オウンドメディアを立ち上げたいけれど、コーポレートサイトとどう使い分ければいいか分からない
BtoB企業のマーケティング担当者の多くが、「オウンドメディアを始めたいけれど、コーポレートサイトとの違いが分からない」「別ドメインで立ち上げるべきか、コーポレートサイト内にブログを設置すべきか」と悩んでいます。
この記事では、オウンドメディアとコーポレートサイトの違い、それぞれの役割、使い分けのパターン、運用のポイント、2024年のトレンドまで解説します。
この記事のポイント:
- オウンドメディアとコーポレートサイトは「ターゲット」「コンテンツ」「運用目的」が異なる
- コーポレートサイトは「企業情報・信頼性」、オウンドメディアは「集客・ナーチャリング」が目的
- SEO効果を重視するならコーポレートサイト内にブログを設置(ドメイン継承)
- オウンドメディアは成果が出るまで1年以上かかることが多く、継続的な運用体制が必須
- 2024年はCookieless対応とファーストパーティデータ蓄積のためオウンドメディアの重要性が増加
オウンドメディアとコーポレートサイトの違い
まず、両者の基本的な違いを理解しましょう。
(1) ターゲットの違い
オウンドメディアとコーポレートサイトでは、想定するターゲット(読者)が異なります。
コーポレートサイトのターゲット:
- すでに自社を知っている見込み顧客
- 取引先・投資家・求職者
- 自社名で検索する人
オウンドメディアのターゲット:
- まだ自社を知らない潜在顧客
- 業界の課題・ノウハウを検索している人
- 自社の商品・サービスに関連するキーワードで検索する人
ポイント:
- コーポレートサイトは「指名検索」(企業名での検索)
- オウンドメディアは「一般検索」(業界キーワードでの検索)
オウンドメディアは、自社をまだ知らない潜在顧客との最初の接点を作る役割を担います。
(2) コンテンツの違い
掲載するコンテンツの種類も大きく異なります。
コーポレートサイトのコンテンツ:
- 会社概要(企業理念・沿革・代表メッセージ)
- 事業内容・製品・サービス紹介
- IR情報(上場企業の場合)
- 採用情報
- プレスリリース
- お問い合わせフォーム
オウンドメディアのコンテンツ:
- 業界ノウハウ・ハウツー記事
- 課題解決のためのTips
- 導入事例・インタビュー
- 業界トレンド・最新情報
- ホワイトペーパー・eBook
ポイント:
- コーポレートサイトは「企業の公式情報」を掲載
- オウンドメディアは「読者にとって価値ある情報」を提供
(3) 運用目的の違い
それぞれの運用目的も異なります。
コーポレートサイトの目的:
- 企業の信頼性・透明性の担保
- 既存顧客・取引先への情報提供
- 採用活動の支援
- お問い合わせ獲得
オウンドメディアの目的:
- 新規見込み客の獲得(リードジェネレーション)
- 見込み客の育成(リードナーチャリング)
- SEOによる検索流入の増加
- ブランド認知の拡大
ポイント:
- コーポレートサイトは「会社の顔」
- オウンドメディアは「集客・育成の拠点」
それぞれの役割と目的
それぞれが担う役割を詳しく見ていきましょう。
(1) コーポレートサイトの役割(企業情報・信頼性)
コーポレートサイトは、企業の公式情報を発信し、信頼性を担保する役割を担います。
主な役割:
- 企業の基本情報を正確に伝える
- 取引先・投資家に透明性を示す
- 求職者に企業文化・働き方を伝える
- 既存顧客に最新情報を提供
重要なポイント:
- 情報の正確性・最新性が重要
- デザイン・ユーザー体験(UX)が企業イメージを左右
- 更新頻度は低くても問題ない(月1回程度でも可)
(2) オウンドメディアの役割(集客・ナーチャリング)
オウンドメディアは、潜在顧客との接点を作り、育成する役割を担います。
主な役割:
- 検索流入を増やし、新規見込み客を獲得
- 読者に価値ある情報を提供し、信頼関係を構築
- 定期的な接触で購買意欲を高める(ナーチャリング)
- ブランド認知の拡大
重要なポイント:
- コンテンツの質と継続性が成果を左右
- 更新頻度が高い方が効果的(週1回〜月4回程度)
- 成果が出るまで1年以上かかることが多い
(3) トリプルメディア戦略における位置づけ
オウンドメディアは、「トリプルメディア戦略」の中核を担います。
トリプルメディア:
- ペイドメディア(広告): 広告費を支払って露出を得る(リスティング広告、SNS広告等)
- アーンドメディア(第三者評価): 口コミ・SNSシェア・メディア掲載など獲得型のメディア
- オウンドメディア(自社所有): 自社が所有・運用するメディア
連携のメリット:
- ペイドメディアでオウンドメディアへ集客
