Salesforce CMSとは?Salesforce Experience Cloudのコンテンツ管理機能と活用法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/7

「Salesforce CMSって、普通のCMSと何が違うの?」を解説します

コンテンツ管理システム(CMS)といえばWordPressが有名ですが、Salesforceにも独自のCMS機能があります。「Salesforce CMS」は、顧客ポータルやパートナーサイトを構築するExperience Cloud内のコンテンツ管理機能です。

「WordPressと何が違うの?」「Salesforceを使っていなくても導入できる?」「料金はどうなっている?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、Salesforce CMSの概要から機能、WordPressとの違い、導入判断のポイントまで整理してお伝えします。

この記事のポイント:

  • Salesforce CMSはExperience Cloud内のヘッドレス型コンテンツ管理機能
  • 2022年1月から無料化(ただしSalesforce環境の契約が前提)
  • CRM連携により、顧客データに基づいたパーソナライズ配信が可能
  • 汎用コーポレートサイトにはWordPress、顧客ポータルにはSalesforce CMSという使い分けが基本
  • Salesforce環境を既に利用している企業には有力な選択肢

1. Salesforce CMSとは

Salesforce CMS(Content Management System)は、Salesforceプラットフォーム内でコンテンツを作成・管理・配信するための機能です。

基本的な位置づけ:

  • Salesforce Experience Cloud(旧Community Cloud)の一部機能
  • 顧客ポータル、パートナーポータル、コミュニティサイトのコンテンツ管理に特化
  • ヘッドレスCMSアーキテクチャを採用

主な用途:

  • 顧客向けセルフサービスポータルのコンテンツ管理
  • パートナー向けドキュメント・ナレッジベースの公開
  • コミュニティサイトのFAQ・お知らせ管理
  • モバイルアプリへのコンテンツ配信

Salesforce CMSは、一般的なコーポレートサイトやブログを構築するWordPressとは異なり、Salesforce CRMと連携した「顧客データドリブンなコンテンツ配信」を実現するために設計されています。

2. Salesforce CMSの主要機能

(1) ヘッドレス型CMSとWYSIWYGエディタ

Salesforce CMSは「ヘッドレスCMS」という仕組みを採用しています。

ヘッドレスCMSとは: コンテンツ管理(バックエンド)と表示(フロントエンド)を分離したアーキテクチャです。コンテンツはAPI経由で複数のチャネル(Webサイト、モバイルアプリ、コマースサイト)に配信されます。

メリット:

  • 1度作成したコンテンツを複数のチャネルで再利用可能
  • フロントエンドの表示形式を柔軟に変更できる
  • モバイルアプリへの配信も容易

WYSIWYGエディタ: HTMLやCSSの知識がなくても、「見たまま編集」でコンテンツを作成できます。ドキュメント、画像、動画、ナレッジ記事など幅広いコンテンツタイプを管理可能です。

ドラフト機能: 公開済みのコンテンツを編集する際、裏側で編集バージョンを作成できます。公開中のコンテンツを停止せずに更新準備ができるため、運用効率が向上します。

(2) CRM連携によるパーソナライズ配信

Salesforce CMSの最大の特徴は、CRMデータとの連携です。

パーソナライゼーション機能:

  • 顧客の属性(業種、契約プラン、購入履歴)に基づいたコンテンツ表示
  • ユーザーのログイン状況に応じたコンテンツ出し分け
  • 顧客セグメント別のターゲティング配信

具体例:

  • プレミアム契約顧客には専用の技術ドキュメントを表示
  • 無料プランユーザーにはアップグレード案内を表示
  • 業種別に関連するナレッジ記事を優先表示

このようなパーソナライズは、Salesforce CRMに蓄積された顧客データがあって初めて実現できるもので、汎用CMSでは難しい機能です。

3. 料金プランと導入要件

(1) 2022年1月からの無料化の概要

Salesforce CMSは、2022年1月に料金体系が大きく変更されました。

以前の料金:

  • 月額10,000ドル/組織

現在の料金:

  • 無料(制限なく利用可能)

