ターゲット顧客を絞り込みたいけれど、どう分類すればいい?
マーケティング施策を実行する中で「施策の効果が出ない」「どの顧客層に注力すべきか分からない」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。ユーザー全体を一括りにして施策を展開していると、個々のニーズに合わず、成果につながりにくいケースがあります。
この記事では、ユーザーセグメントの基礎から、BtoBマーケティングでの分類方法、作成手順、実践的な活用法まで体系的に解説します。
この記事のポイント:
- ユーザーセグメントは、年齢や行動パターンなどの特性に基づいて区分されたユーザーグループ
- 4種類の分類軸(人口動態・心理的・地理的・行動変数)を組み合わせて定義する
- データ収集→セグメント定義→ターゲティング・効果測定の順で実施
- BtoBではファーモグラフィック(企業属性)と役職・導入フェーズが重要
- GA4では「ユーザーセグメント」「セッションセグメント」「イベントセグメント」の3タイプを活用可能
- セグメント分析をOKRやビジネス計画に統合することで組織全体に浸透させる
1. ユーザーセグメントとは何か?
ユーザーセグメントとは、年齢や行動パターンなどの特性に基づいて区分されたユーザーグループのことです。ユーザー全体を一つの塊として扱うのではなく、共通の特性を持つグループに分類し、それぞれに最適化された施策を展開します。
(1) ユーザーセグメントの定義と基本概念
ユーザーセグメントの基本的な考え方は以下の通りです:
セグメンテーション(分類):
- ユーザーを複数のグループに分類する行為
- 年齢、性別、購買履歴、サイト閲覧行動など、さまざまな変数を用いて分類
セグメントの活用目的:
- ニーズに合った施策を展開し、マーケティング効率を向上
- ターゲット顧客を明確化し、リソースを集中投下
- 効果測定を通じてPDCAサイクルを回す
セグメント化により、「誰に、何を、どのように提供するか」が明確になり、施策の効果が高まります。
(2) STP分析におけるセグメンテーションの位置づけ
セグメンテーションは、マーケティング戦略の基本フレームワークである「STP分析」の一部です:
STP分析とは:
- S (Segmentation): 市場をセグメント(顧客層)に分割
- T (Targeting): 自社が狙うべきターゲットセグメントを選定
- P (Positioning): 競合との差別化ポイントを明確にし、市場における自社の位置づけを決定
セグメンテーションは、ターゲティングとポジショニングの基盤となる重要なステップです。適切にセグメント化できていないと、その後の戦略が曖昧になり、施策の効果が低下します。
2. ユーザーセグメントが重要な理由
(1) ニーズの多様化とパーソナライゼーション
現代のユーザーは、画一的な情報やサービスではなく、自分のニーズに合った体験を求めています。
ニーズの多様化:
- 同じ製品でも、ユーザーによって求める価値が異なる
- 例: BtoB SaaSツールでは、中小企業は「低コスト・使いやすさ」、大企業は「高機能・セキュリティ」を重視
パーソナライゼーションの重要性:
- ユーザーセグメントをもとに、個々のニーズに最適化されたコンテンツや体験を提供
- パーソナライズされた施策は、エンゲージメントやコンバージョン率の向上につながる
ユーザーセグメントは、パーソナライゼーションの第一歩です。
(2) マーケティング効率の向上と効果測定
ユーザーセグメントを活用することで、限られたリソースを効率的に活用できます。
マーケティング効率の向上:
- 優先順位の高いセグメントに集中投資
- セグメントごとに最適化された施策で成果を最大化
効果測定の精度向上:
- セグメント別にKPI(重要業績評価指標)を設定し、効果を検証
- 「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」の比較分析が可能
- データに基づく改善サイクルを回しやすくなる
