MAツールの機能を理解して、自社に最適なツールを選ぼう
「MAツールにはどんな機能があるの?」「どの機能が必要か分からない...」
B2B企業のマーケティング担当者にとって、MAツール選びは重要な判断です。機能が多すぎて何を基準に選べばよいか迷うケースが少なくありません。
この記事では、MAツールの主要機能を8カテゴリに分類し、自社に必要な機能の見極め方を解説します。
この記事のポイント:
- MAツールは「リードジェネレーション(獲得)」「リードナーチャリング(育成)」「リードクオリフィケーション(選別)」の3つの役割を担う
- 主要機能は8カテゴリ:リード管理、メール配信、スコアリング、シナリオ設計、Webトラッキング、LP/フォーム作成、レポート、CRM/SFA連携
- ツールは3タイプに分類:「導入しやすさ型」「シナリオ重視型」「多機能・CRM連携型」
- 多機能なツールほど高価格。使いこなせる最低限の機能から始めるのがベスト
- 国内DMP/MA市場は2026年に865億円規模に成長予測(矢野経済研究所)
1. マーケティングオートメーションツールとは:市場規模と導入トレンド
(1) MAツールの定義と役割(獲得・育成・選別)
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。
MAツールの3つの役割:
- リードジェネレーション(獲得): 見込み顧客を獲得する活動
- リードナーチャリング(育成): 見込み顧客を育成し、購買意欲を高めるプロセス
- リードクオリフィケーション(選別): 購買意識の高いリードを選別・抽出するプロセス
自社の課題がどのフェーズにあるかで、選ぶべきツールや重視すべき機能が変わります。
(出典: SATORI公式「マーケティングオートメーション(MA)とは?基本とツールの選び方」https://satori.marketing/marketing-blog/marketing-automation/)
(2) 国内MA市場規模とAI搭載ツールの進化
矢野経済研究所の調査によると、国内のDMP/MA市場は2026年に865億円規模に成長すると予測されています。
市場拡大の背景:
- BtoB企業のデジタルシフト加速
- 非対面営業の重要性増加
- AI技術の進化により、単なる自動化ツールから戦略的活用ツールへ進化
2024-2025年はAI搭載MAツールが増加し、マーケターの経験や勘に頼らずデータドリブンな施策立案を支援する動きが加速しています。
(出典: 矢野経済研究所「国内のデジタルマーケティング市場に関する調査」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3239)
(3) 非対面営業時代におけるMAツールの重要性
コロナ禍以降、非対面での顧客接点が重要視され、見込み顧客の行動データを活用したMAツールの需要が急増しています。
非対面営業でのMAツール活用:
- Webサイト訪問履歴から顧客の関心領域を把握
- ウェビナー参加者へのフォローアップ自動化
- オンライン展示会で獲得したリードの育成
- 営業訪問なしでホットリードを抽出し、商談化
MAツールは、非対面営業時代の「顧客理解」と「効率的なアプローチ」を支える重要なツールとなっています。
2. MAツールの主要機能8カテゴリ
(1) リード管理機能
リード(見込み顧客)の情報を一元管理する機能です。
リード管理でできること:
- フォーム入力やLP訪問でリード情報を自動取得
- リード情報のセグメント分類(業種、企業規模、関心領域等)
- 重複リードの自動統合
- リード情報の検索・抽出
リード情報が散在せず、マーケティング部門と営業部門でデータを共有できます。
(出典: ITトレンド「マーケティングオートメーション(MA)ツールの機能一覧」https://it-trend.jp/marketing_automation_tool/article/function)
(2) メール配信機能とステップメール
メール配信を自動化し、効果測定も可能な機能です。
メール配信でできること:
- セグメント別の一斉配信(業種別、関心領域別等)
- ステップメール(あらかじめ設定したシナリオに基づき段階的に自動配信)
- 顧客の行動トリガー配信(資料DL後に事例紹介メール等)
- 開封率・クリック率・コンバージョン率の測定
- A/Bテスト機能(件名・本文・CTAを最適化)
