オウンドメディアの型と分類【目的別の種類・成功事例・選び方】

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/8

オウンドメディアを始めたいけれど、どのタイプを選べばいいか分からない...

「オウンドメディアを立ち上げたいが、どのような型・種類があるのか分からない」「自社に適した型はどれか」「目的によって選び方は変わるのか」といった疑問を持つマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。

この記事では、オウンドメディアの型・分類の基礎知識から、目的別の種類と特徴、BtoB企業の成功事例、自社に適した型の選び方まで、体系的に解説します。

この記事のポイント:

  • オウンドメディアは「公式サイト型」と「独立型」に大きく分類される
  • 目的別に「ブランディング型」「リード獲得型」「採用型」「顧客支援型」などがある
  • 1つのメディアで複数の目的を持たせることも可能だが、主目的を明確にすることが重要
  • 成果が出るまで数ヶ月〜数年を要する長期投資として捉える必要がある
  • 運用体制の整備と責任者の明確化が継続成功のカギ

オウンドメディアの型が注目される背景

オウンドメディアへの注目が高まっている背景には、広告依存からの脱却と長期的な資産形成への関心があります。

広告費高騰への対応:

Web広告のクリック単価は年々上昇傾向にあり、広告だけに依存したマーケティングはコスト面で持続が難しくなっています。オウンドメディアは一度作成したコンテンツが検索エンジン経由で継続的に集客するため、長期的にはコスト効率が良いとされています。

顧客との関係構築:

BtoB企業では、購入までの検討期間が長く、複数の意思決定者が関与します。オウンドメディアを通じて有益な情報を提供し続けることで、見込み客との接点を維持し、信頼関係を構築できます。

採用市場での活用:

企業の理念や文化を発信するオウンドメディアは、採用活動においても効果を発揮します。求職者が企業理解を深めるための情報源として活用され、ミスマッチの防止にもつながります。

2024年のトレンド:

2024年は、動画・音声コンテンツの導入(リッチメディア化)が加速しています。また、AIを活用したコンテンツ制作の効率化も進んでおり、AIライティングと動画の組み合わせでコンバージョン率が1.8倍になった事例も報告されています。一方で、Googleコアアップデートへの対応やGA4移行など、運用体制の見直しを迫られる変化も起きています。

オウンドメディアの型・分類の基礎知識

オウンドメディアを理解するための基本的な分類を解説します。

(1) 公式サイト型と独立型の違い

公式サイト型:

自社コーポレートサイト内にブログやコラムを設置して運営する形態です。

  • メリット: 既存サイトのドメインパワーを活用できる、SEO効果が出やすい、サービスページへの誘導がスムーズ
  • デメリット: コーポレートサイトのトーンに縛られやすい、自由度が低い場合がある
  • 向いているケース: サービス訴求を主目的とする場合、SEO強化を重視する場合

独立型:

公式サイトとは別のドメインでオウンドメディア専用サイトを運営する形態です。

  • メリット: メディア独自の世界観を表現できる、ブランディングに適している、柔軟なコンテンツ展開が可能
  • デメリット: ドメインパワーをゼロから構築する必要がある、SEO効果が出るまで時間がかかる
  • 向いているケース: ブランディングを重視する場合、メディア独自の個性を出したい場合

(2) トリプルメディアにおけるオウンドメディアの位置づけ

企業のマーケティング活動は「トリプルメディア」という3つのメディアで構成されると言われています。

オウンドメディア(Owned Media):

企業が自ら所有・管理し、消費者に向けて発信するメディアです。コーポレートサイト、ブログ、メールマガジン、SNS公式アカウントなどが含まれます。

ペイドメディア(Paid Media):

費用を払って情報を掲載する広告メディアです。Web広告、テレビCM、新聞広告などが該当します。即効性があるが、継続的なコストがかかります。

アーンドメディア(Earned Media):

SNSでの口コミや報道など、第三者が発信するメディアです。企業がコントロールできないが、信頼性が高いとされています。

オウンドメディアは、自社でコントロールできる情報発信基盤として、他の2つのメディアと連携して活用するのが効果的です。

目的別オウンドメディアの種類と特徴

オウンドメディアを目的別に分類し、それぞれの特徴を解説します。

(1) ブランディング型・リード獲得型・採用型

ブランディング型:

企業のストーリーや価値観を発信し、ブランドイメージを構築することを目的としたオウンドメディアです。

  • コンテンツ例: 企業理念、創業ストーリー、社長インタビュー、業界への見解
  • KPI例: 認知度調査、ブランドリフト、SNSでの言及数
  • 特徴: 直接的な売上貢献は測りにくいが、長期的な信頼構築に寄与

