EC向けCRMとは?機能・選び方・活用法を徹底解説【2025年版】

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/6

EC向けCRMとは?市場動向と導入背景

EC事業を運営する中で、「リピート率が伸びない」「顧客データが散在していて活用できない」という課題を抱えていませんか?

EC市場の拡大に伴い、新規顧客獲得コストは年々上昇しています。経済産業省の調査によれば、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.15%増)に達し、物販系分野のEC化率は9.78%となりました。市場が成熟する中、既存顧客との関係を深め、LTV(顧客生涯価値)を最大化する重要性が高まっています。

この記事では、EC事業者のマーケティング・CRM担当者に向けて、EC向けCRMの機能・選び方・活用法を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • EC向けCRMは、購買履歴・閲覧履歴・問い合わせ履歴を一元管理し、顧客との関係強化を実現するツール
  • 一般CRMと異なり、RFM分析・カゴ落ち対策・セグメント配信などEC特化機能が標準搭載
  • オールインワン型は月額数万円~、カスタマイズ型は月額10万円~が一般的
  • 年商1億円以上、顧客数1,000人以上の場合は導入効果が期待できる
  • 既存ECカートシステムとの連携性を重視して選定することが重要

(1) EC CRMの定義と役割

EC CRMとは、ECサイト(電子商取引サイト)向けの顧客関係管理システムです。顧客の購買履歴、閲覧履歴、問い合わせ履歴、お気に入り商品などを一元管理し、顧客との関係性を強化することで、リピート率向上やLTV最大化を実現します。

顧客情報を取得し、購入経歴、閲覧ページの経歴、購入頻度などを照らし合わせ、データを分析してセグメント化を行い、顧客に合わせたアプローチへとつなげることができます。

(2) 国内EC市場の成長動向(26.1兆円規模)

経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月)によれば、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円に達し、前年比5.15%の成長を記録しました。物販系分野のEC化率は9.78%となり、今後もEC市場の拡大が予測されています。

市場の成長に伴い、新規顧客獲得コストが上昇する一方、既存顧客に長く利用してもらうことで、広告費を削減できるとされています。

(3) LTV向上と顧客関係強化の重要性

EC事業において、新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍とも言われています。EC CRMを活用することで、顧客ひとりひとりの購買行動を把握し、適切なタイミングでフォローメッセージを送ることができます。

例えば、顧客が商品を使い切るであろうタイミングでリマインド配信を行うことで、リピート購入を促進できます。

一般CRMとの違い:EC特化機能の重要性

一般的なCRMツールは、営業支援やカスタマーサポート向けに設計されており、EC事業特有のニーズに完全には対応できない場合があります。EC向けCRMには、以下のような特化機能が標準搭載されています。

(1) ECサイト特有のデータ(購買履歴・閲覧履歴)

EC向けCRMは、購買履歴だけでなく、閲覧履歴、カート投入履歴、お気に入り商品、問い合わせ履歴など、ECサイト特有のデータを一元管理できます。これにより、顧客の関心度や購買意欲を詳細に把握し、パーソナライズされた施策を実行できます。

(2) オムニチャネル対応とモール連携

2025年11月に開催された「JAPAN EC CRM Conference 2025」では、EC、モール、実店舗をつなぐ統合CRM戦略が議論されました。EC向けCRMには、自社ECサイトだけでなく、楽天市場やAmazonなどのモール、実店舗のデータを統合する機能が求められています。

オムニチャネル顧客は購入頻度が2倍高く、これらの顧客が20-30%増加しているとされています。

(3) 一般CRM + MA組み合わせとEC専用CRMの比較

一般CRM + MAツールの組み合わせでもEC向けCRM施策は可能ですが、EC専用CRMはRFM分析・カゴ落ち対策・セグメント配信などが標準搭載されており、中小規模EC事業者には導入の手間が少なく利便性が高いとされています。

企業規模・予算・既存システムとの連携性を考慮して選定することが重要です。

EC向けCRMの主要機能

EC向けCRMには、以下のような主要機能が搭載されています。

(1) 顧客情報の一元管理(購買履歴・問い合わせ・お気に入り)

顧客の購買履歴、問い合わせ履歴、お気に入り商品、閲覧履歴などを一元管理し、顧客プロフィールを詳細に把握できます。これにより、顧客ひとりひとりに最適なアプローチが可能になります。

(2) RFM分析と顧客セグメント化

RFM分析とは、Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3指標で顧客をセグメント化し、優良顧客を抽出する分析手法です。

RFM分析により、優良顧客向けの特典オファーや休眠顧客の掘り起こしアプローチが可能になります。

(3) カゴ落ち対策とリマインド配信

カートに商品を入れたまま購入に至らなかった顧客に対し、自動でリマインドメールを送信する機能です。カゴ落ち率を低減し、購入完了率を向上させることができます。

(4) パーソナライゼーション(会員ランク別・誕生月クーポン等)

会員ランクや誕生月、年間の購入額などの顧客セグメントから該当する顧客を抽出し、ランクに応じた割引セールや誕生日クーポンの配布など特定の顧客向けの特別キャンペーンを実施できます。

メールの開封率が高い顧客にはメールでキャンペーンを送るなど、顧客の行動履歴に応じた施策を実行できます。

(5) データ分析とレポート機能

購買データ、顧客行動データを分析し、売上レポート、顧客分析レポートを作成できます。BIツール(Business Intelligence)と連携することで、より詳細なデータ分析も可能です。

