「オウンドメディアを始めたいけど、何から手をつければいいか分からない」と感じていませんか?
B2B企業のマーケティング担当者の多くが、オウンドメディアの立ち上げ・運用に課題を感じていると言われています。「どうやって始めればいい?」「どのくらいの費用がかかる?」「成果が出るまでどのくらいかかる?」——そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、オウンドメディアの基本概念から、始め方の具体的ステップ、運用成功のポイントまで体系的に解説します。
この記事のポイント:
- オウンドメディアは企業が自社で保有し、見込み顧客に有益な情報を発信するメディア
- ペイドメディア・アーンドメディアと組み合わせた「トリプルメディア」戦略が有効
- 立ち上げは「目的明確化→ペルソナ設定→CMS選定→コンテンツ制作→効果測定」の5ステップ
- 成果が出るまで半年〜1年程度かかり、継続的なリソースが必要
- 2024年は動画・音声・SNS連携・AI活用がトレンド
1. オウンドメディアとは?定義と他のメディアとの違い
(1) オウンドメディアの定義と特徴
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が自社で保有し、消費者に情報を発信するメディアの総称です。自社Webサイト、ブログ、メールマガジン、パンフレットなどが含まれます。
一般的には、見込み顧客向けに有益なコンテンツを継続的に発信し、集客・リード獲得を目的とするWebメディアを指すことが多いです。
オウンドメディアの特徴:
- 企業が完全にコントロールできる自社メディア
- 広告費をかけずに継続的な集客が可能(中長期的視点)
- コンテンツが資産として蓄積される
- ブランディングや顧客との関係構築に有効
(2) トリプルメディア(ペイドメディア・アーンドメディア)との違い
マーケティングでは「トリプルメディア」と呼ばれる3つのメディアを組み合わせた戦略が重視されています。
ペイドメディア(Paid Media): 広告費を支払って利用するメディアです。テレビCM、新聞広告、Web広告(リスティング広告、ディスプレイ広告等)などが該当します。短期的な認知拡大・集客に有効ですが、費用が継続的に発生します。
アーンドメディア(Earned Media): SNSや口コミなど、ユーザーが情報を拡散するメディアです。企業が直接コントロールできませんが、信頼性が高く、拡散力があります。
オウンドメディア(Owned Media): 自社で保有するメディアです。広告費に依存せず、中長期的な集客基盤を構築できます。
これら3つのメディアを組み合わせることで、短期・中長期の両面で効果的なマーケティング活動が可能になります。
(3) コーポレートサイト・ホームページとの違い
コーポレートサイト(企業サイト): 企業情報(会社概要、IR情報、採用情報など)を伝える公式サイトです。主に「企業について知りたい」という既存の認知層が訪問します。
オウンドメディア: 見込み顧客向けに有益なコンテンツを発信し、集客・リード獲得を目的とするメディアです。「課題を解決したい」「情報を知りたい」という検索意図に応えるコンテンツを提供します。
多くの企業では、コーポレートサイトとオウンドメディアを分けて運用しています。調査によると、東証プライム市場上場企業の約40%がオウンドメディアを運用しており、運用企業の約82%が自社サイト内や別サイトで展開していると報告されています。
2. オウンドメディアのメリット・デメリット
(1) メリット(広告に頼らない集客・ブランディング・顧客との関係構築)
広告に頼らない集客基盤の構築: オウンドメディアで公開したコンテンツは、検索エンジンからの流入を継続的に獲得できます。広告費に依存せず、中長期的な集客基盤を構築できます。
ブランディング効果: 有益なコンテンツを継続的に発信することで、業界の専門家・リーダーとしてのポジションを確立できます。企業や製品・サービスのブランド価値向上につながります。
顧客との関係構築: 見込み顧客が抱える課題に対して有益な情報を提供することで、信頼関係を構築できます。購買検討段階で「この企業に相談したい」と思ってもらえる関係性を築けます。
コンテンツが資産になる: 一度制作したコンテンツは、削除しない限り継続的に価値を生み出します。時間の経過とともにコンテンツが蓄積され、検索エンジンからの評価も高まる傾向があります。
(2) デメリット(成果が出るまで時間がかかる・継続的なリソースが必要)
