リスティング広告運用の基本と実践ノウハウ|成果を出す手法を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/22

リスティング広告運用とは|なぜ重要なのか

「Web広告を出したいけれど、どこから始めればいいか分からない」「リスティング広告を始めたけれど、成果が出ない」——B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング担当者の多くが、こうした課題を抱えています。

リスティング広告は、検索エンジンの検索結果に表示される広告(検索連動型広告とも呼ばれます)で、ユーザーが特定のキーワードで検索したタイミングで自社の広告を表示できるため、購買意欲の高い見込み客にリーチできる手法です。2023年の日本の検索連動型広告市場は1兆729億円となり、初めて1兆円を突破しました(前年比109.9%)。インターネット広告媒体費全体の39.9%を占める、デジタルマーケティングの中核施策と言えます。

しかし、広告を出稿するだけでは成果は出ません。キーワード選定、広告文の最適化、入札管理、効果測定といった「運用」が成果を左右します。この記事では、リスティング広告の運用方法を、初期設定から改善手法、インハウス運用と代理店委託の判断基準まで、実務担当者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • リスティング広告の運用は「管理(ペーシング)」と「改善(メンテナンス)」の2軸で構成される
  • 費用相場は月額20-30万円、クリック課金制(CPC)で業界・キーワードにより変動
  • キーワードを5-10個に絞ると運用効果が2-10倍向上する事例が多い
  • CV数・CVR・CPA・CTR・CPCの5指標を確認し、除外キーワードや広告文改善で最適化
  • インハウス運用は月額50万円未満・社内リソースがある場合に有効

リスティング広告運用の基礎知識

(1) リスティング広告運用の定義と仕組み

リスティング広告運用とは、広告を出稿した後、継続的に効果測定・改善を行い、成果(コンバージョン)を最大化する業務を指します。運用業務は大きく2つに分かれます。

管理業務(ペーシング):

  • 予算管理(日予算・月予算の調整)
  • 入札管理(クリック単価の調整)
  • アカウント構成の維持

改善業務(メンテナンス):

  • キーワードの追加・削除・除外
  • 広告文のA/Bテスト
  • ランディングページの最適化
  • 効果測定とレポーティング

リスティング広告はクリック課金制(CPC: Cost Per Click)で、広告がクリックされた時点で費用が発生します。検索キーワードに応じて広告が表示されるため、「リスティング広告 運用」と検索したユーザーには、運用代行サービスやツールの広告が表示される、といった仕組みです。

主要なプラットフォームは、Google広告(日本の検索市場の約80%)とYahoo!広告(約9%)の2つです。2025年3月時点では、Googleが圧倒的なシェアを占めているため、まずGoogle広告から始めるのが一般的です。

(2) 費用体系と相場(CPC・CPA・運用代行手数料)

リスティング広告の費用体系は以下の通りです。

広告費(クリック課金制):

  • 月額20-30万円が相場(業界・キーワードにより変動)
  • CPC(クリック単価)は数十円〜数千円(競合が激しい業界では高騰)
  • 不動産・金融・法務などの業界ではCPCが1,000円を超えるケースもある

運用代行手数料(代理店に委託する場合):

  • 広告費の15-20%が一般的
  • 例: 月額広告費30万円の場合、運用代行手数料は4.5万〜6万円

その他の費用:

  • ランディングページ制作費(初期のみ、数万円〜数十万円)
  • 広告文・クリエイティブ制作費(初期のみ、数万円)

初期費用はアカウント開設自体は無料ですが、広告文やランディングページの準備に数万円〜数十万円がかかるケースが多いです。

※2025年12月時点の相場です。料金は変動する可能性があるため、最新情報は各プラットフォーム・代理店の公式サイトをご確認ください。

(3) 市場規模と最新トレンド(2023年1兆円突破)

電通「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、2023年の検索連動型広告市場は1兆729億円(前年比109.9%)となり、初めて1兆円を突破しました。インターネット広告媒体費全体の39.9%を占める、最大の広告手法です。

