スタートアップとは?ベンチャー企業との違いや特徴を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/24

スタートアップと協業したいけれど、そもそもスタートアップって何?

B2B企業の経営層や新規事業担当者として、スタートアップとの協業や投資を検討する機会が増えています。しかし、「スタートアップとベンチャー企業の違いがよく分からない」「どんな特徴があるのか把握しておきたい」という声も多く聞かれます。

日本では「スタートアップ」と「ベンチャー企業」という言葉が混同して使われることがありますが、実は両者には明確な違いがあります。この記事では、スタートアップの定義と特徴、ベンチャー企業との違いを整理し、B2B企業がスタートアップと関わる際のポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • スタートアップは革新的技術で新市場を創出し、短期間で急成長を目指す企業
  • ベンチャー企業は既存市場での拡大を目指す点がスタートアップと異なる
  • 日本のスタートアップ企業数は約22,000社(2023年時点)で増加傾向
  • 成功率は10〜40%と言われ、高リスクな挑戦であることを認識する必要がある
  • B2B企業との協業ではオープンイノベーションの視点が重要

1. スタートアップを理解する前に知っておくべき背景

近年、日本でもスタートアップへの注目が高まっています。まずは現状を把握しましょう。

(1) 政府の「スタートアップ創出元年」と5ヵ年計画(2022年~)

日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、スタートアップ育成5か年計画を推進しています。この計画では「10倍のユニコーン創出、10倍の起業家育成」を目標に掲げており、スタートアップ・エコシステムの構築に力を入れています。

政府支援として、スタートアップ・エコシステム拠点都市(13都市)の選定や、資金調達支援、人材育成プログラムなどが展開されています。

(2) 日本のスタートアップ企業数の推移

内閣官房の資料によると、日本のスタートアップ企業数は2021年の約16,100社から2023年には約22,000社へと1.5倍に成長しています。東京が全体の66〜70%を占めていますが、大阪、京都、名古屋、福岡などの地方都市でも成長が見られます。

スタートアップで働く人は日本全体の就業者の約1.3%(約87.9万人、2024年3月時点)とされており、東京では8.12%と比較的高い割合になっています。

(3) スタートアップ・エコシステムの世界ランキング21位(2024年)

ジェトロの報道によると、2024年の世界スタートアップ・エコシステムランキングで日本は21位(前年18位から3つ下落)となっています。課題として、才能ある起業家の不足やリスク回避志向が指摘されていますが、オープンイノベーションは進展しているとされています。

2. スタートアップとは?定義と3つの特徴

スタートアップとは、革新的技術やアイデアで新市場・ビジネスモデルを創出し、短期間で急成長を目指す企業のことです。一般的に創業5年以内の企業を指すことが多いです。

(1) 革新的技術・アイデアで新市場・ビジネスモデルを創出(イノベーション)

スタートアップの最大の特徴は、従来にない革新的な技術やサービスを生み出すこと(イノベーション)です。既存のビジネスモデルを改善するのではなく、まったく新しい市場を創出することを目指します。

例えば、シェアリングエコノミーやSaaS(Software as a Service)など、従来の業界構造を変えるようなビジネスモデルが該当します。

(2) 短期間で急成長を目指す(拡張性/スケーラビリティ)

スタートアップは短期間での急成長を前提としています。一般的に3〜7年でIPO(株式公開)を目指すケースが多く、そのためには拡張性(スケーラビリティ)の高いビジネスモデルが求められます。

拡張性とは、ビジネスモデルを大規模に展開できる能力のことです。人員を大幅に増やさなくても売上を伸ばせる仕組みを持つことが重要とされています。

(3) 社会課題や未解決の問題を解決(課題解決)

スタートアップは社会課題や未解決の問題を解決することに焦点を当てています。単に利益を追求するだけでなく、「この課題を解決すれば多くの人の役に立つ」という明確なビジョンを持つことが特徴です。

3. スタートアップとベンチャー企業の5つの違い

「スタートアップ」と「ベンチャー企業」は混同されやすいですが、いくつかの違いがあります。

(1) ビジネスモデルの違い(新市場創出 vs 既存市場拡大)

スタートアップ:

  • 革新的技術・アイデアで新市場を創出
  • 従来にないビジネスモデルを構築

ベンチャー企業:

