インサイドセールスのアウトソーシング完全ガイド:外注メリットと選定基準
「インサイドセールス体制を構築したいが、社内リソースが不足している」「外注と内製化、どちらが良いのか判断がつかない」――B2B企業の営業マネージャーや経営者から、こうした悩みをよく耳にします。
インサイドセールスのアウトソーシングは、即戦力の確保や専門ノウハウの活用といったメリットがある一方で、社内へのノウハウ蓄積が困難といったデメリットもあります。この記事では、アウトソーシングのメリット・デメリット、内製化との比較、代行会社の選定基準、料金体系、外注成功のポイントまで、実務担当者が知っておくべき情報を解説します。
この記事のポイント:
- インサイドセールス外注は即戦力確保と短期立ち上げに有効
- 外注のデメリットは社内ノウハウ蓄積の困難さと連携コスト
- 内製化・外注・ハイブリッド型の判断基準は自社のリソースと目的次第
- 代行会社選定では業務範囲・実績・内製化支援の有無を確認
- 料金体系は固定報酬型・成果報酬型・複合型があり、費用相場は月額50〜70万円または1アポ1.5〜3万円
1. インサイドセールスのアウトソーシングとは:背景と市場動向
インサイドセールスのアウトソーシングとは、自社のインサイドセールス業務を外部の専門会社に委託することです。
(1) インサイドセールスとは(SDR・BDRの違い)
インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン商談ツールを活用した非対面の営業活動です。訪問営業(フィールドセールス)と比べて、移動時間がなく効率的にリードにアプローチできます。
インサイドセールスには大きく2つのタイプがあります:
SDR(Sales Development Representative):
- インバウンド型インサイドセールス
- 問い合わせやダウンロードなど、自社Webサイト経由のリードに対応
- 主な業務:リード対応、ヒアリング、商談設定
BDR(Business Development Representative):
- アウトバウンド型インサイドセールス
- ターゲットリストに基づいて新規開拓を行う
- 主な業務:新規リード獲得、アポイント獲得、エンタープライズ(大企業)開拓
ワンマーケティングの記事「SDRやBDRとは?インサイドセールス成功のポイントとともに解説」では、SDR/BDRの詳細な違いと成功のポイントが解説されています。
(2) 非対面営業の普及と営業DXの動向
総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、企業のデジタル化・営業DXは年々進んでおり、非対面営業の普及が加速しています。
非対面営業普及の背景:
- コロナ禍を機にオンライン商談が一般化
- 移動時間削減による営業効率の向上
- 全国のリードに効率的にアプローチ可能
この流れを受けて、インサイドセールス体制を構築する企業が増加しています。
(3) アウトソーシング需要の高まり
インサイドセールス体制を構築する際、多くの企業が直面する課題は以下の通りです:
- 社内に経験者がおらず、ノウハウがない
- 採用に時間がかかり、短期間で立ち上げが困難
- 教育・研修に工数がかかる
こうした課題を解決する手段として、アウトソーシング(外注)の需要が高まっています。特にBDR(アウトバウンド型)でエンタープライズ(大企業)をターゲットにした代行需要が増加しています。
2. アウトソーシングのメリットとデメリット
インサイドセールスのアウトソーシングには、即戦力確保といったメリットがある一方で、社内ノウハウ蓄積の困難さといったデメリットもあります。
(1) メリット1:即戦力の確保と短期立ち上げ
外注の最大のメリットは、経験豊富な人材を即座に確保できることです。
具体的なメリット:
- 採用・教育の工数削減(通常、採用に数ヶ月、教育に数ヶ月かかる)
- 短期間(1〜2ヶ月)でインサイドセールス体制を立ち上げ可能
- 代行会社が持つノウハウ・ツール・トークスクリプトをすぐに活用できる
(2) メリット2:固定費の変動費化とコスト最適化
外注により、人件費を固定費から変動費に転換できます。
コストメリット:
- 繁忙期は外注を増やし、閑散期は減らすといった柔軟な対応が可能
- 採用コスト・教育コスト・離職時の補充コストが不要
- 成果報酬型なら、成果に応じた費用負担で済む
(3) メリット3:専門ノウハウの活用
代行会社は多数の企業支援実績を持ち、業界特有の課題解決ノウハウを蓄積しています。
ノウハウの例:
- 効果的なトークスクリプト
- 業界別のアプローチ手法
- ツール活用ノウハウ(SFA・CRM・MA等)
