Marketo導入後、マーケティング施策の効果が可視化できず困っている...
Marketo(マルケト)を導入したB2B企業のマーケティングマネージャーの多くが、施策の効果可視化・レポーティングに課題を抱えています。「どのキャンペーンが効果的なのか分からない」「経営層に報告するレポートを作成するのに時間がかかる」といった悩みは少なくありません。
この記事では、Marketoダッシュボードの種類と基本機能、レポート作成方法、Performance Insightsダッシュボードの最適化、高度な分析機能(Adobe Marketo Measureなど)と外部ツール連携までを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- Marketoには複数のダッシュボード(メールプログラム、リードデータベース、パフォーマンスインサイト、ROI等)がある
- リアルタイムでデータ更新され、視覚的にパフォーマンス指標を把握できる
- レポート作成はプログラム右クリック→新規ローカルアセット→レポートで簡単に作成可能
- Performance Insightsダッシュボードを最適化するには、すべてのプログラムに期間コストと成功ステータスを設定
- Adobe Marketo Measure(旧Bizible)によるマルチタッチアトリビューションで施策の貢献度を正確に測定
- 外部ダッシュボードツール(Databox、Klipfolio等)との連携でさらに高度な分析が可能
Marketoダッシュボードの重要性と活用メリット
Marketoダッシュボードの重要性を理解することが、効果的な活用の第一歩です。
(1) マーケティング施策の可視化が求められる背景
B2Bマーケティングでは、複数のチャネル(メール、ウェビナー、展示会、SNS等)を組み合わせた施策を実施するため、各施策の効果を正確に把握することが重要です。マーケティング施策の可視化により、以下が可能になります:
- ROI(投資対効果)の測定: どの施策にいくら投資し、どれだけの成果が出たかを測定
- 予算配分の最適化: 効果の高い施策に予算を集中し、効果の低い施策を見直し
- 経営層への報告: 数値で施策の成果を示し、予算承認を得やすくする
- チーム内での情報共有: マーケティングチーム全体で施策の進捗状況を共有
(2) ダッシュボードによる迅速な意思決定
Marketoのダッシュボードはリアルタイムでデータ更新されるため、以下のメリットがあります:
- 即座に最新のパフォーマンス指標を把握: メール開封率、クリック率、リード獲得数などを即座に確認
- 施策の改善点を迅速に特定: パフォーマンスが低い施策を早期に発見し、改善策を実施
- 経営会議での迅速な報告: 最新の数値をリアルタイムで共有し、迅速な意思決定を支援
(3) データドリブン組織の構築
MAツールで取得したデータをどう活かすかが、データドリブン組織の成否を握ります:
- データに基づく施策立案: 過去のデータを分析し、次の施策を立案
- 仮説検証のサイクル: 施策を実施→ダッシュボードで効果測定→改善→再実施のサイクルを回す
- 組織全体でのデータ活用文化の醸成: マーケティングだけでなく、営業・経営層もデータを活用
Marketoダッシュボードの種類と基本機能
Marketoには複数のダッシュボードがあり、それぞれ異なる目的で使用します。
(1) メールプログラムダッシュボード(開封率・クリック率等)
メールプログラムダッシュボード: メールキャンペーンの主要指標を視覚的に表示するダッシュボードです。以下の指標を確認できます:
- 配信数: メールを配信したリード数
- 開封率: メールを開封したリードの割合
- クリック率: メール内のリンクをクリックしたリードの割合
- 配信停止率: メール配信を停止したリードの割合
- バウンス率: 配信エラーの割合
活用ポイント:
- A/Bテスト結果の比較(件名、送信時間、コンテンツ等)
- 業界平均との比較(開封率・クリック率が業界平均を上回っているか)
- 改善施策の立案(開封率が低い場合は件名を見直す等)
(2) リードデータベースダッシュボード(リード数・獲得ソース等)
リードデータベースダッシュボード: リードの主要属性を迅速に把握するためのダッシュボードです。スナップショットとして以下の情報を表示します:
- リード合計数: ワークスペース内の全リード数
