オウンドサイトとは|定義・役割・構築のポイントと活用方法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/9

オウンドサイト、オウンドメディア、コーポレートサイト...違いが分からない

B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング担当者として、「オウンドサイトを構築したい」「トリプルメディア戦略を強化したい」と考えているものの、「オウンドサイトとオウンドメディアの違いは?」「コーポレートサイト(ホームページ)とどう使い分ければいいのか」と悩んでいませんか。

マーケティング戦略において、オウンド・ペイド・アーンドの3つのメディアを組み合わせる「トリプルメディア戦略」は重要ですが、それぞれの役割や使い分けが曖昧なまま始めると、期待した成果が得られません。特にオウンドサイトは、情報資産を蓄積し、長期的にリード獲得やブランディングに寄与する重要な施策です。

この記事では、オウンドサイトの定義・種類・トリプルメディア戦略での役割・構築のポイント・運用方法を、実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • オウンドサイトは「自社が所有・運営するメディア」の総称(広義)
  • 狭義のオウンドメディアは「顧客に価値を提供するコンテンツサイト」を指す
  • トリプルメディア戦略では、オウンド(情報蓄積)・ペイド(即効認知)・アーンド(信頼獲得)を連携
  • コーポレートサイトは「企業情報発信」、オウンドメディアは「顧客に価値提供」で目的が異なる
  • 成果が出るまで半年〜1年以上かかるため、短期的なROI期待は禁物

1. オウンドサイトとは?定義と種類

まず、オウンドサイトの定義と種類を整理しましょう。

(1) オウンドサイトの定義(自社保有メディア)

オウンドサイト(Owned Site)とは、自社が所有・運営するメディアの総称です。Webサイト、ブログ、SNSアカウント、メルマガなどが含まれます。

広義のオウンドメディアの例:

  • コーポレートサイト(企業公式Webサイト)
  • オウンドメディア(顧客向けコンテンツサイト)
  • ECサイト(自社運営のオンラインショップ)
  • 採用サイト(自社の採用情報サイト)
  • SNSアカウント(Twitter、Facebook、LinkedIn等)
  • メールマガジン

これらはすべて「自社が所有・運営している」という意味で、広義のオウンドメディアです。

(2) 広義のオウンドメディアと狭義のオウンドメディア

ただし、実務では「オウンドメディア」という言葉を狭義で使うことが一般的です。

広義のオウンドメディア:
自社が所有・運営するすべてのメディア(コーポレートサイト、ECサイト、SNS、メルマガ等)

狭義のオウンドメディア:
顧客に価値を提供するコンテンツサイト(ブログ形式の記事メディア、ノウハウ情報サイト等)

この記事では、以降「オウンドメディア」と記載する場合は「狭義のオウンドメディア」を指します。

(3) オウンドサイトの種類(コーポレートサイト、オウンドメディア、ECサイト、採用サイト等)

オウンドサイトの主な種類を整理します。

種類 目的 コンテンツ例
コーポレートサイト 企業情報の発信・信頼構築 会社概要、事業内容、IR情報、採用情報
オウンドメディア 顧客への価値提供・リード獲得・ブランディング ノウハウ記事、事例紹介、業界解説
ECサイト 自社商品の販売 商品一覧、購入機能、決済機能
採用サイト 求職者向け情報発信 社員インタビュー、福利厚生、募集要項
SNSアカウント 顧客とのエンゲージメント 日々の投稿、キャンペーン情報

これらを目的に応じて使い分けることが、トリプルメディア戦略の基本です。

2. トリプルメディア戦略とオウンドサイトの役割

次に、トリプルメディア戦略におけるオウンドサイトの役割を見ていきましょう。

(1) トリプルメディアとは(オウンド・ペイド・アーンド)

トリプルメディアとは、オウンドメディア(Owned Media)、ペイドメディア(Paid Media)、アーンドメディア(Earned Media)の3つのメディアの総称で、マーケティング戦略の核となります。