同業他社での実績がある代行会社を選ぶと、業界特有の課題をスムーズに解決できる可能性が高いです。
(4) デメリット1:社内へのノウハウ蓄積が困難
外注に依存しすぎると、社内にノウハウが蓄積されず、将来的な内製化が困難になります。
リスク:
- 代行会社に依存し続けることで、長期的なコスト増
- 外注先が撤退した場合、インサイドセールス体制が崩壊
- 自社の営業戦略に対する理解が深まらない
対処法:
- 内製化支援を提供する代行会社を選ぶ
- ハイブリッド型(内製+外注)で、自社部門を育てながら外部の専門性を活用
(5) デメリット2:事前研修と資料作成の工数
外注先の担当者への事前研修が必要で、資料作成・研修担当者選任などのリソースが必要です。
必要な準備:
- 商材・サービスの説明資料
- ターゲット顧客の定義
- トークスクリプトの作成
- FAQの作成
これらの準備には、1〜2週間程度の工数がかかる場合があります。
(6) デメリット3:連携不足による品質低下リスク
代行会社との連携不足により、無駄な商談が増加したり、営業活動のマネジメントが難しくなるリスクがあります。
連携不足の例:
- 営業部門が求める商談品質と、代行会社が設定する商談品質にズレがある
- フィードバックループがなく、改善が進まない
- KPI設定が曖昧で、成果測定ができない
ウィルオブ・ワークの記事「インサイドセールスは内製?外注?導入のメリット・デメリットを重点解説」では、内製と外注のメリット・デメリットが詳細に比較されています。
3. 内製化 vs 外注 vs ハイブリッド:選択の判断基準
インサイドセールス体制の構築方法には、内製化・外注・ハイブリッド型の3つの選択肢があります。
(1) 内製化が向いているケース
内製化が適しているケース:
- 長期的にノウハウを蓄積したい
- 社内に営業経験者がおり、教育リソースがある
- 商材が複雑で、外部への説明が困難
- 顧客との長期的な関係構築が重要
内製化のメリット:
- 社内にノウハウが蓄積される
- 自社の営業戦略と一体化した運用が可能
- 長期的にコストが抑えられる
(2) 外注が向いているケース
外注が適しているケース:
- 社内リソースが不足しており、短期立ち上げが必要
- インサイドセールスの経験者がおらず、ノウハウがない
- 繁忙期のみ人員を増やしたい
- 外部の専門性を活用したい
外注のメリット:
- 即戦力の確保と短期立ち上げ
- 固定費の変動費化
- 専門ノウハウの活用
(3) ハイブリッド型(内製+外注)の活用法
ハイブリッド型は、自社のインサイドセールス部門を育てながら、外部の専門性を活用する方法です。
ハイブリッド型の例:
- SDRは内製化、BDRは外注: 問い合わせ対応は自社で、新規開拓は外注
- 繁忙期のみ外注: 通常時は内製、繁忙期のみ外注で補強
- 外注から徐々に内製化: 外注でノウハウを学び、段階的に内製化
SALES ROBOTICSの記事「【事例付】インサイドセールスは外注と内製化どちらがよい?」では、事例付きで外注と内製化の判断基準が解説されています。
(4) 外注から内製化への移行パターン
外注で得たノウハウを社内に蓄積し、将来的に内製化するパターンも有効です。
移行パターン:
- フェーズ1(外注100%): 代行会社に全面委託、ノウハウを学ぶ
- フェーズ2(外注70%、内製30%): 自社で一部の業務を開始
- フェーズ3(外注30%、内製70%): 外注を徐々に縮小
- フェーズ4(内製100%): 完全内製化
内製化支援を行う代行会社を選ぶと、このようなスムーズな移行が可能です。
4. 代行会社の選定基準とチェックリスト
代行会社を選定する際には、業務範囲・実績・内製化支援の有無などを確認する必要があります。
(1) 業務範囲の確認(SDR、BDR、ナーチャリング等)
代行会社によって対応可能な業務範囲が異なるため、自社の課題を解決できる業務を提供しているかを確認します。
主な業務範囲:
- SDR(インバウンド型): 問い合わせ対応、ヒアリング、商談設定
- BDR(アウトバウンド型): 新規リード獲得、アポイント獲得
- リードナーチャリング: 見込み客の育成、メール・電話フォロー
- 商談サポート: オンライン商談の同席・議事録作成
(2) 同業他社での実績の有無
同業他社での実績がある代行会社を選ぶと、業界特有の課題をスムーズに解決できます。
確認ポイント:
- 同業種での支援実績件数
- 具体的な成果(アポ獲得率、商談化率等)
- 導入企業の規模(スタートアップ、中堅企業、大企業等)
(3) 内製化支援の提供状況
多くの代行会社が内製化支援サービスを提供しており、将来的な自走を見据えた支援が一般化しています。
