動画広告とは:静止画の1.7倍記憶に残るマーケティング手法
「新規顧客を獲得したいが、どんな広告手法が効果的か分からない」「動画広告を始めたいが、何から準備すればいいのか」——こうした悩みを抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。
動画広告は、静止画広告と比べて1.7倍記憶に残りやすく、認知拡大からリード獲得まで幅広い目的に活用できるマーケティング手法です。2024年の国内動画広告市場は7,249億円(前年比115.9%)と急成長しており、2028年には1兆1,471億円に達すると予測されています(サイバーエージェント調査)。
この記事では、動画広告の種類・配信プラットフォーム・BtoB活用のポイントを具体的に解説します。
この記事のポイント:
- 動画広告市場は急成長中(2024年7,249億円→2028年1兆円超え予測)
- 主要な種類はインストリーム・アウトストリーム・縦型動画の3つ
- プラットフォームはターゲット層に応じて選択(YouTube・Instagram・LinkedIn等)
- BtoB活用ではファネル別に動画を使い分けることが重要
- KPI設定は目的(認知・検討・行動)に応じて変える
1. 動画広告とは:静止画の1.7倍記憶に残るマーケティング手法
(1) 動画広告市場の急成長(2024年7,249億円、2028年1兆円超え予測)
動画広告とは、Webサイトやアプリ、SNSなどで配信される動画形式の広告です。サイバーエージェントの調査によると、2024年の国内動画広告市場規模は7,249億円(前年比115.9%)に達し、2028年には1兆1,471億円に達すると予測されています。
特に注目すべきは以下の3つのトレンドです:
縦型動画広告の急成長:
- 2024年は900億円(前年比171.1%)
- 市場シェア12.4%に拡大
- スマートフォン縦向き画面に最適化された形式
コネクテッドテレビ(CTV)向けの拡大:
- 2024年は1,020億円(前年比137.8%)
- インターネット接続テレビでの視聴が普及
スマートフォン向けが主流:
- 動画広告需要全体の79%(5,750億円)を占める
※この記事は2024-2025年時点の情報です。最新の市場動向は各調査会社の公式レポートをご確認ください。
(2) 動画広告の役割と効果
動画広告は静止画広告と比べて1.7倍記憶に残りやすいとされており、以下の役割で活用されています:
認知拡大:
- 短時間で多くの情報を伝達
- ブランドイメージの形成
- 幅広いターゲットへのリーチ
検討促進:
- プロダクトデモや事例紹介
- 複雑な機能・サービスを分かりやすく説明
- 信頼感の醸成
行動喚起:
- 資料請求・問い合わせなどのコンバージョン獲得
- キャンペーン告知
- イベント集客
動画広告の効果は業種・商材・ターゲット層により大きく異なるため、自社の目的に合わせた設計が重要です。
2. 動画広告の種類とフォーマット
(1) インストリーム広告(動画プラットフォーム内で再生)
インストリーム広告は、YouTubeなどの動画プラットフォーム内で動画の視聴前後や再生途中に表示される広告です。
特徴:
- 動画視聴意欲の高いユーザーにリーチ
- スキップ可能型(5秒後にスキップ可)とスキップ不可型がある
- 広告枠が明確で視認性が高い
課金方式:
- CPV(Cost Per View):動画が一定時間(通常30秒)視聴されるごとに課金
- CPCV(Cost Per Completed View):動画が最後まで視聴されるごとに課金
(2) アウトストリーム広告(WebサイトやSNSタイムラインで再生)
アウトストリーム広告は、動画プラットフォーム以外(WebサイトやSNSのタイムライン)で配信される動画広告です。
特徴:
- 動画プラットフォーム以外のユーザーにもリーチ可能
- インバナー型(バナー広告枠で再生)、インリード型(記事コンテンツ間で再生)などがある
- 音声なしで再生されることが多い(字幕の重要性)
課金方式:
- CPM(Cost Per Mille):広告が1,000回表示されるごとに課金
(3) 縦型動画広告(スマホ縦向き最適化、2024年急成長171.1%)
縦型動画広告は、スマートフォンの縦向き画面に最適化された動画広告です。2024年に急成長(前年比171.1%)しています。
特徴:
- スマホユーザーに最適(画面全体を活用)
- Instagram Stories、TikTokなどで効果的
- 視認性が高く、エンゲージメント率が高い傾向
活用シーン:
- 若年層向けのプロモーション
- ビジュアル重視の商材
- ブランド認知拡大
(4) コネクテッドテレビ(CTV)向け動画広告
コネクテッドテレビ(CTV)向け動画広告は、インターネットに接続されたテレビで配信される広告です。2024年に1,020億円(前年比137.8%)と市場をけん引しています。
特徴:
- 大画面での視聴体験
- 家族や複数人での視聴が多い
- テレビCMと比べてターゲティング精度が高い
(5) 課金方式の種類(CPV・CPCV・CPM・CPC)
