IoTで業務を効率化したいけれど、何から始めればいい?
BtoB企業の経営企画やIT担当者の多くが、IoT(モノのインターネット)の活用に関心を持っています。「業務効率化や予知保全を実現したいが、どのサービスを選べばいいか分からない」「自社に適したIoT活用方法は何か」「コストや導入期間はどれくらいか」といった疑問は珍しくありません。
実は、IoTプラットフォームサービスを活用することで、通信、デバイス管理、データ収集・分析をワンストップで実現でき、スモールスタートが可能です。この記事では、BtoB企業がIoTサービスで成果を出すための活用事例と導入ポイントを解説します。
この記事のポイント:
- IoTサービスはモノをインターネットに接続し、データを収集・分析・活用するサービス
- 産業用IoT市場は2025年に1,775億ドル、2032年には6,548億ドルに達すると予測(CAGR20.5%)
- 2025年のトレンドはAIとIoTの融合(AIoT)、企業IoTシステムの70%がリアルタイム機械学習を組み込む見込み
- BtoB企業では製造業(予知保全)、物流(配送管理)、設備管理(異常検知)で活用
- IoTプラットフォームは1テナント月額5,060円〜、1デバイス月額550円〜でスモールスタート可能
1. IoTサービスとは?モノのインターネットの基本概念
まず、IoTサービスの定義と、2025年の最新トレンドを確認しましょう。
(1) IoTサービスの定義と仕組み
IoT(Internet of Things)とは、様々なモノをインターネットに接続し、データを収集・分析・活用する技術です。IoTサービスは、センサーやデバイスから情報を集め、業務効率化や新ビジネスモデル創出に活用します。
IoTサービスの基本的な仕組み:
- デバイス・センサー: 温度、湿度、位置情報、稼働状況などを測定
- 通信: インターネット経由でクラウドにデータを送信
- データ収集・分析: クラウド上でデータを蓄積・分析
- 活用: 分析結果を業務改善や意思決定に活用
IoTプラットフォームサービスを活用することで、通信、デバイス管理、データ収集・分析をワンストップで実現できます。
(参考: NTTドコモ「IoTとは?基本的な仕組みや活用事例を紹介」)
(2) 2025年のトレンド(AIoT、産業用IoT)
2025年のトレンドとして、AIとIoTの融合(AIoT)が進んでいます。
2025年のIoTトレンド:
- AIoT(AI + IoT): 収集したデータをAIで分析し、リアルタイムに最適化
- 企業IoTシステムの70%がリアルタイム機械学習を組み込むと予測されている
- IT/OT/IoT統合: 企業はOT(運用技術)/IoT/CPSシステムをクラウドやAIでより効率化
AIoTにより、収集したデータをAIで分析・予測し、自動的に最適化するシステムが主流になっています。
(参考: Genech「IoTプラットフォーム市場の最新動向とトレンド」)
(3) 産業用IoT市場の成長予測(2025年1,775億ドル→2032年6,548億ドル)
産業用IoT(IIoT - Industrial IoT)市場は急速に成長しています。
産業用IoT市場の成長予測:
- 2025年: 1,775億ドル
- 2032年: 6,548億ドル
- CAGR(年平均成長率): 20.5%
製造業、物流、設備管理など、BtoB企業での活用が市場成長を牽引しています。
2. BtoB企業のIoTサービス活用領域:4つの主要分野
BtoB企業がIoTサービスを活用する主要な4つの分野を解説します。
(1) 製造業:予知保全・品質安定化・データ可視化
製造業では、IoTを活用してリアルタイムのデータ収集・分析により、予知保全や品質安定化が実現できます。
製造業でのIoT活用例:
- 予知保全: 機械の稼働データを収集し、故障の予兆を検知して事前に保守を行う
- 品質安定化: 製造工程のデータを可視化し、品質のバラつきを削減
- 生産性向上: 設備の稼働率や停止時間を分析し、ボトルネックを特定
製造業ではリアルタイムのデータ収集・分析により、ダウンタイムの削減や品質向上が実現できます。
(参考: KDDI「IoT (Internet of Things:モノのインターネット) とは?意味や活用事例を解説」)
(2) 物流:配送管理・在庫管理・温度管理
物流業界では、IoTを活用して配送管理、在庫管理、温度管理を効率化しています。
物流でのIoT活用例:
- 配送管理: GPSで配送車両の位置をリアルタイムに追跡し、配送効率を向上
- 在庫管理: RFIDタグで在庫数を自動的に把握し、欠品や過剰在庫を防止
- 温度管理: 冷蔵・冷凍輸送での温度をリアルタイムに監視し、品質を保証
物流業界では、人手不足の解消とコスト削減にIoTが活用されています。
