LINE公式アカウントは運用しているが、配信の自動化や顧客育成の仕組みを構築できていない...
B2B企業のマーケティング担当者の中には、LINE公式アカウントを運用しているものの、「毎回手動で配信していて手間がかかる」「顧客の属性に応じた配信ができない」「リード育成の仕組みを作りたいがどうすればいいか分からない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、LINEマーケティングオートメーションの基礎知識から、BtoB企業での活用シーン、主要ツールの比較、導入手順までを体系的に解説します。LINE公式アカウントとMAツールを連携させることで実現できる高度な機能と、その効果的な活用方法をご紹介します。
この記事のポイント:
- LINEマーケティングオートメーションはLINE公式アカウントとMAツールを連携させ、配信を自動化・最適化する手法
- MA連携により詳細なセグメント配信、ステップ配信、リッチメニューのパーソナライズ化などの高度な機能が利用可能
- BtoBでも効果は期待でき、開封率がメルマガの6倍、クリック率20倍という事例も存在
- LINE MAツールは自動化重視型・コスパ重視型・CV改善特化型など目的に応じて選択する
- 通数課金のLINEでは、セグメント配信とメール配信を掛け合わせることでコスト最適化が可能
1. LINEマーケティングオートメーションとは|基礎知識と重要性
LINEマーケティングオートメーションの定義と、なぜ今注目されているのかを整理します。
(1) マーケティングオートメーション(MA)の定義
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を自動化し、見込み顧客の獲得から育成、商談化までを効率化するツール・手法のことです。具体的には、以下のような活動を自動化します:
- リード(見込み顧客)の情報管理
- セグメントに応じたメッセージ配信
- 行動履歴に基づくスコアリング(見込み度の評価)
- 段階的な情報提供(ナーチャリング)
LINEマーケティングオートメーションは、この仕組みをLINEというプラットフォーム上で実現するものです。LINE公式アカウントとMAツールを連携させることで、配信の自動化や顧客の属性に応じた最適な情報提供が可能になります。
(2) LINEがMAに適している理由|日常的な利用率の高さ
LINEは国内で最も利用されているコミュニケーションアプリの一つであり、日常的に開封される頻度が非常に高いという特徴があります。
LINEがMAに適している主な理由:
高い到達率と開封率: メールと比較して、LINEのメッセージは通知が届きやすく、開封率が高い傾向があります。一部の事例では、メルマガの開封率と比較して6倍、クリック率は20倍という結果も報告されています(出典:PR TIMES「BtoB向けLINEマーケティングサービス『Sales LINE』リリース」2024年)。
日常的な利用習慣: 総務省の「令和5年版 情報通信白書」によれば、LINEは幅広い年齢層で日常的に利用されているアプリであり、企業からのメッセージも日常的にチェックされる環境が整っています(出典:総務省「令和5年版 情報通信白書」2023年)。
双方向コミュニケーション: LINEは一方的な配信だけでなく、ユーザーからの問い合わせや自動応答など、双方向のコミュニケーションがしやすいプラットフォームです。
(3) LINEマーケティングの市場背景
近年、BtoB領域でもLINEマーケティングの活用が広がっています。2024年4月には、BtoB向けLINEマーケティングサービス「Sales LINE」がリリースされ、従来BtoC中心だったLINEマーケティングがBtoB領域にも本格的に展開される動きが見られます(出典:PR TIMES「BtoB向けLINEマーケティングサービス『Sales LINE』リリース」2024年)。
また、ChatGPT連携やAI活用による自動化機能の強化もトレンドとなっており、24時間対応の自動応答やリッチメニューのパーソナライズ化が注目されています。
2. LINE公式アカウント単体とMA連携の違い|機能と効果の比較
LINE公式アカウントを単体で運用する場合と、MAツールと連携させる場合では、できることが大きく異なります。
(1) LINE公式アカウント単体でできること
LINE公式アカウントは、LINE株式会社が提供する企業や店舗向けのビジネスアカウントです。基本機能として以下が利用できます:
基本的な配信機能:
- 一斉配信(全ての友だちに同じメッセージを送信)
