ファネルとは?マーケティングファネルの種類・分析・活用方法を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/20

ファネルの活用に悩んでいませんか?

「見込み顧客はいるのに、なぜか成約につながらない...」

マーケティング・営業担当者の多くが、顧客獲得プロセスの可視化と最適化に課題を抱えています。どの段階で顧客が離脱しているのか、どのプロセスにボトルネックがあるのかが分からず、効果的な改善策を打てない状態が続いています。

この記事では、マーケティングファネルの基本・種類・分析方法・活用事例を、B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業実務担当者向けに解説します。2024年の最新モデルも含めた実践的な内容です。

この記事のポイント:

  • ファネルは見込み顧客が認知から購入まで段階的に減少する様子を逆三角形で図式化したもの
  • パーチェスファネル(認知→購入)、インフルエンスファネル(継続→発信)、ダブルファネルの3種類が基本
  • ファネル分析で離脱ポイント・離脱率を特定し、改善施策を立案
  • ファネルは「人数」把握、カスタマージャーニーは「心理・行動」把握に主眼を置く
  • 2024年はルーピングファネル・マイクロモーメンツファネル等の新モデルが注目

ファネルとは?マーケティングで重要視される理由

ファネルは、マーケティング・営業プロセスの可視化と最適化のための基本ツールです。

(1) ファネルの定義と語源

**ファネル(Funnel)**は、直訳すると「漏斗」のことで、見込み顧客が認知から購入まで段階的に減少していく様子を、逆三角形の漏斗状に図式化したものです。

ファネルの基本構造:

【認知】       ← 広い(人数が多い)
  ↓
【興味・関心】
  ↓
【比較・検討】
  ↓
【購入】       ← 狭い(人数が少ない)

認知から購買へ進む各段階で、見込み顧客数は徐々に減少します。この形状が漏斗(ファネル)に似ているため、マーケティングファネルと呼ばれています。

(2) B2Bマーケティングにおけるファネルの役割

B2Bマーケティングでは、リードタイムが長く、複数の意思決定者が関与するため、ファネルの重要性が特に高くなります。

ファネルの主な役割:

  • 全体像の可視化: 認知から購入までのプロセス全体を俯瞰し、どの段階でどれだけの顧客がいるかを把握
  • ボトルネックの特定: 離脱率が高いプロセスを特定し、優先的に改善すべき箇所を明確化
  • 施策の効果測定: 施策実施前後でファネルの変化を比較し、効果を定量的に評価
  • チーム間の共通言語: マーケティング・営業・カスタマーサクセスが共通のファネルを参照し、連携を強化

ファネルを活用するメリット:

  • コンバージョン率向上: 離脱ポイントを改善することで、全体のコンバージョン率を向上
  • リソース最適化: ボトルネックに集中的にリソースを投下し、効率的に成果を創出
  • データドリブンな意思決定: 「何となく」ではなく、数値に基づいて施策を決定

ファネルの基礎知識と主要な種類

ファネルには、主に3種類のモデルがあります。

(1) パーチェスファネル(認知→購入)

**パーチェスファネル(Purchase Funnel)**は、顧客が商品を「認知」してから「購入」に至るまでのプロセスを図式化したファネルで、最も基本的なモデルです。

一般的な4段階:

  1. 認知(Awareness): 製品・サービスを知る
  2. 興味・関心(Interest): 興味を持ち、詳細を調べる
  3. 比較・検討(Consideration): 他社製品と比較し、検討する
  4. 購入(Purchase): 購入を決定し、契約する

B2B企業でのパーチェスファネルの細分化: B2B企業では、リードタイムが長いため、各段階をさらに細かく設定することが一般的です。

  • MQL(Marketing Qualified Lead): マーケティング活動で獲得した見込み度の高いリード
  • SQL(Sales Qualified Lead): 営業が引き継ぐべき見込み度の高いリード
  • SAL(Sales Accepted Lead): 営業が受け入れたリード
  • 商談化: 提案・見積もり提示
  • 受注: 契約締結

この細分化により、マーケティングと営業の役割分担が明確になり、各段階の責任者が特定されます。

(2) インフルエンスファネル(継続→発信)

