動画コンテンツを作りたいけれど、何から始めればいいかわからない...
B2Bマーケティングにおいて、動画コンテンツの重要性が高まっています。「自社でも動画を活用したいが、制作方法がわからない」「外注するとコストがかかりすぎる」といった悩みを抱えるマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
この記事では、B2B企業向けに動画コンテンツの作り方を企画から配信まで実践的に解説します。低予算・少人数でも始められる具体的なステップをご紹介します。
この記事のポイント:
- 動画広告市場は2023年に6,253億円(前年比112%増)と急成長している
- 動画コンテンツ制作は「企画→撮影準備→撮影→編集」の4工程で進める
- BtoB動画はサービス紹介、導入事例、ハウツーなど目的に応じた設計が重要
- プラットフォーム別に最適な長さが異なる(YouTube:長尺、SNS:30秒〜1分)
- 絵コンテを作成することで撮影漏れを防ぎ、効率的に制作できる
1. なぜ今、動画コンテンツが必要なのか
B2B企業においても動画コンテンツの活用が急速に広がっています。その背景を理解することで、効果的な動画制作の方向性が見えてきます。
(1) 動画マーケティング市場の急成長
動画広告市場は急速に拡大を続けています。サイバーエージェント調査によると、2023年の動画広告市場は6,253億円(前年比112%増)に達し、2027年には1兆円を超える見通しとなっています。
この成長を牽引しているのは、TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsなどのショート動画フォーマットの普及です。短尺動画は視聴のハードルが低く、多くのユーザーにリーチしやすい特徴があります。
(2) BtoB企業における動画活用の効果
動画コンテンツは情報伝達力において他のメディアを圧倒すると言われています。ある調査では、動画の情報量は文字の100万倍、静止画の30倍とも報告されています。
BtoB企業において動画活用が効果的な理由として、以下が挙げられます:
営業の属人化解消:
- 基本的な製品・サービス説明を動画化することで、営業担当者による説明のばらつきを軽減
- 商談の質を一定水準に保ちやすくなる
複雑な情報の可視化:
- 製品の使い方やシステムの動作など、文字では伝わりにくい情報を直感的に伝達
- 導入事例や成功事例を動画で紹介することで信頼性を高める
実際、85%の企業が動画活用の重要性が高まっていると回答しているという調査結果もあります。
(3) 内製化による費用対効果の向上
動画制作を外注する場合、企画から納品まで数十万円〜数百万円のコストがかかることが一般的です。制作期間も1〜3ヶ月程度を要することが多いです。
一方、内製化を進めることで以下のメリットが期待できます:
- 制作コストの削減(機材は初期投資のみ、編集ソフトは無料〜月額数千円)
- 制作スピードの向上(社内で完結するため外部との調整が不要)
- ノウハウの蓄積(継続的な改善が可能)
ビデオカメラと編集ソフトがあれば、初心者でも費用をかけずに動画制作を始めることは可能です。
2. 動画コンテンツ制作の基礎知識
動画コンテンツを効果的に活用するためには、基本的な知識を押さえておく必要があります。
(1) 動画コンテンツの種類と活用シーン
BtoB企業で活用される動画コンテンツには、主に以下の種類があります:
サービス紹介動画:
- 製品・サービスの概要や特徴を説明
- Webサイトのトップページやサービスページで活用
- 2〜5分程度が目安
導入事例動画:
- 顧客の成功事例をインタビュー形式で紹介
- 信頼性向上と具体的なイメージ醸成に効果的
- 3〜7分程度が目安
ハウツー・チュートリアル動画:
- 製品の使い方やノウハウを解説
- カスタマーサポートの負荷軽減にも貢献
- 機能ごとに1〜3分程度の短い動画に分割するのが効果的
ウェビナー・セミナー動画:
- オンラインセミナーの録画をコンテンツ化
- リード獲得やナーチャリングに活用
- 30分〜1時間程度
(2) BtoB動画とBtoC動画の違い
BtoB動画とBtoC動画では、ターゲットや目的が異なるため、制作アプローチも変わります:
| 項目 | BtoB動画 | BtoC動画 |
|---|---|---|
| 意思決定者 | 複数(担当者→上司→経営層) | 個人 |
| 購買プロセス | 長期(数ヶ月〜年単位) | 短期(即日〜数日) |
| 重視される要素 | 機能・ROI・導入実績 | 感情・ブランドイメージ |
