新規顧客を獲得したいけれど、どの手法が自社に合っているか分からない...
B2B企業の営業担当者や営業マネージャーの多くが、新規顧客開拓の手法選びに悩んでいます。「飛び込み営業、テレアポ、Web広告、展示会...どれが効果的なの?」「アポ獲得率を上げるにはどうすればいい?」「新規営業と既存営業はどう違うの?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、新規営業の定義、既存営業との違い、主要な手法12選、成功のコツ、よくある失敗と対策まで、新規営業の実践に必要な情報を網羅的に解説します。
この記事のポイント:
- 新規営業は新しい顧客を対象にゼロから関係を構築する営業活動
- 新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍(1:5の法則)
- 営業手法は「アウトバウンド(飛び込み、テレアポ等)」と「インバウンド(Web広告、SEO等)」に大別
- 成功の鍵はターゲットの明確化、質の高い顧客リスト、継続的なフォローアップ
- SFAツールの活用で営業活動の追跡と効率化が可能
1. 新規営業とは?
新規営業は、既存顧客ではなく、新しい顧客を対象に営業活動を行い、新規取引を創出する活動です。企業の成長には不可欠であり、多くの企業が重点分野として取り組んでいます。
(1) 新規営業の定義
新規営業(New Business Development)とは、まだ取引のない顧客に対してアプローチし、商談を獲得し、契約につなげる営業活動を指します。既存顧客との関係維持・深化を目的とする「既存営業」とは対照的に、ゼロから顧客との関係を構築する必要があります。
新規営業の基本的な流れは以下の通りです:
- ターゲット顧客の特定: 自社商材に適した顧客像を明確化
- 顧客リストの作成: ターゲット顧客の企業リストを作成
- アプローチ: 飛び込み、テレアポ、メール、Web広告などで接触
- 商談: 顧客の課題をヒアリングし、提案を行う
- 契約: 条件をすり合わせ、契約を締結
- 既存顧客化: 契約後、既存営業チームに引き継ぎ
(2) 新規営業の重要性(2024年は62.0%の企業が重点分野に)
日本政策金融公庫の「2024年の経営方針に関するアンケート」(2023年12月)によれば、「営業力強化」を経営基盤強化の重点分野とする企業は62.0%に達しています。これは、企業の成長には新規顧客の獲得が不可欠であることを示しています。
新規営業が重要な理由は以下の通りです:
企業の成長に不可欠: 既存顧客だけでは市場シェアの拡大は難しく、新規顧客の獲得が成長のエンジンとなります。
既存顧客の離脱リスクに対応: 既存顧客の解約や取引縮小が発生した場合、新規顧客の獲得により収益を補填できます。
新しい市場・業種への進出: 新規営業により、これまで開拓していなかった市場や業種への進出が可能になります。
2. 既存営業との違い
新規営業と既存営業は、ターゲット顧客、コスト、アプローチ方法が大きく異なります。それぞれの違いを理解することで、適切なリソース配分が可能になります。
(1) 顧客ターゲットの違い
新規営業: まだ取引のない顧客が対象です。顧客との関係がゼロからのスタートであり、信頼関係を構築する必要があります。
既存営業: すでに取引のある顧客が対象です。既存の信頼関係を活かし、追加提案(アップセル・クロスセル)や契約更新を促進します。
(2) コストの違い(1:5の法則)
新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍かかると言われています(1:5の法則)。これは、新規顧客にはゼロから信頼関係を築く必要があり、接触回数や提案の手間が増えるためです。
新規営業のコスト要因:
- 顧客リストの作成・購入費用
- 飛び込み、テレアポ、メール営業の人件費・通信費
- Web広告、展示会の出展費用
- 商談回数の増加(信頼関係構築に時間がかかる)
既存営業のコスト要因:
- 定期的な訪問・連絡の人件費
- 既存顧客向けキャンペーンの費用
