オウンドメディアと自社サイトの違い|役割・構築・運用の実践ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/25

オウンドメディアと自社サイト、何が違うのかわからない...

B2B企業のマーケティング担当者やWeb担当者の多くが、オウンドメディアと自社サイトの違いに悩んでいると言われています。「うちにはコーポレートサイトがあるけど、オウンドメディアも必要なのか」「同じ自社で運営するサイトなのに、なぜ分けて考えるのか」といった疑問は、Web施策を検討する上で一般的なものです。

この記事では、オウンドメディアと自社サイトの違いについて、役割・構築方法・運用のポイントを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • オウンドメディアは「情報発信・ブランディング」が目的、コーポレートサイトは「会社情報の公開」が目的
  • 分離型(独立ドメイン)と統合型(自社ドメイン配下)の2つの運用方法がある
  • 成果が出るまで6ヶ月〜1年かかるため、継続的な運用が必要
  • 初期費用は内製なら10万円以下、外注なら50万円〜300万円が目安
  • 2024年は動画・音声コンテンツ、AI活用、モバイルファーストがトレンド

1. オウンドメディアと自社サイトの混同される理由

オウンドメディアと自社サイトは、しばしば混同されて使われています。まず、この混同が起きる理由を整理します。

(1) オウンドメディアの広義・狭義の定義

オウンドメディア(Owned Media)には、広義と狭義の定義があります。

広義の定義:

  • 企業が自社で保有・運営するメディアの総称
  • Webサイト、ブログ、メルマガ、パンフレット、カタログなどすべてを含む

狭義の定義(マーケティング文脈):

  • 自社運営のブログ型サイト
  • コンテンツマーケティングの手段として運営するメディア
  • 検索流入やリード獲得を目的とした情報発信サイト

オンラインマーケティングでは、狭義の定義(ブログ型サイト)として使われることが多いです。

(2) マーケティング文脈での「オウンドメディア」の意味

マーケティング文脈では、オウンドメディアは「コンテンツマーケティングの手段として運営するブログ型サイト」を指すことが一般的です。

マーケティング文脈での特徴:

  • 検索エンジンからの流入を狙う(SEO)
  • 見込み客に有益な情報を提供する
  • リード獲得・ナーチャリングにつなげる
  • 定期的にコンテンツを更新する

この記事では、マーケティング文脈での「オウンドメディア」(狭義の定義)を中心に解説します。

2. オウンドメディアと自社サイトの定義と違い

オウンドメディアと自社サイト(コーポレートサイト・サービスサイト)の違いを整理します。

(1) コーポレートサイト:会社情報を公開するサイト

コーポレートサイトは、会社の基本情報を公開する目的のサイトです。

コーポレートサイトに掲載される情報:

  • 会社概要(所在地、設立年、資本金、代表者など)
  • 事業内容
  • プレスリリース・ニュース
  • IR情報(投資家向け広報)
  • 採用情報
  • お問い合わせ

特徴:

  • 更新頻度は低い(プレスリリースや採用情報の更新が中心)
  • 主なターゲットは取引先、投資家、採用候補者
  • 信頼性・公式情報の提供が目的

(2) サービスサイト:商品・サービスを紹介するサイト

サービスサイトは、自社の商品やサービスを紹介・販売するサイトです。

サービスサイトに掲載される情報:

  • 商品・サービスの特徴
  • 料金プラン
  • 導入事例・お客様の声
  • 資料請求・お問い合わせフォーム
  • 比較表・競合との違い

特徴:

  • 購入・契約を促す(コンバージョン重視)
  • 主なターゲットは見込み客
  • 製品・サービスの魅力を伝えることが目的

(3) オウンドメディア:情報発信・ブランディングを行うサイト

オウンドメディアは、情報発信・ブランディングを行うブログ型サイトです。

オウンドメディアに掲載される情報:

  • 業界のノウハウ・知識
  • 課題解決のためのハウツー記事
  • トレンド情報・市場動向
  • インタビュー記事
  • 事例紹介

特徴:

  • 更新頻度が高い(週1〜数回の記事公開)
  • 主なターゲットは潜在顧客・見込み客
  • 認知獲得・リード育成が目的
  • 検索エンジンからの流入(SEO)を重視

(4) 3つの主な違い:目的・ターゲット・更新頻度

3つのサイトの違いを表にまとめると以下の通りです:

比較項目 コーポレートサイト サービスサイト オウンドメディア
目的 会社情報の公開・信頼性確保 商品・サービスの販売 認知獲得・リード育成
ターゲット 取引先、投資家、採用候補者 見込み客 潜在顧客・見込み客
更新頻度 低(月1回程度) 中(随時) 高(週1〜数回)
コンテンツ 会社概要、IR、採用 製品情報、料金、導入事例 ノウハウ、ハウツー、トレンド

