HubSpotとSalesforceの比較で押さえるべきポイント
HubSpotとSalesforceのCRM/MA/SFAツールを比較検討する際、最も重要なのは料金・機能だけでなく、導入後の設定・運用の難易度と必要なリソースまで考慮して決定することです。多くの企業が料金表や機能一覧を見て「安いから」「機能が多いから」と選択しがちですが、導入後の運用フェーズで挫折するケースが少なくありません。
この記事で分かること
- HubSpotとSalesforceの基本的な違いと料金体系の詳細
- 両ツールの主要機能と向いている企業の特徴
- 導入後の設定・運用の難易度と必要なリソース
- 自社に最適なツールを選ぶための判断基準
- 実際の移行事例とコスト削減効果
本記事では、MA/SFA導入を検討中の従業員50-300名のIT・SaaS企業のマーケティング責任者またはインサイドセールス責任者向けに、料金・機能だけでなく導入後の成功まで見据えた選び方を解説します。
HubSpotとSalesforceの基本的な違い
HubSpotとSalesforceは、どちらも顧客関係管理を支援するツールですが、基本的な思想とターゲット市場が異なります。
CRM(Customer Relationship Management) とは、顧客関係管理を指します。顧客情報を一元管理し、マーケティング・営業・カスタマーサービスの活動を効率化するシステムです。MA(Marketing Automation) は、マーケティングオートメーションの略で、リード獲得・育成・スコアリングを自動化し、マーケティング活動を効率化するツールです。SFA(Sales Force Automation) は、営業支援システムのことで、営業活動の管理・自動化を行い、商談管理・顧客情報管理・売上予測を支援するツールを指します。
HubSpotの特徴
HubSpotは、インバウンドマーケティング(顧客が自発的に企業を見つけ、関心を持つように促すマーケティング手法)の思想に基づいて設計されています。MA/SFA/CRMが統合されたオールインワンプラットフォームとして提供され、中小〜中堅企業向けに設計されているのが特徴です。
料金面では、HubSpotは月額1,080円から開始可能で、Sales Hubの無料ツールは0円、Starter Customer Platformは1,080円から、Professionalは10,800円から、Enterpriseは18,000円から利用できます。無料プランに期間制限がないため、スモールスタートに適していると言えます。
Salesforceの特徴
Salesforceは、エンタープライズCRMとしての位置づけで、高度なカスタマイズ性と拡張性を持つプラットフォームです。大企業向けに設計されており、複雑な業務フローにも対応できる柔軟性が強みです。
料金体系は、SalesforceのSales Cloudは、Starter Suiteが月額3,000円/ユーザー、Pro Suiteが12,000円/ユーザー、Enterpriseが19,800〜21,000円/ユーザー、Unlimitedが39,600〜42,000円/ユーザーで、ユーザー単位での月額課金が基本となっています。
料金・価格プランの詳細比較
料金体系を理解する際に重要なのは、ライセンス費用だけでなく、サポート費用や実際の総コストを含めて比較することです。特にSalesforceでは、サポートを受ける場合、ライセンス料の30%が別途必要となるため、実際の導入コストはさらに増加する点に注意が必要です。
以下の比較表では、料金・機能・導入難易度・サポートの4軸でHubSpotとSalesforceを比較しています。
【比較表】HubSpot/Salesforce詳細比較表
| 比較項目 | HubSpot | Salesforce |
|---|---|---|
| 料金体系 | 無料〜月額18,000円(Enterprise) | 月額3,000円/ユーザー〜42,000円/ユーザー(Unlimited) |
| 初期費用 | 0円 | プランにより異なる |
| サポート費用 | プラン料金に含まれる | ライセンス料の30%が別途必要 |
| 課金方式 | プラン単位(ユーザー数無制限プランあり) | ユーザー単位課金 |
| 無料プラン | あり(期間制限なし) | トライアルのみ |
| 主要機能(MA) | リード獲得・育成・スコアリング統合 | Marketing Cloudとして別製品 |
| 主要機能(SFA) | 商談管理・売上予測・レポート | 高度な商談管理・予測分析 |
| 主要機能(CRM) | 顧客情報一元管理・活動履歴 | 高度なカスタマイズ可能な顧客管理 |
| カスタマイズ性 | 中程度(直感的な設定画面) | 高度(専門知識が必要) |
| 導入難易度 | 低(専門家不要で運用可能) | 高(専門担当者の配置が推奨) |
