自社オウンドメディアの立ち上げ方|企画・構築・運用の完全ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/15

自社オウンドメディアを立ち上げたいけれど、何から始めれば良い?

B2B企業のマーケティング担当者や経営企画担当者の多くが、「自社オウンドメディアを立ち上げたい」「どのように進めれば良いか分からない」「成果が出るまでどれくらいかかるのか知りたい」という悩みを抱えています。

この記事では、自社オウンドメディアの立ち上げ方を、目的設定・ペルソナ設計・コンテンツ企画・CMS選定・運用体制構築まで、具体的なステップで解説します。

この記事のポイント:

  • オウンドメディアは自社で保有・運営するメディア、特にブログ型のWebサイトを指すことが多い
  • 立ち上げ費用は20万円〜300万円が相場、規模とカスタマイズ度合いによって変動
  • 成果が出るまで6ヶ月〜1年かかることを前提に、中長期視点で運営する
  • KPIはフェーズごとに設定(立ち上げ期:運用基盤構築、成長期:PV・UU増、成熟期:CV増)
  • 2024年はリッチメディア化(動画・音声)でCVR1.8倍向上の事例あり

1. 自社オウンドメディアとは何か

自社オウンドメディアの基礎知識を解説します。

(1) オウンドメディアの定義

オウンドメディア(Owned Media)は、企業が自社で保有・運営するメディアの総称です:

広義のオウンドメディア:

  • Webサイト全般(コーポレートサイト含む)
  • SNSアカウント(企業公式アカウント)
  • メールマガジン
  • 会員向けアプリ

狭義のオウンドメディア(本記事での定義):

  • ブログ型のWebサイト
  • ユーザーに有益な情報を提供するメディア
  • SEO・コンテンツマーケティングを通じて集客

(2) コーポレートサイトとの違い

オウンドメディアとコーポレートサイトは、発信内容と目的が異なります:

コーポレートサイト:

  • 企業情報・IR情報・採用情報などの公式情報を掲載
  • 企業の信頼性・透明性を示すことが主な目的
  • 発信内容は企業の公式見解に限定される

オウンドメディア:

  • ユーザーの悩みや疑問に応える情報を提供
  • SEOで検索流入を獲得し、リード獲得・ブランディングを実現
  • 発信内容の自由度が高い(業界トレンド、ノウハウ、事例等)

使い分け:

  • コーポレートサイト:企業の基本情報を知りたいユーザー向け
  • オウンドメディア:業界情報・課題解決方法を探しているユーザー向け

(3) トリプルメディア戦略における位置づけ

オウンドメディアは、トリプルメディア戦略の中核を担います:

トリプルメディア:

  1. Owned Media(オウンドメディア): 自社で保有・運営するメディア
  2. Paid Media(ペイドメディア): 費用を支払って利用する広告メディア
  3. Earned Media(アーンドメディア): SNSなど、ユーザーの自発的な情報拡散により獲得するメディア

連携の例:

  • オウンドメディアでコンテンツを作成
  • ペイドメディア(広告)で初期流入を獲得
  • アーンドメディア(SNS)でユーザーが情報を拡散
  • オウンドメディアへの継続的な流入を確保

2. 自社オウンドメディアを立ち上げるメリットと目的設定

自社オウンドメディアを立ち上げるメリットと、目的設定の重要性を解説します。

(1) 主なメリット(ブランディング・リード獲得・広告費削減等)

主なメリット:

ブランディング:

  • 専門性・信頼性の向上
  • 業界での認知度向上
  • 企業のストーリーやビジョンの発信

リード獲得:

  • SEOで検索流入を獲得
  • 資料ダウンロード・問い合わせフォームでリード獲得
  • 質の高いリード(既に自社に興味を持っているユーザー)を獲得

広告費削減:

  • オーガニック流入により、広告費を削減
  • 一度作成したコンテンツが長期的に流入を生む
  • 広告に依存しない集客基盤を構築

採用強化:

  • 企業文化・働き方の発信
  • 求職者の企業理解を深める
  • 採用ブランディング

(2) 目的の明確化(4つの典型的な目的)

運営目的を明確にすることが、成功の第一歩です:

典型的な目的:

  1. ブランディング: 認知度向上、専門性アピール
  2. リード獲得: 問い合わせ・資料ダウンロード増加
  3. 採用強化: 求職者へのアピール、採用コスト削減
  4. 広告宣伝費削減: オーガニック流入により広告費を削減

