ユーザーセグメントとは?BtoBマーケティングでの分類方法と活用法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/18

ターゲット顧客を絞り込みたいけれど、どう分類すればいい?

マーケティング施策を実行する中で「施策の効果が出ない」「どの顧客層に注力すべきか分からない」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。ユーザー全体を一括りにして施策を展開していると、個々のニーズに合わず、成果につながりにくいケースがあります。

この記事では、ユーザーセグメントの基礎から、BtoBマーケティングでの分類方法、作成手順、実践的な活用法まで体系的に解説します。

この記事のポイント:

  • ユーザーセグメントは、年齢や行動パターンなどの特性に基づいて区分されたユーザーグループ
  • 4種類の分類軸(人口動態・心理的・地理的・行動変数)を組み合わせて定義する
  • データ収集→セグメント定義→ターゲティング・効果測定の順で実施
  • BtoBではファーモグラフィック(企業属性)と役職・導入フェーズが重要
  • GA4では「ユーザーセグメント」「セッションセグメント」「イベントセグメント」の3タイプを活用可能
  • セグメント分析をOKRやビジネス計画に統合することで組織全体に浸透させる

1. ユーザーセグメントとは何か?

ユーザーセグメントとは、年齢や行動パターンなどの特性に基づいて区分されたユーザーグループのことです。ユーザー全体を一つの塊として扱うのではなく、共通の特性を持つグループに分類し、それぞれに最適化された施策を展開します。

(1) ユーザーセグメントの定義と基本概念

ユーザーセグメントの基本的な考え方は以下の通りです:

セグメンテーション(分類):

  • ユーザーを複数のグループに分類する行為
  • 年齢、性別、購買履歴、サイト閲覧行動など、さまざまな変数を用いて分類

セグメントの活用目的:

  • ニーズに合った施策を展開し、マーケティング効率を向上
  • ターゲット顧客を明確化し、リソースを集中投下
  • 効果測定を通じてPDCAサイクルを回す

セグメント化により、「誰に、何を、どのように提供するか」が明確になり、施策の効果が高まります。

(2) STP分析におけるセグメンテーションの位置づけ

セグメンテーションは、マーケティング戦略の基本フレームワークである「STP分析」の一部です:

STP分析とは:

  • S (Segmentation): 市場をセグメント(顧客層)に分割
  • T (Targeting): 自社が狙うべきターゲットセグメントを選定
  • P (Positioning): 競合との差別化ポイントを明確にし、市場における自社の位置づけを決定

セグメンテーションは、ターゲティングとポジショニングの基盤となる重要なステップです。適切にセグメント化できていないと、その後の戦略が曖昧になり、施策の効果が低下します。

2. ユーザーセグメントが重要な理由

(1) ニーズの多様化とパーソナライゼーション

現代のユーザーは、画一的な情報やサービスではなく、自分のニーズに合った体験を求めています。

ニーズの多様化:

  • 同じ製品でも、ユーザーによって求める価値が異なる
  • 例: BtoB SaaSツールでは、中小企業は「低コスト・使いやすさ」、大企業は「高機能・セキュリティ」を重視

パーソナライゼーションの重要性:

  • ユーザーセグメントをもとに、個々のニーズに最適化されたコンテンツや体験を提供
  • パーソナライズされた施策は、エンゲージメントやコンバージョン率の向上につながる

ユーザーセグメントは、パーソナライゼーションの第一歩です。

(2) マーケティング効率の向上と効果測定

ユーザーセグメントを活用することで、限られたリソースを効率的に活用できます。

マーケティング効率の向上:

  • 優先順位の高いセグメントに集中投資
  • セグメントごとに最適化された施策で成果を最大化

効果測定の精度向上:

  • セグメント別にKPI(重要業績評価指標)を設定し、効果を検証
  • 「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」の比較分析が可能
  • データに基づく改善サイクルを回しやすくなる

セグメント分析により、「どの施策が、どのセグメントに効果的だったか」が明確になり、継続的な改善が可能になります。

3. ユーザーセグメントの主な分類軸

ユーザーセグメントは、4種類の変数を組み合わせて定義するのが一般的です。

(1) 人口動態変数(デモグラフィック)

人口動態変数は、年齢、性別、年収、職業などの基本的な属性情報です。

主な項目:

  • 年齢、性別
  • 年収、職業
  • 学歴、家族構成

活用例:

