めることが重要です。
Salesforce開発の成功事例と失敗の分かれ道
よくある誤解として、Salesforce開発を外注すれば自動的に業務が改善されると考えることが挙げられます。 しかし、設定後の運用定着や業務プロセス改善を後回しにすると、開発したシステムが活用されず、投資が無駄になる失敗パターンに陥ります。
成功事例を見ると、清水勧業株式会社では問い合わせ対応時間10%減、教育期間40時間短縮、売上・利益率105%増を達成しています。明和工業株式会社では宣言型開発でIT未経験者が運用し、3年で売上20%アップを実現しました。また、ジャパンシステムでは導入後3ヶ月で管理レコードが4000件から6500件へ62.5%増加しています。
これらの事例は企業自己申告ベースで第三者検証はされていないため、自社適用時は業種・規模を考慮した慎重な検証が必要です。
成功事例の共通点は、運用定着への継続的な取り組みと、業務プロセス改善の同時推進です。一方、失敗パターンとしては、設定だけで終わる、運用体制が整わない、担当者への教育が不足する、などが挙げられます。技術的な開発だけでなく、組織全体での運用定着の取り組みが成否を分けると言えます。
中小企業における導入効果の実例
中小企業(従業員50-300名規模)でも十分な導入効果が報告されています。清水勧業株式会社(北海道の中小企業)では、導入後に問い合わせ対応時間10%減、教育期間40時間短縮、売上・利益率105%増、営業時間130%増を達成しました。明和工業株式会社でも、宣言型開発を活用し、IT未経験担当者が運用を担当しながら3年で売上20%アップを実現しています。
ただし、導入後すぐに効果が出るわけではなく、事例を見ると3ヶ月~3年の期間を要しています。段階的な改善が現実的であり、焦らず継続的な運用改善に取り組むことが重要です。
Salesforce開発から運用定着までの実践ステップ
Salesforce開発を成功させるには、開発前の準備から運用定着までの一連のステップを踏む必要があります。開発前には目的・KPI設定と現状業務の可視化を行い、開発フェーズでは要件定義、手法選定、開発実行を進めます。その後、テスト、データ移行、初期設定を経て、運用定着フェーズへと移行します。
各ステップで外部支援(パートナーエコシステム)を活用することで、実装リスクを低減できます。特に、MA/SFA連携を含む一気通貫の実装支援を受けることで、開発後に成果が出ない失敗を防ぐことができます。ただし、企業の状況により順序や内容は調整が必要です。
【チェックリスト】Salesforce開発成功チェックリスト
開発軸
- 開発の目的とKPIを明確に設定した
- 現状業務フローを可視化し、課題を整理した
- 開発手法(宣言型 or コード)を要件に応じて選定した
- 要件定義書を作成し、関係者間で合意した
- 開発スコープを明確にし、優先順位を付けた
- 開発パートナーの選定基準を定めた
- 開発スケジュールと予算を確定した
実装軸
- 開発環境とテスト環境を構築した
- ユニットテスト・統合テストを実施した
- データ移行計画を策定し、テストデータで検証した
- 既存システムとの連携テストを実施した
- セキュリティ設定を確認した
- ユーザー権限設定を業務役割に応じて設計した
- 本番環境への移行手順を文書化した
定着軸
- 運用担当者を明確にアサインした
- ユーザー向けの操作マニュアルを作成した
- 全ユーザーへの教育研修を実施した
- 定期的な振り返りミーティングの場を設定した
- 改善提案の受付窓口と対応フローを整備した
- 運用KPIをモニタリングする仕組みを構築した
- 段階的な機能拡張のロードマップを作成した
運用定着のための組織体制づくり
開発後の運用定着には、組織的な取り組みが不可欠です。具体的には、運用担当者の設定、定期的な振り返りミーティング、改善提案の仕組みなどが必要です。
設定後の運用定着や業務プロセス改善を後回しにすると投資が無駄になるため、開発と並行して運用体制を整備することが重要です。外部支援を活用する場合は、内部担当者(運用リーダー、エンドユーザー代表)と外部パートナー(開発・保守担当)が連携する体制を構築し、知見の内製化を進めることが推奨されます。
まとめ|Salesforce開発の成功は一気通貫の実装支援で実現する
Salesforce開発を成功させるためのポイントは以下の通りです。
- 開発手法の選択では、まず宣言型開発から始め、必要に応じてコード開発を検討する段階的アプローチが有効
- 成功事例では、運用定着への継続的な取り組みと業務プロセス改善の同時推進が共通している
- 中小企業でも段階的な改善により成果が期待できるが、導入後3ヶ月~3年の期間を要する
- 開発・実装・定着の3軸でチェックリストを活用し、外部支援を活用することで実装リスクを低減できる
Salesforce開発の成功は、技術的な実装だけでなく、MA/SFA設定から業務プロセス改善・運用定着までの一気通貫の実装支援で実現します。
次のアクションとして、まずは自社の現状把握(業務フローの可視化、課題の整理)から始め、外部支援の活用を検討しながら、段階的な導入計画を策定することが推奨されます。まずは宣言型開発から始める、外部パートナーと協力する、など自社に合った形で進めることが成功への第一歩です。