手動でのメール配信作業が削減され、マーケティング担当者はより戦略的な業務に集中できます。
(3) スコアリング機能:行動の数値化と受注確度判断
スコアリング機能は、見込み顧客の行動に点数を付けて興味度を数値化します。
スコアリングの仕組み:
- メール開封: +5点
- LP訪問: +10点
- 価格ページ閲覧: +20点
- 資料DL: +30点
「機能ページ・価格ページを何回閲覧している」など行動を数値化し、受注確度を客観的に判断できます。営業への引き渡しタイミングを最適化し、商談化率の向上につながります。
(出典: SATORI公式「マーケティングオートメーション(MA)とは?基本とツールの選び方」)
(4) シナリオ設計機能:パーソナライズされた自動化
シナリオ設計機能は、顧客の属性や行動に応じた最適なマーケティング施策の手順を構築します。
シナリオ設計でできること:
- 「最適なタイミング」「理想的なマーケティング施策」の手順を構築
- 行動に応じた分岐設定(メール開封者は次のステップへ、未開封者はリマインド送信)
- 営業への自動通知(スコアが一定以上になったら営業に通知)
- 休眠顧客の掘り起こし施策(一定期間反応がない場合は別のアプローチ)
顧客の属性や行動に応じたパーソナライズされたアプローチを自動化し、オペレーションミスの防止と作業効率化を実現できます。
(出典: SHANON「マーケティングオートメーション(MA)とは?ツールの機能や成功事例を解説」https://www.shanon.co.jp/blog/entry/ma/)
(5) Webトラッキング機能
Webトラッキング機能は、見込み顧客のWebサイト閲覧履歴を追跡・記録します。
Webトラッキングでできること:
- どのページを何回見たかを可視化
- 訪問回数・滞在時間の記録
- 閲覧ページに応じたスコア加点
- 営業へのアラート通知(価格ページを複数回閲覧した企業等)
「どの企業が、どのページを、何回見ているか」を可視化し、営業アプローチのタイミングを逃しません。
(6) LP・フォーム作成機能
ランディングページやフォームを作成し、リード情報を収集する機能です。
LP・フォーム作成でできること:
- ノーコード・ドラッグ&ドロップで作成(IT知識不要)
- テンプレート活用でキャンペーン立ち上げを迅速化
- フォーム入力情報を自動的にリードレコードとして保存
- ABテスト機能で複数のLPを比較検証
専門知識がなくても直感的に操作でき、マーケティング担当者が自走できる点が利点です。
(7) レポート・分析機能
マーケティング施策の効果を測定し、レポート化する機能です。
レポート・分析でできること:
- メール開封率・クリック率・コンバージョン率の測定
- リード獲得数・商談化率・成約率の推移
- どのキャンペーンが成約に貢献したか(ROI測定)
- ダッシュボードでKPIを可視化
データドリブンな施策立案を支援し、効果的な施策に予算を集中できます。
(8) CRM/SFA連携機能
CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)と連携する機能です。
CRM/SFA連携でできること:
- リード情報をCRMと双方向同期(リアルタイムまたは定期)
- 商談化したリードの追跡(マーケティング施策と成約の紐付け)
- 営業担当者がCRM画面から見込み顧客の行動履歴を確認
- 営業とマーケティングのデータ統合
マーケティング部門が獲得したリードを営業部門がスムーズに引き継ぎ、リード獲得から商談化、成約までを一気通貫で管理できます。
(出典: Salesforce公式「マーケティングオートメーション(MA)とは?基本から選び方のポイントまで」https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/marketing/what-is-ma/)
3. 機能タイプ別ツール分類と選び方
(1) はじめてでも安心導入型(BowNow等)
シンプルな機能と安価な料金で、初めてMAツールを導入する企業に適したタイプです。
特徴:
- 基本機能(リード管理、メール配信、Webトラッキング)に特化
- 操作がシンプルで学習コストが低い
- 月額1.5万円〜の低価格帯
- 国産ツールが多く、日本語サポート充実
代表的なツール:
- BowNow(国内シェア1位)
- List Finder
- GENIEE MA