**インフルエンスファネル(Influence Funnel)**は、購入後の顧客が「継続」「紹介」「発信」を通じて次の顧客に影響を与えるプロセスを図式化したファネルです。

一般的な3段階:

  1. 継続(Retention): 継続利用・リピート購入
  2. 紹介(Referral): 友人・同僚に紹介
  3. 発信(Advocacy): SNS・レビューサイトで発信・拡散

B2B SaaSビジネスでの重要性: B2B SaaSビジネスでは、新規顧客獲得コストが高いため、既存顧客の継続率(Retention)向上と、紹介・拡散による新規顧客獲得が重要です。

インフルエンスファネルの効果:

  • 既存顧客のLTV(顧客生涯価値)向上
  • 紹介による新規顧客獲得コストの削減
  • 発信による認知拡大とブランド構築

(3) ダブルファネル(購入前後を一貫管理)

**ダブルファネル(Double Funnel)**は、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたもので、購入前後の顧客行動を一貫して管理するモデルです。

ダブルファネルの構造:

【認知】       ← パーチェスファネル(購入前)
  ↓
【興味・関心】
  ↓
【比較・検討】
  ↓
【購入】       ← パーチェス・インフルエンスの接点
  ↓
【継続】       ← インフルエンスファネル(購入後)
  ↓
【紹介】
  ↓
【発信】

ダブルファネルのメリット:

  • 購入前後のプロセスを一貫して可視化し、全体最適を実現
  • 購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)を次の顧客獲得につなげる
  • カスタマーサクセスチームとマーケティングチームの連携を強化

2024年のTHE MODELトレンドでは、BtoBマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスにわたるファネル全体の最適化が重視されています。

ファネル分析の方法と具体的手順

ファネル分析は、コンバージョン率を向上させるための具体的な改善施策を立案するための分析手法です。

(1) 各段階の設定と顧客行動の分解

ファネル分析の最初のステップは、顧客行動を段階ごとに分解し、各段階を定義することです。

設定例(B2B SaaS企業):

  1. Webサイト訪問: 1,000人
  2. 資料請求: 100人(訪問者の10%)
  3. 無料トライアル登録: 50人(資料請求者の50%)
  4. 商談: 20人(トライアル登録者の40%)
  5. 受注: 10人(商談の50%)

このように、各段階の人数を設定することで、全体像が可視化されます。

(2) 離脱率の集計と離脱ポイントの特定

各段階から次の段階に進んだ人の数字を集計し、離脱率が高いプロセスを特定します。

離脱率の計算:

  • 資料請求→無料トライアル登録: 100人→50人(離脱率50%)
  • 無料トライアル登録→商談: 50人→20人(離脱率60%)
  • 商談→受注: 20人→10人(離脱率50%)

この例では、「無料トライアル登録→商談」の離脱率が60%と最も高く、ここがボトルネックであることが分かります。

(3) 改善施策の立案と実施

離脱ポイントを特定したら、離脱原因を分析し、具体的な改善施策を立案します。

改善施策の例(無料トライアル登録→商談の離脱率改善):

原因仮説:

  • トライアル期間中にサポートが不足している
  • トライアル期間中に製品の価値を十分に体験できていない
  • トライアル終了後のフォローアップが不足している

改善施策:

  • オンボーディングメール: トライアル登録直後に、使い方ガイドを送付
  • ウェビナー開催: トライアル期間中に、活用方法を解説するウェビナーを開催
  • 個別サポート: トライアル期間中に、担当者が1on1でサポート
  • リマインドメール: トライアル期間終了3日前に、商談を促すメールを送付

