営業組織を再編したいけど、インバウンドセールスとインサイドセールスの違いが分からない...
BtoB企業で営業組織の再編を検討していると、「インバウンドセールス」と「インサイドセールス」という用語を目にすることが多いです。しかし、「両者の違いは何か」「どちらを導入すべきか」「どう役割分担すればよいか」と疑問を抱く方も少なくありません。
実は、インバウンドセールスとインサイドセールスは、異なる軸で営業活動を分類する用語です。インバウンドセールスは「顧客からの問い合わせ対応型営業(プロセス)」、インサイドセールスは「非対面の内勤営業(組織形態)」を指します。
この記事では、両者の定義、違い、役割分担パターン、組織体制の構築方法まで実践的に解説します。
この記事のポイント:
- インバウンドセールスは「顧客からの問い合わせ対応型営業」、インサイドセールスは「非対面の内勤営業」
- インサイドセールスはSDR(インバウンド型)とBDR(アウトバウンド型)に分類される
- 多くの企業はまずSDRから導入し、その後BDRを追加する
- インバウンドリードは商談化率20-40%、アウトバウンドリードは5-15%が目安
- 月間リード数が50件以上ならSDR導入を検討、それ以下なら兼任体制で十分
インバウンドセールスとインサイドセールスの基礎
(1) 両者の関係性の整理
インバウンドセールスとインサイドセールスは異なる軸の概念です:
- インバウンドセールス: 営業プロセスの分類(顧客からの問い合わせ対応型 = プル型営業)
- インサイドセールス: 営業組織の形態(非対面の内勤営業)
関係性: インサイドセールスの中に、インバウンド型(SDR)とアウトバウンド型(BDR)が存在します。
(2) 混同されやすい理由
なぜ混同されるのか:
- どちらも「非対面営業」を指すことが多い
- インバウンドセールスは主にインサイドセールスが担当するため、両者が重なる部分が多い
- 用語の定義が複数存在し、文脈により意味が変わる
(3) なぜ両者の理解が重要か
営業組織再編の判断に直結:
- SDR(インバウンド型)とBDR(アウトバウンド型)のどちらを導入すべきか
- マーケティング部門とフィールドセールス部門との役割分担をどう設計するか
- KPI設計(商談化率、受注率)をどう設定するか
インバウンドセールスとは?定義と特徴
(1) インバウンドセールスの定義(プル型営業)
インバウンドセールスとは: 顧客からの問い合わせや関心に対して行う反響型の営業活動です。プル型営業とも呼ばれます。
具体例:
- Webサイトからの問い合わせ・資料請求への対応
- セミナー・ウェビナー参加者へのフォローアップ
- ホワイトペーパーダウンロード者への電話・メール
(参考: Salesforce「インバウンド営業とは?手法や売上の作り方、アウトバウンド営業との違い」)
(2) アウトバウンドセールスとの違い
以下はインバウンドセールスとアウトバウンドセールスの違いです。
| 項目 | インバウンドセールス | アウトバウンドセールス |
|---|---|---|
| アプローチ方法 | プル型(顧客からの問い合わせ対応) | プッシュ型(企業から顧客へアプローチ) |
| 顧客の温度感 | 高い(既に関心あり) | 低い(未認知・無関心) |
| 商談化率 | 20-40%程度 | 5-15%程度 |
| 主な施策 | Webサイト、セミナー、コンテンツマーケティング | テレアポ、飛び込み営業、DM |
| メリット | 高い成約率、顧客満足度が高い | 大型案件の獲得、ターゲット企業を選べる |
| デメリット | リード獲得数に依存、成約件数を伸ばしにくい | 断られる確率が高い、時間がかかる |
(3) インバウンドマーケティングとの関係
インバウンドマーケティングとは: 顧客に自社を見つけてもらうためのコンテンツ発信型マーケティングです。
主な施策:
- SEO対策(検索エンジン最適化)
- ブログ記事・ホワイトペーパー作成
- SNS運用
- Web広告(リスティング広告・ディスプレイ広告)
インバウンドセールスとの連携: インバウンドマーケティングで獲得したリードを、インバウンドセールス(SDR)が商談化します。
(参考: 才流「インバウンドマーケティングとは? 代表的な手法と戦略設計の原則」、ALUHA「インバウンドマーケティングとは?目的やアウトバウンドとの違い、手法、成功事例」)