3. それぞれの役割と目的

コーポレートサイトとオウンドメディアの役割を、カスタマージャーニーの観点から整理します。

(1) コーポレートサイトの役割:信頼性の確保

コーポレートサイトは、カスタマージャーニーの「検討」〜「購入」段階で重要な役割を果たします。

コーポレートサイトが担う役割:

  • 会社の実在性・信頼性の確認
  • 取引先としての適格性の判断材料
  • 問い合わせ・商談につなげる窓口

見込み客は、製品・サービスに興味を持った後、「この会社は信頼できるのか」を確認するためにコーポレートサイトを訪問します。

(2) オウンドメディアの役割:認知獲得・リード育成

オウンドメディアは、カスタマージャーニーの「認知」〜「興味」段階で重要な役割を果たします。

オウンドメディアが担う役割:

  • 潜在顧客との最初の接点(認知獲得)
  • 課題解決に役立つ情報の提供(興味喚起)
  • 継続的な接点維持(リード育成・ナーチャリング)

検索エンジンやSNSからオウンドメディアに流入した潜在顧客に、有益な情報を提供することで、将来の見込み客を育てます。

(3) カスタマージャーニーにおける位置付け

カスタマージャーニーにおける各サイトの位置付けは以下の通りです:

  1. 認知: オウンドメディアで課題に気づく
  2. 興味: オウンドメディアで解決策を学ぶ
  3. 検討: サービスサイトで製品を比較する
  4. 信頼確認: コーポレートサイトで会社を調べる
  5. 購入: サービスサイトで問い合わせ・契約

3つのサイトは競合するものではなく、カスタマージャーニーの各段階で補完し合う関係にあります。

4. 分離型と統合型の使い分け

オウンドメディアを運営する際、独立ドメインで運営する「分離型」と、自社ドメイン配下で運営する「統合型」の2つの方法があります。

(1) 分離型(独立ドメイン):ブランディング重視

分離型は、コーポレートサイトとは別のドメインでオウンドメディアを運営する方法です。

分離型の特徴:

  • 独立したブランドイメージを構築しやすい
  • 企業の露骨なサービス訴求を避けられる
  • メディアとしての信頼性を高めやすい

分離型が向いているケース:

  • 業界全体の情報発信を行いたい
  • 企業ブランドと別のメディアブランドを育てたい
  • 競合他社も含めた公平な情報を発信したい

(2) 統合型(自社ドメイン配下):SEO効果・導線設計重視

統合型は、コーポレートサイトと同じドメイン(またはサブドメイン)でオウンドメディアを運営する方法です。

統合型の特徴:

  • コーポレートサイトのドメインパワーを活かせる
  • サービスへの導線設計がしやすい
  • 運用・管理が一元化できる

統合型が向いているケース:

  • SEO効果を最大化したい
  • サービスへの誘導を重視したい
  • 運用リソースが限られている

(3) BtoB企業での選択パターン

BtoB企業では、統合型を選択するケースも多いと言われています。

BtoB企業での選択の傾向:

  • 中小企業: 統合型(リソース・予算の制約)
  • 大企業: 分離型または統合型(目的による)
  • スタートアップ: 統合型(初期はスピード重視)

分離型か統合型かは、企業規模・業種・リソースによって適切な選択が異なります。自社の状況を見極めて判断してください。

5. オウンドメディアの構築方法

実際にオウンドメディアを構築する方法を解説します。

(1) 立ち上げの9ステップ:目的設定→ペルソナ→CMS選定→運用

オウンドメディアの立ち上げは、以下の9ステップで進めることが一般的です:

  1. 目的設定: 何を達成したいのか(リード獲得、ブランディング、採用など)
  2. ペルソナ定義: ターゲット読者を具体的に人物像化
  3. コンテンツ設計: どんなテーマ・キーワードで記事を書くか
  4. CMS選定: WordPressなどのシステム選び
  5. デザイン・構築: サイトのデザインと開発
  6. 初期コンテンツ制作: 公開時に必要な記事の準備
  7. 公開: サイトのローンチ
  8. 運用: 継続的なコンテンツ制作と改善
  9. KPI測定・改善: 効果測定と施策の改善

(2) CMS選定のポイント:WordPress、Movable Type、Drupal等

CMS(コンテンツ管理システム)の選定は、運用効率に大きく影響します。

主なCMSの特徴:

CMS 特徴 向いているケース
WordPress 最も普及、プラグイン豊富、初期費用が抑えられる 中小企業、予算が限られる場合
Movable Type 国内開発、セキュリティ重視 大企業、セキュリティ要件が厳しい場合
Drupal 高いカスタマイズ性、大規模サイト向け 大規模オウンドメディア

WordPressが最も一般的で、多くのオウンドメディアで採用されています。

(3) 初期費用と運用費用の相場

オウンドメディアの費用相場は以下の通りです:

初期費用:

  • 内製(WordPress利用): 10万円以下(ドメイン、サーバー、テーマ)
  • 外注(デザイン・構築込み): 50万円〜300万円

運用費用(月額):

  • 内製: 人件費のみ
  • 外注(コンテンツ制作含む): 10万円〜50万円

規模や品質によって大きく変動するため、複数の業者から見積もりを取ることを推奨します。

(4) 内製vs外注の判断基準

内製と外注の使い分けは、以下の基準で判断することが一般的です:

内製が向いているケース:

  • 予算が限られている
  • 社内にWebやライティングのスキルがある
  • 自社の業界・顧客を深く理解している

外注が向いているケース:

  • 月額30万円以上の予算がある
  • 専任担当者を確保できない
  • 品質と納期の安定を重視する

ハイブリッドアプローチ:

  • 戦略設計・KPI設定: 内製(自社の顧客理解が必要)
  • コンテンツ制作: 外注(効率的に量産)

成功の鍵は、内製であれ外注であれ、継続的に運用できる体制を整えることです。成果が出るまで6ヶ月〜1年かかるため、短期的な効果を期待しすぎないことも重要です。

6. まとめ:目的に応じた最適な選択

オウンドメディアと自社サイト(コーポレートサイト・サービスサイト)は、それぞれ異なる役割を持ち、カスタマージャーニーの各段階で補完し合います。

各サイトの役割:

  • コーポレートサイト: 信頼性の確保、会社情報の公開
  • サービスサイト: 商品・サービスの販売
  • オウンドメディア: 認知獲得、リード育成

オウンドメディア運営のポイント:

  • 分離型か統合型かは、目的・規模・リソースで判断
  • 成果が出るまで6ヶ月〜1年かかるため、継続的な運用が必要
  • 2024年は動画・音声コンテンツ、AI活用、モバイルファーストがトレンド

選定時の注意点:

  • オウンドメディアは立ち上げただけでは成果が出ない
  • コンテンツ過多により差別化が難化しており、質の高いコンテンツが重要
  • 分離型か統合型かは一概にどちらが良いとは言えない

次のアクション:

  • 自社のマーケティング課題と目的を整理する
  • コーポレートサイト・サービスサイトの現状を確認する
  • オウンドメディアの必要性と運用体制を検討する
  • 内製・外注のどちらが適切か判断する

目的に応じてオウンドメディアと自社サイトを適切に使い分け、効果的なWebマーケティングを実現しましょう。

よくある質問

Q1オウンドメディアはコーポレートサイトと分離すべきですか?それとも統合すべきですか?

A1分離型(独立ドメイン)はブランディング重視や業界メディアを目指す場合に適しています。統合型(自社ドメイン配下)はSEO効果とサービスへの導線設計を重視する場合に適しています。BtoB企業では統合型も多く、予算が限られる中小企業は統合型、ブランディング重視の大企業は分離型を選ぶケースが一般的です。自社の目的・規模・リソースで判断してください。

Q2オウンドメディアの立ち上げにどれくらいの費用がかかりますか?

A2初期費用は、内製(WordPress利用)なら10万円以下、外注(デザイン・構築込み)なら50万円〜300万円が目安です。運用費用は、内製なら人件費のみ、外注(コンテンツ制作含む)なら月額10万円〜50万円程度です。規模や品質によって変動するため、複数の業者から見積もりを取ることを推奨します。

Q3オウンドメディアは内製すべきですか?外注すべきですか?

A3戦略設計・KPI設定は自社の顧客理解が必要なため内製が推奨されます。コンテンツ制作は外注が効率的な場合が多いです。月額30万円以上の予算があれば外注、予算が限られる場合は戦略設計のみ外注コンサル(月額10万円〜)でアドバイスを受けながら内製するのがバランス良いです。成功の鍵は、継続的に運用できる体制を整えることです。

Q4オウンドメディアで成果が出るまでどれくらいかかりますか?

A4一般的に6ヶ月〜1年程度かかると言われています。検索エンジンからの流入が安定するまでには時間がかかるため、短期的な効果を期待すると失敗しやすいです。継続的にコンテンツを制作・改善し、KPIを測定しながら運用することが重要です。立ち上げただけでは成果は出ません。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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