これらの施策を実施し、A/Bテストで効果を検証します。施策実施後、離脱率が改善されたかをファネル分析で確認し、さらなる最適化を図ります。

ファネルの活用事例とベストプラクティス

ファネルを実務で活用する際の具体例とベストプラクティスを解説します。

(1) 業種別のファネル設計事例

ファネルの設計は、業種・商品・顧客属性により異なります。

SaaS企業の例: 認知 → 資料請求 → 無料トライアル → 商談 → 受注 → 継続 → アップセル → 紹介

製造業(B2B)の例: 認知 → 問い合わせ → 訪問 → デモ・サンプル提供 → 見積もり → 商談 → 受注 → リピート

コンサルティング企業の例: 認知 → セミナー参加 → 個別相談 → 提案 → 契約 → プロジェクト実施 → 継続契約

自社のビジネスモデルに合わせて、ファネルの段階を設定することが重要です。

(2) B2B企業での長期リードタイム対応

B2B企業では、リードタイム(認知から購入までの期間)が長いため、各段階を細かく設定し、継続的なナーチャリング(育成)が必要です。

長期リードタイム対応のポイント:

  • 各段階の細分化: MQL・SQL・SAL等、明確な定義で段階を細分化
  • ナーチャリング施策: メールマーケティング、ウェビナー、ホワイトペーパー等で定期的に接触
  • スコアリング: リードの見込み度を数値化し、優先順位を設定
  • THE MODELの採用: マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの分業体制とファネルを連動

THE MODELでは、各チームが担当するファネルの段階を明確にし、バトンタッチのルールを決めることで、効率的なリード管理が実現します。

(3) ファネルとカスタマージャーニーの使い分け

ファネルとカスタマージャーニーは、目的に応じて使い分けることが重要です。

ファネル:

  • 主眼: 各段階の「人数」に主眼を置く
  • 用途: 全体像の把握、ボトルネックの特定、施策の効果測定
  • 適している場面: 経営層への報告、マーケティング・営業の連携

カスタマージャーニー:

  • 主眼: 各段階の「心理や行動」に主眼を置く
  • 用途: 顧客の詳細な心理・行動の可視化、具体的な施策立案
  • 適している場面: コンテンツ企画、UI/UX改善、顧客体験の設計

両方を併用するベストプラクティス:

  1. ファネルで全体像を把握: どの段階で離脱が多いかを特定
  2. カスタマージャーニーで詳細分析: その段階の顧客の心理・行動を深掘り
  3. 具体的な施策を立案: カスタマージャーニーから得たインサイトを元に施策を設計
  4. ファネルで効果を測定: 施策実施後、ファネルの変化を確認

このサイクルを回すことで、データドリブンな改善が実現します。

最新のファネルモデルと今後のトレンド

従来のパーチェスファネルは、デジタル化により顧客行動が複雑化したため「古い」との指摘があり、新しいモデルが注目されています。

(1) ルーピングファネル(円形モデル)

ルーピングファネルは、認知から発信までを円形(ループ)で示したファネルで、顧客が継続的に購買サイクルに戻ることを前提としたモデルです。

ルーピングファネルの特徴:

  • 循環型: 購入後の顧客が「発信」を通じて新規顧客の「認知」につながり、サイクルが循環
  • 顧客の能動的な行動: SNSやレビューサイトでの発信により、顧客自身がマーケターとなる
  • リピート前提: サブスクリプション型ビジネスやリピート購入を前提としたモデル

ルーピングファネルは、従来のパーチェスファネル(直線的)に対し、顧客が継続的に関与する現代のビジネスモデルに適合しています。

(2) マイクロモーメンツファネル(瞬間対応)

マイクロモーメンツファネルは、瞬間的な「今すぐほしい」要求に対応したファネルで、スマートフォン普及により重要性が増しているモデルです。

マイクロモーメンツファネルの特徴:

  • 瞬間的な購買意欲: スマホで「今すぐ調べる」「今すぐ買う」といった瞬間的な行動に対応
  • 短時間で意思決定: 従来のファネルのように段階的ではなく、短時間で購入まで進む
  • モバイル最適化: スマホでの検索・購入を前提としたUI/UX設計が必須

マイクロモーメンツファネルは、EC・D2C等のBtoC領域で特に重要ですが、BtoB領域でも「今すぐ資料請求」「今すぐウェビナー申込」といった瞬間的な行動に対応する必要があります。

(3) 従来モデルとの比較と適用シーン

従来のパーチェスファネル:

  • 適している場面: リードタイムが長い、複数の意思決定者が関与する、BtoB企業
  • メリット: 全体像の可視化、ボトルネックの特定
  • デメリット: 顧客行動の複雑化に対応しきれない