  • 既存のビジネスモデルをベースに収益性向上やスケール拡大を目指す
  • 既存市場での競争優位性を追求

(2) 成長速度の違い(3-7年でIPO vs 5-10年でIPO)

スタートアップは3〜7年という短期間でのIPOを目指すのに対し、ベンチャー企業は5〜10年かけて着実に成長するケースが一般的とされています。スタートアップはより急速な成長曲線を描くことが期待されます。

(3) 収益性の違い(死の谷 vs 早期黒字化)

スタートアップは創業から数年間、「死の谷(Valley of Death)」と呼ばれる赤字期間が存在することが一般的です。製品・サービスが確立するまでの期間は、資金繰りに苦しむ可能性が高いとされています。

一方、ベンチャー企業は早期の黒字化を重視する傾向があります。既存のビジネスモデルをベースにしているため、収益化までの道筋が比較的見えやすいケースが多いです。

(4) リスクと投資の考え方(高リスク・高リターン vs 低リスク・堅実成長)

スタートアップへの投資は高リスク・高リターンが特徴です。成功すれば大きなリターンが期待できますが、失敗するケースも多いとされています。

ベンチャー企業は比較的低リスクで堅実な成長を目指すケースが多く、投資判断も異なる視点が求められます。

(5) 日本と海外の用語の違い

「ベンチャー企業」という言葉は日本独自の和製英語です。海外では一般的に「startup」や「growth company」という表現が使われます。

日本では両者が混同されやすいですが、海外のスタートアップ関連情報を参照する際は、この違いを意識しておくことが重要です。

4. スタートアップの成長ステージと資金調達戦略

スタートアップは成長段階に応じて段階的に資金調達を行います。

(1) 成長ステージ(シード→アーリー→シリーズA→B→C→IPO)

一般的なスタートアップの成長ステージは以下の通りです:

シード:

  • 創業前または直後の最初期段階
  • アイデアやプロトタイプの段階

アーリー:

  • 製品・サービスの開発段階
  • 初期の顧客獲得を目指す

シリーズA/B/C:

  • A: 製品開発中〜初期成長
  • B: 事業拡大局面
  • C: さらなる成長・IPO準備

(2) 資金調達の3つの方法

みずほ銀行の解説によると、スタートアップの資金調達方法は大きく3種類に分けられます:

エクイティファイナンス:

  • 新規の株式発行により資金を調達
  • VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家からの調達が代表的
  • 返済義務がないが、株式の希薄化が発生

デットファイナンス:

  • 銀行等から資金を借り入れる方法
  • 返済義務があるが、株式の希薄化を避けられる

ベンチャーデット:

  • 新株予約権付融資
  • エクイティとデットの中間的な性質

(3) 2024年の資金調達動向

経団連のレビューブック2024によると、2024年第1四半期の資金調達額は325.3億円(前年同期335.4億円)、件数は14%増の1,411社と回復の兆しが見られます。質の高いスタートアップが5〜10億円規模の大型調達を実現しているケースもあるとされています。

ただし、資金調達市場は2023年に減少に転じており、景気や投資環境の影響を受けやすい点は認識しておく必要があります。

5. B2B企業がスタートアップと協業する際のポイント

大企業やB2B企業がスタートアップと協業する際のポイントを解説します。

(1) オープンイノベーションの進展と大企業との協業メリット

オープンイノベーションとは、企業が外部の技術やアイデアを活用してイノベーションを創出する手法です。大企業とスタートアップの協業には以下のようなメリットがあるとされています:

大企業側のメリット:

  • 革新的な技術・サービスへのアクセス
  • 新規事業開発のスピードアップ
  • 社内にない知見・ノウハウの獲得

スタートアップ側のメリット:

  • 大企業の販売チャネル・顧客基盤の活用
  • 信用力の向上
  • 資金調達の安定化

(2) スタートアップ投資・M&Aの検討ポイント

スタートアップへの投資やM&Aを検討する際は、高リスクであることを認識することが重要です。

成功率は概ね10%〜40%と言われており、一説には失敗率93%という調査もあります。特に「死の谷」と呼ばれる初期段階では資金繰りに苦しむ可能性が高いため、長期的な視点での投資判断が求められます。

