マーケティングと営業が連携できない本当の原因
MA/SFA連携によるリード引き継ぎの仕組みと部門間SLAを構築し、連携を強化するために必要なのは、MA/SFA連携によるリード引き継ぎの仕組みと部門間SLAを明確に設計することです。これにより、対立を解消し成果につなげることができます。
「マーケが獲得したリードを営業が後回しにする」「せっかくのリードが商談につながらない」——このような部門間の対立は、BtoB企業で非常によく見られる課題です。ある調査によると、営業とマーケティングの連携に6割以上の企業が課題感を抱えているとされています。
さらに、BtoBマーケティング施策の投資対効果で「受注金額」まで追っている企業は30.2%にとどまるという調査結果もあります。この数字が示すように、多くの企業でマーケティングと営業が「共通の成果指標」を持てていない現状があります。
この記事で分かること
- マーケティングと営業が対立する構造的な原因
- MQL/SQLの定義方法とリード引き継ぎの仕組み
- 部門間SLAの設計方法とチェックリスト
- MA/SFA連携による投資対効果の可視化方法
マーケティングと営業が対立する構造的原因
マーケティングと営業の対立は、精神論やコミュニケーション不足が原因ではありません。リード品質の定義不一致とKPIの違いという、構造的な問題が根本にあります。
「連携が大事」「コミュニケーションを取ろう」と精神論で終わり、MQL/SQLの定義やリード引き継ぎ基準を明確にしないまま運用してしまうパターンでは、連携は実現しません。これはよくある失敗パターンです。ツールを導入しても部門間の共通ルールがなければ、データは溜まるだけで活用されないまま終わります。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が設定した基準を満たし、営業へ引き渡し可能と判断されたリードを指します。このMQLの定義が部門間で合意されていないことが、対立の大きな原因となります。
リード品質の定義が曖昧なまま運用している
マーケティング部門が「良いリード」と考えるものと、営業部門が「商談に値する」と判断するものが一致していないケースが多いです。
例えば、マーケティング部門は「資料をダウンロードした」時点でMQLと判断することがあります。しかし営業部門からすると、「資料をダウンロードしただけ」では商談準備ができているとは言えません。このギャップが、「マーケが渡すリードは質が低い」「営業がリードを大切にしない」という相互不信を生んでいます。
部門間でKPIが異なり目標がずれている
マーケティング部門のKPIが「リード獲得数」、営業部門のKPIが「受注数・売上」と異なる場合、部門間の目標がずれてしまいます。
マーケティングは「たくさんリードを獲得した」と成果を報告しても、営業は「そのリードでは商談が進まない」と不満を抱えます。この状態では、いくらコミュニケーションを増やしても根本解決にはなりません。
LTV(Life Time Value) とは、顧客生涯価値を指し、1顧客が取引期間を通じてもたらす累計売上・利益を測る指標です。部門間で「受注金額」や「LTV」といった共通KPIを設定することが、連携成功の第一歩となります。
連携を実現するMQL/SQL定義とリード引き継ぎの仕組み
マーケティングと営業の連携を実現するには、MQL/SQLの明確な定義と、それに基づくリード引き継ぎの仕組みが不可欠です。
2023年の調査によると、国内BtoB MA市場規模は753億円(前年比11.2%増)に達していますが、導入企業は調査対象約62.6万社中9,444社(1.5%)にとどまっています。この数字が示すように、MAツールを導入している企業はまだ少数派であり、導入しても「ツールだけ入れて連携できていない」ケースも多いのが実情です。
MA(マーケティングオートメーション) とは、リード獲得から育成までのマーケティング活動を自動化・効率化するツール・仕組みを指します。MAツール導入時は、営業・マーケでMQL定義をすり合わせることが連携成功の鍵となります。
【フロー図】リード引き継ぎフロー
flowchart TD
A[リード獲得] --> B{スコアリング条件を満たす?}
B -->|Yes| C[MQL認定]
B -->|No| D[ナーチャリング継続]
D --> B
C --> E[ISがフォローコール]
E --> F{商談意向あり?}
F -->|Yes| G[SQL認定]
F -->|No| H[マーケへ戻す]
H --> D
G --> I[営業へ引き渡し]
I --> J[商談実施]
J --> K[受注/失注]