内製化支援の内容:
- トークスクリプトの提供
- ノウハウ・ベストプラクティスの共有
- 自社メンバーへのOJT(On-the-Job Training)
- 段階的な業務移管サポート
(4) 代行会社のタイプ別分類(総合型・特化型等)
アスピックの記事「インサイドセールス代行サービス比較16選。タイプ別の選び方」では、代行会社が以下のタイプに分類されています:
総合型:
- 幅広い業種・業務範囲に対応
- 大規模プロジェクトに強い
- 例:ブリッジインターナショナル
特化型:
- 特定業種・業務に特化
- 専門性が高い
- 例:SaaS特化型、BtoB特化型
(5) 選定時の7つのチェックポイント
代行会社を選定する際の主なチェックポイントは以下の通りです:
- 業務範囲: 自社の課題を解決できる業務を提供しているか
- 実績: 同業他社での支援実績があるか
- 内製化支援: 将来的な内製化を支援してくれるか
- 料金体系: 固定報酬型・成果報酬型のどちらか、費用は予算内か
- KPI設定: 成果を測定するKPIが明確か
- 連携体制: 定期的なミーティング・フィードバックの仕組みがあるか
- セキュリティ: 顧客情報・商談情報の管理体制が整っているか
LISKULの記事「【2025年最新版】インサイドセールス代行おすすめ23選を比較!選び方も紹介」では、代行会社23社の詳細比較が掲載されています。
5. 料金体系と費用相場
インサイドセールス代行の料金体系は、固定報酬型・成果報酬型・複合型の3種類があります。
(1) 固定報酬型(月額50〜70万円)
固定報酬型は、月額固定費を支払う料金体系です。
費用相場:
- 月額50〜70万円が一般的
- 業務範囲や代行会社により変動(月額30万円〜200万円の幅がある)
メリット:
- 費用が予測しやすい
- 成果に関係なく安定したサービスが受けられる
デメリット:
- 成果が出なくても費用が発生
- 初期費用が高い
(2) 成果報酬型(1アポ1.5〜3万円)
成果報酬型は、成果に応じて報酬を支払う料金体系です。
費用相場:
- 1アポイント獲得あたり1.5〜3万円が一般的
- 業種・ターゲット顧客により変動
メリット:
- 成果が出た分だけ費用を支払う
- 初期費用が抑えられる
デメリット:
- 成果が多く出ると費用が膨らむ
- 短期的な成果に偏りやすい
(3) 複合報酬型(固定費+成果報酬)
複合報酬型は、固定費と成果報酬を組み合わせた料金体系です。
費用例:
- 月額基本料30万円 + 1アポ1.5万円
- 固定費で基本的な活動を保証し、成果に応じて追加報酬
メリット:
- 固定報酬型と成果報酬型のバランスが取れる
- 安定したサービスと成果志向を両立
BizFocusの記事「インサイドセールス代行の費用相場は?代行会社厳選11社を徹底比較」では、料金体系と費用相場が詳しく解説されています。
(4) 費用対効果の試算方法
外注の費用対効果を試算する際は、以下の指標を確認します:
試算例(固定報酬型・月額60万円の場合):
- 月間アポ獲得数:20件
- 1アポあたりコスト:3万円
- 商談化率:50%(10件)
- 受注率:20%(2件)
- 1件あたり売上:300万円
- 月間売上:600万円
- 投資回収率:600万円 ÷ 60万円 = 10倍
このように、アポ獲得数・商談化率・受注率を基に費用対効果を試算し、予算内で成果が期待できるかを判断します。
6. まとめ:外注成功のための3つのポイント
インサイドセールスのアウトソーシングは、即戦力確保と短期立ち上げに有効な手段です。一方で、社内ノウハウ蓄積の困難さや連携コストといったデメリットもあります。
外注成功のための3つのポイント:
自社の目的とリソースに応じて内製化・外注・ハイブリッドを選択
- 短期立ち上げが必要なら外注
- 長期的なノウハウ蓄積を重視するなら内製化
- ハイブリッド型で段階的に内製化するのも有効
代行会社選定では業務範囲・実績・内製化支援を確認
- 自社の課題を解決できる業務範囲か
- 同業他社での実績があるか
- 内製化支援を提供しているか
料金体系と費用対効果を試算し、KPIを明確に設定
- 固定報酬型・成果報酬型・複合型から選択
- アポ獲得数・商談化率・受注率を基に費用対効果を試算
- 定期的なミーティングでKPIを確認し、改善
次のアクション:
- 自社の課題を整理(リソース不足、ノウハウ不足等)
- 複数の代行会社から見積もりを取得
- 実績・内製化支援の有無を確認
- 小規模プロジェクトでトライアル実施
インサイドセールスのアウトソーシングを効果的に活用し、営業効率の最大化と売上拡大を実現しましょう。