「1:5の法則」は一般的な目安であり、業界や商材によってコスト比率は異なる可能性がありますが、新規営業は既存営業よりもコストがかかることを前提に戦略を立てる必要があります。
(3) アプローチ方法の違い
新規営業: 顧客との接点がないため、積極的なアプローチが必要です。飛び込み、テレアポ、メール営業、Web広告、展示会など、多様な手法を組み合わせます。
既存営業: 既存の関係を活かし、定期的な訪問、メール、電話でのフォローアップ、既存顧客向けセミナーなどを通じて関係を深めます。
3. 新規営業の主要手法12選
新規営業の手法は多様であり、「アウトバウンド営業」と「インバウンド営業」に大別されます。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解し、自社に合った手法を選択しましょう。
(1) アウトバウンド営業(飛び込み、テレアポ、メール営業、FAX DM)
アウトバウンド営業は、企業側から積極的に顧客にアプローチする手法です。短期間で商談を獲得できる一方、顧客側の購買意欲が不明確な場合もあります。
飛び込み営業(Door-to-door Sales): 事前アポイントなしで顧客や企業を直接訪問する手法です。
- メリット: 直接対面で提案できるため、印象に残りやすい。地域密着型ビジネスに効果的。
- デメリット: 移動時間がかかり効率が低い。拒絶されることも多く、精神的負担が大きい。
テレアポ(Telemarketing): 電話を使って顧客にアプローチし、アポイントメントを獲得する手法です。
- メリット: 移動時間が不要で、1日に多数の顧客に接触できる。
- デメリット: 電話に出てもらえないことが多く、アポ獲得率が低い(一般的に1-3%程度)。
メール営業(Cold Email): 見込み顧客にメールで提案を送る手法です。
- メリット: コストが低く、大量の顧客にアプローチ可能。自動化ツールで効率化できる。
- デメリット: 開封率が低い(10-20%程度)。迷惑メールとして扱われるリスクがある。
FAX DM: FAXで顧客に資料を送付する手法です。
- メリット: 高齢層や伝統的な業界に効果的。開封率が比較的高い。
- デメリット: 迷惑と感じられることがある。送信コストがかかる。
(2) インバウンド営業(Web広告、SEO、セミナー、展示会、ホワイトペーパー)
インバウンド営業は、顧客の関心を育て、顧客側から問い合わせや商談を獲得する手法です。購買意欲の高い顧客を獲得できる一方、成果が出るまでに時間がかかります。
Web広告(リスティング広告、SNS広告、DSP広告): 検索エンジンやSNS、Webサイトに広告を出稿し、見込み顧客を獲得する手法です。
- メリット: 性別・年齢・関心度でターゲティング可能。効果測定がしやすい。
- デメリット: 競合が多い場合、広告費が高騰する。運用ノウハウが必要。
SEO(Search Engine Optimization): 自社サイトを検索エンジンで上位表示させ、見込み顧客を獲得する手法です。
- メリット: 一度上位表示されれば、継続的に見込み顧客を獲得できる。広告費がかからない。
- デメリット: 成果が出るまで6ヶ月~1年以上かかる。専門知識が必要。
セミナー・ウェビナー: 自社が主催するセミナーやオンラインセミナー(ウェビナー)を通じて、見込み顧客を獲得する手法です。
- メリット: 顧客の関心度が高い。信頼関係を構築しやすい。
- デメリット: 企画・運営に手間がかかる。参加者が少ない場合、費用対効果が悪い。
展示会: 業界の展示会に出展し、来場者と接触する手法です。
- メリット: 短期間で多数の見込み顧客と接触できる。商品のデモが可能。
- デメリット: 出展費用が高額(数十万円~数百万円)。フォローアップしないと商談につながらない。
ホワイトペーパー: 自社の専門知識をまとめた資料を公開し、ダウンロードしてもらうことで見込み顧客情報を獲得する手法です。
- メリット: 見込み顧客の関心度が高い。リード情報(企業名、担当者名、メールアドレス等)を獲得できる。
- デメリット: 質の高いコンテンツ作成に時間がかかる。
(3) その他の手法(紹介営業、SNS営業、コールドメール)