セグメント分析により、「どの施策が、どのセグメントに効果的だったか」が明確になり、継続的な改善が可能になります。
3. ユーザーセグメントの主な分類軸
ユーザーセグメントは、4種類の変数を組み合わせて定義するのが一般的です。
(1) 人口動態変数(デモグラフィック)
人口動態変数は、年齢、性別、年収、職業などの基本的な属性情報です。
主な項目:
- 年齢、性別
- 年収、職業
- 学歴、家族構成
活用例:
- BtoCでは、年齢層や性別に応じた商品提案
- BtoBでは、職種(マーケター、エンジニア、経営者など)に応じたコンテンツ配信
人口動態変数は取得しやすく、基本的なセグメント化に有効です。
(2) 心理的変数(サイコグラフィック)
心理的変数は、価値観、ライフスタイル、興味関心などの内面的特性です。
主な項目:
- 価値観(環境意識、コスト重視など)
- ライフスタイル(アクティブ、インドア派など)
- 興味関心(趣味、関心事)
活用例:
- 「コスト重視」のセグメントには低価格プランを訴求
- 「品質重視」のセグメントにはプレミアムプランを訴求
心理的変数は、より深いニーズを理解するために有効ですが、データ取得にはアンケートやインタビューが必要です。
(3) 地理的変数(ジオグラフィック)
地理的変数は、国、地域、都市などの地理的情報です。
主な項目:
- 国、地域、都市
- 気候(寒冷地、温暖地など)
- 都市規模(大都市、地方都市など)
活用例:
- 地域限定のプロモーション
- 気候に応じた商品提案(冬季は防寒グッズなど)
地理的変数は、BtoCの小売業や飲食業で活用されることが多いです。
(4) 行動変数(ビヘイビアラル)
行動変数は、購買履歴、サイト閲覧行動、アプリ利用頻度などの行動データです。
主な項目:
- 購買履歴(購入頻度、購入額など)
- サイト閲覧行動(閲覧ページ、滞在時間など)
- アプリ利用頻度、ログイン回数
- メール開封率、クリック率
活用例:
- 「カート放棄ユーザー」にリマインドメールを配信
- 「高頻度利用ユーザー」にロイヤルティプログラムを提案
行動変数は、デジタルマーケティングで最も活用されるデータです。GA4やMAツールで取得できます。
4. ユーザーセグメントの作成手順と実装方法
(1) データ収集からターゲティングまでの基本フロー
ユーザーセグメントの作成は、以下の手順で進めます:
Step 1: データ収集
- GA4、MAツール、CRMなどから顧客データを収集
- アンケートやインタビューで定性データを補完
Step 2: セグメント定義
- 分類軸(人口動態・心理的・地理的・行動変数)を選定
- セグメントごとの特徴やニーズを整理
Step 3: ターゲティング
- 優先順位の高いセグメントを選定
- セグメントごとに最適化された施策を設計
Step 4: 効果測定と改善
- セグメント別にKPIを設定し、効果を測定
- データをもとに施策を改善
セグメント定義は定期的に見直しが必要です。市場環境やユーザー行動の変化に対応しましょう。
(2) GA4でのセグメント作成(ユーザー・セッション・イベント)
2024年時点でGA4(Google Analytics 4)によるセグメント分析が主流となっています。GA4では3つのセグメントタイプが利用可能です:
ユーザーセグメント:
- 特定の条件を満たすユーザーのグループ
- 例: 「過去30日間に3回以上訪問したユーザー」
セッションセグメント:
- 特定の条件を満たすセッション(訪問)のグループ
- 例: 「コンバージョンが発生したセッション」
イベントセグメント:
- 特定のイベントが発生したセッションやユーザー
- 例: 「資料ダウンロードイベントを実行したユーザー」
GA4のセグメント機能を使うことで、詳細な分析が可能になります。
(3) セグメント比較による最適化
セグメント分析では、「対比分析」が効果的です。
よく使うセグメント比較例:
- 「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」