オウンドメディア(Owned Media):
自社が所有・運営するメディア。Webサイト、ブログ、SNSアカウント、メルマガなど。

ペイドメディア(Paid Media):
広告費を支払って情報を掲載するメディア。Web広告(Google広告、SNS広告等)、テレビCM、雑誌広告など。

アーンドメディア(Earned Media):
第三者が発信するメディア。SNSでのシェア、口コミ、報道、レビューサイトなど。

(2) オウンドメディアの役割と重要性

オウンドメディアの役割は、以下の3つです。

①情報資産の蓄積
オウンドメディアで公開したコンテンツは、自社の資産として蓄積されます。ペイドメディア(広告)は広告費を止めると表示されなくなりますが、オウンドメディアのコンテンツは継続的に流入をもたらします。

②SEO効果による自然流入の獲得
Googleなどの検索エンジンで上位表示されれば、広告費をかけずに継続的な流入が得られます。長期的にはペイドメディアよりもコストパフォーマンスが高くなります。

③顧客との信頼関係構築
顧客にとって価値のある情報を提供することで、「この会社は専門知識がある」「信頼できる」と認識され、ブランディングにつながります。

(3) ペイドメディア・アーンドメディアとの連携

トリプルメディアは、それぞれを単独で運用するのではなく、連携させることで効果を最大化します。

連携例:

  • オウンド→ペイド: オウンドメディアの記事をペイドメディア(SNS広告)で拡散し、認知を拡大
  • オウンド→アーンド: オウンドメディアの記事がSNSでシェアされ、口コミ(アーンド)で広がる
  • ペイド→オウンド: ペイドメディアで認知を獲得し、オウンドメディアに誘導して詳細情報を提供

(4) トリプルメディアのバランス設計

トリプルメディアは、以下のようにバランスを取ります。

立ち上げ期(認知拡大):
ペイドメディア中心で認知を獲得し、オウンドメディアに誘導してリード獲得

成長期(情報蓄積):
オウンドメディアのコンテンツを蓄積し、SEOで自然流入を増やす

成熟期(口コミ拡散):
アーンドメディア(SNSシェア、口コミ)で信頼性を高め、新規顧客を獲得

初期はペイドメディアに依存しますが、中長期的にはオウンドメディアを強化し、コストを抑えつつ流入を維持する戦略が王道です。

3. オウンドメディアとコーポレートサイト(ホームページ)の違い

よく混同される「オウンドメディア」と「コーポレートサイト(ホームページ)」の違いを整理します。

(1) 目的の違い(企業情報の発信vs顧客に価値提供)

コーポレートサイト:
目的は「企業情報の発信」と「信頼構築」。訪問者は既に自社を知っており、会社概要・事業内容・問い合わせ先を確認したい人が中心。

オウンドメディア:
目的は「顧客に価値を提供すること」と「リード獲得・ブランディング」。訪問者は自社を知らない潜在顧客が多く、課題解決のための情報を求めている。

(2) コンテンツの違い(静的vs動的)

コーポレートサイト:
コンテンツは静的(固定的)で、更新頻度は低い。会社概要やIR情報など、頻繁に変更されない情報が中心。

オウンドメディア:
コンテンツは動的(継続的に更新)で、更新頻度は高い。週1回〜月数回のペースで新しい記事を公開し、SEOで流入を増やす。

(3) KPIの違い(認知拡大vsリード獲得)

コーポレートサイト:
KPIは「訪問数」「直帰率」「問い合わせ数」など、信頼性の担保を重視。

オウンドメディア:
KPIは「PV数」「セッション数」「CVR(コンバージョン率)」「リード獲得数」など、集客とリード獲得を重視。

(4) 両者を使い分ける判断基準

コーポレートサイトが適している場合:

  • 既存顧客・取引先に企業情報を提供したい
  • 信頼性を担保し、問い合わせ窓口を明示したい
  • 採用情報・IR情報を公開したい

オウンドメディアが適している場合:

  • 潜在顧客を獲得したい(まだ自社を知らない層)
  • SEOで自然流入を増やしたい
  • ブランディングを強化したい

両者は役割が異なるため、コーポレートサイトとオウンドメディアを別サイトとして運営するのが一般的です。

4. オウンドサイト構築のポイント

オウンドサイト(特にオウンドメディア)を構築する際のポイントを整理します。

(1) 目的設定(ブランディング・リード獲得・採用等)