  • BtoCでは、年齢層や性別に応じた商品提案
  • BtoBでは、職種(マーケター、エンジニア、経営者など)に応じたコンテンツ配信

人口動態変数は取得しやすく、基本的なセグメント化に有効です。

(2) 心理的変数(サイコグラフィック)

心理的変数は、価値観、ライフスタイル、興味関心などの内面的特性です。

主な項目:

  • 価値観(環境意識、コスト重視など)
  • ライフスタイル(アクティブ、インドア派など)
  • 興味関心(趣味、関心事)

活用例:

  • 「コスト重視」のセグメントには低価格プランを訴求
  • 「品質重視」のセグメントにはプレミアムプランを訴求

心理的変数は、より深いニーズを理解するために有効ですが、データ取得にはアンケートやインタビューが必要です。

(3) 地理的変数(ジオグラフィック)

地理的変数は、国、地域、都市などの地理的情報です。

主な項目:

  • 国、地域、都市
  • 気候(寒冷地、温暖地など)
  • 都市規模(大都市、地方都市など)

活用例:

  • 地域限定のプロモーション
  • 気候に応じた商品提案(冬季は防寒グッズなど)

地理的変数は、BtoCの小売業や飲食業で活用されることが多いです。

(4) 行動変数(ビヘイビアラル)

行動変数は、購買履歴、サイト閲覧行動、アプリ利用頻度などの行動データです。

主な項目:

  • 購買履歴(購入頻度、購入額など)
  • サイト閲覧行動(閲覧ページ、滞在時間など)
  • アプリ利用頻度、ログイン回数
  • メール開封率、クリック率

活用例:

  • 「カート放棄ユーザー」にリマインドメールを配信
  • 「高頻度利用ユーザー」にロイヤルティプログラムを提案

行動変数は、デジタルマーケティングで最も活用されるデータです。GA4やMAツールで取得できます。

4. ユーザーセグメントの作成手順と実装方法

(1) データ収集からターゲティングまでの基本フロー

ユーザーセグメントの作成は、以下の手順で進めます:

Step 1: データ収集

  • GA4、MAツール、CRMなどから顧客データを収集
  • アンケートやインタビューで定性データを補完

Step 2: セグメント定義

  • 分類軸(人口動態・心理的・地理的・行動変数)を選定
  • セグメントごとの特徴やニーズを整理

Step 3: ターゲティング

  • 優先順位の高いセグメントを選定
  • セグメントごとに最適化された施策を設計

Step 4: 効果測定と改善

  • セグメント別にKPIを設定し、効果を測定
  • データをもとに施策を改善

セグメント定義は定期的に見直しが必要です。市場環境やユーザー行動の変化に対応しましょう。

(2) GA4でのセグメント作成(ユーザー・セッション・イベント)

2024年時点でGA4(Google Analytics 4)によるセグメント分析が主流となっています。GA4では3つのセグメントタイプが利用可能です:

ユーザーセグメント:

  • 特定の条件を満たすユーザーのグループ
  • 例: 「過去30日間に3回以上訪問したユーザー」

セッションセグメント:

  • 特定の条件を満たすセッション(訪問)のグループ
  • 例: 「コンバージョンが発生したセッション」

イベントセグメント:

  • 特定のイベントが発生したセッションやユーザー
  • 例: 「資料ダウンロードイベントを実行したユーザー」

GA4のセグメント機能を使うことで、詳細な分析が可能になります。

(3) セグメント比較による最適化

セグメント分析では、「対比分析」が効果的です。

よく使うセグメント比較例:

  • 「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」
  • 「新規訪問者」vs「リピーター」
  • 「モバイルユーザー」vs「PCユーザー」
  • 「有料広告経由」vs「オーガニック検索経由」

比較分析の目的:

  • 成果につながる特性を特定
  • ボトルネックや課題を発見
  • 優先すべきセグメントを明確化

セグメント比較により、施策の方向性が明確になります。

5. BtoBマーケティングにおけるユーザーセグメント活用

(1) ファーモグラフィック(企業属性)によるセグメント分類

BtoBマーケティングでは、個人の属性だけでなく、企業属性(ファーモグラフィック)が重要です。

ファーモグラフィックの主な項目:

  • 企業規模(従業員数、売上高)
  • 業種(製造業、小売業、サービス業など)
  • 上場・非上場
  • 本社所在地

BtoBセグメント例:

  • 「従業員50人未満の中小企業」向けに、低コスト・簡単導入のプランを訴求
  • 「従業員500人以上の大企業」向けに、高機能・セキュリティ重視のプランを訴求
  • 「製造業」向けに、業界特化型の導入事例を紹介