- オウンドメディアのコンテンツをSNSで拡散(アーンドメディア)
- 3つを組み合わせることで相乗効果を発揮
オウンドメディアを中心に据えることで、長期的な資産として蓄積できます。
使い分けのパターンと構築方法
オウンドメディアの構築方法には、大きく2つのパターンがあります。
(1) パターン1:コーポレートサイト内にブログを設置
コーポレートサイトのサブディレクトリに、ブログ機能を設置するパターンです。
例:
https://example.com/(コーポレートサイトのトップ)https://example.com/blog/(ブログ)
メリット:
- コーポレートサイトのドメインを継承できる(SEO効果)
- ブログ記事の評価がサイト全体の流入増加につながる
- 管理が一元化でき、運用コストが低い
- 初期費用を抑えられる
デメリット:
- コーポレートサイトと同じデザイン・トンマナになりやすい
- ブログが目立たない可能性
向いているケース:
- SEO効果を最大化したい
- リソース・予算が限られている
- 立ち上げ初期でまず試してみたい
(2) パターン2:別ドメインでオウンドメディアを運営
独立したドメインでオウンドメディアを立ち上げるパターンです。
例:
https://example.com/(コーポレートサイト)https://media.example.com/またはhttps://example-media.com/(オウンドメディア)
メリット:
- 独自のブランディングができる
- デザイン・トンマナを自由に設定できる
- コーポレートサイトと切り分けて運営しやすい
デメリット:
- 新規ドメインは検索順位が上がるまで時間がかかる(6ヶ月〜1年以上)
- 初期費用・運用コストが高い
- 管理する媒体が増える
向いているケース:
- 独自ブランドを確立したい
- コーポレートサイトとターゲットが大きく異なる
- リソースに余裕がある
(3) SEO観点での比較(ドメイン継承 vs 独立運用)
SEOの観点から、どちらが有利かを比較します。
サブディレクトリ運用(コーポレートサイト内):
- ✅ ドメインのSEO評価を継承できる
- ✅ ブログ記事の評価がサイト全体の順位向上につながる
- ✅ 立ち上げ初期から一定の検索流入が見込める
別ドメイン運用:
- ❌ 新規ドメインはSEO評価がゼロからスタート
- ❌ 検索流入が安定するまで6ヶ月〜1年以上かかる
- ✅ 独自ブランドとして被リンクを獲得しやすい(長期的には有利な場合も)
結論:
- SEO効果を重視するならサブディレクトリ運用が推奨
- 新規ドメインは長期戦を覚悟する必要がある
(4) リソース制約下での優先順位判断
リソースが限られている場合の優先順位を解説します。
優先順位:
第1優先: コーポレートサイト内にブログを設置
- 理由: 初期費用が低く、SEO効果が早く出る
- 目安: 月4記事(週1回)程度を継続
第2優先: ブログが軌道に乗ったら独立検討
- 理由: ブログのアクセスが安定してから判断できる
- 目安: 月間1万PV以上、リード獲得が月10件以上
第3優先: 別ドメインでの独立運用
- 理由: リソースに余裕があり、独自ブランドを確立したい場合
ポイント:
- 「まず小さく始める」のが成功の鍵
- 成果が出てから拡大する方がリスクが低い
BtoB企業におけるオウンドメディア運用のポイント
オウンドメディアを成功させるための運用ポイントを解説します。
(1) 運用体制と運用方針の事前決定
運用体制を決めておかないと、更新が滞りメディアとして機能しなくなります。
決めるべき項目:
- 運用責任者: 誰が最終判断をするか
- 執筆体制: 社内で執筆 or 外部ライター活用
- 編集・校正体制: 誰が品質をチェックするか
- 更新頻度: 週1回 or 月4回 or 隔週1回
リソース目安:
- 専任担当者: 0.5〜1名
- 記事制作外注: 1本5万〜10万円
- 月4本で月額20〜40万円程度
注意点:
- 運用停止企業の84.7%が2年未満で停止
- 継続的な運用体制の構築が最重要
(2) ターゲットと目的の明確化
「誰をターゲットに、何を伝えるか」を明確にしないと、方向性がぶれます。
明確にすべき項目:
- ターゲット読者: 職種・業界・課題
- 提供価値: 読者にどんな価値を提供するか
- 成果指標: リード獲得数・PV・商談数等
例:
- ターゲット: BtoB企業のマーケティング担当者
- 提供価値: マーケティング施策の具体的なノウハウ
- 成果指標: 月間リード獲得10件、月間PV1万
(3) SNSとの連携戦略
SNSは拡散力が強いため、オウンドメディアへの誘導動線として活用します。
連携方法:
- ブログ記事をSNSでシェア(X、LinkedIn、Facebook等)
- SNSでトレンドをつかみ、オウンドメディアで詳しく解説
- SNSフォロワーをメルマガ登録に誘導し、オウンドメディアへ誘導
ポイント:
- SNSは「入口」、オウンドメディアは「本丸」
- 複数チャネルで配信することでリーチを拡大
(4) 成果が出るまでの期間(1年以上)
オウンドメディアは成果が出るまでに時間がかかります。
期間の目安:
- 3ヶ月: 記事数10-15本、月間PV数百〜1,000程度
- 6ヶ月: 記事数25-30本、月間PV数千〜5,000程度
- 1年: 記事数50-60本、月間PV1万〜3万程度
注意点:
- 検索流入を主軸にする場合は1年以上必要なことも
- 短期的な成果を求めすぎない
- 長期的な視点で継続することが重要
(5) 運用継続のためのリソース確保
継続的な運用には、リソースとコストの確保が必須です。
年間コスト目安:
- 記事制作外注: 月4本 × 12ヶ月 × 5万円 = 240万円
- 専任担当者(0.5名): 人件費300万円(年)
- ツール・システム費用: 年間20-50万円
- 合計: 560-590万円程度
ポイント:
- 予算確保とROI(投資対効果)の見通しを立てる
- 成果が出るまで継続できる体制を構築
成功事例と2024年のトレンド
2024年のトレンドと成功事例を紹介します。
(1) BtoB企業の成功事例
BtoB企業のオウンドメディア成功事例を紹介します。
成功事例の特徴:
- ターゲット読者を明確に定義
- 専門性の高いコンテンツを継続的に発信
- SEOとSNSを組み合わせた集客
- リード獲得から商談化までのフローを設計
共通する成功ポイント:
- 継続的な運用体制(専任担当者配置)
- 質の高いコンテンツ(専門家監修・実体験)
- 複数チャネルでの配信(SEO + SNS + メルマガ)
(2) 2024年トレンド:Cookieless対応とファーストパーティデータ
2024年は、Cookieless時代への対応としてオウンドメディアの重要性が増しています。
背景:
- サードパーティCookieが段階的に廃止
- 広告のターゲティング精度が低下
- ファーストパーティデータ(自社が直接取得したデータ)の重要性が増す
オウンドメディアの役割:
- 自社サイトで直接データを蓄積(会員登録、メルマガ登録等)
- サードパーティデータに依存しない集客基盤を構築
(3) AI検索・ゼロクリック検索への対応
検索トラフィックはAI検索やゼロクリック検索の影響で減少傾向にあります。
ゼロクリック検索:
- Googleの検索結果ページで答えが表示され、クリック不要で解決
- 検索流入が減少する可能性
対応策:
- SEOだけに依存せず、SNS・メルマガ・ウェビナー等の複数チャネルで配信
- 深い専門性や独自データを提供し、検索結果では得られない価値を提供
(4) 複数チャネル配信の必要性
2024年以降は、複数チャネルでの配信が必須になります。
推奨チャネル:
- SEO: 検索流入の基盤
- SNS: X、LinkedIn、Facebookでの拡散
- メルマガ: 定期的な接触で関係構築
- ウェビナー: 深い情報提供でリード獲得
ポイント:
- オウンドメディアを「ハブ」として、複数チャネルから集客
- 各チャネルの特性を活かした配信
まとめ:最適な構成の判断基準
オウンドメディアとコーポレートサイトの使い分けをまとめます。
判断基準:
コーポレートサイト内にブログを設置すべきケース:
- ✅ SEO効果を最大化したい
- ✅ リソース・予算が限られている
- ✅ まず小さく始めて成果を確認したい
別ドメインでオウンドメディアを立ち上げるべきケース:
- ✅ 独自ブランドを確立したい
- ✅ コーポレートサイトとターゲットが大きく異なる
- ✅ リソースに余裕があり、長期的に投資できる
成功のチェックリスト:
- ターゲット読者を明確に定義したか?
- 運用体制と運用方針を決めたか?
- 継続的な運用リソースを確保したか?
- 成果指標(KPI)を設定したか?
- 1年以上継続する覚悟があるか?
次のアクション:
- 自社の営業・マーケティング課題を整理する
- オウンドメディアの目的と成果指標を設定する
- まずはコーポレートサイト内のブログから開始する
- 月4記事を目標に、継続的な運用体制を構築する
オウンドメディアは、長期的な資産として蓄積される強力なマーケティング手法です。まずは小さく始めて、成果を確認しながら拡大していきましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。市場トレンドや技術仕様は変化する可能性があるため、最新情報もご確認ください。