- リーチ可能なリード数: メール配信可能なリード数(配信停止を除く)
- 上位5件のリード獲得ソース: どのチャネルから最もリードを獲得しているか
このダッシュボードを定期的に確認することで、リード獲得状況を把握し、獲得ソースの最適化に役立てることができます。
(3) パフォーマンスインサイトダッシュボード(総合分析)
パフォーマンスインサイトダッシュボード: マーケティングプログラムの効果を包括的に分析・可視化するダッシュボードです。以下の分析が可能です:
- プログラム別の成果(リード獲得数、コンバージョン率、ROI等)
- チャネル別の効果(メール、ウェビナー、展示会等)
- 期間別のトレンド分析(月次、四半期、年次等)
- 予算対効果の分析(投資額に対する成果)
パフォーマンスインサイトダッシュボードを効果的に活用するには、プログラムの設定(期間コスト、獲得プログラム、成功ステータス等)が適切に行われている必要があります。
(4) ROIダッシュボード(投資対効果測定)
ROIダッシュボード: マーケティング施策の投資対効果(Return on Investment)を測定・表示するダッシュボードです。以下の指標を確認できます:
- 投資額(各プログラムの期間コスト)
- 成果(獲得リード数、商談化数、受注数、受注金額等)
- ROI(投資額に対する収益の割合)
ROIダッシュボードを活用することで、どの施策が最も費用対効果が高いかを特定し、予算配分を最適化できます。
(5) リアルタイム更新と視覚的な表示
Marketoのダッシュボードは、リアルタイムでデータが更新され、即時に最新のパフォーマンス指標を把握できます。また、グラフやチャートで視覚的に表示されるため、数値の傾向を直感的に理解しやすいのが特徴です。
レポートとダッシュボードの作成方法
Marketoでのレポート作成は、プログラム内で簡単に実施できます。
(1) 基本的なレポート作成手順(プログラム右クリック→新規ローカルアセット→レポート)
Marketoのレポートは、以下の手順で作成します:
- プログラム上で右クリック: マーケティング活動→プログラムを開き、レポートを作成したいプログラム上で右クリック
- [新規ローカルアセット]を選択: メニューから[新規ローカルアセット]を選択
- [レポート]を選択: レポートを選択
- レポート名と詳細を入力: 用途に合わせた名前と詳細を入力
- レポートの種類を選択: リード、プログラム、ランディングページ、メール、ソーシャルアセット等から選択
(2) レポートの種類選択(リード・プログラム・ランディングページ・メール等)
Marketoでは、以下の種類のレポートを作成できます:
リードレポート:
- リードの属性(業種、企業規模、役職等)別の分析
- リードの行動(Webサイト訪問、メール開封等)別の分析
- リードスコア別の分析
プログラムレポート:
- プログラム別の成果(リード獲得数、コンバージョン率等)
- チャネル別の効果(メール、ウェビナー等)
- 期間別のトレンド分析
ランディングページレポート:
- ランディングページ別の訪問数、コンバージョン率
- A/Bテスト結果の比較
メールレポート:
- メール別の開封率、クリック率
- 配信停止率、バウンス率
ソーシャルアセットレポート:
- ソーシャルメディア経由の流入数、エンゲージメント
(3) タイムフレームの設定とカスタマイズ
レポート作成後、以下のカスタマイズが可能です:
- タイムフレームの変更: 対象期間を変更(先月、先週、過去30日間等)
- フィルターの設定: 特定の条件(業種、企業規模等)でレポートを絞り込み
- グラフの種類変更: 棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ等
- 配信登録: レポートを定期的にメールで配信
(4) レポートのExcelエクスポート
MarketoのレポートはExcelにエクスポート可能です。エクスポートしたデータを使って、以下の活用ができます:
- 経営層への報告資料作成: PowerPointやExcelで報告資料を作成
- 詳細な分析: Excelのピボットテーブルやグラフ機能で詳細分析
- 他のツールとの連携: BIツールやデータウェアハウスにデータをインポート
Performance Insightsダッシュボードの最適化
Performance Insightsダッシュボードを最大限活用するには、適切な設定が必要です。