投資検討時のチェックポイントとしては、経営チームの能力、市場規模、競合環境、技術の独自性などが挙げられることが多いです。

(3) スタートアップ・エコシステム拠点都市の活用

政府が選定したスタートアップ・エコシステム拠点都市(13都市)では、起業家・政府・大企業・投資家・研究機関が協力してスタートアップの成長を支援する体制が整備されています。

拠点都市には東京、大阪、京都、名古屋、福岡などが含まれており、各地域でアクセラレータープログラムやマッチングイベントが開催されています。協業先の発掘にこうした仕組みを活用することも選択肢の一つです。

6. まとめ:スタートアップ理解の3つのポイント

スタートアップとベンチャー企業の違いを理解し、協業や投資を検討する際には以下のポイントを押さえておくことが重要です。

重要ポイントの整理:

  • スタートアップは革新的技術で新市場を創出し、短期間で急成長を目指す企業
  • ベンチャー企業との違いはビジネスモデル、成長速度、収益性にある
  • 成功率は10〜40%と言われ、高リスクな挑戦であることを認識する

次のアクション:

  • 協業や投資を検討する際は、スタートアップの成長ステージを確認する
  • スタートアップ・エコシステム拠点都市のイベントやプログラムを活用する
  • 投資判断の際は経営チーム、市場規模、競合環境をチェックする
  • 長期的な視点で関係構築を進める

※この記事は2025年時点の情報です。スタートアップ関連の統計データや政策は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

よくある質問:

Q: スタートアップとベンチャー企業の違いは何ですか? A: 最大の違いはビジネスモデルです。スタートアップは革新的技術・アイデアで新市場を創出し、3〜7年で急成長を目指します。ベンチャー企業は既存市場での拡大を目指し、5〜10年でIPOを目指すケースが一般的です。また、スタートアップは数年間赤字が継続する「死の谷」が一般的ですが、ベンチャーは早期黒字化を重視する傾向があります。

Q: スタートアップの定義は何ですか? A: 革新的技術・アイデアで新市場・ビジネスモデルを創出し、短期間で急成長を目指す企業を指します。一般的に創業5年以内とされ、イノベーション、拡張性(スケーラビリティ)、課題解決の3要素が特徴です。

Q: 日本にはスタートアップ企業がどれくらいありますか? A: 2023年時点で約22,000社とされています(2021年の約16,100社から1.5倍成長)。東京が全体の66〜70%を占めており、就業者数は約87.9万人で全体の1.3%です。政府は「10倍のユニコーン創出、10倍の起業家育成」を目標に掲げています。

Q: スタートアップの成功率はどれくらいですか? A: 概ね10%〜40%と言われています。一説には失敗率93%という調査もあり、高リスクな挑戦です。創業から数年間は「死の谷(Valley of Death)」と呼ばれる赤字期間があり、資金繰りに苦しむ可能性が高いとされています。協業や投資を検討する際は、この高リスクを認識することが重要です。

よくある質問

Q1スタートアップとベンチャー企業の違いは何ですか?

A1最大の違いはビジネスモデルです。スタートアップは革新的技術・アイデアで新市場を創出し、3〜7年で急成長を目指します。ベンチャー企業は既存市場での拡大を目指し、5〜10年でIPOを目指すケースが一般的です。また、スタートアップは数年間赤字が継続する「死の谷」が一般的ですが、ベンチャーは早期黒字化を重視する傾向があります。

Q2スタートアップの定義は何ですか?

A2革新的技術・アイデアで新市場・ビジネスモデルを創出し、短期間で急成長を目指す企業を指します。一般的に創業5年以内とされ、イノベーション、拡張性(スケーラビリティ)、課題解決の3要素が特徴です。

Q3日本にはスタートアップ企業がどれくらいありますか?

A32023年時点で約22,000社とされています(2021年の約16,100社から1.5倍成長)。東京が全体の66〜70%を占めており、就業者数は約87.9万人で全体の1.3%です。政府は「10倍のユニコーン創出、10倍の起業家育成」を目標に掲げています。

Q4スタートアップの成功率はどれくらいですか?

A4概ね10%〜40%と言われています。一説には失敗率93%という調査もあり、高リスクな挑戦です。創業から数年間は「死の谷(Valley of Death)」と呼ばれる赤字期間があり、資金繰りに苦しむ可能性が高いとされています。協業や投資を検討する際は、この高リスクを認識することが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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