動画広告の課金方式は目的に応じて選択します:
| 課金方式 | 説明 | 適した目的 |
|---|---|---|
| CPV | 動画が1回視聴されるごとに課金 | 認知拡大 |
| CPCV | 動画が最後まで視聴されるごとに課金 | 検討促進 |
| CPM | 広告が1,000回表示されるごとに課金 | 大量リーチ |
| CPC | 広告がクリックされるごとに課金 | 行動喚起 |
目的に適さない課金方式を選ぶと費用対効果が悪化するため、事前に目的を明確にすることが重要です。
3. 主要な動画広告配信プラットフォーム
(1) YouTube:全年代対応、幅広いリーチ
YouTubeは全年代に利用されており、幅広いリーチが可能なプラットフォームです。
特徴:
- 月間アクティブユーザー数が多い
- インストリーム広告(TrueView)が主流
- YouTubeアナリティクスで詳細な効果測定が可能
向いている企業:
- 幅広い年代にリーチしたい企業
- 長尺の動画(プロダクトデモ・事例紹介)を配信したい企業
(2) Facebook/Instagram:20-30代中心、縦型動画に強み
Facebook/Instagramは20-30代の利用が中心で、縦型動画広告に強みがあります。
特徴:
- Instagram Storiesで縦型動画が効果的
- 詳細なターゲティング(興味関心・行動データ)
- Facebook広告マネージャーで一元管理
向いている企業:
- 若年層(20-30代)向けの商材を扱う企業
- ビジュアル重視のブランディングを行いたい企業
(3) TikTok:10-20代中心、高エンゲージメント
TikTokは10-20代の利用が中心で、エンゲージメント率が高いプラットフォームです。
特徴:
- 縦型ショート動画が主流(15秒〜3分)
- ユーザー参加型キャンペーン(ハッシュタグチャレンジ等)が強み
- 高いエンゲージメント率
向いている企業:
- 若年層向けの商材を扱う企業
- バイラル効果を狙いたい企業
(4) LinkedIn:BtoB特化、意思決定者へのリーチ
LinkedInはBtoB特化型のプラットフォームで、意思決定者へのリーチが可能です。
特徴:
- ビジネスパーソンが集まるプラットフォーム
- 役職・業種・企業規模でのターゲティングが可能
- BtoB商材に適した環境
向いている企業:
- BtoB商材を扱う企業
- 意思決定者(経営層・部門長)にリーチしたい企業
(5) その他(Twitter/LINE/タクシー広告Tokyo Prime等)
その他のプラットフォームも用途に応じて検討できます:
Twitter(X):
- リアルタイム性の高い情報発信
- ハッシュタグを活用したキャンペーン
LINE:
- 国内で広く利用されている
- タイムライン広告やLINE NEWS広告
タクシー広告(Tokyo Prime等):
- ビジネスパーソンへのリーチ
- 移動中の閉鎖空間で視認性が高い
プラットフォームの選定は、ターゲット層・予算・目的に応じて行うことが重要です。複数プラットフォームを組み合わせることも効果的ですが、まずは1つに集中して検証するのが推奨されます。
4. BtoB動画広告の特徴とファネル別活用戦略
(1) BtoB動画広告の特性(検討期間の長さ、複数ステークホルダー、専門性の訴求)
BtoB動画広告は、BtoC(消費者向け)とは異なる特性があります:
検討期間の長さ:
- BtoB商材は検討期間が数ヶ月〜1年以上になることも
- 継続的な接触を設計する必要がある
複数のステークホルダー:
- 現場担当者・部門長・経営層など複数の意思決定者が関与
- それぞれの関心ポイントに応える必要がある
専門性の訴求:
- 機能・仕様・導入効果を具体的に示す
- 分かりやすさと専門性の両立が重要
(2) 認知フェーズ:課題提起型動画で広くリーチ
認知フェーズでは、ターゲット企業に自社の存在を知ってもらうことが目的です。
動画の内容:
- 業界の課題やトレンドを提起
- 「こんな悩みはありませんか?」と共感を呼ぶ
- 短尺(15秒〜30秒)でインパクトを重視
KPI:
- インプレッション数
- リーチ数
- 視聴回数
配信先:
- YouTube(幅広いリーチ)
- LinkedIn(BtoB特化)
(3) 検討フェーズ:プロダクトデモ・事例紹介動画で理解促進
検討フェーズでは、自社製品・サービスの理解を深めてもらうことが目的です。
動画の内容:
- プロダクトデモ(機能紹介・操作画面)
- 導入事例・顧客インタビュー
- 課題解決のプロセスを具体的に示す
- 中尺(1分〜3分)で詳細を伝える
KPI:
- 視聴完了率
- 平均視聴時間
- エンゲージメント率(いいね・シェア・コメント)
配信先:
- YouTube(長尺動画に適している)
- LinkedIn(BtoB意思決定者にリーチ)
(4) 行動フェーズ:ストレートオファー型でコンバージョン獲得
行動フェーズでは、資料請求・問い合わせなどのコンバージョンを獲得することが目的です。
動画の内容:
- 明確なオファー(資料請求・無料トライアル・ウェビナー参加)