(1) すべてのプログラムに期間コストを設定
期間コストとは: 特定期間のマーケティング施策にかかるコストです。Marketoでは、各プログラムに期間コストを設定することで、ROI分析が可能になります。
設定方法:
- プログラムを開く
- 「セットアップ」→「期間コスト」を選択
- 期間コストを入力(例:2024年11月の施策に100,000円投資)
注意点:
- プログラムに期間コストが設定されていない場合、Performance Insightsダッシュボードに結果が表示されないことがある
- すべてのプログラムに期間コストを設定するか、パフォーマンスインサイト設定で「アクティビティ期間」を使用するよう変更する
(2) 獲得プログラムと獲得日の適切な設定
獲得プログラム: リードを最初に獲得したプログラムです。正確なアトリビューション分析には、獲得プログラムが適切に設定されている必要があります。
獲得日: リードが最初に獲得された日付です。
設定のポイント:
- リードがフォームに入力したときに、自動的に獲得プログラムと獲得日が設定されるように設定
- すべてのプログラムで獲得プログラムと獲得日が適切に設定されているか定期的に確認
(3) 1マーケティング活動 = 1プログラムのベストプラクティス
ベストプラクティス: 1つのマーケティング活動を1つのプログラムとして設定することで、トラッキングとレポーティングの精度が向上します。
例:
- ウェビナー1回 = 1プログラム
- メールキャンペーン1回 = 1プログラム
- 展示会1回 = 1プログラム
避けるべき設定:
- 1つのマーケティング活動を複数のプログラムに分割すると、レポーティングの精度が低下する
(4) 各プログラム内に成功ステータス更新のスマートキャンペーンを設定
成功ステータス: プログラムの目標を達成したメンバーに付与されるステータスです。コンバージョンの定義として使用します。
設定方法:
- プログラム内でスマートキャンペーンを作成
- トリガー: フォーム入力完了、ウェビナー参加等
- フロー: プログラムステータスを「成功」に変更
重要性:
- 各プログラム内に成功ステータスを更新するスマートキャンペーンが設定されていないと、正確なアトリビューション分析ができない
- 成功ステータスにより、どのプログラムが最も成果を上げたかを測定できる
(5) CRMパッケージのセットアップの定期的な見直し
MarketoとCRM(Salesforce等)の連携設定は、年に一度見直すことが推奨されます:
- すべてのページレイアウトが正しく設定されているか確認
- データ同期が正しく機能しているか確認
- カスタムフィールドが適切に連携されているか確認
高度な分析機能と外部ツール連携
Marketoの標準ダッシュボードに加え、高度な分析機能と外部ツール連携により、さらに詳細な分析が可能です。
(1) Adobe Marketo Measure(旧Bizible)によるマルチタッチアトリビューション
Adobe Marketo Measureとは: 旧Bizibleで、マルチタッチアトリビューションによりマーケティング施策の効果を測定するツールです。カスタマージャーニーのあらゆる接点(タッチポイント)での貢献度を分析します。
マルチタッチアトリビューションの利点:
- コンバージョンに至るまでの複数のタッチポイント(メール、ウェビナー、展示会等)に適切に貢献度を配分
- どのチャネル・どのコンテンツが最も効果的かを正確に測定
- ROI分析の精度向上
利用可能なモデル:
- 重み付けされたマルチタッチモデル
- カスタムモデル(自社独自の重み付けルールを設定)
- マシンラーニング(機械学習)モデル(AIが最適な重み付けを自動計算)
※Adobe Marketo Measureは特定のプランでのみ利用可能な場合があるため、詳細は公式サイトで確認してください。
(2) GA4とMarketoの連携(CIDとリードIDの紐付け)
2024年以降、GA4(Google Analytics 4)とMarketoを連携し、CID(クライアントID)とMarketoのリードIDを関連付けることで、収益貢献度を正確に測定する手法が提案されています。
連携のメリット:
- GA4のアクセスデータとMarketoのリードデータを統合
- どのマーケティングチャネルが最も収益に貢献しているかを測定
- カスタマージャーニーの全体像を把握
連携の手順:
- GA4でCID(クライアントID)を取得