| 動画の役割 | 検討材料の提供・信頼構築 | 認知獲得・購買促進 |
BtoB動画では、感情に訴えかけるよりも、論理的な説明と具体的な数値やデータの提示が重要になります。
(3) プラットフォーム別の最適な長さと仕様
動画を配信するプラットフォームによって、最適な長さや仕様が異なります:
YouTube:
- 長尺動画に適している(5分〜30分以上も可能)
- 詳細な解説やウェビナー録画の配信に最適
- 横型(16:9)が標準
Facebook/Instagram:
- 30秒〜1分程度が最適
- フィードでの自動再生を意識した設計が必要
- 縦型(9:16)またはスクエア(1:1)も効果的
LinkedIn:
- BtoBに特化したプラットフォーム
- 1〜3分程度の動画が効果的
- ビジネス向けコンテンツとの親和性が高い
自社Webサイト:
- ランディングページには1〜2分程度
- 詳細説明ページには5分程度まで許容される
※プラットフォームのアルゴリズムや推奨仕様は頻繁に変更されるため、制作前に最新情報を確認することが重要です。
3. 企画・構成段階のポイント
動画制作において最も重要なのが企画・構成段階です。ここでの設計が動画の成否を大きく左右します。
(1) ターゲットとコンセプトの明確化
動画制作を始める前に、以下を明確にする必要があります:
ターゲット設定:
- 誰に見てもらいたいか(役職、部署、業種、課題)
- どの購買段階の人か(認知→興味→検討→購入)
- 何を求めているか(情報収集、比較検討、導入判断)
コンセプト設計:
- 何を伝えたいか(1動画1メッセージが基本)
- どのような行動を促したいか(資料請求、問い合わせ、試用申込など)
- 競合との差別化ポイントは何か
動画制作は手段であり目的ではありません。課題解決のために動画が最適かを検討することも重要です。
(2) 絵コンテ(ストーリーボード)の作成
絵コンテとは、動画の設計図として各シーンの構成や演出を視覚化したものです。絵コンテを作成することで以下のメリットがあります:
- 撮影漏れを防止できる
- チーム間での認識共有が容易になる
- 制作全体の見通しが立てやすくなる
- 無駄な撮影や編集作業を削減できる
絵コンテに含める要素:
- シーン番号
- 映像のイメージ(簡単なスケッチやメモ)
- ナレーション・セリフ
- 使用するBGM・効果音
- 画面に表示するテキスト
- 各シーンの秒数
(3) 情報設計とメッセージの構造化
効果的な動画は、情報が論理的に構造化されています:
基本構成:
- 導入(課題提起・視聴者の共感を得る): 10〜15秒
- 解決策の提示(製品・サービスの紹介): 本編の主要部分
- 具体的な内容説明(機能・メリット・事例): 詳細説明
- 締めくくり(CTA・次のアクション提示): 10〜15秒
冒頭の数秒で視聴者の関心を引くことが重要です。自社の話から始めるのではなく、視聴者が抱える課題や疑問から入ることで、続きを見てもらいやすくなります。
4. 撮影準備と制作工程
企画・構成が固まったら、実際の撮影に向けた準備を進めます。
(1) 必要な機材と予算の設定
動画制作に必要な基本機材と目安コストは以下の通りです:
最低限必要な機材:
- ビデオカメラまたはスマートフォン: 0円(スマホ利用)〜10万円程度
- 三脚: 3,000円〜3万円
- マイク(外部マイク推奨): 5,000円〜3万円
- 照明: 5,000円〜3万円
編集ソフト:
- 無料: DaVinci Resolve、iMovie(Mac)、Clipchamp(Windows)
- 有料: Adobe Premiere Pro(月額約3,000円)、Final Cut Pro(買い切り約5万円)
初期投資の目安:
- 最小構成(スマホ+無料ソフト): 1〜2万円
- 標準構成(エントリーカメラ+有料ソフト): 15〜25万円
- 本格構成(業務用カメラ+プロ向けソフト): 50万円以上
スマートフォンでも十分な品質の動画を撮影できるため、まずは最小構成から始めることが推奨されます。
(2) 撮影環境の準備とチーム編成
良い動画を撮影するためには、撮影環境の整備が重要です:
撮影場所の確保:
- 静かな場所(外部の騒音が入らない)
- 背景がシンプルな場所(ごちゃごちゃした背景は避ける)
- 照明が十分な場所(自然光が入る部屋が理想)
チーム編成(最小構成):
- 企画・脚本担当: 1名
- 撮影担当: 1名
- 出演者: 1名〜(内容による)
- 編集担当: 1名(撮影担当と兼任可)
少人数の場合は、1〜2名で企画から編集まで担当することも可能です。
(3) 実際の撮影フローと注意点