目的設定のポイント:

  • 複数の目的を設定しても良いが、優先順位を明確にする
  • 目的に応じてKGI(最終目標)を設定
  • 運営目的が不明確だと、コンテンツの方向性がぶれる

(3) 中長期視点の重要性(成果まで6ヶ月〜1年)

オウンドメディアは中長期施策であり、短期的成果を期待すると失敗します:

成果が出るまでの期間:

  • 一般的に6ヶ月〜1年が目安
  • SEO効果が出るまで3〜6ヶ月
  • リード獲得が安定するまで6ヶ月〜1年

短期的成果を期待すると失敗する理由:

  • Googleのインデックスに時間がかかる
  • ドメインオーソリティ(サイトの信頼性)の構築に時間がかかる
  • コンテンツが蓄積されて初めて効果が出る

中長期視点での運営:

  • 焦らず、継続的にコンテンツを作成
  • PDCAサイクルで改善を続ける
  • 経営層の理解を得て、長期的な投資として位置づける

3. 立ち上げの具体的なステップ

自社オウンドメディアの立ち上げを、6ステップで解説します。

(1) ステップ1:運営目的とKGIの設定

KGI(最終目標)の例:

  • リード獲得数:月間100件
  • 採用応募数:月間20件
  • ブランド認知度:業界内認知率30%

設定のポイント:

  • 測定可能な数値目標を設定
  • 経営目標と連動させる
  • 達成期限を明確にする

(2) ステップ2:ペルソナ設定とターゲット明確化

ターゲットとなる読者像を具体的に設定します:

ペルソナ設定の項目:

  • 年齢・性別・職種・役職
  • 抱えている課題・悩み
  • 情報収集の方法(検索キーワード、SNS等)
  • 購買プロセスのどの段階か(認知・検討・決定)

ペルソナ設定の例(B2B SaaS企業の場合):

  • 30代、男性、マーケティング担当者
  • 課題:リード獲得が頭打ち、広告費が増加
  • 情報収集:Google検索「BtoB リード獲得 方法」
  • 購買段階:検討段階(ツール比較中)

(3) ステップ3:チーム構築と役割分担

運営チームを編成し、役割を明確にします:

主な役割:

  • 編集長:全体戦略・方向性の決定
  • ライター:記事執筆(社内 or 外部委託)
  • 編集者:記事の品質チェック・校正
  • デザイナー:画像・インフォグラフィック作成
  • エンジニア:サイト構築・保守
  • SEO担当:キーワード調査・SEO施策

チーム規模の目安:

  • 小規模(記事月2-5本):2-3名
  • 中規模(記事月6-15本):4-6名
  • 大規模(記事月16本以上):7名以上

(4) ステップ4:KPI設定(フェーズ別)

フェーズごとにKPIを設定します(詳細は「4. 運用体制の構築とKPI設定」で解説):

立ち上げ期(0-6ヶ月):

  • 記事公開数:月10本
  • PV:月1万PV
  • UU:月5,000UU

成長期(6ヶ月-1年):

  • PV:月10万PV
  • UU:月5万UU
  • オーガニック流入比率:70%

成熟期(1年以降):

  • CV(コンバージョン):月100件
  • CVR:3%
  • リード獲得単価:3,000円

(5) ステップ5:プラットフォーム・CMS選定

CMS(コンテンツ管理システム)を選定します:

主要CMS:

  • WordPress: 最も普及、プラグイン豊富、カスタマイズ性高い
  • はてなブログPro: 簡単に始められる、SEOに強い
  • note: シンプル、SNS連携が容易
  • 自社開発CMS: 完全カスタマイズ可能(開発コスト高)

選定のポイント:

  • カスタマイズ性(デザイン・機能)
  • SEO機能(メタタグ設定、URL構造等)
  • 運用のしやすさ(更新頻度・担当者のスキル)
  • コスト(初期費用・月額費用)

推奨:

  • 初めての場合:WordPress(プラグインで機能拡張可能)
  • 簡単に始めたい場合:はてなブログPro、note

(6) ステップ6:コンテンツ企画と制作体制構築

コンテンツを企画し、制作体制を構築します:

コンテンツ企画のポイント:

  • ペルソナの課題に応えるテーマを選定
  • キーワード調査(検索ボリューム、競合分析)
  • カテゴリ設計(3-5カテゴリが目安)
  • コンテンツカレンダー作成(3ヶ月先まで計画)