(出典: BowNow「【2025年最新】MAツールとは?基礎から製品比較・事例まで」https://bow-now.jp/media/column/marketing_automation/)
(2) シナリオ重視型(SATORI等)
シナリオ設計機能を重視し、パーソナライズされたマーケティング施策を自動化するタイプです。
特徴:
- シナリオ設計機能が充実(複雑な分岐設定が可能)
- スコアリング・グレーディング機能が強力
- 中価格帯(月額10万円前後)
- BtoB企業のリードナーチャリングに強み
代表的なツール:
- SATORI(国産)
- SHANON MARKETING PLATFORM
- Customer Rings
(3) 多機能&CRM完全連携型(Account Engagement、HubSpot等)
CRM/SFAとの完全連携を前提に、多機能を提供するタイプです。
特徴:
- CRM/SFAとのネイティブ連携(データ双方向同期)
- AI機能(コンテンツ生成、データ分析等)搭載
- 高価格帯(月額15万円〜)
- 大企業や中堅企業向け
代表的なツール:
- Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot、Salesforce連携)
- HubSpot(CRM一体型)
- Adobe Marketo Engage
(出典: ASPIC「MAツール比較16選!シンプル・多機能・伴走型などタイプ分け」https://www.aspicjapan.org/asu/article/6256)
(4) フローチャートによる選定ガイド
以下のフローチャートでツールタイプを選定できます。
選定フローチャート:
MAツール導入が初めてか?
- Yes → 「導入しやすさ型」を検討(BowNow、List Finder等)
- No → 2へ
Salesforce/HubSpot CRMを既に導入しているか?
- Yes → 「多機能・CRM連携型」を検討(Account Engagement、HubSpot等)
- No → 3へ
シナリオ設計・ナーチャリング自動化を重視するか?
- Yes → 「シナリオ重視型」を検討(SATORI、SHANON等)
- No → 「導入しやすさ型」を検討
4. BtoB向けとBtoC向けの機能要件の違い
(1) BtoB向け:リードナーチャリングとSFA連携
BtoB企業向けMAツールは、長期的なリード育成と営業連携を重視します。
BtoB向け重要機能:
- リードナーチャリング(長期的な顧客育成、数ヶ月〜1年)
- SFA連携(営業部門との連携、ホットリード引き渡し)
- フォーム作成(問い合わせ・資料DL)
- スコアリング・グレーディング(確度の高いリード抽出)
- ABM(アカウントベースドマーケティング)機能
BtoB企業は「商談型ビジネス」であり、少数の企業に対して長期的にアプローチする特性があります。
(2) BtoC向け:大量データ管理とマルチチャネル対応
BtoC企業向けMAツールは、大量の顧客データ管理とマルチチャネル対応を重視します。
BtoC向け重要機能:
- 大量データ管理(顧客数が数万〜数百万)
- 多チャネル対応(Web、SNS、メール、アプリ、LINE等)
- 行動分析(購買履歴、閲覧履歴の詳細分析)
- セグメント配信(属性・行動による細かいセグメント分け)
- レコメンド機能(購買履歴に基づく商品提案)
BtoC企業は「集客型ビジネス」であり、大量の個人顧客に対して短期的にアプローチする特性があります。
(3) 商談型と集客型の違い
BtoB(商談型)の特徴:
- 顧客数: 少数(数百〜数千社)
- 購買サイクル: 長期(数ヶ月〜1年)
- 営業プロセス: 複雑(提案・見積・稟議・契約)
- 重視機能: リードナーチャリング、SFA連携
BtoC(集客型)の特徴:
- 顧客数: 大量(数万〜数百万人)
- 購買サイクル: 短期(即日〜数日)
- 営業プロセス: シンプル(ECサイトで購入完結)
- 重視機能: 大量データ管理、マルチチャネル対応
自社のビジネスモデルに合わせてツールを選定することが重要です。
5. 機能選定の優先度フレームワークと導入の注意点
(1) 自社の課題フェーズを特定する(獲得/育成/選別)
MAツール導入前に、自社の課題がどのフェーズにあるかを特定します。
課題フェーズの特定:
- リードジェネレーション(獲得): 見込み顧客が足りない → LP/フォーム作成機能、広告連携を重視