撮影当日の流れ:
- 機材の動作確認(バッテリー、メモリ容量)
- 撮影環境のセッティング(照明、マイク位置)
- テスト撮影と確認
- 本番撮影(絵コンテに沿って進行)
- 素材の確認とバックアップ
撮影時の注意点:
- 1カットを長めに撮影する(編集時の余裕を持たせる)
- 同じシーンを複数テイク撮影する(選択肢を増やす)
- 音声の確認を怠らない(映像より音声のほうが視聴者に影響する)
- 手ブレを防ぐ(三脚の使用を推奨)
5. 編集・配信・効果測定のステップ
撮影が完了したら、編集から配信、効果測定まで一連の流れを実行します。
(1) 編集ツールの選定と基本操作
動画編集の基本的な流れは以下の通りです:
- 素材の取り込み: 撮影した映像をPCに取り込む
- カット編集: 不要な部分を削除し、必要なシーンを並べる
- テロップ追加: 字幕やタイトルを挿入
- BGM・効果音追加: 著作権フリーの音源を使用
- カラー調整: 映像の明るさや色味を調整
- 書き出し: 配信先に適した形式で出力
初心者の場合、まずは「カット編集」と「テロップ追加」から始め、徐々にスキルを向上させていくことが効果的です。
(2) プラットフォーム別配信戦略
完成した動画は、目的に応じて適切なプラットフォームで配信します:
自社Webサイト:
- サービスページへの埋め込み
- ランディングページでの活用
- ブログ記事との連携
YouTube:
- チャンネル開設と定期的な投稿
- SEOを意識したタイトル・説明文の設定
- 関連動画への誘導
SNS(LinkedIn、Facebook、X):
- 短尺版を作成してSNS向けに最適化
- 各プラットフォームのネイティブ動画として投稿(外部リンクより効果的)
(3) KPI設定と効果測定の方法
動画コンテンツの効果を測定するためのKPI例:
視聴関連指標:
- 視聴回数
- 平均視聴時間
- 視聴完了率
- エンゲージメント率(いいね、コメント、シェア)
ビジネス成果指標:
- 動画経由の問い合わせ数
- 資料ダウンロード数
- 商談化率
- 営業担当者のフィードバック
効果測定は定期的に行い、改善につなげることが重要です。視聴データを分析し、どの部分で離脱が多いか、どのコンテンツが効果的かを検証しましょう。
6. まとめ:動画コンテンツ制作の成功要因
動画コンテンツ制作を成功させるためのポイントを整理します。
成功のための3つの要因:
目的とターゲットの明確化
- 誰に何を伝えたいかを明確にする
- 1動画1メッセージを徹底する
計画的な制作プロセス
- 絵コンテを作成して撮影漏れを防ぐ
- 小さく始めて継続的に改善する
効果測定と改善サイクル
- KPIを設定して定期的に測定する
- データに基づいて次の動画制作に活かす
次のアクション:
- まずは1本、シンプルな動画を内製してみる
- スマートフォンと無料編集ソフトで始められる
- 完璧を目指さず、まず公開して反応を見る
- 社内の成功事例を蓄積し、ノウハウを共有する
動画コンテンツは一度で完璧なものを作る必要はありません。継続的に制作・改善を繰り返すことで、自社に合った効果的な動画マーケティングを実現できます。
よくある質問:
Q: 動画コンテンツ制作の初期費用はどれくらい? A: 最小構成(スマートフォン+無料編集ソフト)であれば1〜2万円程度から始められます。標準的な機材を揃える場合は15〜25万円程度が目安です。外注する場合は企画から納品まで数十万円〜数百万円が一般的です。
Q: 初心者でも品質の高い動画は作れる? A: 企画とコンセプトの明確化が最も重要です。機材や技術は後から向上させることができます。まずは絵コンテを作成し、撮影漏れを防ぐことで、初心者でも一定品質の動画を制作することは可能です。
Q: BtoB動画の効果測定はどうすればいい? A: 視聴回数や視聴完了率などの視聴関連指標に加え、動画経由の問い合わせ数や商談化率などのビジネス成果指標を設定することが推奨されます。営業担当者からのフィードバック(商談の質の変化など)も重要な評価軸となります。
Q: どの程度の長さの動画を作るべき? A: 配信プラットフォームと目的により異なります。YouTube向けの詳細解説は5〜30分、SNS向けの認知獲得は30秒〜1分、自社サイトのサービス紹介は2〜5分が目安です。視聴者が最後まで見てくれる長さを意識することが大切です。
Q: 動画制作にはどのくらいの時間がかかる? A: 内製の場合、1〜2分程度のシンプルな動画であれば企画から完成まで1〜2週間程度が目安です。ただし、初めての制作では学習時間も必要なため、余裕を持ったスケジュールを組むことが推奨されます。
