Marketoの「複雑さ」に悩む企業が増えている背景
最も重要なのは、Marketoの「複雑さ」は一度に全機能を使いこなそうとせず、ビジネス成果に直結する機能から段階的に活用範囲を広げることで克服できるということです。
Marketoを導入したものの「機能が複雑で使いこなせない」「高い費用を払っているのに成果が出ない」と悩む企業は少なくありません。2026年最新調査によると、国内MAツールシェアはBowNow 23.0%(1位)、HubSpot 20.3%(2位)、Pardot 13.4%(3位)、Marketo 7.5%(4位)となっており、シンプルさを売りにするツールがシェアを伸ばしています。
一方、2023年5月のNexal調査では、国内MA導入率は全企業1.5%(63万社中9,444社)、上場企業でも14.6%(3,850社中562社)にとどまっており、MA市場自体がまだ発展途上にあります。この状況下で、高機能なMarketoの複雑さに悩む企業が増えているのは自然な流れと言えます。
本記事では、Marketoの「複雑さ」を克服し、段階的に活用度を上げていくための方法を解説します。
この記事で分かること
- Marketoが「複雑」と言われる具体的な理由
- 段階的な活用アプローチの考え方
- 複雑さを克服した成功事例
- 活用度を上げるための実践ロードマップ
Marketoが「複雑」と言われる理由と主要機能
Marketoが「複雑」と言われる主な理由は、豊富な機能と高い設定の自由度にあります。国内MA市場規模は2021年の600億円から2026年には865億円へ成長すると予測されており(矢野経済研究所調査)、市場拡大とともにMA活用への期待も高まっています。
スマートキャンペーンとは、Marketoの自動化機能で、トリガー条件とフィルタ条件に基づいてリードに対するアクションを自動実行する仕組みです。動的コンテンツは、リードの属性・行動に応じてメールやLPの表示内容を自動で出し分けるパーソナライズ機能を指します。リードスコアリングは、属性(企業規模・役職)と行動(資料請求・サイト訪問)を基に点数付けし、リードの質を数値化する手法です。
これらの機能は強力ですが、適切に設定・運用するには専門知識と時間が必要です。
複雑さの要因:豊富な機能と設定の自由度
Marketoが複雑と言われる要因は、主に以下の点にあります。
- 機能の豊富さ: メール配信、LP作成、フォーム、スコアリング、ナーチャリングなど多機能
- 設定の自由度: スマートキャンペーンの条件設定が細かく、組み合わせが無限に近い
- 学習コスト: 機能を理解し使いこなすまでに時間がかかる
- 運用工数: 設定変更やメンテナンスに継続的なリソースが必要
これらは逆に言えばMarketoの強みでもあり、使いこなせれば高度なマーケティング自動化が実現できます。
代表的な複雑機能:スコアリング・動的コンテンツ・ジャーニー設計
複雑と感じやすい代表的な機能を紹介します。
リードスコアリングでは、どの属性・行動に何点を付与するかの設計が難しく、営業への引き渡し基準(閾値)の設定も試行錯誤が必要です。
動的コンテンツは、パーソナライズの効果が高い一方で、コンテンツパターンが増えるほど管理が煩雑になります。
ジャーニービルダーは、顧客のステージに応じた複数チャネルでのコミュニケーションを設計・自動化する機能ですが、シナリオが複雑化すると全体像を把握しにくくなります。
「複雑なシナリオをすべきか」という誤解と段階的活用の考え方
「高機能なMarketoを導入したのだから複雑な施策をすべき」という考えは誤りです。基本的なナーチャリングも整備されていない段階で複雑なシナリオを組もうとすると、設定工数ばかりかかり成果につながりません。
これはよくある失敗パターンです。高額なツール費用を正当化しようとして、いきなり高度な機能を使おうとする企業が少なくありません。しかし、基本機能で成果を出す仕組みが整っていなければ、複雑な機能を追加しても効果は限定的です。
段階的な活用アプローチとは、まず基本機能で成果を出し、その上で必要に応じて機能を追加していく考え方です。
【比較表】Marketo機能の活用優先度マトリクス
| 機能 | 優先度 | 難易度 | 期待効果 | 推奨フェーズ |
|---|---|---|---|---|
| メール配信 | 高 | 低 | 中 | 初期 |
| フォーム作成 | 高 | 低 | 中 | 初期 |
| 基本スコアリング | 高 | 中 | 高 | 初期〜中期 |
| LP作成 | 中 | 低 | 中 | 初期〜中期 |
| ナーチャリングシナリオ | 中 | 中 | 高 | 中期 |
| 動的コンテンツ | 低 | 高 | 中 | 発展期 |
| 複雑なジャーニー設計 | 低 | 高 | 高 | 発展期 |
| ABテスト自動化 | 低 | 中 | 中 | 発展期 |
まずは基本機能(メール・フォーム)から始める
段階的活用の第一歩は、基本機能で確実に成果を出すことです。
メール配信とフォーム作成は、設定難易度が低く、リード獲得・ナーチャリングの基盤となる機能です。まずはこれらの機能で「リードを獲得し、定期的に接点を持つ」仕組みを整えることが重要です。
基本的なナーチャリングが整備されていない段階で、動的コンテンツや複雑なジャーニー設計に手を出すと、設定工数ばかりかかり成果につながらないリスクがあります。