(4) インバウンドセールスのメリットとデメリット
メリット:
- 顧客の購買意欲が高く、商談化率・成約率が高い
- トークスクリプトを作り込めば、誰でも一定の成果を上げられる
- 顧客満足度が高い(自ら関心を持って問い合わせ)
デメリット:
- リード獲得数に依存し、成約件数を伸ばしにくい
- マーケティング部門との連携が不可欠
- インバウンドマーケティングの成果が出るまで時間がかかる(3-6ヶ月)
インサイドセールスとは?SDRとBDRの違い
(1) インサイドセールスの定義(内勤営業)
インサイドセールスとは: 電話・メール・Web会議などを活用した非対面の営業活動です。内勤営業とも呼ばれます。
主な役割:
- リード育成(リードナーチャリング)
- 商談設定(フィールドセールスへの引き継ぎ)
- 既存顧客のフォローアップ
(2) フィールドセールスとの違い
以下はインサイドセールスとフィールドセールスの違いです。
| 項目 | インサイドセールス | フィールドセールス |
|---|---|---|
| 営業方法 | 非対面(電話・メール・Web会議) | 対面(訪問営業) |
| 勤務場所 | 内勤 | 外勤 |
| 主な役割 | リード育成、商談設定 | 商談クロージング |
| 1日の商談数 | 10〜20件程度 | 2〜5件程度 |
(3) SDR(インバウンド型インサイドセールス)の役割
SDR(Sales Development Representative)とは: インバウンド型のインサイドセールスです。問い合わせ対応型の反響営業を担当します。
主な業務:
- Webサイトからの問い合わせ・資料請求への初回対応
- セミナー参加者へのフォローアップ
- BANT情報のヒアリング(予算・決裁権・必要性・導入時期)
- フィールドセールスへの商談引き継ぎ
向いている企業:
- 中小〜中堅企業(月間リード数50件以上)
- SaaS・低〜中価格帯商材
(参考: ワンマーケティング「SDRやBDRとは?インサイドセールス成功のポイントとともに解説」、Mazrica「SDRとBDRの役割の違いとは?」)
(4) BDR(アウトバウンド型インサイドセールス)の役割
BDR(Business Development Representative)とは: アウトバウンド型のインサイドセールスです。新規開拓型の営業を担当します。
主な業務:
- ターゲット企業リストの作成
- 決裁者に直接アプローチ(電話・メール)
- 中長期的な関係構築
- ABM(Account Based Marketing)戦略の実行
向いている企業:
- 大企業向け営業
- 高額商材(数千万円以上)
- 受注1件で大きな売上が見込める
(参考: SHANON「SDRとBDRの違いを知ってインサイドセールスで導入するポイントを解説」、ネオキャリア「アウトバウンド型インサイドセールス(BDR)とは?」、HubSpot「インサイドセールスのBDRとは?SDRとの違いと質の高いリードを創出する方法」)
インバウンドセールスとインサイドセールスの違い
(1) 比較軸1:営業形態vs営業プロセス
インサイドセールス:
- 営業組織の形態を指す
- 「どこで営業するか」(内勤vs外勤)
インバウンドセールス:
- 営業プロセスを指す
- 「どのように営業するか」(プル型vs プッシュ型)
(2) 比較軸2:対面/非対面vs能動/受動
インサイドセールス:
- 対面/非対面の軸で分類(非対面)
インバウンドセールス:
- 能動/受動の軸で分類(受動 = 顧客からの問い合わせ対応)
(3) 両者が併存するケース
インバウンド型インサイドセールス(SDR):
- 非対面(インサイドセールス) × 顧客からの問い合わせ対応(インバウンドセールス)
アウトバウンド型インサイドセールス(BDR):
- 非対面(インサイドセールス) × 企業から顧客へアプローチ(アウトバウンドセールス)
(参考: HubSpot「インサイドセールスとインバウンドセールスの違いとは?」、リーグル「今さら聞けない!インサイドセールスとインバウンドセールスの違い」)
(4) 比較表で見る違い
以下は両者の違いを比較表で整理したものです。
| 項目 | インバウンドセールス | インサイドセールス |
|---|---|---|