- 「新規訪問者」vs「リピーター」
- 「モバイルユーザー」vs「PCユーザー」
- 「有料広告経由」vs「オーガニック検索経由」
比較分析の目的:
- 成果につながる特性を特定
- ボトルネックや課題を発見
- 優先すべきセグメントを明確化
セグメント比較により、施策の方向性が明確になります。
5. BtoBマーケティングにおけるユーザーセグメント活用
(1) ファーモグラフィック(企業属性)によるセグメント分類
BtoBマーケティングでは、個人の属性だけでなく、企業属性(ファーモグラフィック)が重要です。
ファーモグラフィックの主な項目:
- 企業規模(従業員数、売上高)
- 業種(製造業、小売業、サービス業など)
- 上場・非上場
- 本社所在地
BtoBセグメント例:
- 「従業員50人未満の中小企業」向けに、低コスト・簡単導入のプランを訴求
- 「従業員500人以上の大企業」向けに、高機能・セキュリティ重視のプランを訴求
- 「製造業」向けに、業界特化型の導入事例を紹介
ファーモグラフィックを活用することで、企業のニーズに合った施策が可能になります。
(2) 役職・導入フェーズに基づくセグメント活用
BtoBでは、購買プロセスが長く、複数の担当者が関与します。役職や導入フェーズに応じたセグメント化が有効です。
役職別セグメント:
- 意思決定者(経営層): ROI・コスト削減効果を重視
- 実務担当者(マーケター、エンジニア): 機能・使いやすさを重視
- 購買担当者: 価格・契約条件を重視
導入フェーズ別セグメント:
- 認知フェーズ: 課題解決の情報を提供(ブログ記事、ホワイトペーパー)
- 検討フェーズ: 製品比較情報や導入事例を提供
- 決定フェーズ: 無料トライアルやデモを提供
それぞれのフェーズに応じたコンテンツを配信することで、成約率が向上します。
(3) セグメント分析の組織浸透とOKR統合
セグメント分析を単なる分析作業で終わらせず、組織全体に浸透させることが重要です。
組織浸透の方法:
- OKR(目標と主要な結果)やビジネス計画にセグメント分析を統合
- 定期的に全社でセグメント分析結果を共有
- セグメントを共通言語として活用(例: 「Aセグメント向けの施策を強化しよう」)
実践例(Ubie):
- 医療プラットフォームUbieでは、2024年7月以降も継続的にセグメント分析手法を改善
- セグメント分析をOKRに統合し、組織全体で活用
セグメント分析が組織に浸透すると、データドリブンな意思決定が促進されます。
6. まとめ:効果的なユーザーセグメント活用のポイント
ユーザーセグメントは、年齢や行動パターンなどの特性に基づいて区分されたユーザーグループです。4種類の変数(人口動態・心理的・地理的・行動)を組み合わせて定義し、データ収集→セグメント定義→ターゲティング・効果測定の順で実施します。
ユーザーセグメント活用の成功ポイント:
- データ収集→セグメント定義→ターゲティング→効果測定のサイクルを回す
- GA4の3つのセグメントタイプ(ユーザー・セッション・イベント)を活用
- BtoBではファーモグラフィック(企業属性)と役職・導入フェーズに基づくセグメント化が有効
- セグメント分析をOKRやビジネス計画に統合し、組織全体に浸透させる
- セグメントの粒度が細かすぎると運用困難、粗すぎると効果減少。まずは大分類から始める
次のアクション:
- GA4でセグメント機能を試し、「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」の比較分析を実施
- 自社の顧客データを整理し、主要なセグメントを3-5個定義
- セグメント別にKPIを設定し、効果測定を開始
- 定期的にセグメント定義を見直し、市場環境の変化に対応
ユーザーセグメントを活用し、ターゲット顧客に最適化された施策でマーケティング効率を向上させましょう。
※本記事は2024年11月時点の情報に基づいています。GA4の仕様は更新される可能性があるため、最新情報はGoogle公式サイトをご確認ください。