- 簡易的なセグメント配信(性別・年齢・地域などの基本属性で絞り込み)
- リッチメニュー(トーク画面下部に表示されるメニュー)
- 自動応答メッセージ
料金プラン(LINE公式アカウント): LINE公式アカウントは通数課金制で、配信したメッセージ数に応じて料金が発生します。料金プランは無料プラン(月1,000通まで)から、ライトプラン、スタンダードプランなどが用意されています(出典:LINE株式会社「LINE Business Guide」2024年)。
LINE公式アカウント単体の限界:
- 詳細なセグメント(行動履歴・購買履歴などに基づく絞り込み)が難しい
- ステップ配信(あらかじめ設定したシナリオに沿った段階的な配信)ができない
- リッチメニューのパーソナライズ化(ユーザーごとに異なるメニューを表示)が難しい
(2) MA連携で実現できる高度な機能(詳細なセグメント配信・ステップ配信)
LINE公式アカウントにMAツールを連携させることで、以下のような高度な機能が利用できるようになります:
詳細なセグメント配信: 行動履歴(どのボタンをクリックしたか、どのページを閲覧したか)や購買履歴、属性情報などを組み合わせて、きめ細かなセグメント配信が可能になります。これにより、ユーザーの興味・関心に合わせた情報提供ができ、反応率が向上すると言われています。
ステップ配信(シナリオ配信): あらかじめ設定したシナリオに沿って、段階的に自動でメッセージを配信する機能です。例えば、「友だち追加直後に歓迎メッセージ → 3日後に商品紹介 → 1週間後にキャンペーン案内」といった流れを自動化できます。
リッチメニューのパーソナライズ化: ユーザーの属性や行動履歴に応じて、表示するリッチメニューを切り替えることができます。例えば、新規ユーザーには「はじめての方へ」、既存顧客には「リピーター特典」といった異なるメニューを表示可能です。
24時間自動応答: よくある質問(FAQ)に対しては、自動応答で即座に回答することができ、顧客サポートの負担を軽減できます。
(3) 効果の違い|開封率・クリック率の比較
MA連携により、より精度の高いターゲット配信が可能になるため、開封率やクリック率の向上が期待できます。
具体的な効果の例:
- セグメント配信により、一斉送信と比較して反応率が2〜3倍向上するケースもあると言われています(出典:シナジーマーケティング「LINEセグメント配信の導入方法とメリット」2024年)
- BtoB領域では、開封率がメルマガの6倍、クリック率が20倍という事例も報告されています(出典:PR TIMES「BtoB向けLINEマーケティングサービス『Sales LINE』リリース」2024年)
ただし、効果は業種や顧客特性により異なるため、自社での検証が重要です。
3. BtoB企業でのLINEマーケティング活用シーン
LINEマーケティングは従来BtoC向けのイメージが強いですが、BtoB企業でも効果的な活用シーンがあります。
(1) セミナー・ウェビナーの集客と参加後フォロー
BtoB企業にとって、セミナーやウェビナーは重要なリード獲得手段です。LINEマーケティングを活用することで、集客から参加後のフォローまでをスムーズに行えます。
活用方法:
- セミナー申込者に対して、開催前日にリマインド配信
- 参加後に資料やアンケートをLINEで送付
- 未参加者には録画配信の案内を自動送信
(2) リード育成|段階的な情報提供とナーチャリング
BtoB企業では、初回接触から商談化までに時間がかかることが一般的です。LINEのステップ配信を活用することで、見込み顧客の関心度に応じた情報を段階的に提供し、育成(ナーチャリング)することができます。
活用方法:
- 資料ダウンロード後、自動で関連コンテンツを配信
- 顧客の購買プロセス(認知→検討→購入→継続)に応じたセグメント設計を行い、適切なタイミングで情報提供
- 行動履歴に基づくスコアリングで、商談化の優先度を判断
(3) 顧客サポート|24時間自動応答とFAQ対応
導入後の顧客サポートもLINEで効率化できます。よくある質問に対しては自動応答で即座に回答し、複雑な問い合わせは担当者に引き継ぐといった運用が可能です。
活用方法:
- FAQを自動応答で設定し、24時間対応を実現
- 緊急度の高い問い合わせは担当者に通知
- 問い合わせ履歴を一元管理し、顧客対応の質を向上
(4) 導入事例|ミルボンのBtoBコミュニケーション革新
美容メーカーのミルボンは、BtoB向けにLINE MAツール「MAAC」を導入し、美容サロン向けのコミュニケーションを革新しました。