まず、オウンドメディアの目的を明確にします。

目的例:

  • ブランディング: 業界での認知度向上、専門性のアピール
  • リード獲得: 資料ダウンロード、セミナー申込、問い合わせ獲得
  • 採用: 求職者向けに企業文化・社員インタビューを発信

目的が曖昧だと、コンテンツの方向性がブレ、成果が出にくくなります。

(2) ターゲット設定(ペルソナ設計)

誰に向けて情報を発信するのかを明確にします。

ペルソナ例(B2B SaaS企業の場合):

  • 年齢: 30-40代
  • 役職: マーケティング担当者・営業マネージャー
  • 課題: リード獲得の効率化、営業プロセスの可視化
  • 情報収集手段: Google検索、業界メディア、SNS

ペルソナを設計することで、どんなコンテンツが求められているかが明確になります。

(3) コンテンツ戦略とSEO設計

オウンドメディアの成否は、コンテンツの質とSEO設計にかかっています。

コンテンツ戦略のポイント:

  • 顧客の課題に応える: 「〇〇とは」「〇〇の方法」など、顧客が検索しそうなキーワードで記事を作成
  • E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識: Googleのコアアップデートで重視されている評価基準
  • 質を優先: 低品質な記事を量産するよりも、高品質な記事を継続的に公開する方がSEO評価が高い

SEO設計のポイント:

  • キーワード選定(検索ボリューム・競合度を考慮)
  • タイトル・見出し(H2/H3)にキーワードを含める
  • 内部リンク設計(関連記事への誘導)

(4) 運営体制の構築(内製vs外注)

オウンドメディアの運営は、内製または外注で行います。

内製の場合:

  • メリット: コストを抑えられる、自社のノウハウが蓄積される
  • デメリット: 人的リソースが必要、継続が難しい

外注の場合:

  • メリット: プロのライター・編集者が対応、継続的に運営できる
  • デメリット: 月額10〜50万円程度のコストがかかる

初期は外注で立ち上げ、軌道に乗ったら内製化する企業も多いです。

(5) 初期投資とROI試算

オウンドメディアの初期投資とROIを試算します。

初期投資(内製の場合):

  • CMS導入費: 月額数千円〜数万円(WordPress、HubSpot等)
  • 人件費: 編集者1名(月額30万円〜)

初期投資(外注の場合):

  • 構築費: 50〜300万円(サイト設計・デザイン・CMS導入)
  • 運営費: 月額10〜50万円(記事制作、SEO対策等)

ROI試算:

  • 月間PV: 1万PV(6ヶ月後)
  • CVR: 1%(100件のリード獲得)
  • 成約率: 10%(10件の成約)
  • 平均顧客単価: 50万円(500万円の売上)

ROI(投資対効果)は、6ヶ月〜1年で評価するのが一般的です。

5. オウンドメディア運用と成功事例

オウンドメディアの運用方法と成功事例を見ていきましょう。

(1) コンテンツ制作のポイント(質vs量、E-E-A-T)

オウンドメディアのコンテンツ制作では、「質」を優先します。

質を重視する理由:

  • Googleのコアアップデートで、低品質なコンテンツはSEO評価が下がる
  • E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が重視されている
  • 読者に価値を提供できないコンテンツは離脱率が高く、CVRも低い

推奨ペース:

  • 週1回〜月2回のペースで高品質な記事を公開
  • 1記事あたり2,000〜5,000文字程度

(2) KPI設計(PV、セッション数、CVR等)

オウンドメディアのKPIを設定します。

主要KPI:

  • PV数(ページビュー): 記事が何回閲覧されたか
  • セッション数: サイト訪問回数
  • CVR(コンバージョン率): 訪問者のうち、資料ダウンロードや問い合わせに至った割合
  • リード獲得数: 実際に獲得したリード数
  • 直帰率: 1ページだけ見て離脱した割合

目標設定例(6ヶ月後):

  • 月間PV: 1万PV
  • CVR: 1%
  • リード獲得数: 100件

(3) SNS・UGCとの連携

オウンドメディアとSNS・UGC(ユーザー生成コンテンツ)を連携させると、流入経路が多様化します。

SNS連携の方法:

  • 記事公開後、TwitterやLinkedInで投稿
  • SNS広告(ペイドメディア)で記事を拡散
  • フォロワーに記事をシェアしてもらう(アーンドメディア)

UGC活用の方法:

  • 顧客の成功事例をインタビュー記事として公開
  • レビューや口コミを記事内で引用

(4) 成功事例:BtoB・BtoCの事例紹介

事例1:BtoB SaaS企業A社

  • 課題: 新規リード獲得が頭打ち、広告費が高騰
  • 施策: オウンドメディアを立ち上げ、週1回のペースで業界ノウハウ記事を公開
  • 結果: 6ヶ月で月間PV 2万、リード獲得月間150件、広告費30%削減

事例2:BtoC EC企業B社

  • 課題: 商品の認知度が低く、自然流入が少ない
  • 施策: オウンドメディアで商品活用方法・レシピ記事を公開
  • 結果: 1年で月間PV 10万、EC売上20%向上

(5) よくある失敗パターン

失敗パターン1:短期的なROIを求める
オウンドメディアは成果が出るまで半年〜1年以上かかります。短期的な成果を求めて途中で辞めてしまうと、投資が無駄になります。

失敗パターン2:質より量を優先する
低品質な記事を量産すると、SEO評価が下がり、逆効果になります。質を優先しましょう。

失敗パターン3:運営体制が属人化する
特定の担当者に依存すると、その人が辞めた時に継続できなくなります。複数人で運営する体制を整えましょう。

6. まとめ:オウンドサイト活用の第一歩

オウンドサイト(特にオウンドメディア)は、情報資産を蓄積し、長期的にリード獲得やブランディングに寄与する重要な施策です。

オウンドサイト活用のポイント:

  1. 目的を明確にする(ブランディング・リード獲得・採用等)
  2. ターゲットを設定する(ペルソナ設計)
  3. 質の高いコンテンツを継続的に公開する(週1回〜月2回)
  4. トリプルメディアを連携させる(オウンド・ペイド・アーンド)
  5. 長期的な視点で運営する(成果は半年〜1年以上かかる)

次のアクション:

  • オウンドメディアの目的を明確にする(ブランディング・リード獲得等)
  • ターゲット(ペルソナ)を設計する
  • コンテンツテーマを洗い出す(顧客の課題・検索キーワード等)
  • 運営体制を決める(内製or外注)
  • 初期投資とROIを試算する

オウンドメディアは一朝一夕に成果が出るものではありませんが、継続的に運営することで、広告費に頼らない集客の仕組みを構築できます。まずは「小さく始めて、継続する」姿勢で取り組みましょう。

よくある質問

Q1オウンドメディアとコーポレートサイト(ホームページ)の違いは何か?

A1コーポレートサイトは企業情報の発信(会社概要、事業内容等)と信頼構築が目的です。オウンドメディアは顧客に価値を提供(ノウハウ記事、事例紹介等)し、リード獲得・ブランディングが目的です。コンテンツも前者は静的(更新頻度低)、後者は動的(週1回〜月数回更新)と異なります。

Q2オウンドメディアを始めるために必要な初期投資や体制は?

A2内製の場合はCMS導入費(月額数千円〜)と編集者1名の人件費(月額30万円〜)が目安です。外注の場合は構築費50-300万円と運営費月10-50万円が一般的です。最低6ヶ月〜1年の継続が前提となるため、中長期的な予算確保が必要です。

Q3オウンドメディアで成果が出るまでどのくらいかかるか?

A3一般的に半年〜1年以上かかります。SEO効果が出るまで3-6ヶ月、リード獲得に至るまで6ヶ月〜1年が目安です。短期的なROIを求めると失敗しやすいため、長期的な視点で運営することが重要です。

Q4トリプルメディア(オウンド・ペイド・アーンド)をどう使い分けるべきか?

A4オウンドは情報資産の蓄積(長期的な流入)、ペイドは即効性のある認知拡大(短期的な流入)、アーンドは信頼獲得(口コミ・シェア)を担います。立ち上げ期はペイドで認知→オウンドで蓄積→アーンドで拡散のサイクルが王道です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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