この変更により、Salesforce環境を利用している企業であれば、追加費用なしでCMS機能を活用できるようになりました。

(2) Experience Cloudとの関係と前提条件

ただし、「無料」には重要な前提条件があります。

前提条件:

  • Salesforce環境(Sales Cloud、Service Cloud、Experience Cloud等)の契約が必要
  • CMS機能だけを単独で契約することはできない
  • コンテンツを表示するにはExperience CloudサイトやAPIを介したフロントエンドが必要

Experience Cloudの料金:

  • Customer Community:月額2,000円/ログインまたは5,000円/メンバー(目安)
  • Partner Community:月額6,000円/ログインまたは12,000円/メンバー(目安)

※料金は為替レートや契約条件により変動します。最新情報は公式サイトでご確認ください。

つまり、「Salesforce CMSは無料だが、Salesforce環境の契約費用は別途必要」という点を理解しておく必要があります。

4. Salesforce CMSのメリット・デメリット

(1) CRM連携・マルチチャネル配信のメリット

メリット:

1. CRMデータとのシームレスな連携 Salesforce CRM内の顧客データをそのまま活用し、パーソナライズされたコンテンツを配信できます。顧客データとコンテンツの分断がありません。

2. マルチチャネル配信 ヘッドレスCMSのため、1度作成したコンテンツをWebサイト、モバイルアプリ、コマースサイトなど複数のチャネルに配信可能です。

3. コンテンツライフサイクル管理 2024年のアップデートで、スケジュール公開・非公開機能が追加されました。手動公開なしで自動的にコンテンツを管理できます。

4. チームコラボレーション ワークスペースごとに寄稿者、管理者などのロールを設定でき、権限管理が可能です。複数メンバーでの共同編集もスムーズです。

(2) Salesforce環境必須・学習コストのデメリット

デメリット:

1. Salesforce環境が前提 CMS機能だけを単独で利用することはできません。Salesforceを使っていない企業にとっては、導入ハードルが高くなります。

2. 学習コスト Salesforceプラットフォーム全体の理解が必要です。WordPressに比べると、初期の学習コストは高めです。

3. 汎用Webサイトには不向き 顧客ポータル・パートナーポータル向けに設計されているため、一般的なコーポレートサイトやブログにはオーバースペックです。

4. フロントエンド開発が必要 ヘッドレスCMSのため、コンテンツを表示するにはExperience Cloudサイトやカスタムフロントエンドの構築が必要です。

5. WordPress・他CMSとの違いと使い分け

(1) 機能・用途・対象ユーザーの比較

主要なCMSとの比較を整理します。

Salesforce CMS:

  • 用途:顧客ポータル、パートナーサイト、コミュニティ
  • 特徴:CRM連携、パーソナライゼーション、ヘッドレス
  • 料金:無料(Salesforce環境契約が前提)
  • 対象:Salesforce導入済み企業

WordPress:

  • 用途:コーポレートサイト、ブログ、メディア
  • 特徴:オープンソース、豊富なテーマ・プラグイン、低コスト
  • 料金:無料(ホスティング費用は別途)
  • 対象:汎用的なWebサイトを構築したい企業
  • シェア:世界約6割、日本約8割

HubSpot CMS:

  • 用途:インバウンドマーケティング連動サイト
  • 特徴:MA連携、リード獲得に強い、直感的な編集
  • 料金:月額数万円〜
  • 対象:マーケティング重視のB2B企業

比較表:

項目 Salesforce CMS WordPress HubSpot CMS
主な用途 顧客ポータル 汎用Webサイト インバウンドマーケティング
CRM連携 Salesforce連携 プラグインで対応 HubSpot CRM連携
料金 無料(環境契約前提) 無料(ホスティング別) 月額数万円〜
学習コスト 低〜中
カスタマイズ性 高(開発要) 高(プラグイン)

(2) 汎用サイトにはWordPress、ポータルにはSalesforce CMS

使い分けの基準:

Salesforce CMSを選ぶべきケース:

  • 既にSalesforce(Sales Cloud、Service Cloud等)を導入している
  • 顧客ポータル・パートナーポータルを構築したい
  • CRMデータに基づいたパーソナライズ配信が必要
  • セルフサービスサポートサイトを運営したい

WordPressを選ぶべきケース:

  • 汎用的なコーポレートサイトを構築したい
  • ブログやオウンドメディアを運営したい
  • コストを抑えたい
  • Salesforceを使っていない、または使う予定がない

HubSpot CMSを選ぶべきケース:

  • インバウンドマーケティングに注力している
  • HubSpot MAを導入済み、または検討中
  • リード獲得を重視したサイトを構築したい

6. まとめ:導入判断のポイント

Salesforce CMSは、Salesforceプラットフォーム内で顧客データと連携したコンテンツ管理を実現する機能です。ただし、すべての企業に適しているわけではありません。

Salesforce CMSを検討すべき企業:

  • Salesforce環境を既に利用している
  • 顧客ポータル・パートナーサイトを構築したい
  • CRMデータに基づいたパーソナライズが必要
  • マルチチャネル配信(Web・モバイル)を予定している

他のCMSを検討すべき企業:

  • Salesforceを使っていない
  • 汎用的なコーポレートサイトを構築したい
  • コストを最小限に抑えたい
  • 学習コストを抑えて早く立ち上げたい

次のアクション:

  • 自社のSalesforce環境の有無を確認する
  • 構築したいサイトの用途(ポータル or 汎用サイト)を明確にする
  • Salesforce公式ドキュメント(Trailhead)でCMSの概要を学ぶ
  • WordPressやHubSpot CMSとも比較検討する
  • 同業種・同規模企業の導入事例を調査する

※この記事は2025年時点の情報です。Salesforce CMSの機能は頻繁にアップデートされるため、最新情報は公式ドキュメントやリリースノートでご確認ください。

よくある質問:

Q: Salesforce CMSとWordPressの違いは? A: Salesforce CMSはCRM連携・顧客ポータル向け、WordPressは汎用コーポレートサイト・ブログ向けです。Salesforce CMSはCRMデータに基づいたパーソナライズ配信が強みですが、Salesforce環境が必須です。汎用サイトにはWordPressが適しています。

Q: Salesforce CMSは無料で使える? A: 2022年1月から無料化されました。ただし、Salesforce環境(Experience Cloud等)の契約が前提条件です。CMS機能だけを単独で契約することはできません。

Q: Salesforceを使っていなくてもCMSだけ導入できる? A: できません。Salesforce CMSはSalesforce環境内での利用が前提です。CMS単体で導入したい場合は、WordPressやHubSpot CMSなどの汎用CMSをご検討ください。

Q: Salesforce CMSの導入に必要なスキルは? A: Salesforceプラットフォームの基本的な理解が必要です。コンテンツ作成自体はWYSIWYGエディタで行えますが、ワークスペースの設定やExperience Cloudサイトの構築にはSalesforce管理者のスキルが求められます。Trailheadで基礎を学ぶことをおすすめします。

よくある質問

Q1Salesforce CMSとWordPressの違いは?

A1Salesforce CMSはCRM連携・顧客ポータル向け、WordPressは汎用コーポレートサイト・ブログ向けです。Salesforce CMSはCRMデータに基づいたパーソナライズ配信が強みですが、Salesforce環境が必須です。

Q2Salesforce CMSは無料で使える?

A22022年1月から無料化されました。ただしSalesforce環境(Experience Cloud等)の契約が前提条件です。CMS機能だけを単独で契約することはできません。

Q3Salesforceを使っていなくてもCMSだけ導入できる?

A3できません。Salesforce CMSはSalesforce環境内での利用が前提です。CMS単体で導入したい場合は、WordPressやHubSpot CMSなどの汎用CMSをご検討ください。

Q4Salesforce CMSの導入に必要なスキルは?

A4Salesforceプラットフォームの基本的な理解が必要です。コンテンツ作成はWYSIWYGエディタで行えますが、ワークスペース設定やサイト構築にはSalesforce管理者スキルが求められます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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