(6) ECカートシステムとの連携

現在利用しているECカートや既存システム(MAツールやBIツールなど)と連携できるCRMを選ぶことが重要です。データ移行等の手間を大きく省けるとされています。

EC向けCRMツールの選び方と比較ポイント

EC向けCRMツールは数百種類以上あり、機能や価格、対象業種が異なります。以下のポイントを比較して、自社に最適なツールを選定しましょう。

(1) オールインワン型 vs カスタマイズ型

オールインワン型: 顧客管理・配信機能・分析機能・シナリオ設計・レポート作成など、CRM施策に必要な機能が一通りパッケージ化されており、中小規模のEC事業者に利便性が高いとされています。

カスタマイズ型: 企業の業務フローに合わせて機能をカスタマイズできるタイプです。大規模EC事業者や特殊な業務要件がある場合に適しています。

(2) 既存ECカート・MAツールとの連携性

既存のECカートシステム(Shopify、BASE、MakeShop等)やMAツールとの連携性を確認することが重要です。データ連携がスムーズであれば、顧客データ・購買履歴の自動連携により入力の手間が大幅に削減されます。

(3) 料金体系と事業規模への適合性

オールインワン型は月額数万円~、カスタマイズ型は月額10万円~が一般的です。企業規模や必要機能により変動するため、無料トライアルで費用対効果を検証することが推奨されます。

※料金は執筆時点(2025年12月)の情報です。最新の料金・機能は各社公式サイトをご確認ください。

(4) 主要ツール(MOTENASU・うちでのこづち等)の特徴

市場には多数のEC向けCRMツールが存在します。以下は主要なツールの特徴です(公平性のため複数を紹介します):

MOTENASU: EC特化型CRMとして、顧客セグメント配信やRFM分析機能を搭載。中小規模EC事業者向け。

うちでのこづち: オールインワン型で、顧客管理・配信機能・分析機能が一体化。国内EC事業者に導入実績が多い。

Salesforce Commerce Cloud: 大規模EC事業者向けのカスタマイズ型CRM。オムニチャネル対応、グローバル展開に強み。

ツールによって機能や価格、対象業種が異なるため、自社の事業規模やニーズに合ったツールを選定する必要があります。

(5) 導入・運用サポート体制

導入時のオンボーディング支援、運用開始後のサポート体制を確認しましょう。日本語サポートの有無、コミュニティ・ユーザー会の有無も重要な選定ポイントです。

EC向けCRM導入事例と活用法

EC向けCRMを導入した企業の成功事例から、活用のポイントを学びましょう。

(1) BEAMS:オムニチャネル顧客の購入頻度2倍

BEAMSでは、EC・実店舗・モールのデータを統合するCRMを導入し、オムニチャネル顧客の購入頻度が2倍に向上したとされています。顧客がどのチャネルで購入しても、一貫した体験を提供できる仕組みを構築しました。

(2) DoClasse:セグメント配信で売上向上

DoClasseでは、顧客セグメントに応じた配信施策を実施し、EC事業全体の売上が前年比180%に成長した事例があります。RFM分析により優良顧客を抽出し、特別オファーを配信することで、LTVを向上させました。

(3) L'Occitane Japan:顧客理解とパーソナライゼーション

L'Occitane Japanでは、CRMによる顧客理解を深め、パーソナライズされた商品提案やキャンペーンを実施しています。顧客の購買履歴や関心度に応じたアプローチにより、リピート率が向上したとされています。

(4) 成功事例から学ぶ活用ポイント

成功事例に共通するポイントは以下の通りです:

  • 顧客データを統合し、一元管理する
  • RFM分析やセグメント配信により、顧客に合わせた施策を実行する
  • オムニチャネル対応により、一貫した顧客体験を提供する
  • 継続的にデータ分析を行い、施策を改善する

ただし、CRM施策による売上向上の効果は企業規模や業種により異なるため、過度な期待は禁物です。

まとめ:EC向けCRM導入を成功させるために

EC向けCRMは、購買履歴・閲覧履歴・問い合わせ履歴を一元管理し、RFM分析やセグメント配信などのEC特化機能により、顧客との関係強化とLTV向上を実現するツールです。

選定時には、オールインワン型 vs カスタマイズ型、既存ECカートとの連携性、料金体系、サポート体制を比較し、自社の事業規模やニーズに合ったツールを選びましょう。

次のアクション:

  • 自社の事業規模・予算・必要機能を整理する
  • 複数のツールの公式サイトで最新の料金・機能を確認する
  • 無料トライアルで実際の操作性を試す
  • 導入事例のある企業の活用方法を参考にする

EC向けCRMを活用して、顧客との関係を深め、持続的な成長を実現しましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。最新の情報は各社公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1一般CRMで代替できますか?EC専用CRMは必要ですか?

A1一般CRM + MAツールの組み合わせでも対応可能ですが、EC専用CRMはRFM分析・カゴ落ち対策など標準搭載されており、中小規模EC事業者には導入の手間が少なく利便性が高いとされています。企業規模・予算・既存システムとの連携性を考慮して選定しましょう。

Q2ECカートシステムとの連携は必須ですか?

A2顧客データ・購買履歴の自動連携により入力の手間が大幅に削減されるため、連携は強く推奨されます。現在利用中のECカート(Shopify、BASE、MakeShop等)と連携できるCRMを選ぶことが重要です。

Q3EC向けCRM導入にはどれくらいのコストがかかりますか?

A3オールインワン型は月額数万円~、カスタマイズ型は月額10万円~が一般的です。企業規模や必要機能により変動するため、無料トライアルで費用対効果を検証することが推奨されます。最新の料金は各社公式サイトをご確認ください。

Q4小規模ECでもCRMは必要ですか?

A4年商1億円以上、または顧客数1,000人以上の場合は効果が期待できます。それ以下の規模ならメール配信ツールやスプレッドシート管理でも対応可能な場合があります。自社の事業規模と顧客数を基準に判断しましょう。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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