紹介営業(Referral Sales): 既存顧客や取引先から新しい顧客を紹介してもらう手法です。
- メリット: 信頼関係がある状態からスタートできるため、商談成功率が高い。
- デメリット: 紹介を依頼しても必ず紹介してもらえるわけではない。
SNS営業(Social Selling): LinkedIn、X(旧Twitter)、Facebookなどで見込み顧客とつながり、関係を構築する手法です。
- メリット: 顧客の興味関心を把握しやすい。気軽に接触できる。
- デメリット: 成果が出るまで時間がかかる。SNS運用のノウハウが必要。
(4) 各手法のメリット・デメリット比較
新規営業の手法は業界・商材・ターゲット層によって効果が異なります。以下は一般的な比較です。
短期で成果を求める場合: アウトバウンド営業(飛び込み、テレアポ、メール営業)が適しています。ただし、顧客側の購買意欲が不明確な場合も多く、商談成功率は低めです。
購買意欲の高い顧客を獲得したい場合: インバウンド営業(Web広告、SEO、セミナー、展示会、ホワイトペーパー)が適しています。ただし、成果が出るまで時間がかかります。
高額商材・複雑なソリューション: 展示会、セミナー、紹介営業が効果的です。対面での信頼関係構築が重要です。
低額商材・シンプルなサービス: Web広告、メール営業、SNS営業が効率的です。
4. 新規営業を成功させる7つのコツ
新規営業の成功には、ターゲットの明確化、質の高い顧客リスト、継続的なフォローアップなど、複数の要素が重要です。
(1) ターゲットの明確化
新規営業の第一歩は、ターゲット顧客を明確にすることです。「誰に」「何を」「どのように」売るかを明確にしましょう。
ペルソナ設定:
- 業種(製造業、IT企業、小売業など)
- 企業規模(従業員数、売上規模)
- 課題(コスト削減、業務効率化、売上拡大など)
- 決裁者の役職(経営層、部長、担当者など)
ターゲットが明確であるほど、アプローチ方法や提案内容を最適化できます。
(2) 質の高い顧客リスト作成
顧客リストの質が新規営業の成否を左右します。リストは定期的に見直し、各企業の業種・規模・課題・適切な提案方法の情報を追加することで質が向上します。
顧客リスト作成の方法:
- 企業データベース(帝国データバンク、東京商工リサーチ等)を活用
- 業界団体の会員名簿
- 展示会の来場者リスト
- Web検索で見込み顧客を探す
- リスト作成ツール(Salesforce、HubSpot等)を活用
リストの質を高めるポイント:
- 古い情報を削除し、最新情報に更新
- 担当者名、メールアドレス、電話番号を正確に記載
- 企業の課題やニーズを記録
(3) 顧客課題の事前リサーチ
アプローチ前に顧客の課題やニーズを事前にリサーチすることで、提案の質が向上します。
リサーチ方法:
- 企業の公式サイト、IRレポート、プレスリリースを確認
- SNS、ブログ、ニュース記事で最新動向を把握
- 業界レポートで業界全体のトレンドを理解
事前リサーチにより、「御社の○○という課題に対して、弊社のサービスが貢献できます」といった具体的な提案が可能になります。
(4) 適切なアプローチ方法の選択
商材の特性やターゲット層に応じて、適切なアプローチ方法を選択しましょう。
高額商材・複雑なソリューション: 展示会、セミナー、紹介営業が効果的です。対面での信頼関係構築が重要です。
低額商材・シンプルなサービス: Web広告、メール営業、SNS営業が効率的です。
地域密着型ビジネス: 飛び込み営業、地域の商工会議所イベントへの参加が効果的です。
(5) 継続的なフォローアップ
新規営業では、1回のアプローチで契約に至ることは稀です。継続的なフォローアップにより、顧客の関心を維持し、商談につなげます。
フォローアップのタイミング:
- 初回接触後、3日以内に再度連絡
- その後、1週間後、2週間後、1ヶ月後と定期的に接触
- 顧客の関心度に応じて頻度を調整
フォローアップの内容:
- 有益な情報(業界レポート、成功事例等)を提供
- 無料トライアル、デモの提案
- 新製品・新サービスの案内
(6) SFAツールの活用