ビジネス成果に直結する機能から優先度をつける
機能の優先度は、「ビジネス成果への貢献度」と「設定・運用の難易度」のバランスで判断します。
上記のマトリクスを参考に、自社の状況に合わせて優先順位を決めてください。営業への引き渡しを改善したい場合はスコアリングを優先し、リード獲得を増やしたい場合はLP・フォームを優先するなど、課題に応じた選択が重要です。
Marketoの複雑さを克服した成功事例
段階的な活用で成果を出した企業の事例を紹介します。なお、以下の事例は企業自報値・ベンダー発表が中心であり、成果の再現性は企業の状況により異なる点にご留意ください。
コクヨの事例
コクヨはMarketo活用により、セミナー集客を3倍(100人未満から300人へ)、新規顧客10%増、案件化率10%向上を達成しました。スコアリングとナーチャリングを段階的に整備し、営業との連携を強化したことが成果につながったと報告されています。
SmartHRの事例
SmartHRはMarketoのスコアリング・自動メール機能を活用し、リード急増時の手作業を自動化して商談化率1.5倍向上を実現しました。まず基本的な自動化から始め、リード数の増加に合わせて機能を拡張したアプローチが成功の要因とされています。
SaaS企業の事例
あるSaaS企業では、スコアリング自動化でセミナー参加者育成から営業連携を強化し、成約率25%向上を達成しました。
これらの事例に共通するのは、最初から複雑な機能を使おうとせず、基本機能から段階的に活用範囲を広げている点です。
Marketo活用度を上げるための実践ロードマップ
段階的に活用度を上げるためのステップと、現状把握のためのチェックリストを提供します。
Salesforce連携とは、MarketoとSalesforceをAPI連携し、リード情報・商談情報を双方向同期する機能です。Salesforceを利用している企業では、連携により営業との情報共有がスムーズになりますが、設定には専門知識が必要なため、外部支援の活用も検討してください。
【チェックリスト】Marketo活用度セルフチェックリスト
- メール配信機能を定期的に活用している
- フォームを作成し、リード獲得に活用している
- 獲得したリードのデータがMarketoに蓄積されている
- 基本的なスコアリングルールを設定している
- スコアに基づく営業への引き渡し基準が明確になっている
- ナーチャリングメールのシナリオを1つ以上運用している
- LP(ランディングページ)を作成・運用している
- 営業部門とリードの定義について合意している
- Marketo管理者が社内に明確にアサインされている
- 定期的にMarketo活用状況をレビューしている
- Salesforce等のSFA/CRMと連携している
- スコアリングルールを定期的に見直している
- 動的コンテンツを活用している
- ABテストを実施している
- 複数チャネルを跨いだジャーニーを設計している
上記のチェック項目は上から下に向かって活用度が上がる順に並んでいます。チェックが入る項目が多いほど活用度が高いと言えます。
フェーズ別の活用ステップ
初期フェーズ(導入〜3ヶ月目安)
- メール配信・フォーム作成で基本的なリード獲得の仕組みを整備
- データの蓄積と基本的なリスト管理
- 運用担当者のトレーニング
中期フェーズ
- 基本的なスコアリングルールの設定
- 営業への引き渡し基準の策定
- ナーチャリングシナリオの構築
発展フェーズ
- 動的コンテンツの活用
- 複数チャネルを跨いだジャーニー設計
- ABテストによる継続的な改善
内製運用と外部支援の使い分け
内製運用と外部支援の使い分けは、以下の観点で判断します。
内製が適している領域
- 日常的なメール配信・フォーム運用
- 基本的なスコアリングルールの調整
- 社内関係者との連携・コミュニケーション
外部支援が適している領域
- 初期設定・導入支援
- Salesforce等との複雑な連携設定
- 高度なジャーニー設計・自動化
- 運用トレーニング・教育
特にSalesforce連携など専門性が高い設定は、外部の専門家を活用することで、設定品質の向上と工数削減が期待できます。
まとめ:Marketoの複雑さは段階的に克服できる
本記事では、Marketoが「複雑」と言われる理由と、段階的に活用度を上げるための方法を解説しました。
重要なポイントを整理します。
- Marketoの複雑さは、豊富な機能と高い設定の自由度に起因する
- 「高機能だから複雑な施策をすべき」という考えは誤り。基本機能から始めることが重要
- コクヨ、SmartHRなど成功企業は段階的な活用アプローチを採用している
- チェックリストで自社の活用度を把握し、フェーズに応じた機能拡張を計画する
- Salesforce連携など専門性が高い領域は外部支援の活用も検討する
2026年最新調査では、国内MAツールシェアでMarketoは7.5%(4位)となっていますが、これはMarketoが中堅〜大企業向けの高機能ツールとして位置づけられているためです。機能を使いこなせれば、高度なマーケティング自動化が実現できます。
Marketoの「複雑さ」は一度に全機能を使いこなそうとせず、ビジネス成果に直結する機能から段階的に活用範囲を広げることで克服できます。本記事のチェックリストとマトリクスを活用し、自社に合った活用ロードマップを設計してください。