導入効果:
- リッチメニューのパーソナライズ化により、サロンごとに最適な情報を提供
- 24時間対応の自動応答でサポート業務を効率化
- 顧客の行動履歴を分析し、関心度の高いサロンを可視化
(出典:クレッシェンド・ラボ「ミルボン導入事例|MAACで実現するBtoBコミュニケーションの革新」2024年)
4. LINE MAツールの選び方と主要ツール比較
LINE MAツールは多数存在し、それぞれ特徴が異なります。自社の目的に合ったツールを選ぶためのポイントを解説します。
(1) ツール選定の3つのポイント(導入費用・必要機能・サポート体制)
LINE MAツールを選ぶ際は、以下の3点を確認することが重要です:
1. 導入費用・月額費用: LINE MAツールの料金体系はツールにより大きく異なります。初期費用は無料〜12万円程度、月額費用は5,000円〜が相場と言われています(出典:アスピック「LINE向けMAツール13選」2024年)。
2. 必要機能の有無: 自社が実現したい機能(セグメント配信、ステップ配信、リッチメニューのパーソナライズ化、外部システム連携など)が搭載されているか確認します。
3. サポート体制: 導入時のサポート、運用中のトラブル対応、活用ノウハウの提供など、サポート体制が充実しているかも重要なポイントです。
(2) ツールタイプの分類(自動化重視型・コスパ重視型・CV改善特化型)
LINE MAツールは、目的に応じて大きく3つのタイプに分類できます(出典:アスピック「LINEマーケティングツール比較16選。3タイプ別の選び方」2024年):
自動化重視型: ステップ配信やセグメント配信など、マーケティング活動の自動化を重視したツール。リード育成を強化したい企業に適しています。
コスパ重視型: 必要最低限の機能を低価格で提供するツール。初めてLINE MAを導入する企業や、小規模な運用から始めたい企業に適しています。
CV改善特化型: コンバージョン(お問い合わせ・購入など)の向上に特化した機能を持つツール。LPとの連携やABテスト機能などが充実しています。
(3) 主要ツール比較(Lステップ・Liny・Poster・MAAC等を公平に比較)
代表的なLINE MAツールの特徴を比較します(2024年11月時点の情報をもとに作成。最新の料金・機能は各社公式サイトでご確認ください):
Lステップ:
- 特徴:自動化機能が充実、シナリオ配信・セグメント配信に強み
- 料金:月額数千円〜(プランにより異なる)
- 適している企業:自動化を重視し、リード育成を強化したい企業
- 導入実績:多数の企業で導入されており、ノウハウも豊富
Liny:
- 特徴:3,500社以上の導入実績、セグメント配信・ステップ配信機能が充実
- 料金:月額5,000円〜(プランにより異なる)
- 適している企業:導入実績を重視する企業、中小企業
- サポート:導入支援や活用ノウハウの提供が充実
(出典:Liny公式「機能・料金」2024年)
Poster:
- 特徴:コスパ重視型、必要最低限の機能を低価格で提供
- 料金:比較的低価格帯
- 適している企業:初めてLINE MAを導入する企業、予算を抑えたい企業
MAAC:
- 特徴:実店舗集客に強み、リッチメニューのパーソナライズ化が得意
- 料金:月額費用あり(詳細は要問い合わせ)
- 適している企業:実店舗を持つ企業、BtoB企業(ミルボン等の導入事例あり)
このほかにも、「hachidori(CV改善特化型)」「KAKERU(外部システム連携に強み)」など、様々なツールが存在します。自社の目的・予算・必要機能を明確にしてから、複数のツールを比較検討することが推奨されます。
(4) 料金相場|初期費用0円〜12万円、月額5,000円〜
LINE MAツールの料金相場は、以下の通りです(出典:アスピック「LINE向けMAツール13選」2024年):
初期費用:
- 無料〜12万円程度(ツールにより大きく異なる)
月額費用:
- 5,000円〜(プランや規模により数万円〜数十万円まで幅広い)
注意点:
- LINE公式アカウントの通数課金は別途発生します
- セグメント配信で配信対象を絞り込むことで、メッセージ通数を効率的に活用し、コスト削減につなげることが可能です
- ツール仕様や料金は更新される可能性があるため、導入前に各社の公式サイトで最新情報を確認してください
5. LINEマーケティングオートメーションの導入手順と運用のコツ
実際にLINEマーケティングオートメーションを導入する際の具体的な手順と、運用を成功させるコツを解説します。