(3) 設備管理:リアルタイム監視・異常検知
設備管理では、IoTを活用してリアルタイム監視・異常検知を行い、トラブルを未然に防ぎます。
設備管理でのIoT活用例:
- リアルタイム監視: 空調、電力、水道などの稼働状況をリアルタイムに監視
- 異常検知: 温度、振動、電力消費などの異常を検知し、アラートを発信
- 遠隔制御: 遠隔地から設備を制御し、現場への移動コストを削減
ビル管理、工場設備管理、インフラ監視などで活用されています。
(4) その他分野:農業(スマート農業)・医療(IoMT)
IoTは製造・物流以外にも、農業や医療など幅広い分野で活用されています。
その他分野でのIoT活用例:
スマート農業:
- 土壌の温度・湿度・日照時間をセンサーで測定し、最適な栽培環境を維持
- 水やりや施肥を自動化し、人手不足を解消
IoMT(医療分野のIoT):
- ウェアラブルデバイスで患者のバイタルデータを収集し、遠隔診療を実現
- 医療機器をネットワーク化し、データを一元管理
(参考: スマートIoT推進フォーラム「先進的なIoT事例の紹介」)
3. IoTサービスの主要な種類:プラットフォーム型と個別開発型
IoTサービスには、プラットフォーム型と個別開発型の2種類があります。
(1) IoTプラットフォーム:通信・デバイス管理・データ分析をワンストップ提供
IoTプラットフォームは、IoTを構築するうえで必要なクラウド上の基盤で、デバイス管理、データ収集・分析をワンストップで提供します。
IoTプラットフォームの主な機能:
- デバイス管理: IoTデバイスの登録、設定、監視を一元管理
- データ収集: デバイスから送信されたデータを収集・蓄積
- データ分析: 収集したデータを分析し、可視化・レポート化
- セキュリティ: 暗号化や認証機能でデータを保護
プラットフォームを活用することで、自社でシステムを構築する必要がなく、スモールスタートが可能です。
(参考: IIJ「IIJ IoTサービス(IoTプラットフォーム) - ビジネスに必要な機能をワンストップで提供」)
(2) 個別開発型:自社でシステムを構築
個別開発型は、自社でIoTシステムを構築する方法です。
個別開発型のメリット・デメリット:
メリット:
- 自社の業務に最適化されたシステムを構築できる
- カスタマイズ性が高い
デメリット:
- 開発コストと時間がかかる
- 運用・保守に専門知識が必要
個別開発は、大規模な企業や独自の要件がある場合に適していますが、中小企業にはプラットフォーム型が推奨されます。
(3) 主要プラットフォーム事例(NTTドコモ Things Cloud、IIJ IoT等)
主要なIoTプラットフォームサービスの事例を紹介します。
主要プラットフォーム事例:
NTTドコモ Things Cloud:
- 1テナント月額5,060円(税込)〜
- 1デバイス月額550円(税込)〜
- スモールスタートが可能
IIJ IoTサービス:
- 通信、デバイス管理、データ分析をワンストップ提供
- 大手通信事業者の安定したインフラ
AWS IoT、Microsoft Azure IoT、Google Cloud IoT:
- グローバルクラウドベンダーのIoTプラットフォーム
- 拡張性が高く、大規模なシステムに対応
料金やサービス内容は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトで確認してください。
(参考: 起業LOG「IoTプラットフォームサービス比較15選!おすすめ・選び方も解説」)
(4) エッジコンピューティングの活用
エッジコンピューティングを活用することで、クラウドへの通信コストを削減し、リアルタイム処理が可能になります。
エッジコンピューティングのメリット:
- デバイスに近い場所でデータ処理を行うため、レスポンスが速い
- クラウドへの通信量を削減し、通信コストを抑えられる
- ネットワーク障害時でもローカルで処理を継続できる
製造業の予知保全や自動運転など、リアルタイム性が求められる用途でエッジコンピューティングが活用されています。
4. IoTサービス導入のステップとポイント
IoTサービスを導入する際の4つのステップを解説します。
(1) ステップ1:導入目的の明確化(業務効率化・人手不足解消・新ビジネス創出)
まず、IoTサービスの導入目的を明確にします。
主な導入目的:
- 業務効率化: データ収集・分析の自動化による業務時間削減
- 人手不足解消: 遠隔監視・自動化により人手を削減
- 予知保全: 機械の故障を予測し、ダウンタイムを削減
- 新ビジネス創出: 収集したデータを活用した新サービス開発
目的を明確にすることで、導入後の効果測定がしやすくなります。
(2) ステップ2:活用領域とデバイスの選定