新モデル(ルーピング・マイクロモーメンツ):

  • 適している場面: サブスクリプション型ビジネス、リピート購入前提、BtoC・D2C企業
  • メリット: 購入後の顧客行動を含めた一貫管理、瞬間的な購買意欲に対応
  • デメリット: 設計・管理が複雑

推奨される使い分け:

  • BtoB企業: 従来のパーチェスファネル + ダブルファネル(購入後も管理)
  • BtoC・D2C企業: ルーピングファネル + マイクロモーメンツファネル
  • SaaS企業: ダブルファネル + ルーピングファネル(継続的な関与を前提)

自社の顧客行動に合致するモデルを選択することが重要です。

まとめ:効果的なファネル活用のポイント

ファネルは、マーケティング・営業プロセスの可視化と最適化のための基本ツールです。

ファネル活用のチェックリスト:

基本:

  • 自社のビジネスモデルに合わせたファネルの段階を設定した
  • 各段階の人数を定期的に集計し、ファネルを可視化している
  • 離脱率が高いプロセスを特定し、ボトルネックを明確化した
  • 離脱原因を分析し、具体的な改善施策を立案・実施している

B2B企業:

  • リードタイムが長いため、各段階を細かく設定(MQL・SQL・SAL等)している
  • THE MODELのような分業体制とファネルを連動させている
  • ナーチャリング施策(メール・ウェビナー等)で継続的に接触している

購入後の管理:

  • ダブルファネルで購入前後のプロセスを一貫して管理している
  • 継続率・紹介率・発信率を測定し、インフルエンスファネルを最適化している

最新モデルの検討:

  • 自社の顧客行動がルーピングファネルやマイクロモーメンツファネルに適合するか検討した
  • 従来モデルと新モデルを併用し、全体最適を実現している

ファネルとカスタマージャーニーの併用:

  • ファネルで全体像を把握し、カスタマージャーニーで詳細施策を立案している
  • 両方を活用して、データドリブンな改善サイクルを回している

次のアクション:

  • 自社のファネルの段階を設定し、各段階の人数を集計する
  • 離脱率が高いプロセスを特定し、原因を分析する
  • 改善施策を立案し、A/Bテストで効果を検証する
  • ファネルとカスタマージャーニーを併用し、全体最適を実現する
  • 最新モデル(ルーピング・マイクロモーメンツ)の適用を検討する

※ファネルモデルは業種・商品・顧客属性により適用方法が異なります。自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。(この記事は2024年時点の情報です)

ファネルを効果的に活用し、顧客獲得プロセスの可視化と最適化を実現しましょう。

よくある質問

Q1ファネル分析に特別なツールは必要ですか?

A1基本的にはGoogle Analytics等の無料ツールで実施可能です。各段階の人数を集計し、離脱率を計算することで、ファネル分析ができます。高度な分析にはAdobe Analytics、Amplitude等の有料ツールが有効です。

Q2ファネルとカスタマージャーニーはどう使い分けますか?

A2ファネルは各段階の「人数」把握、カスタマージャーニーは「心理・行動」把握に主眼を置きます。全体像把握にはファネル、具体的施策立案にはカスタマージャーニーが適しています。両方を併用することで、データドリブンな改善が実現します。

Q3パーチェスファネルは古いモデルですか?

A3デジタル化で顧客行動が複雑化し「古い」との指摘もありますが、基本的な考え方は有効です。ルーピングファネル等の新モデルと併用することで、効果的に活用できます。自社の顧客行動に合ったモデルを選択しましょう。

Q4ファネル分析で離脱率が高い場合の対策は何ですか?

A4離脱ポイントを特定後、A/Bテストで改善施策を検証します。コンテンツ改善、UI/UX最適化、ナーチャリング強化(メール・ウェビナー等)などを実施し、効果を測定しながら最適化を図りましょう。

Q5B2B企業でのファネル設計の注意点は何ですか?

A5リードタイムが長いため、各段階を細かく設定(MQL・SQL・SAL等)することが重要です。THE MODELのような分業体制とファネルを連動させ、マーケティング・営業・カスタマーサクセスの役割を明確にしましょう。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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