- MarketoのフォームにCIDを隠しフィールドとして追加
- フォーム送信時にCIDとリードIDを紐付け
- GA4とMarketoのデータを統合分析
(3) 外部ダッシュボードツール(Databox、Klipfolio等)との連携
Marketoの標準ダッシュボードでは表示できない高度な分析を行うために、外部ダッシュボード構築ツールとの連携が活用されています。
代表的な外部ダッシュボードツール:
- Databox: マーケティングデータの一元管理と可視化
- Klipfolio: リアルタイムダッシュボード構築
- Tableau: 高度なデータ分析とビジュアライゼーション
- Power BI: Microsoftのビジネスインテリジェンスツール
連携のメリット:
- Marketoのデータを他のツール(CRM、Google Analytics、広告プラットフォーム等)のデータと統合
- カスタマイズ可能なダッシュボードで自社独自の分析を実現
- 経営層への報告資料を自動生成
連携方法:
- MarketoのREST APIを使用してデータを取得
- 外部ダッシュボードツールにデータをインポート
- ダッシュボードを構築
(4) 重み付けモデル、カスタムモデル、機械学習モデルの活用
Adobe Marketo Measureでは、以下のアトリビューションモデルが利用可能です:
重み付けされたマルチタッチモデル:
- ファーストタッチ、リード生成タッチ、オポチュニティ生成タッチ、クローズタッチに異なる重み付けを設定
- 例:ファーストタッチ20%、リード生成30%、オポチュニティ生成30%、クローズ20%
カスタムモデル:
- 自社独自の重み付けルールを設定
- 業種・ビジネスモデルに応じた柔軟な設定が可能
マシンラーニング(機械学習)モデル:
- AIが過去のデータを分析し、最適な重み付けを自動計算
- データが蓄積されるほど精度が向上
まとめ:Marketoダッシュボードで成果を可視化するために
Marketoダッシュボードは、マーケティング施策の効果を可視化し、迅速な意思決定を支援する強力な機能です。適切な設定と活用により、データドリブン組織を構築できます。
Marketoダッシュボード活用成功のポイント:
- メールプログラム、リードデータベース、パフォーマンスインサイト、ROIなど複数のダッシュボードを目的別に使い分ける
- リアルタイム更新と視覚的な表示により、即座に最新のパフォーマンス指標を把握
- プログラム右クリック→新規ローカルアセット→レポートで簡単にレポート作成
- Performance Insightsダッシュボードを最適化するため、すべてのプログラムに期間コストと成功ステータスを設定
- 1マーケティング活動 = 1プログラムのベストプラクティスを守る
- Adobe Marketo Measureでマルチタッチアトリビューションを活用し、施策の貢献度を正確に測定
- GA4との連携でカスタマージャーニーの全体像を把握
- 外部ダッシュボードツール(Databox、Klipfolio等)との連携で高度な分析を実現
注意点:
- ダッシュボードに表示される数値は施策の成功を直接示すわけではなく、「どの数値が施策に影響を与えているか」を解釈する分析力が必要
- プログラムの設定(期間コスト、獲得プログラム、成功ステータス)が適切でないと、正確な分析ができない
- ダッシュボードやレポートの設定には専門知識が必要な場合があり、自社で対応困難な場合はコンサルタントへの依頼を検討
次のアクション:
- Marketoの各ダッシュボードにアクセスし、表示される指標を確認する
- プログラム右クリック→新規ローカルアセット→レポートで試しにレポートを作成する
- すべてのプログラムに期間コストと成功ステータスが設定されているか確認する
- 獲得プログラムと獲得日が適切に設定されているか確認する
- Adobe Marketo Measure(旧Bizible)の利用を検討する(利用可能なプランか確認)
- GA4との連携方法を調査し、CIDとリードIDの紐付けを検討する
- 外部ダッシュボードツール(Databox、Klipfolio等)との連携を検討する
- Marketoの最新情報(新機能、ベストプラクティス等)を公式サイトで確認する
Marketoダッシュボードを正しく設定・活用し、マーケティング施策の効果を可視化してデータドリブン組織を構築しましょう。