| 定義 | 顧客からの問い合わせ対応型営業(プロセス) | 非対面の内勤営業(組織形態) |
| 分類軸 | 能動/受動(プル型vs プッシュ型) | 対面/非対面 |
| 主な役割 | 問い合わせリードの商談化 | リード育成、商談設定 |
| 対象リード | インバウンドリード(高温度) | インバウンド・アウトバウンド両方 |
| 併存の可能性 | インサイドセールスの一部がインバウンド型(SDR) | インバウンド型(SDR)とアウトバウンド型(BDR)を含む |
組織体制の構築と役割分担パターン
(1) パターン1:SDR専任体制(中小企業向け)
体制:
- マーケティング部門: リード獲得
- SDR(インバウンド型インサイドセールス): 問い合わせリードの商談化
- フィールドセールス: 商談クロージング
向いている企業:
- 月間リード数が50〜200件
- 中小〜中堅企業
- SaaS・低〜中価格帯商材
メリット:
- トークスクリプト化しやすく、人材育成が容易
- 商談化率が高い(20-40%)
デメリット:
- リード獲得数に依存し、成約件数を伸ばしにくい
(2) パターン2:SDR・BDR分離体制(中堅企業向け)
体制:
- マーケティング部門: リード獲得
- SDR: 問い合わせリードの商談化
- BDR: ターゲット企業への新規開拓
- フィールドセールス: 商談クロージング
向いている企業:
- 月間リード数が200件以上
- 中堅〜大企業
- 高額商材・複雑な提案が必要な商材
メリット:
- インバウンドとアウトバウンドの双方の弱点をカバー
- 大型案件の獲得が可能
導入ステップ:
- まずSDRから導入(インバウンドリードの商談化)
- SDRで経験を積んだ後、BDRへ移行
- 各部門の役割とKPIを明確化
(参考: AIアナリスト「アウトバウンド型のインサイドセールスとは?」)
(3) マーケティング・フィールドセールスとの連携
マーケティング部門との連携:
- リード引き渡し基準を明確化(スコアリング基準など)
- 定期的なミーティングで情報共有
- 共通のKPI設定(マーケティング: リード獲得数、SDR: 商談化数)
フィールドセールスとの連携:
- 商談引き継ぎ基準を明確化(BANT情報が揃ったら引き継ぎ)
- SFA/CRMで情報共有
- 定期的なフィードバック(どのリードが成約しやすいか)
(4) 導入ステップとKPI設計
導入ステップ:
- チーム結成(最小構成: マネージャー1名+SDR 2-3名)
- リード引き渡し基準の明確化
- トークスクリプト作成
- KPI設定
- 運用開始とPDCA
SDRのKPI例:
- 架電数: 50件/日
- 商談化数: 10件/月
- 商談化率: 20-40%
BDRのKPI例:
- 架電数: 100件/日
- 商談化数: 5件/月
- 商談化率: 5-15%
まとめ:営業組織再編のポイント
インバウンドセールスとインサイドセールスは、異なる軸で営業活動を分類する用語です。インバウンドセールスは「顧客からの問い合わせ対応型営業(プロセス)」、インサイドセールスは「非対面の内勤営業(組織形態)」を指します。
営業組織再編のポイント:
- まずSDRから導入: 多くの企業はインバウンド型(SDR)から開始し、その後アウトバウンド型(BDR)を追加
- 月間リード数が判断基準: 50件以上ならSDR導入を検討、それ以下なら兼任体制で十分
- マーケティング・フィールドセールスとの連携: リード引き渡し基準を明確化し、定期的に情報共有
- KPI設計: SDRは商談化率20-40%、BDRは5-15%を目安に設定
- トークスクリプト化: インバウンドリードは温度感が高いため、トークスクリプトを作り込めば誰でも成果を上げられる
次のアクション:
- 自社の月間リード数を確認
- SDR導入の費用対効果を試算(人件費 + ツール費用 vs 商談化数増加)
- マーケティング部門・フィールドセールス部門と連携体制を協議
- 少人数(マネージャー1名 + SDR 2-3名)から始める
自社の状況に合わせて営業組織を再編し、効率的に受注を増やしましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。SDR・BDRの効果は企業規模・業種・商材により異なります。インバウンド施策は成果が出るまで時間がかかることをご留意ください。