ファーモグラフィックを活用することで、企業のニーズに合った施策が可能になります。

(2) 役職・導入フェーズに基づくセグメント活用

BtoBでは、購買プロセスが長く、複数の担当者が関与します。役職や導入フェーズに応じたセグメント化が有効です。

役職別セグメント:

  • 意思決定者(経営層): ROI・コスト削減効果を重視
  • 実務担当者(マーケター、エンジニア): 機能・使いやすさを重視
  • 購買担当者: 価格・契約条件を重視

導入フェーズ別セグメント:

  • 認知フェーズ: 課題解決の情報を提供(ブログ記事、ホワイトペーパー)
  • 検討フェーズ: 製品比較情報や導入事例を提供
  • 決定フェーズ: 無料トライアルやデモを提供

それぞれのフェーズに応じたコンテンツを配信することで、成約率が向上します。

(3) セグメント分析の組織浸透とOKR統合

セグメント分析を単なる分析作業で終わらせず、組織全体に浸透させることが重要です。

組織浸透の方法:

  • OKR(目標と主要な結果)やビジネス計画にセグメント分析を統合
  • 定期的に全社でセグメント分析結果を共有
  • セグメントを共通言語として活用(例: 「Aセグメント向けの施策を強化しよう」)

実践例(Ubie):

  • 医療プラットフォームUbieでは、2024年7月以降も継続的にセグメント分析手法を改善
  • セグメント分析をOKRに統合し、組織全体で活用

セグメント分析が組織に浸透すると、データドリブンな意思決定が促進されます。

6. まとめ:効果的なユーザーセグメント活用のポイント

ユーザーセグメントは、年齢や行動パターンなどの特性に基づいて区分されたユーザーグループです。4種類の変数(人口動態・心理的・地理的・行動)を組み合わせて定義し、データ収集→セグメント定義→ターゲティング・効果測定の順で実施します。

ユーザーセグメント活用の成功ポイント:

  • データ収集→セグメント定義→ターゲティング→効果測定のサイクルを回す
  • GA4の3つのセグメントタイプ(ユーザー・セッション・イベント)を活用
  • BtoBではファーモグラフィック(企業属性)と役職・導入フェーズに基づくセグメント化が有効
  • セグメント分析をOKRやビジネス計画に統合し、組織全体に浸透させる
  • セグメントの粒度が細かすぎると運用困難、粗すぎると効果減少。まずは大分類から始める

次のアクション:

  • GA4でセグメント機能を試し、「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」の比較分析を実施
  • 自社の顧客データを整理し、主要なセグメントを3-5個定義
  • セグメント別にKPIを設定し、効果測定を開始
  • 定期的にセグメント定義を見直し、市場環境の変化に対応

ユーザーセグメントを活用し、ターゲット顧客に最適化された施策でマーケティング効率を向上させましょう。

※本記事は2024年11月時点の情報に基づいています。GA4の仕様は更新される可能性があるため、最新情報はGoogle公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1ユーザーセグメントの分類はどの変数を優先すべき?

A1目的により優先順位が異なります。BtoBでは企業属性(ファーモグラフィック:企業規模・業種など)と行動変数(サイト閲覧行動、購買履歴など)が重要です。BtoCでは人口動態変数(年齢・性別など)や心理的変数(価値観・ライフスタイル)が中心となります。データ量と分析目的に応じて選定しましょう。

Q2セグメントの粒度はどの程度が適切?

A2細かすぎると運用が困難になり、粗すぎると効果が減少します。企業規模やリソースに応じて調整が必要です。まずは大分類(例: 中小企業 vs 大企業、新規 vs リピーター)から始め、データが蓄積されたら詳細化するのが推奨されます。統計的に有意なデータ量を確保することも重要です。

Q3GA4でセグメント分析を始める方法は?

A3GA4では「ユーザーセグメント」「セッションセグメント」「イベントセグメント」の3タイプが利用可能です。まず「コンバージョンしたユーザー」vs「しなかったユーザー」の比較から開始すると効果的です。これにより、成果につながる特性が明確になり、施策の方向性が見えてきます。

Q4セグメント分析を組織に浸透させるには?

A4OKR(目標と主要な結果)やビジネス計画にセグメント分析を統合し、定期的に全社で共有することが重要です。Ubieの事例では、2024年7月以降も継続的改善を実施し、セグメントを共通言語として活用しています。全社でデータドリブンな意思決定を促進しましょう。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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