制作体制:

  • 社内ライター vs 外部委託の判断
  • 編集フロー(企画→執筆→編集→公開)
  • 品質基準の設定(文字数、参照元の数等)

(7) 立ち上げ費用の相場(20万円〜300万円)

立ち上げ費用は、規模とカスタマイズ度合いによって変動します:

費用相場:

  • 小規模(20万円〜50万円): WordPressテンプレート活用、デザインカスタマイズ少なめ
  • 中規模(50万円〜150万円): オリジナルデザイン、機能カスタマイズ
  • 大規模(150万円〜300万円以上): 完全オリジナル、高度な機能実装

主な費用項目:

  • サイト構築費用(デザイン・開発)
  • CMS導入・設定費用
  • 初期コンテンツ制作費用(10-20記事)
  • ドメイン・サーバー費用

運用費用(月額):

  • コンテンツ制作費用:月10万円〜50万円(記事数・外部委託度合いによる)
  • サーバー・保守費用:月1万円〜5万円

4. 運用体制の構築とKPI設定

オウンドメディアの運用体制とKPI設定を解説します。

(1) フェーズ別KPI(立ち上げ期・成長期・成熟期)

フェーズごとに適したKPIを設定します:

立ち上げ期(0-6ヶ月):

  • 目的:運用基盤の構築、コンテンツ蓄積
  • KPI:
    • 記事公開数:月10本
    • PV:月1万PV
    • UU:月5,000UU

成長期(6ヶ月-1年):

  • 目的:PV・UU増加、SEO順位向上
  • KPI:
    • PV:月10万PV
    • UU:月5万UU
    • オーガニック流入比率:70%
    • SNSシェア数:月100件

成熟期(1年以降):

  • 目的:CV(コンバージョン)増加、ROI最大化
  • KPI:
    • CV(問い合わせ・資料DL):月100件
    • CVR:3%
    • リード獲得単価:3,000円
    • リピーター率:30%

(2) SMART基準でのKPI設計

KPI設計にはSMART基準を活用します:

SMART基準:

  • Specific(明確性): 曖昧でなく、明確な指標
  • Measurable(測定可能): 数値で測定できる
  • Achievable(達成可能): 現実的に達成可能な目標
  • Relevant(関連性): KGI達成に関連する指標
  • Time-bound(期限明確): 達成期限が明確

SMART基準を満たすKPI例:

  • 良い例:「6ヶ月後に月間PV 10万達成」
  • 悪い例:「アクセスを増やす」(曖昧、期限不明)

(3) 運用チームの編成と役割分担

運用チームの役割分担を明確にします:

主な役割:

  • 編集長: 全体戦略、コンテンツ方針の決定
  • ライター: 記事執筆(社内 or 外部委託)
  • 編集者: 品質チェック、校正、SEO最適化
  • デザイナー: アイキャッチ画像、インフォグラフィック作成
  • 分析担当: Google Analytics分析、改善施策提案

運用体制の例(中規模チーム):

  • 編集長:1名(社内)
  • ライター:2名(社内)+ 外部委託(月5本)
  • 編集者:1名(社内、編集長兼任も可)
  • デザイナー:1名(外部委託)
  • 分析担当:1名(社内、マーケター兼任も可)

(4) 定期的な更新と改善サイクル

定期的な更新とPDCAサイクルが重要です:

更新頻度:

  • 立ち上げ期:週2-3本(月10本程度)
  • 成長期:週3-4本(月15本程度)
  • 成熟期:週2本+既存記事リライト(月10本程度)

改善サイクル(PDCA):

  1. Plan(計画): コンテンツ企画、KPI設定
  2. Do(実行): 記事作成・公開
  3. Check(評価): Google Analyticsで分析、KPI達成度確認
  4. Action(改善): 低パフォーマンス記事のリライト、新規テーマの企画

定期レビュー:

  • 週次:PV・UU・CV数の確認
  • 月次:KPI達成度確認、改善施策の実施
  • 四半期:全体戦略の見直し

5. 成功事例と2024年のトレンド

B2B企業の成功事例と、2024年のトレンドを解説します。

(1) B2B企業の成功事例(ferret:月間350万UU等)

ferret(株式会社ベーシック):