IS(インサイドセールス) とは、電話やメール等の非対面手段で顧客にアプローチし、商談機会を創出する営業手法です。上記フローのように、ISがMQLをフォローし、商談意向を確認してからSQLとして営業に引き渡すことで、リード品質の担保と効率的な引き継ぎが実現できます。
MQL・SQLの定義を部門間で合意する方法
MQL/SQLの定義は、マーケティング・営業の部門横断ワークショップで合意形成することが有効です。
具体的な定義例として、以下のような基準が考えられます:
- MQL認定条件: 資料ダウンロード+料金ページ閲覧+従業員50名以上の企業
- SQL認定条件: ISのフォローコールで商談意向を確認済み
重要なのは、この基準を「文書化」して部門間で共有することです。口頭の合意だけでは、担当者が変わるたびに基準がブレてしまいます。
部門間SLA設計による連携の仕組み化
MQL/SQLの定義を合意したら、次は部門間SLAを設計して連携を仕組み化します。
SLA(Service Level Agreement) とは、部門間でリード引き渡しや対応スピード等について取り決める合意事項を指します。SLAを明文化することで、「誰が」「いつまでに」「何をするか」が明確になり、属人的な運用から脱却できます。
【チェックリスト】マーケ・営業部門間SLA設計チェックリスト
- MQL認定基準を文書化している
- SQL認定基準を文書化している
- MQL→ISへの引き渡しタイミングを定義している
- ISが受け取ってからフォローコールまでの期限を設定している(例: 24時間以内)
- SQL→営業への引き渡しタイミングを定義している
- 営業が受け取ってから初回アプローチまでの期限を設定している
- 商談に進まなかったリードをマーケへ戻すルールを定義している
- 週次でリード引き継ぎ状況をレビューする会議体を設置している
- 月次でMQL→SQL転換率をモニタリングしている
- 月次でSQL→商談化率をモニタリングしている
- 四半期でMQL/SQL基準を見直すプロセスを設定している
- リード対応の優先順位ルールを定義している
- 対応遅延時のエスカレーションルールを定義している
- フィードバック(リード品質評価)の記録方法を定義している
- SLA文書の管理責任者を決定している
SLAに盛り込むべき主要項目
SLAには以下の項目を盛り込むことで、運用がスムーズになります:
- リード引き渡し条件: どの状態になったら引き渡すか
- 対応期限: 引き渡し後いつまでにコンタクトするか
- フィードバックルール: リード品質の評価をいつ・どのように共有するか
(例)SLA設定例
- MQL認定後、24時間以内にISがフォローコール実施
- SQL認定後、48時間以内に営業が初回アプローチ実施
- 週次でマーケ・IS・営業合同のリードレビュー会議を開催
- 月次でMQL→受注率のファネル分析を実施 ※実際の期限は組織のリソースや商材特性に応じて調整が必要です
MA/SFA連携による投資対効果の可視化
マーケティングと営業が共通の成果指標を持つためには、MA/SFA連携によるファネル全体の可視化が重要です。
先述の調査では、BtoBマーケティング施策の投資対効果で「受注金額」まで追っている企業は30.2%にとどまるとされています。つまり、約7割の企業が「リードは獲得できたが、そこからいくら売上に繋がったか」を把握できていないということです。
MA/SFA連携により、リード獲得から受注までの一連のデータを繋げることで、以下のような分析が可能になります:
- どのマーケティング施策が商談に貢献しているか
- MQL→SQL→商談→受注の各段階での転換率
- 施策別・チャネル別のROI(投資対効果)
部門間で共通のダッシュボードを共有し、同じデータを見ながら議論できる環境を作ることが、連携強化の土台となります。
まとめ|マーケティングと営業の連携を仕組みで実現する
本記事では、マーケティングと営業の連携を実現するための具体的な方法を解説しました。
要点の整理
- 連携に6割以上の企業が課題感を抱えているが、精神論では解決しない
- MQL/SQLの定義を部門間で合意し、文書化することが第一歩
- 部門間SLAを設計し、引き渡しルールと対応期限を明確にする
- MA/SFA連携でファネル全体を可視化し、共通指標で成果を評価する
次のアクション
まずは本記事のチェックリストを使って、自社のMQL/SQL定義とリード引き継ぎルールの現状を確認してください。そのうえで、マーケティング・営業・ISの部門横断ワークショップを開催し、SLA設計に着手することをおすすめします。
マーケティングと営業の連携は、MA/SFA連携によるリード引き継ぎの仕組みと部門間SLAを明確に設計することで、対立を解消し成果につなげることができます。