成果が出るまで時間がかかる: オウンドメディアは一般的に半年〜1年程度で成果が見え始めると言われています。検索エンジンからの流入が増えるまでにはコンテンツの蓄積が必要です。短期的な成果を求める場合は、広告との併用を検討する必要があります。
継続的なリソースが必要: コンテンツ制作・運用には継続的な人員・予算が必要です。外注する場合はコストが発生し、内製する場合は社内リソースの確保が必要になります。
検索アルゴリズムの変化への対応: 検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しています。従来の施策では成果が出にくくなっているケースもあり、動画・音声などのリッチメディアやAI活用など、新たな取り組みが求められています。
3. オウンドメディアの始め方|立ち上げ5つのステップ
(1) 目的の明確化(リードジェネレーション・ブランディング・採用等)
最初のステップは、オウンドメディアを運用する目的を明確にすることです。目的によってコンテンツの方向性や成果指標が変わります。
主な目的の例:
- リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
- ブランディング(企業・製品・サービスの認知向上)
- 採用(優秀な人材の獲得)
- 顧客サポート(FAQ・ナレッジベースの提供)
- 既存顧客との関係強化
(2) ペルソナ設定とコンテンツ戦略
次に、ターゲットとなる読者像(ペルソナ)を設定し、どのようなコンテンツを提供するか戦略を立てます。
ペルソナ設定で明確にすべき項目:
- 業界・企業規模・役職
- 抱えている課題・ニーズ
- 情報収集の手段・行動パターン
- 意思決定に影響する要因
コンテンツ戦略のポイント:
- ペルソナが検索するキーワードを調査
- 競合のコンテンツを分析
- 自社の強み・専門性を活かしたコンテンツ設計
- カスタマージャーニーに沿ったコンテンツマップ作成
(3) CMS選定とサイト構築
オウンドメディアを構築するためのCMS(コンテンツ管理システム)を選定します。
主なCMSの選択肢:
- WordPress(最も普及しているオープンソースCMS)
- 国内SaaS型CMS(各種オウンドメディア専用ツール)
- 自社開発(高度なカスタマイズが必要な場合)
選定基準としては、使いやすさ、SEO対応、カスタマイズ性、コスト、セキュリティなどを考慮します。
※CMSの仕様・料金は変更される可能性があるため、導入検討時は各サービスの公式サイトで最新情報を確認してください。
(4) コンテンツ制作と公開
ペルソナの課題・ニーズに応えるコンテンツを制作し、公開します。
コンテンツ制作のポイント:
- 検索意図に応える内容を意識
- オリジナルの視点・情報を提供
- 読者にとって分かりやすい構成・表現
- SEOを意識したタイトル・見出し・本文
- 定期的な更新・公開スケジュールの設定
(5) 効果測定と改善サイクル
公開後は、効果を測定し、改善サイクルを回します。
測定すべき主な指標:
- PV数・UU数(アクセス数)
- 検索順位・検索流入数
- 滞在時間・離脱率
- コンバージョン数(資料ダウンロード、問い合わせ等)
データに基づいてコンテンツを改善し、成果を高めていきます。
4. オウンドメディア運用成功のポイントと体制づくり
(1) 運用体制の構築(内製・外注・ハイブリッド)
オウンドメディアの運用体制は、内製・外注・ハイブリッドの3つのパターンがあります。
内製(社内完結):
- コスト抑制、ナレッジ蓄積が可能
- 社内リソースの確保が必要
外注(外部委託):
- 専門家のノウハウを活用できる
- コストが発生、ナレッジが社内に蓄積されにくい
ハイブリッド:
- 企画・編集は内製、制作は外注など役割分担
- 多くの企業が採用している形態
理想的な役割分担:
- 編集者(全体統括・品質管理)
- ライター(コンテンツ執筆)
- SEO担当(検索最適化)
- 分析担当(効果測定・改善提案)
社内リソースが限られる場合は、専任者を1名置き、他の作業は外注と組み合わせる形が現実的です。専任者を置くことで成果が出やすくなると言われています。
(2) 2024年のトレンド(動画・音声・SNS連携・AI活用)
2024年のオウンドメディア運用では、以下のトレンドが注目されています。
動画・音声などのリッチメディア: テキストだけでなく、動画や音声コンテンツを導入する企業が増えています。ユーザーの理解度向上と滞在時間延長が期待できます。