(1) ステップ1:目的とKPIの設定
まず、LINEマーケティングを通じて達成したい目的とKPI(重要業績評価指標)を明確にします。
目的の例:
- リード獲得数の増加
- セミナー・ウェビナーの参加率向上
- 顧客サポートの効率化
- 既存顧客へのアップセル・クロスセル
KPIの例:
- 友だち追加数
- 開封率・クリック率
- コンバージョン数(お問い合わせ・資料ダウンロード等)
- ブロック率(配信をブロックされる割合)
(2) ステップ2:MAツールの選定と導入
目的とKPIが明確になったら、自社に合ったMAツールを選定します。
選定のポイント:
- 実現したい機能が搭載されているか
- 予算内に収まるか
- サポート体制が充実しているか
- 導入実績が豊富か
複数のツールを比較し、可能であれば無料トライアルで実際に操作性を試してから導入を決定することが推奨されます。
(3) ステップ3:セグメント設計と顧客の購買プロセスの理解
セグメント配信を効果的に行うには、顧客の購買プロセスを理解し、適切なセグメント設計を行うことが重要です。
購買プロセスの例(BtoB企業の場合):
- 認知: 初めて自社を知る段階
- 検討: 資料ダウンロード・セミナー参加などで情報収集
- 購入: 商談化・契約
- 継続: 既存顧客としてのリピート・アップセル
各段階に応じた情報提供を行うことで、効果的なリード育成が可能になります。
(4) ステップ4:配信シナリオの作成
ステップ配信のシナリオを作成します。ユーザーの行動(ボタンクリック、ページ閲覧など)に応じて、次に配信するメッセージを分岐させることができます。
シナリオ例(セミナー参加者向け):
- セミナー参加後すぐ:「ご参加ありがとうございました。資料はこちら」
- 3日後:「セミナーの関連記事をご紹介します」
- 1週間後:「次回セミナーのご案内」「個別相談のご案内」
(5) ステップ5:効果測定と改善
定期的に効果測定を行い、KPIの達成状況を確認します。
測定すべき指標:
- 友だち追加数の推移
- 各配信の開封率・クリック率
- コンバージョン数
- ブロック率(高い場合は配信内容を見直す)
効果が出ていない配信については、配信内容やタイミングを見直し、改善を繰り返すことが重要です。
(6) 運用のコツ|通数課金対策とメール配信との掛け合わせ
LINE公式アカウントは通数課金のため、配信コストの管理が重要です。
コスト最適化の方法:
- セグメント配信で配信対象を絞り込み、メッセージ通数を効率的に活用する
- 到達コストが安価なメール配信と掛け合わせる(例:定期的な情報提供はメール、重要な案内はLINE)
- ユーザーの興味・関心に合わないメッセージが続くとブロックされるリスクが高まるため、配信頻度・内容を慎重に設計する
(出典:シナジーマーケティング「LINEとMAで実現する通数課金対策」2024年)
6. まとめ|LINEマーケティングオートメーションを成功させるポイント
LINEマーケティングオートメーションは、LINE公式アカウントとMAツールを連携させることで、配信の自動化や顧客の属性に応じた最適な情報提供を実現する手法です。BtoB企業でも、セミナー集客、リード育成、顧客サポートなど、効果的な活用シーンがあります。
成功のための重要ポイント:
- 目的とKPIを明確にしてから導入する
- 自社の目的に合ったMAツールを選定する(自動化重視・コスパ重視・CV改善特化など)
- 顧客の購買プロセスを理解し、適切なセグメント設計を行う
- ステップ配信で段階的な情報提供を自動化する
- 通数課金対策として、セグメント配信とメール配信を掛け合わせる
- 定期的に効果測定を行い、配信内容やタイミングを改善する
次のアクション:
- 自社のLINEマーケティングの目的とKPIを整理する
- 複数のMAツールの公式サイトで料金・機能を比較する
- 可能であれば無料トライアルで操作性を試す
- 小規模なシナリオから始めて、効果を検証しながら拡大する
LINEマーケティングオートメーションは、正しく設計・運用すれば、BtoB企業のリード獲得・育成を大きく効率化できる施策です。自社の顧客特性に合わせた活用方法を見つけ、継続的に改善を重ねていきましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報をもとに作成しています。LINE公式アカウントやMAツールの料金・機能は変更される可能性があるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。