次に、どの領域でIoTを活用するか、どのデバイスを使用するかを選定します。
活用領域の選定:
- 製造業: 生産ラインの稼働監視、予知保全
- 物流: 配送車両の位置追跡、在庫管理
- 設備管理: 空調・電力の監視、異常検知
デバイスの選定:
- センサー(温度、湿度、振動、位置情報等)
- カメラ(画像認識、監視)
- RFID(在庫管理、物品追跡)
まずは1つの領域に絞り、スモールスタートすることが推奨されます。
(3) ステップ3:プラットフォームまたは個別開発の選択
プラットフォーム型と個別開発型のどちらを選ぶかを決定します。
選択の基準:
- 中小企業・スモールスタート: プラットフォーム型(初期コストが低い、導入が早い)
- 大企業・独自要件: 個別開発型(カスタマイズ性が高い)
プラットフォーム型は、1テナント月額5,060円〜、1デバイス月額550円〜で始められるため、中小企業に適しています。
(4) ステップ4:スモールスタートとPDCAサイクル
最後に、スモールスタートでPDCAサイクルを回します。
スモールスタートのポイント:
- 小規模な範囲で導入し、効果を検証
- 効果が確認できたら、段階的に拡大
- 継続的にデータを分析し、改善を繰り返す
いきなり大規模に導入するのではなく、小さく始めて効果を確認しながら拡大することが成功の鍵です。
5. プラットフォーム選定のポイントとセキュリティ対策
IoTプラットフォームを選定する際のポイントと、セキュリティ対策を解説します。
(1) 選定ポイント:機能・料金・拡張性・サポート体制
IoTプラットフォームを選定する際の4つのポイントを確認しましょう。
プラットフォーム選定の4つのポイント:
- 機能: デバイス管理、データ収集・分析、API連携などの必要機能が揃っているか
- 料金: 初期費用、月額費用、従量課金の仕組みを確認
- 拡張性: デバイス数が増えた場合にスムーズに拡張できるか
- サポート体制: 日本語サポート、導入支援、ドキュメントの充実度
複数のプラットフォームを比較し、自社の要件に合ったものを選定しましょう。
(2) 料金の目安(1テナント月額5,060円〜、1デバイス月額550円〜)
IoTプラットフォームの料金の目安を確認します。
料金の目安(NTTドコモ Things Cloud):
- 1テナント: 月額5,060円(税込)〜
- 1デバイス: 月額550円(税込)〜
例えば、10デバイスの場合、月額10,560円程度でスタートできます。
※料金は執筆時点(2024年11月)の情報です。最新情報は各社公式サイトで確認してください。
(3) セキュリティ対策:暗号化・認証機能・適切な設定と運用
IoTデバイスが増えることでセキュリティリスクも増大するため、適切な対策が必要です。
IoTセキュリティ対策:
- 暗号化: 通信データを暗号化し、盗聴を防止
- 認証機能: デバイスとクラウド間の認証を強化し、不正アクセスを防止
- 適切な設定: デフォルトパスワードの変更、不要なポートの閉鎖
- 継続的な監視: 異常なアクセスやデータ送信を監視し、早期に検知
暗号化や認証機能がプラットフォームに提供されていても、適切な設定と運用が必要です。
(4) データ管理インフラの整備
IoTで収集したデータを効果的に活用するには、データ管理インフラの整備が重要です。
データ管理インフラの整備:
- データベースの設計: 収集したデータを効率的に保存・検索できる構造
- データ分析ツールの導入: BIツール、ダッシュボードでデータを可視化
- データ活用ルールの策定: どのデータを、どう活用するかを明確化
データ管理のインフラが整っていないと、収集したデータを効果的に活用できません。
6. まとめ:IoTサービスで成果を出すために
IoTサービスは、モノをインターネットに接続し、データを収集・分析・活用することで、業務効率化や新ビジネスモデル創出を実現します。
産業用IoT市場は2025年に1,775億ドル、2032年には6,548億ドルに達すると予測されており、BtoB企業での活用が急速に進んでいます。
次のアクション:
- 自社の導入目的を明確にする(業務効率化、予知保全、人手不足解消等)
- 活用領域を1つに絞り、スモールスタートする
- IoTプラットフォームサービスの料金・機能を比較する
- セキュリティ対策を強化し、データ管理インフラを整備する
- PDCAサイクルを回し、継続的に改善する
IoTサービスを戦略的に活用して、業務効率化と新たな価値創造を実現しましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。IoTプラットフォームやデバイスの仕様・料金は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトで確認してください。