| 導入期間 | 2-3ヶ月程度 | 3-6ヶ月以上 |
| 向いている企業規模 | 従業員50-300名の中小〜中堅企業 | 従業員300名以上の大企業・グローバル企業 |
| サポート体制 | オンラインサポート・コミュニティ充実 | 有償サポート(ライセンス料の30%) |
※料金データは2025年時点の情報です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
HubSpotの料金プラン
HubSpotの料金プランは、無料プランから始められる点が大きな特徴です。Sales Hubの無料ツールは0円で期間制限なく利用でき、基本的な顧客管理機能を試すことができます。
Starter Customer Platformは月額1,080円から利用可能で、小規模チーム向けの基本機能を提供します。Professionalプラン(月額10,800円から)では、営業オートメーションやレポート機能が強化され、Enterpriseプラン(月額18,000円から)では、高度なカスタマイズや権限管理が可能になります。
プラン選択の際は、必要な機能と予算のバランスを考慮し、まずは無料プランやStarterプランでスモールスタートすることが推奨されます。
Salesforceの料金プラン
Salesforceの料金プランは、ユーザー単位での月額課金が基本となっています。Starter Suiteは月額3,000円/ユーザーで、小規模チーム向けの基本的なCRM機能を提供します。Pro Suite(月額12,000円/ユーザー)では、営業プロセスの自動化や高度なレポート機能が利用可能になります。
Enterpriseプラン(月額19,800〜21,000円/ユーザー)とUnlimitedプラン(月額39,600〜42,000円/ユーザー)では、より高度なカスタマイズやサポートが提供されますが、ユーザー数が増えると総コストが大きく増加する点に注意が必要です。
さらに重要なのは、Salesforceでサポートを受ける場合、ライセンス料の30%が別途必要となるため、実際の導入コストはさらに増加するという点です。導入前に必要なユーザー数を正確に見積もり、サポート費用を含めた総コストを試算することが重要です。
主要機能と向いている企業の特徴
両ツールの主要機能を理解し、自社の規模・業種・目的に合ったツールを選択することが成功の鍵です。
HubSpotの強みは、AI機能による営業効率化にあります。営業担当者の76%がHubSpot AI導入で営業活動そのものにもっと時間を費やせるようになったと回答しており(HubSpot公式調査、第三者検証はされていない)、営業担当者の73%が「HubSpotの利用によって成約率が向上した」と回答しています(HubSpot公式調査、バイアスに注意)。また、データの統合が進んでいる企業では、高い費用対効果を達成できる割合が4倍にのぼるという調査結果もあります。
一方、HubSpot Marketing Hubの評価は3.8/5(2026年ITreviewランキング、MAツール15選中11位)となっており、市場での評価は参考値として捉える必要があります。
Salesforceの強みは、高度なカスタマイズ性と多様な業種への対応力です。大規模企業やグローバル展開企業では、複雑な業務フローに対応できる柔軟性が評価されています。
HubSpotに向いている企業
HubSpotが適しているのは、従業員50-300名の中小〜中堅企業です。導入目的としては、スモールスタート、専門家不要での運用、MA/SFA/CRMの統合が挙げられます。
実際の導入事例として、島津ダイアグノスティクスでは、Salesforceと比較してHubSpotの「規模感が適切で扱いやすい」と実装担当者が評価し、Excelからの移行でレポート構築が容易になり、属人化を解消したというケースがあります(単一企業の事例であり、業種・規模により再現性は異なります)。
また、営業担当者の76%がAI導入で営業活動時間を確保でき、73%が成約率向上を報告していることから(HubSpot公式調査、バイアスに注意)、営業効率化を重視する企業に適していると言えます。
Salesforceに向いている企業
Salesforceが適しているのは、従業員300名以上の大規模企業やグローバル展開企業です。導入目的としては、高度なカスタマイズ、複雑な業務フロー対応、専門担当者配置が可能な体制が挙げられます。
エンタープライズ向けの豊富な機能と拡張性により、業種固有の要件にも柔軟に対応できます。ただし、専門担当者(Salesforce認定資格取得者など)の配置が必要となるため、運用リソースの確保が重要な判断基準となります。
導入後の設定・運用の難易度と必要なリソース