リード獲得型:

SEOを重視したノウハウ記事を公開し、見込み客を獲得することを目的としたオウンドメディアです。BtoB企業で最も一般的なタイプです。

  • コンテンツ例: ノウハウ記事、ハウツー、業界動向、ホワイトペーパー
  • KPI例: PV数、資料ダウンロード数、問い合わせ数、リード数
  • 特徴: 検索経由での流入を狙うため、SEO対策が重要

採用型:

社員インタビューや企業文化を発信し、採用活動を支援することを目的としたオウンドメディアです。

  • コンテンツ例: 社員インタビュー、職種紹介、社内イベントレポート、福利厚生紹介
  • KPI例: 応募数、採用単価、内定承諾率、ミスマッチ率
  • 特徴: 求職者が企業を理解するための情報源として機能

(2) 顧客支援型と複合型の活用

顧客支援型:

既存顧客向けにFAQ、活用事例、使い方ガイドなどを提供するオウンドメディアです。

  • コンテンツ例: FAQ、活用事例、チュートリアル、ユーザーコミュニティ情報
  • KPI例: サポート問い合わせ削減率、顧客満足度、解約率
  • 特徴: カスタマーサクセスの一環として運用、既存顧客の定着に寄与

複合型:

1つのメディアで複数の目的を持たせるタイプです。例えば、リード獲得をメインに、採用コンテンツも掲載するケースがあります。

  • メリット: 1つのメディアで複数の課題に対応できる、運用リソースを集約できる
  • 注意点: 目的が曖昧になると継続が難しくなるため、主目的を明確にした上で副次的な目的を持たせることが重要

成功事例に学ぶオウンドメディアの活用法

BtoB企業のオウンドメディア成功事例から、活用のポイントを学びます。

(1) BtoB企業の成功パターン

パターン1: SEO特化型(リード獲得重視)

業界のノウハウや課題解決記事を大量に公開し、検索エンジン経由での流入を獲得。記事内でホワイトペーパーや資料ダウンロードを訴求し、リード獲得につなげるパターンです。

成功のポイント:

  • 検索ボリュームのあるキーワードを狙った記事企画
  • 記事から資料ダウンロードへの導線設計
  • 継続的な記事公開と更新

パターン2: ブランドメディア型

業界の専門メディアとしてのポジションを確立し、ブランド認知と信頼構築を図るパターンです。直接的なリード獲得よりも、長期的な認知形成を重視します。

成功のポイント:

  • 独自の視点や深い専門性を持ったコンテンツ
  • SNSやメルマガとの連携による拡散
  • 業界内での認知度向上

パターン3: 採用ブランディング型

社員インタビューや働き方に関するコンテンツを発信し、採用活動を支援するパターンです。求職者の企業理解を深め、応募の質を向上させます。

成功のポイント:

  • 現場社員のリアルな声を伝えるコンテンツ
  • 求職者の知りたい情報への対応(待遇、成長機会、カルチャー)
  • 採用サイトとの連携

(2) 長期運用を実現した企業の共通点

ある調査によると、BtoB企業でオウンドメディアを過去に運営していた企業の84.7%が2年未満で停止しているとされています。長期運用を実現している企業には、以下の共通点があります。

目的とKPIの明確化:

「なぜオウンドメディアを運営するのか」「何をもって成功とするのか」が明確になっている。目的が曖昧なまま始めると、途中で意味を見失い運用停止になりやすいです。

経営層のコミットメント:

責任者が事業責任者や経営者であり、社内での優先度が高い。社内理解がないと、他業務が優先されて更新が停止するリスクがあります。

運用体制の整備:

「書く人」「テーマ」「スケジュール」「全体管理者」が明確になっている。属人化を避け、担当者が異動しても継続できる体制を構築しています。

複数チャネルとの連携:

単一のオウンドメディアだけでなく、メルマガ、ホワイトペーパー、ウェビナー、SNSなど複数チャネルと組み合わせて相乗効果を生み出しています。

自社に適した型の選び方と運用のポイント

自社に適したオウンドメディアの型を選定するための基準と、運用を継続するコツを解説します。

(1) 目的・リソース・KPIに応じた選定基準

目的別の選定:

目的 おすすめの型 サイト形態
短期でのリード獲得 リード獲得型 公式サイト型
長期でのブランド構築 ブランディング型 独立型
採用力強化 採用型 独立型または公式サイト内
既存顧客の定着 顧客支援型 公式サイト型

リソースに応じた判断:

  • 専任担当者を置ける場合: 独立型で本格的なメディア運営
  • 兼任で運営する場合: 公式サイト型で最小限の負荷から開始
  • 外部パートナーを活用する場合: 記事制作は外注、戦略・編集は内製

KPI設定のポイント:

型によって追うべきKPIが異なります。リード獲得型なら資料ダウンロード数や問い合わせ数、ブランディング型なら認知度やSNS言及数、採用型なら応募数や採用単価など、目的に合致したKPIを設定しましょう。

(2) 運用体制と継続のコツ

運用体制の整備:

  • 全体責任者: 事業責任者または経営層が望ましい
  • 編集担当: コンテンツ企画・品質管理を担当
  • ライター: 社内または外部パートナー
  • 運用担当: 公開作業、数値管理、改善施策を担当

継続のコツ:

  1. 更新頻度を無理なく設定: 週1本でも継続することが重要
  2. 成果の可視化: 月次でKPIをレビューし、成果を社内共有
  3. 小さな成功体験: 検索上位表示や問い合わせ獲得など、成果を早めに出して社内の理解を得る
  4. PDCAサイクル: 成果が出るコンテンツと出ないコンテンツを分析し、改善を続ける

注意点:

成果が出るまでに数ヶ月〜数年かかるため、広告のような即効性を期待すると失敗します。長期投資として捉え、継続的な運用体制を構築することが成功のカギです。

まとめ:オウンドメディアの型選定で押さえるべきこと

オウンドメディアの型選定は、自社の目的・リソース・KPIに基づいて行うことが重要です。目的が曖昧なまま始めると、継続が難しくなります。

型選定のチェックリスト:

  • オウンドメディアの目的は明確か(リード獲得、ブランディング、採用、顧客支援)
  • 公式サイト型と独立型、どちらが自社に適しているか
  • 運用体制(責任者、編集者、ライター)は整備できるか
  • KPIは目的に合致しているか
  • 長期投資として継続できるリソースはあるか

次のアクション:

  • 自社のオウンドメディアの目的を明文化する
  • 目的に合った型・サイト形態を選定する
  • 運用体制と責任者を決める
  • 3ヶ月・6ヶ月・1年のKPI目標を設定する
  • 最初の10記事のテーマを企画する

※この記事は2025年12月時点の情報に基づいています。市場環境やトレンドは変化するため、最新情報は各種調査レポートやメディアでご確認ください。

よくある質問:

Q: 複数の型を組み合わせることは可能ですか? A: 可能です。1つのメディアでリード獲得と採用を両立させるケースもあります。ただし、目的が曖昧になると継続が難しくなるため、主目的を明確にした上で副次的な目的を持たせることをおすすめします。

Q: 成果が出るまでどのくらいかかりますか? A: 数ヶ月〜数年を要する長期投資です。広告と異なり即効性がないため、長期視点での運用が必須です。ある調査では、BtoB企業でオウンドメディアを運営していた企業の84.7%が2年未満で停止しているとされており、継続が最大の課題と言えます。

Q: 公式サイト型と独立型はどちらを選ぶべきですか? A: サービス訴求やSEO強化を重視するなら公式サイト型、ブランディングやメディア独自の世界観を出したいなら独立型がおすすめです。自社の目的とリソースに応じて選択してください。

Q: 運用体制はどのように整備すべきですか? A: 責任者(事業責任者または経営層が望ましい)、編集担当、ライター、運用担当の役割を明確にしましょう。兼任で始める場合も、責任者を明確にしておくことが継続のカギです。

よくある質問

Q1複数の型を組み合わせることは可能ですか?

A1可能です。1つのメディアでリード獲得と採用を両立させるケースもあります。ただし、目的が曖昧になると継続が難しくなるため、主目的を明確にした上で副次的な目的を持たせることをおすすめします。

Q2成果が出るまでどのくらいかかりますか?

A2数ヶ月〜数年を要する長期投資です。広告と異なり即効性がないため、長期視点での運用が必須です。BtoB企業でオウンドメディアを運営していた企業の84.7%が2年未満で停止しているというデータもあります。

Q3公式サイト型と独立型はどちらを選ぶべきですか?

A3サービス訴求やSEO強化を重視するなら公式サイト型、ブランディングやメディア独自の世界観を出したいなら独立型がおすすめです。自社の目的とリソースに応じて選択してください。

Q4運用体制はどのように整備すべきですか?

A4責任者(事業責任者または経営層が望ましい)、編集担当、ライター、運用担当の役割を明確にしましょう。兼任で始める場合も責任者を明確にしておくことが継続のカギです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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