SNS・UGCとの接点強化: SNSとの連携を強化し、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を活用する動きが活発化しています。
AI活用: コンテンツ制作の効率化や、パーソナライズされたコンテンツ配信にAIを活用する取り組みが本格化しています。
(3) 必要な期間・コスト・リソースの目安
期間の目安:
- 立ち上げ準備: 1〜3ヶ月
- 成果が見え始めるまで: 半年〜1年
コストの目安:
- 初期構築費用: 数十万円〜数百万円程度
- 月額運用費用: 数万円〜数十万円程度
※内製か外注か、コンテンツ量・品質によって大きく変動します。
リソースの目安:
- 最低1名の専任担当者
- 月間コンテンツ制作本数(目安: 4〜10本程度)
5. オウンドメディアの成功事例と失敗から学ぶ教訓
(1) BtoB企業の成功事例
多くのBtoB企業がオウンドメディアで成果を上げています。成功しているオウンドメディアには、以下の共通点が見られます。
成功の共通点:
- 明確なターゲット設定と一貫したコンテンツ戦略
- 継続的なコンテンツ更新(週1〜2本以上)
- SEOを意識したコンテンツ設計
- 資料ダウンロードや問い合わせへの導線設計
- 効果測定に基づく継続的な改善
成功事例として、半年で100万PVを達成し、その後500万PV超に成長したメディアも報告されています。
(2) よくある失敗パターンと回避策
失敗パターン1: 目的が不明確 「とりあえずオウンドメディアを始めよう」では成果が出ません。リードジェネレーションなのか、ブランディングなのか、目的を明確にしましょう。
失敗パターン2: 継続できない 初期は意欲的にコンテンツを制作しても、途中で更新が止まってしまうケースが多いです。継続可能な運用体制・スケジュールを最初から設計しましょう。
失敗パターン3: 検索意図を無視したコンテンツ 自社が発信したい情報と、読者が求めている情報は異なる場合があります。ペルソナの検索意図に応えるコンテンツを意識しましょう。
失敗パターン4: 効果測定をしない 公開して終わりでは改善できません。定期的に効果を測定し、PDCAサイクルを回しましょう。
6. まとめ:中長期的な視点でオウンドメディアを育てるために
オウンドメディアは、広告に頼らない集客基盤を構築し、ブランディングや顧客との関係構築に有効な手法です。ただし、成果が出るまでに時間がかかり、継続的なリソースが必要です。
次のアクション:
- オウンドメディアの目的(リードジェネレーション・ブランディング・採用等)を明確にする
- ターゲット読者(ペルソナ)を設定し、コンテンツ戦略を立てる
- CMS選定とサイト構築を行う(まずは小さく始めることも有効)
- 継続可能な運用体制とスケジュールを設計する
- 効果測定に基づいて継続的に改善する
オウンドメディアは「すぐに成果が出る」施策ではありませんが、中長期的な視点で継続することで、広告費に依存しない強固な集客基盤を構築できます。2024年のトレンドである動画・音声・AI活用なども取り入れながら、自社に合った形で育てていきましょう。
よくある質問:
Q: オウンドメディアとコーポレートサイトの違いは? A: コーポレートサイトは企業情報を伝える公式サイトです。オウンドメディアは見込み顧客向けに有益なコンテンツを発信し、集客・リード獲得を目的とするメディアです。両者を分けて運用する企業が多いです。
Q: オウンドメディアの立ち上げにはどのくらいの費用がかかる? A: 初期構築費用は数十万円〜数百万円程度が相場です。運用費用は月額数万円〜数十万円が目安です。内製か外注か、コンテンツ量によって大きく変動します。
Q: 成果が出るまでにどのくらいの期間が必要? A: 一般的に半年〜1年程度かかります。検索エンジンからの流入が増えるまでにはコンテンツの蓄積が必要です。短期的な成果を求める場合は広告との併用を検討しましょう。
Q: どのような体制で運用すればよい? A: 編集者、ライター、SEO担当、分析担当などの役割分担が理想です。社内リソースが限られる場合は外注との組み合わせも有効です。専任者を置くことで成果が出やすくなります。
Q: オウンドメディアが注目されている理由は? A: インターネット広告の効果低下、広告ブロッカーの普及により、広告に頼らない集客基盤の重要性が増しています。東証プライム市場上場企業の約40%が運用しているという調査もあります。