- リードナーチャリング(育成): リードは多いが商談化しない → メール配信、シナリオ設計を重視
- リードクオリフィケーション(選別): リードは多いが確度が低い → スコアリング、Webトラッキングを重視
課題フェーズに応じて、優先すべき機能が変わります。
(出典: 日立ソリューションズ「マーケティングオートメーション(MA)とは?ツールの比較・導入時に注目すべき4つのポイント」https://www.hitachi-solutions.co.jp/digitalmarketing/sp/column/ma_vol01/)
(2) 必要最低限の機能から始めるスモールスタート
MAツールは、必要最低限の機能から始めるスモールスタートが推奨されます。
スモールスタートの例:
- 第1段階: メール配信自動化のみ(既存メルマガをMA化)
- 第2段階: Webサイト訪問履歴の追跡を追加
- 第3段階: スコアリング機能を導入、営業連携開始
- 第4段階: シナリオ設計機能でナーチャリング自動化を実装
多機能なツールほど高価格な傾向があります。使いこなせる最低限の機能を備えたツールを選ぶのがベストです。
(3) 料金体系と機能のバランス(月額1.5万〜12万円)
MAツールの料金は、機能の充実度に応じて幅広い価格帯があります。
料金体系の例:
- 低価格帯(月額1.5万〜3万円): BowNow、HubSpot Starter等。基本機能のみ
- 中価格帯(月額10万円前後): SATORI、SHANON等。シナリオ設計・スコアリング機能充実
- 高価格帯(月額15万円〜): Account Engagement、Marketo等。多機能・CRM連携
(出典: SHANON「【2025年最新版】MAツール比較ランキング10選!」https://www.shanon.co.jp/blog/entry/ma_comparison_2025/)
機能を使いこなせなければ無駄なコストになるため、必要最低限の機能から始めることを推奨します。
(4) 目的が不明確なまま導入すると定着しないリスク
MA導入で最も多い失敗が「目的が不明確なまま導入してしまうこと」です。
失敗の原因:
- 導入それ自体が目的化してしまう
- 運用担当者にマーケティングの専門知識が不足
- 既存システムとの連携が不十分で、データが分断
- 効果測定の基準が曖昧で、ROIが見えない
目的が決まっていない状態で導入すると、効果が得られないだけでなく、社内でツールの使用が定着しないことも多いです。導入前に「何のために導入するのか」「どの機能を使うのか」を明確にすることが重要です。
6. まとめ:自社に必要な機能の見極め方
MAツールの機能を理解し、自社に必要な機能を見極めることが成功の鍵です。
重要なポイントのまとめ:
- MAツールの主要機能は8カテゴリ:リード管理、メール配信、スコアリング、シナリオ設計、Webトラッキング、LP/フォーム作成、レポート、CRM/SFA連携
- ツールは3タイプ:「導入しやすさ型」「シナリオ重視型」「多機能・CRM連携型」
- BtoB企業はリードナーチャリング・SFA連携を重視、BtoC企業は大量データ管理・マルチチャネル対応を重視
- 自社の課題フェーズ(獲得/育成/選別)を特定し、優先機能を決める
- 必要最低限の機能から始めるスモールスタートが推奨
MAツール導入を検討すべき企業:
- BtoB商材を扱い、リードナーチャリングが必要
- 月間リード数が100件以上
- マーケティング担当者が1名以上在籍
- 導入目的と必要機能が明確
MAツール導入を見送るべき企業:
- 月間リード数が50件未満(スプレッドシート管理で十分)
- 導入目的が不明確
- マーケティング専任担当者がいない
MAツール導入は手段であり目的ではありません。自社の課題を明確にし、必要な機能を見極め、スモールスタートで始めることが成功の鍵です。
次のアクション:
- 自社の課題フェーズを特定する(獲得/育成/選別)
- 優先すべき機能を3つリストアップする
- ツールベンダーに問い合わせ、機能デモを確認する
- スモールスタートで始め、PDCAを回しながら拡張する
自社に合ったMAツールで、リード管理の効率化と商談化率の向上を実現しましょう。
※この記事は2024年12月時点の情報です。ツール仕様・料金は変更される可能性があるため、導入検討時は公式サイトで最新情報をご確認ください。