導入後の設定・運用の難易度は、ツール選定において料金や機能と同等かそれ以上に重要な判断基準です。料金と機能の表面的な比較だけで「安いから」「機能が多いから」と選び、導入後の設定・運用の難しさや必要なリソース不足で挫折する企業が少なくありません。
HubSpotは導入障壁が低く、専門家不要で運用できるという特徴があります。実際の移行事例では、デンタルシステムズがSalesforceからHubSpotへ2ヶ月前のタイトスケジュールで移行し、ライセンス費用を大幅削減した事例や、ある多角事業企業がSalesforceからHubSpotへ90日で移行完了し、300LP・10.9万連絡先を統合、年間7.7万ドル(約1.5億円)のコスト削減を達成した事例があります(単一企業の事例であり、HubSpot導入パートナーによる事例紹介のため成功バイアスに注意)。
一方、Salesforceは専門担当者が必要で、カスタマイズに時間とコストがかかる傾向があります。導入成功には、認定資格取得者の配置や、サポート費用(ライセンス料の30%)の確保が必要です。
以下のチェックリストを活用し、導入後の成功まで見据えた選定を行いましょう。
【チェックリスト】自社に合うツール選定チェックリスト
- 社内の利用想定ユーザー数を正確に把握している
- ユーザー数に応じた総コスト(ライセンス+サポート費用)を試算している
- 必要な機能(MA/SFA/CRM)を明確にしている
- 導入後の運用担当者をアサインできる
- 専門担当者(認定資格取得者)の配置が可能か検討している
- 導入期間(2-3ヶ月 vs 3-6ヶ月以上)を考慮している
- 既存システムとの連携要件を確認している
- データ移行の範囲と期間を見積もっている
- 無料トライアルまたは無料プランで実際の操作感を確認している
- カスタマイズの必要性と難易度を評価している
- 社内教育・トレーニングの計画を立てている
- 外部支援(導入パートナー)の必要性を検討している
- サポート体制(無料 vs 有償30%)を比較している
- 導入後の運用コスト(人件費含む)を試算している
- 成功指標(KPI)を設定している
HubSpotの導入・運用難易度
HubSpotの導入期間の目安は2-3ヶ月程度です。デンタルシステムズの事例では2ヶ月、多角事業企業の事例では90日で移行が完了しています(単一企業の事例であり、業種・規模により再現性は異なります)。
専門家不要で運用可能という特徴があり、直感的な設定画面により、マーケティング担当者や営業担当者が自ら設定・運用できることが強みです。島津ダイアグノスティクスの事例では、「規模感が適切で扱いやすい」と実装担当者が評価し、Excelからの移行でレポート構築が容易になり、属人化を解消できたという成果が報告されています。
Salesforceの導入・運用難易度
Salesforceの導入には、専門担当者(Salesforce認定資格取得者など)の配置が推奨されます。カスタマイズの自由度が高い反面、設定には専門知識が必要となるため、導入期間は3-6ヶ月以上かかるケースが多いと言われています。
サポート費用(ライセンス料の30%)の必要性を再度強調しますが、この費用を確保することで、Salesforceの専門サポートチームによる支援を受けられます。大規模企業では、高度カスタマイズによる業務最適化の恩恵を受けられるため、投資に見合う効果が期待できます。
自社に最適なツールの選び方
HubSpotとSalesforceの選択は、料金・機能だけでなく、導入後の設定・運用の難易度と必要なリソースまで考慮して決定することが重要です。
料金面では、HubSpotは無料プランから始められる低い初期投資が魅力ですが、Salesforceはユーザー単位課金とサポート費用(ライセンス料の30%)を含めた総コストでの比較が必要です。機能面では、HubSpotはMA/SFA/CRM統合による使いやすさが強みで、SalesforceはエンタープライズCRMとしての高度なカスタマイズ性が強みです。
導入難易度では、HubSpotは専門家不要で2-3ヶ月程度で導入可能ですが、Salesforceは専門担当者の配置と3-6ヶ月以上の導入期間が必要です。社内リソースとしては、HubSpotは既存の担当者で運用可能ですが、Salesforceは認定資格取得者の配置が推奨されます。
次のアクションとして、以下の3点を推奨します。
- 無料トライアル活用: HubSpotの無料プランやSalesforceのトライアルで、実際の操作感を確認する
- 専門家への相談: 導入パートナーに相談し、自社の要件に最適なプランとカスタマイズ範囲を明確にする
- 社内体制の確認: 運用担当者のアサイン、専門担当者の配置可否、教育・トレーニング計画を立案する
どちらのツールも、適切に運用すれば営業効率化や顧客管理の最適化に貢献します。自社の企業規模・業種・導入目的・運用体制に合ったツールを選択し、導入後の成功を実現しましょう。