2025年の主要トレンド:

自動化とAI活用の標準化: 自動入札機能(AIが入札額を自動調整)が進化し、手動運用から自動入札へのシフトが加速しています。Google広告の「スマート自動入札」、Yahoo!広告の「自動入札」などが代表例です。

データドリブン運用の浸透: CV数・CVR・CPA・CTR・CPCといった指標をリアルタイムで分析し、PDCAサイクルを高速で回す運用が一般的になっています。

検索市場の寡占化: Googleが約80%のシェアを占め、Yahoo!が約9%となっており、Googleへの出稿が基本戦略となっています。

運用の準備と初期設定

(1) アカウント構成の設計

リスティング広告のアカウント構成は、以下の階層で設計します。

階層構造:

  • アカウント(企業全体)
    • キャンペーン(目的別:リード獲得、認知拡大など)
      • 広告グループ(テーマ別:製品A、製品Bなど)
        • キーワード(具体的な検索語句)
        • 広告文(クリックを促すコピー)

設計のポイント:

  • キャンペーンは目的別に分ける(例: リード獲得用、リターゲティング用)
  • 広告グループはテーマ別に細分化(例: 製品A、製品B、サービスC)
  • 1つの広告グループに含めるキーワードは5-10個程度に絞る(予算分散を防ぐ)

アカウント構成を適切に設計することで、効果測定がしやすくなり、改善施策を打ちやすくなります。

(2) キーワード選定とマッチタイプの使い分け

キーワード選定は、リスティング広告運用の最重要項目です。

キーワード選定の基本:

  • 検索ボリューム: Googleキーワードプランナーで月間検索数を確認
  • 購買意欲の高さ: 「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」などの顕在層キーワードを優先
  • 競合の強さ: CPCが高騰しているキーワードは避ける(初期は)

マッチタイプの使い分け:

完全一致(Exact Match): 設定したキーワードと完全に一致する検索語句のみに広告を表示。無駄なクリックが少ない。

例: 「リスティング広告 運用」と設定した場合、「リスティング広告 運用」の検索のみ表示。

フレーズ一致(Phrase Match): 設定したキーワードを含む検索語句に広告を表示。やや広めの配信。

例: 「リスティング広告 運用」と設定した場合、「リスティング広告 運用 コツ」「リスティング広告 運用 代行」などにも表示。

部分一致(Broad Match): 設定したキーワードに関連する検索語句に広告を表示。配信範囲が広く、無駄なクリックが発生しやすい。

初期は「完全一致」「フレーズ一致」を中心に運用し、部分一致は除外キーワードを併用しながら慎重に使うのが推奨されます。

キーワードを5-10個に絞る理由: キーワードが多すぎると予算が分散し、効果検証が困難になります。実際に、キーワードを5-10個程度に絞ることで運用効果が2-10倍向上する事例が報告されています。

(3) 広告文の作成と最適化

広告文は、クリック率(CTR)に直結する重要な要素です。

広告文の基本構成(Google広告の場合):

  • 見出し1〜3(半角30文字まで)
  • 説明文1〜2(半角90文字まで)
  • 表示URL(ドメイン + パス)

CTRを高める広告文のコツ:

  • 具体的な数字を含める: 「導入企業500社以上」「初期費用0円」など
  • 期間限定オファー: 「今月限定キャンペーン」「無料トライアル実施中」など
  • 検索キーワードを含める: ユーザーの検索意図に合致していることを示す
  • 差別化ポイントを明示: 「国内シェアNo.1」(根拠がある場合)、「30日間返金保証」など

A/Bテストの実施: 広告文は複数パターンを作成し、CTRやCVRを比較して最適化します。Google広告の「レスポンシブ検索広告」を活用すると、AIが自動的に最適な組み合わせを選んでくれます。

(4) 予算・入札設定の考え方

予算設定:

  • 日予算を設定(例: 1日1万円 × 30日 = 月30万円)
  • 初期は少額から開始し、効果を見ながら増額するのが一般的

入札設定:

  • 手動入札(CPC上限を設定)
  • 自動入札(AIが目標CPAやROASに基づいて自動調整)

初期は手動入札でデータを蓄積し、一定のコンバージョン数(目安: 月30件以上)が溜まったら自動入札に切り替えるのが推奨されます。

注意点: 予算上限を低く設定しすぎると、本来表示されるべき広告が非表示になり、機会損失が発生します。業界の平均CPCを参考に、適切な予算を確保しましょう。

運用の改善と最適化手法

(1) 効果測定の5つの重要指標(CV数・CVR・CPA・CTR・CPC)

リスティング広告の運用では、以下の5指標を定期的に確認し、ボトルネックを特定します。

CV数(コンバージョン数): 成果の総数(問い合わせ、資料請求、購入など)。最も重要な指標。

CVR(コンバージョン率): クリック数に対するCV数の割合。目安: B2Bリード獲得で1-5%。

CPA(顧客獲得単価): 1件のCVを獲得するためにかかった広告費。目安: 業界により異なるが、許容CPAを事前に設定。

CTR(クリック率): 広告表示回数に対するクリック数の割合。目安: 検索広告で1-5%。

CPC(クリック単価): 1クリックあたりの広告費。業界・キーワードにより数十円〜数千円。

ボトルネック診断の例:

  • CTRが低い → 広告文を改善
  • CVRが低い → ランディングページを改善
  • CPCが高い → キーワードを見直す、入札額を下げる
  • CV数が少ない → 予算を増やす、配信範囲を広げる

(2) 改善施策(除外キーワード・広告文改善・入札調整)

効果測定で特定したボトルネックに応じて、以下の改善施策を実施します。

除外キーワード登録: 無駄なクリックを防ぐための重要施策。例えば、「リスティング広告 無料」と検索したユーザーは購買意欲が低いため、「無料」を除外キーワードに登録します。

広告文改善: A/Bテストを継続的に実施し、CTRの高い広告文に寄せていきます。具体的な数字や期間限定オファーを追加することで、CTRが1-2%向上するケースが多いです。

入札調整:

  • 成果の出ているキーワード → 入札額を上げる
  • 成果の出ていないキーワード → 入札額を下げる、または停止

ランディングページ最適化(LPO): 広告文とランディングページの内容を一致させることで、CVRが向上します。例えば、「無料トライアル」を訴求した広告文なら、ランディングページのファーストビューに「無料トライアル申込フォーム」を配置します。

(3) 自動入札とAI活用による効率化

2025年のリスティング広告運用では、自動入札とAI活用が標準化しています。

主要な自動入札戦略:

目標CPA(Target CPA): 設定したCPA目標に基づいて、AIが入札額を自動調整。

目標ROAS(Target ROAS): 広告費用対効果(ROAS: Return On Ad Spend)の目標を設定し、AIが最適化。

コンバージョン数の最大化: 予算内でCV数を最大化するよう、AIが入札額を調整。

自動入札のメリット:

  • 24時間365日、リアルタイムで入札額を最適化
  • 人間では処理しきれない膨大なデータを活用
  • 運用工数を削減

自動入札の注意点:

  • 初期はデータが少ないため、精度が低い(目安: 月30件以上のCVが蓄積されてから導入)
  • 完全に任せきりにせず、定期的に効果を確認

インハウス運用vs代理店委託の判断基準

(1) それぞれのメリット・デメリット

インハウス運用:

メリット:

  • 運用代行手数料(広告費の15-20%)がかからない
  • 社内にノウハウが蓄積される
  • リアルタイムで改善施策を実施できる

デメリット:

  • 専任担当者の人件費がかかる
  • 専門知識の習得に時間がかかる
  • 最新トレンドのキャッチアップが困難

代理店委託:

メリット:

  • 専門知識を持つプロに任せられる
  • 最新トレンド・ベストプラクティスを活用できる
  • 社内リソースを他の業務に集中できる

デメリット:

  • 運用代行手数料がかかる(広告費の15-20%)
  • 社内にノウハウが蓄積されにくい
  • 改善施策の実施に時間がかかる場合がある

(2) 企業規模・予算・リソースによる判断軸

インハウス運用が向いているケース:

  • 月額広告費50万円未満
  • 社内にマーケティング担当者がいる
  • 広告運用の知識を持つ人材を採用・育成できる
  • スピード感を持って改善施策を実施したい

代理店委託が向いているケース:

  • 月額広告費50万円以上
  • 社内にリソースがない、または専任担当者を置けない
  • 専門知識がなく、学習コストをかけられない
  • 複数の広告媒体(Google・Yahoo!・SNS広告など)を横断的に運用したい

ハイブリッド型: 初期は代理店に委託してノウハウを学び、一定の知識が蓄積された段階でインハウス化する企業も増えています。代理店との契約時に「運用レポートの共有」「定期的な勉強会の実施」を条件に入れることで、スムーズにインハウス化できます。

まとめ|成果を出すための次のステップ

リスティング広告運用は、出稿後の継続的な改善が成果を左右します。キーワードを5-10個に絞り、CV数・CVR・CPA・CTR・CPCの5指標を定期的に確認し、除外キーワード登録や広告文改善、自動入札の活用によって最適化していきましょう。

インハウス運用か代理店委託かは、月額広告費50万円を目安に、社内のリソースと専門知識の有無で判断するのが適切です。初期は代理店に委託してノウハウを学び、後からインハウス化するハイブリッド型も有効な選択肢です。

次のステップ:

  • Google広告またはYahoo!広告のアカウントを開設する
  • Googleキーワードプランナーでキーワード候補を5-10個リストアップする
  • 広告文を3パターン作成し、A/Bテストを準備する
  • 月額予算を設定し、日予算(月額÷30日)を計算する
  • 初期は少額(月10-20万円)から開始し、効果を見ながら増額する

リスティング広告は即効性が高く、検索意図の明確なユーザーにリーチできる強力なマーケティング手法です。適切な運用で、リード獲得とビジネス成長を実現しましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。広告プラットフォームの仕様や費用相場は変動する可能性があるため、最新情報は各プラットフォーム・代理店の公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1リスティング広告の初期費用・月額費用はどれくらいかかる?

A1月額20-30万円が相場です。広告費はクリック課金制(CPC)で、業界・キーワードにより変動します。不動産・金融・法務などの競合が激しい業界ではCPCが1,000円を超えるケースもあります。運用代行を依頼する場合は広告費の15-20%が手数料として追加されます。初期費用はアカウント開設自体は無料ですが、ランディングページ制作に数万円〜数十万円がかかる場合があります。

Q2インハウス運用と代理店委託はどちらがよい?

A2月額広告費50万円未満で社内にリソースがある場合はインハウス運用が有効です。それ以上の規模や専門知識が不足する場合は代理店委託を検討しましょう。初期は代理店に依頼してノウハウを学び、一定の知識が蓄積された段階でインハウス化する企業も増えています。代理店との契約時に運用レポートの共有や定期的な勉強会の実施を条件に入れると、スムーズにインハウス化できます。

Q3効果が出ないときの改善方法は?

A3CV数・CVR・CPA・CTR・CPCの5指標を確認し、ボトルネックを特定します。除外キーワード登録で無駄なクリックを削減、キーワードを5-10個に絞って予算を集中、広告文に具体的な数字や期間限定オファーを含めてCTRを改善するのが有効です。CVRが低い場合はランディングページを最適化し、広告文との内容を一致させましょう。自動入札を活用して、AIによるリアルタイム最適化も検討してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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