SFA(Sales Force Automation)ツールを活用することで、営業活動の追跡と効率化が可能になります。
SFAツールでできること:
- 顧客情報の一元管理
- 商談履歴の記録
- 次回アクション(フォローアップ)の通知
- 営業活動の可視化とレポート作成
- チーム内での情報共有
主要なSFAツールとして、Salesforce、HubSpot、Mazrica(旧Senses)などがあります。自社の規模や予算に応じて選択しましょう。
(7) 営業トークの改善と標準化
営業トークを継続的に改善し、チーム内で標準化することで、成功率が向上します。
営業トークの改善方法:
- 成功事例を分析し、効果的なトークをピックアップ
- ロールプレイングで練習
- 顧客の反応を記録し、トークを改善
標準化のメリット:
- 新人営業担当者の育成期間が短縮
- チーム全体の営業力が底上げされる
- 属人化を防ぎ、組織としての営業力を強化
5. よくある失敗とその対策
新規営業にはよくある失敗パターンがあります。事前に対策を講じることで、成功率を高めることができます。
(1) ターゲットが不明確(対策:ペルソナ設定)
失敗事例: ターゲットが曖昧なまま営業活動を行い、「誰に売ればいいか分からない」「提案が刺さらない」といった状態に陥る。
対策: ペルソナ設定により、ターゲット顧客を明確にします。業種、企業規模、課題、決裁者の役職を具体的に定義し、全営業担当者で共有しましょう。
(2) 顧客リストの質が低い(対策:定期的な見直し)
失敗事例: 古い情報や不正確な情報が含まれた顧客リストを使用し、アプローチが無駄になる。担当者が既に退職している、電話番号が変わっているなどのケースが頻発する。
対策: 顧客リストを定期的に見直し、最新情報に更新します。また、企業の業種・規模・課題・適切な提案方法の情報を追加することで、リストの質を向上させます。
(3) フォローアップ不足(対策:SFA活用)
失敗事例: 初回接触後、フォローアップを忘れてしまい、商談につながらない。他の業務に追われ、フォローアップのタイミングを逃す。
対策: SFAツールを活用し、次回アクション(フォローアップ)を通知する仕組みを作ります。フォローアップのタイミングと内容を標準化し、漏れを防ぎます。
(4) アプローチ方法の選択ミス(対策:商材特性に応じた手法選定)
失敗事例: 高額商材なのにメール営業だけで済ませようとし、商談につながらない。逆に、低額商材なのに展示会に高額な費用をかけ、費用対効果が悪化する。
対策: 商材の特性やターゲット層に応じて、適切なアプローチ方法を選択します。高額商材・複雑なソリューションは展示会やセミナーが効果的、低額商材・シンプルなサービスはWeb広告やメール営業が効率的です。
6. まとめ:自社に合った新規営業手法の選び方
新規営業は、新しい顧客を対象にゼロから関係を構築する営業活動であり、企業の成長に不可欠です。新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍(1:5の法則)かかるため、効率的なアプローチが重要です。
営業手法は「アウトバウンド営業(飛び込み、テレアポ、メール営業等)」と「インバウンド営業(Web広告、SEO、セミナー、展示会等)」に大別されます。短期で成果を求めるならアウトバウンド、購買意欲の高い顧客を獲得したいならインバウンドが適しています。
新規営業を成功させる鍵は、ターゲットの明確化、質の高い顧客リスト作成、顧客課題の事前リサーチ、適切なアプローチ方法の選択、継続的なフォローアップ、SFAツールの活用、営業トークの改善と標準化です。
次のアクション:
- ターゲット顧客を明確にし、ペルソナ設定を行う
- 質の高い顧客リストを作成し、定期的に見直す
- 自社商材の特性に応じた営業手法を選択する
- SFAツールを導入し、営業活動を可視化・効率化する
- 営業トークを継続的に改善し、チーム内で標準化する
自社に合った新規営業手法を選び、継続的に改善することで、新規顧客の獲得と企業の成長を実現しましょう。
※新規営業の手法は業界・商材・ターゲット層によって効果が異なります。この記事は2025年12月時点の一般的な情報をもとに作成しています。