- 導入メリット・ROIを強調
- CTAを明示(「今すぐ資料請求」等)
- 短尺(15秒〜30秒)で行動を促す
KPI:
- コンバージョン数
- CPA(顧客獲得単価)
- クリック率(CTR)
配信先:
- リターゲティング広告(過去に接触したユーザーに再アプローチ)
- LinkedIn(BtoB意思決定者に直接アプローチ)
ファネル別に動画を使い分けることで、認知拡大からリード獲得まで効率的に進めることができます。
5. 動画広告の制作・運用のポイント
(1) 制作前の準備:目的とターゲットの明確化
動画広告の制作前に、目的とターゲットを明確にすることが最も重要です。曖昧なままでは、メッセージに一貫性がなくなります。
明確にすべき項目:
- 目的(認知拡大・検討促進・行動喚起)
- ターゲット層(役職・業種・企業規模・課題)
- 伝えたいメッセージ(何を伝えるか)
- 期待する行動(動画視聴後にどうしてほしいか)
(2) 冒頭5秒の重要性:視聴者の離脱を防ぐ工夫
動画広告では、冒頭5秒が視聴者の最初の印象を左右する重要な時間です。ここで離脱されないよう工夫が必要です。
効果的な冒頭の作り方:
- インパクトのあるビジュアル・音楽
- 視聴者の課題や疑問を明示
- 「この動画で何が分かるか」を端的に伝える
避けるべき表現:
- 長い企業紹介
- 専門用語が多すぎる説明
- ありきたりなオープニング
(3) 3つの構成パターン:問題提起型・プロダクトデモ型・ストレートオファー型
動画広告の構成は、目的に応じて3つのパターンから選びます:
問題提起型(認知フェーズ向け):
- 課題提起(「こんな悩みはありませんか?」)
- 解決策の提示(「〇〇を使えば解決できます」)
- 行動喚起(「詳しくはこちら」)
プロダクトデモ型(検討フェーズ向け):
- プロダクト紹介
- 機能・操作画面のデモ
- 導入効果・事例
- 行動喚起
ストレートオファー型(行動フェーズ向け):
- オファー明示(「今なら無料トライアル実施中」)
- メリット強調
- 行動喚起(「今すぐ申し込む」)
(4) KPI設定:目的別(認知→インプレッション、検討→視聴完了率、行動→コンバージョン)
KPI(主要業績評価指標)は、動画広告の目的に応じて設定します。目的に適さないKPIを選ぶと、効果を正しく測定できません。
| 目的 | KPI | 説明 |
|---|---|---|
| 認知拡大 | インプレッション数・リーチ数 | どれだけ多くの人に届いたか |
| 検討促進 | 視聴完了率・平均視聴時間 | どれだけ興味を持って視聴されたか |
| 行動喚起 | コンバージョン数・CPA | どれだけ行動に結びついたか |
Google BrandLabは、目的に応じたKPI設定の重要性を提唱しています。
(5) 効果測定:YouTubeアナリティクス・Googleアナリティクス・各プラットフォームの分析ツール
動画広告の効果測定には、各プラットフォームの分析ツールを活用します:
YouTubeアナリティクス:
- 視聴回数・視聴完了率
- 視聴者の属性(年齢・性別・地域)
- トラフィックソース(どこから流入したか)
Googleアナリティクス:
- サイト訪問数・コンバージョン数
- 動画広告経由のユーザー行動
各プラットフォームの分析ツール:
- Facebook広告マネージャー(Facebook/Instagram)
- LinkedIn Campaign Manager(LinkedIn)
- TikTok広告マネージャー(TikTok)
定期的に効果を測定し、改善を繰り返すことが重要です。
(6) 制作費用の目安
動画広告の制作費用は、品質・尺・制作会社により大きく異なります。
簡易版(社内制作・スマホ撮影):
- 数万円〜10万円程度
- スライド動画やシンプルなアニメーション
プロ制作(制作会社に依頼):
- 数十万円〜数百万円の幅があります
- 企画・撮影・編集・ナレーションまで含む
BtoB企業であれば、まず低予算で試し、効果が出たら本格投資するのが賢明です。複数社から見積もりを取り、比較することをおすすめします。
※制作費用は制作会社や内容により異なります。最新の相場は複数の制作会社に問い合わせてご確認ください。
6. まとめ:動画広告で認知拡大とリード獲得を両立する
動画広告は、認知拡大からリード獲得まで幅広い目的に活用できるマーケティング手法です。2024年の市場規模は7,249億円と急成長しており、今後も拡大が見込まれます。
ポイントの整理:
- 動画広告の種類(インストリーム・アウトストリーム・縦型)を理解する
- ターゲット層に応じてプラットフォームを選択する
- BtoB活用ではファネル別に動画を使い分ける
- 制作前に目的とターゲットを明確にする
- KPIは目的に応じて設定する
次のアクション:
- 自社の目的とターゲットを整理する
- 複数プラットフォームの特性を比較する
- まず1つのプラットフォームで小規模テストを実施する
- 効果測定を行い、改善を繰り返す
- 効果が出たら本格投資を検討する
動画広告を戦略的に活用し、認知拡大とリード獲得の両立を目指しましょう。