  • Webマーケティング情報メディア
  • 月間350万UU・550万PV
  • BtoBマーケターの約半数が認知
  • SEO・コンテンツマーケティングで圧倒的な流入

SmartHR Mag(株式会社SmartHR):

  • 人事労務関連の情報メディア
  • 採用・労務管理のノウハウを発信
  • 自社SaaSへの誘導に成功

成功事例の共通点:

  • ペルソナ設定が明確
  • 質の高いコンテンツを継続的に発信
  • SEOで検索流入を獲得
  • 自社サービスへの自然な誘導

(2) 2024年のトレンド(リッチメディア化・AI活用)

2024年のオウンドメディアトレンドを解説します:

リッチメディア化:

  • 動画・音声コンテンツの導入が加速
  • 滞在時間・CVRの向上(CVR1.8倍向上の事例あり)
  • 視覚コンテンツ(インフォグラフィック、図解)の重要性増

AI活用:

  • 生成AIによるコンテンツ量産
  • パーソナライゼーション(ユーザー行動に応じたコンテンツ出し分け)
  • 自動要約・翻訳

検索アルゴリズムの進化:

  • Googleコアアップデート対応
  • GA4完全移行(2023年7月にUA廃止)
  • E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)重視

(3) 動画・音声コンテンツの導入(CVR1.8倍向上)

動画・音声コンテンツの導入効果:

導入のメリット:

  • 滞在時間の延長(SEO評価向上)
  • CVR向上(CVR1.8倍向上の事例あり)
  • 情報伝達力の向上(テキストより理解しやすい)

活用例:

  • 記事内に解説動画を埋め込み
  • ポッドキャスト配信
  • インタビュー動画

注意点:

  • 制作コストがかかる
  • 動画品質が低いと逆効果
  • テキストコンテンツと併用(SEOはテキストが重要)

(4) SNS・UGC連携の強化

SNS・UGC(User Generated Content)との連携が重要です:

SNS連携:

  • 記事公開時にSNSでシェア
  • SNS専用のコンテンツ作成(Twitter、LinkedIn等)
  • インフルエンサーとのコラボレーション

UGC活用:

  • ユーザーのレビュー・感想を記事に掲載
  • SNSでのユーザー投稿を収集・紹介
  • コミュニティ形成(ユーザー同士の交流)

6. まとめ:自社オウンドメディアを成功させるポイント

自社オウンドメディアを成功させるためのポイントをまとめます。

成功のポイント:

  • 運営目的を明確にし、KGI・KPIを設定する
  • ペルソナを具体的に設定し、ターゲットのニーズに応える
  • 成果が出るまで6ヶ月〜1年かかることを前提に、中長期視点で運営する
  • フェーズごとにKPIを設定し、PDCAサイクルで改善を続ける
  • 2024年トレンド(リッチメディア化・AI活用)を取り入れる

よくある失敗パターン:

  • 短期的成果を期待し、3ヶ月で諦める
  • 運営目的が不明確で、コンテンツの方向性がぶれる
  • コンテンツの質が低く、SEO評価が上がらない
  • 更新を停止し、読者が離れる

次のアクション:

  • 運営目的とKGIを設定する
  • ペルソナを具体的に設定する
  • 運営チームを編成し、役割を明確にする
  • CMS(WordPress等)を選定し、サイトを構築する
  • コンテンツカレンダーを作成し、定期的に記事を公開する
  • Google Analyticsで分析し、PDCAサイクルで改善を続ける

自社オウンドメディアを立ち上げ、ブランディング・リード獲得・採用強化を実現しましょう。

よくある質問

Q1オウンドメディアとコーポレートサイトの違いは?

A1オウンドメディアは発信内容の自由度が高く、ユーザーの悩みや疑問に応える情報提供が目的です。コーポレートサイトは企業情報・IR情報など公式情報の掲載が主な目的です。

Q2立ち上げ費用はどれくらいかかる?

A220万円〜300万円が相場です。規模やカスタマイズ度合いによって変動します。WordPressなどを活用すれば低コストでの立ち上げも可能です。

Q3成果が出るまでどれくらいかかる?

A3一般的に6ヶ月〜1年が目安です。短期的成果を期待すると失敗するため、中長期視点での運営が重要です。

Q42024年のトレンドで押さえるべきポイントは?

A4リッチメディア化(動画・音声コンテンツ)でCVR1.8倍向上の事例があります。AI活用による効率化、SNS・UGC連携の強化が重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。